子宮体癌について 内視鏡手術の現況

子宮体癌について
内視鏡手術の現況
神奈川県立がんセンター婦人科
近内 勝幸
1
子宮体癌の進行
傍大動脈 骨盤
リンパ節 リンパ節
肺、肝など
子宮
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子宮体癌における手術術式
• 単純子宮全摘+両側付属器切除
• 単純子宮全摘+両側付属器切除
+骨盤リンパ節郭清
• 単純子宮全摘+両側付属器切除
+骨盤リンパ節郭清+傍大動脈リンパ節郭清
3
単純子宮全摘+両側付属器切除
傍大動脈 骨盤
リンパ節 リンパ節
子宮
卵巣
4
単純子宮全摘+両側付属器切除
+骨盤リンパ節郭清
傍大動脈 骨盤
リンパ節 リンパ節
子宮
卵巣
5
単純子宮全摘+両側付属器切除
+骨盤リンパ節郭清+傍大動脈リンパ節郭清
傍大動脈 骨盤
リンパ節 リンパ節
子宮
卵巣
6
手術手技
• 開腹手術
• 内視鏡手術
7
開腹手術
・単純子宮全摘+両側付属器切除
・単純子宮全摘+両側付属器切除+骨盤リンパ節郭清
臍下~恥骨上
8
開腹手術
単純子宮全摘+両側付属器切除
+骨盤リンパ節郭清+傍大動脈リンパ節郭清
胸骨下~恥骨上
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内視鏡手術
産婦人科領域の内視鏡手術
• 腹腔鏡下手術
• 子宮鏡下手術
• 卵管鏡下手術
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腹腔鏡下手術(4孔式)
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腹腔鏡手術の特性
• 術野への到達が「孔」を介して行われる。
• 眼の代わりに「内視鏡」が用いられる。
• 手の代わりに「操作鉗子」が用いられる。
• 術野を得るための「操作」が必要である。
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腹腔鏡下手術(4孔式)
12mm
5mm
13
内視鏡
14
操作鉗子
15
操作鉗子
16
操作鉗子
17
手術室
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術野を得るための操作
• 気腹
• 吊り上げ
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腹腔鏡手術の有益性と短所
有益性
• 創が小さく整容性に優れている。
• 術後早期回復による入院期間の短縮。
• 拡大視野による詳細な観察。
• 精密な手術操作による出血量の減少。
短所
• 手術時間の延長。
• 術者、施行可能施設の制限。
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開腹術との比較
単純子宮全摘+両側付属器切除
開腹術(15例)
腹腔鏡(6例)
手術時間(分)
138(72-245)
197(152-301)
出血量(g)
320(44-2769)
100(0-820)
術後入院期間
(日)
8(6-16)
5(5)
大和市立病院 石川先生、長谷川先生のデータによる。
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開腹術との比較
単純子宮全摘+両側付属器切除+骨盤リンパ節郭清
開腹術(4例)
手術時間(分)
出血量(g)
術後入院期間
(日)
摘出リンパ節個数
(個)
腹腔鏡(8例)
259(208-296) 291(252-399)
669.5(300-792)
25(0-450)
8(8-18)
5(4-5)
27(13-43)
24.5(12-32)
大和市立病院 石川先生、長谷川先生のデータによる。
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予後
• 腹腔鏡手術の14例すべて再発なし。(観察期
間 0-21か月)
大和市立病院 石川先生、長谷川先生のデータによる。
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開腹術と比較して
•
•
•
•
手術時間は開腹術と同等~延長。
出血量は少ない。
手術後入院期間の短縮。
摘出されたリンパ節の個数は開腹術に劣らな
い。
大和市立病院 石川先生、長谷川先生のデータによる。
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LAP2 study
• 米国GOGによって行われた1696例の腹腔
鏡下手術症例と920例の開腹手術症例を比
較した大規模ランダム化比較試験。
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Cumulative incidence of recurrence by randomly assigned treatment group.
3年間の累積再発率
腹腔鏡:11.39%
開腹術:10.24%
Walker J L et al. JCO 2012;30:695-700
©2012 by American Society of Clinical Oncology
Overall survival by randomly assigned treatment group.
推定5年生存率
腹腔鏡:89.8%
開腹術:89.8%
Walker J L et al. JCO 2012;30:695-700
©2012 by American Society of Clinical Oncology
まとめ
• 機器の進歩等により、腹腔鏡下の子宮
全摘出術やリンパ節生検、郭清が可能
となった。
• がんの治療においては、根治性が最も
大きな課題である。
• 臨床的早期子宮体癌に対して腹腔鏡下
手術は有用である。一方、進行子宮体
癌に対しては科学的根拠がなく現時点
では推奨されない。
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