安全報告書 (2014年度) ダイヤモンドエアサービス株式会社 本報告書は、航空法第 111 条の6に基づき作成したものです。 目次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1.1 安全方針 1.2 行動指針 1.3 経営者のコミットメント 1.4 法令・規程の遵守 2.1 安全組織に関する組織 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (1)会社の組織概念図 (2)安全管理体制機能図 (3)機能図に示した委員会等の役割の概要 2.2 各組織の人員数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2.3 運航乗務員、整備従事者、運航管理者の数 2.4 日常運航の支援体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 (1)安全管理規程等 (2)運航乗務員、整備従事者及び運航管理者に係る定期訓練及び審査 (3)日常運航に於ける問題点の把握とその共有及び現場へのフィードバック (4)安全に関する社内啓発活動の取組み 2.5 使用している航空機に関する情報 3.1 事故・トラブルの発生状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 3.2 重大インシデントの概要と対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 4.1 国から受けた行政処分等と講じた措置 5.1 2014年度の安全目標達成状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 5.2 2014年度に推進した安全活動へのベクトルあわせ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 5.3 2015年度に於ける安全に関する目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 目次 1.輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針 弊社は、以下の事項を安全管理規程に定め、事業運営を行っています。 1.1 安全方針 弊社は、安全の維持を組織の最優先事項とし、三菱重工グループの一員として「社是」に従い、自 らの役割と責任を自覚して行動する。 社 是 一.お客様を第一とし、プロとしてサービスを提供する。 一.安全飛行を至上の命題とし、自ら研鑽に励むと共に、チームとしての相い協力し、 技術の進歩に努める。 一.清新の気持ちで、新たな事業機会の創出に努力し、社業の発展に努める。 1.2 行動指針 弊社の全ての役員・社員は、「社是」及び「飛行安全の理念」に従い行動する。 「飛行安全の理念」 (1)飛行安全は、一人一人が責務を果たすことで達成される。 (2)有らん限りの知識と経験を活用して、飛行安全を脅かす要因を事前に排除する。 (3)規律を遵守し、疑わしきは作業を停止する勇気を持つ事を誇りとする。 1.3 経営者のコミットメント 「私達の最大の関心は、お客様と社員の安全であり、安全は会社の経営の基盤と言う信念を持っ ています。 私達は、全ての安全に関する情報を関係者全員で共有することが重要と考え、全ての社員が安 全に関する重要な危険要素や懸念を報告することを奨励します。」 1.4 法令・規程の遵守 ・会社及び社員は、法令を遵守しなければならない。 ・全ての社内規定は、法令に適合しなければならない。 ・全社員は、該当する社内規定を遵守しなければならない。 ・規定の基準や標準が業務実施に不適切であった場合や、規定が該当法令に適合していない場 合、速やかに当該規定の所管部門へ報告する。 ・会社は、関係法令等への不適合を認めた場合には、速やかに是正する。 1 2.輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理体制 2.1 安全確保に関する組織 (1)会社の組織概念図 飛行安全委員会 運航事業 業務管理部 航空機製造事業 運航部 社長 技術部 整備部 安全品質管理部 東京事務所 (2)安全管理体制機能図 社長 航空救難事故処理 対策本部 安全統括管理者 (運航事業担当役員) 安全推進室 飛行安全委員会 委員長:社長 安全統括管理者の下で 議長 :安全統括管理者 安全活動の計画と推進 副議長:運航部長 及び内部監査を実施 委員 :各部長及び安全統括管理者が指名した経験者 各部門の飛行安全推進委員 業管部 (東京 事務所) 運航部 技術部 整備部 2 安全 品質 管理部 航空機 修理部 航空機 組立部 (3)機能図に示した委員会等の役割の概要 ①飛行安全委員会 社長が委員長、安全統括管理者が議長として、各部の責任者(部長)を委員とするメンバーで構 成され、安全に係る事項の共有と認識の一致を図ると共に、安全に係る意志決定を行います。 委員会は、2ヶ月に1度の定例会を開催、安全活動の推進状況レビューや現場の問題点把握等 を行い、安全施策の見直し、対策を協議します。 又、急を要す事項などが発生した場合には臨時会を開催、認識の統一や対策等を協議します。 ②安全推進室 「飛行安全委員会」の事務局を担当し、安全全般に係る全社的な方針・計画を策定し推進を図り ます。 安全管理体制に係わる安全の教育・訓練、安全意識高揚のための施策等を企画・立案します。 又、安全管理体制に係わる部署等への内部監査を実施し、監査により不適合が確認されたとき は、改善要求及び改善措置の実施を確認します。 ③各部門の飛行安全推進委員 各部門の部長が推進委員を務め、部門内の配下を交え、安全活動等を立案・推進します。 2.2 各組織の人員数(2015年3月31日現在) 業務管理部 運航部 技術部 整備部 安全品質管理部 10 7 22 3 (含:東京事務所) 4 飛行安全委員会 12 安全推進室 計画グループ 統括 1 2 監査グループ 2 飛行安全推進委員 8 ※ ※ 兼務者を含む 2.3 運航乗務員、整備従事者、運航管理者の数(2015年3月31日現在) 運航乗務員 整備従業者 運航管理担当者 7 20 (有資格整備士 : 11) 9 (乗務員と兼務 : 6) 3 2.4 日常運航の支援体制 (1)安全管理規程等 2011年3月に安全管理規程を制定し、安全統括管理者を選任して、安全マネジメント体制を推 進してきました。 2 0 1 3 年 1 1 月 に は 、 運 航 の 規 模 及 び 複 雑 度 に 応 じ た 効 率 的 で 効 果 的 な SMS ( Safety Management System)の導入を目的に、IS-BAO(An International Standard for Business Aircraft Operations)の第3者認証を取得し、安全管理活動を推進しています。 (2)運航乗務員、客室乗務員、整備従事者及び運航管理者に係る定期訓練及び審査 ① 運航乗務員の訓練及び審査 航空局の「運航規程審査要領(空航第58号)」、「整備規程審査要領(空機第73号)」、及び 「航空機運送事業及び航空機使用事業の許可及び事業計画変更の許可審査要領(空航第6 9号空機第68号)」に基づき社内規程(運航規程、整備規程)を設定し、これに基づき定期訓 練及び審査を実施しています。 更に、弊社では操縦士に対し、海外でのフライト・シュミュレーターによる操縦訓練を定期的に 実施し技量維持を行っています。 ②航空救難事故処理等の訓練実施 航空機が緊急事態に陥った場合等の対処を円滑に遂行する為に、その要領として定めた「航 空救難事故処理規程」を基にした諸活動訓練を行いました。 11月には「航空機が着陸滑走中に主輪タイヤがバーストし、滑走路上に停止/負傷者発生」し たことを想定した航空機事故処理の対応訓練を、1月には「飛行中にシステム故障が発生」し たことを想定したパイロット支援の対応訓練を行い、習熟を図ると共に、改善事項を洗い出しま した。 改善事項で「航空救難事故処理規程」の改訂が必要な事項は、改訂していきます。 (3)日常運航に於ける問題点の把握とその共有及び現場へのフィードバック ①飛行前の調整会/確認会及び飛行前後ブリーフィング 弊社は航空機使用事業が主体の会社です。 航空機使用事業に於いては、お客様のニーズと安全にお応え出来る様に、飛行に先立ちお客 様と弊社担当者による調整会を設け、お客様の御要望の理解、問題点の洗出し及びその対 策を検討します。続いて確認会に於いて是正結果を確認する事により、問題点の事前解消に 努め、その後の関係者全員出席によるブリーフィングを通じて情報の共有化を図っています。 更に毎飛行前後に搭乗者全員(お客様を含む)、運航管理担当者及び整備員参加によるブリ ーフィングを実施し、情報共有の徹底と飛行結果に基づくフィードバックに務めています。 4 ②不具合事項等の対処 飛行に於いて、不具合が発生した場合は、「不具合事項等対処要領」に従って、原因究明及び 再発防止策を検討し、関係者への周知徹底を図る体制となっています。 ③機体情報の共有定期ミーティング 操縦士と整備士との間で、不適合発生状況、運航中の気付き事項、是正状況、整備状況等の 情報を常に共有し、意見交換することにより、大きな不適合の発生を未然に防ぐことを狙って 定期的なミーティングを開催しています。 ④各プロジェクトの反省会とリスクハザードの抽出 各プロジェクトの運航開始に先立ち、安全の観点でのハザードリスクを抽出、必要に応じた軽 減策を実施していますが、その結果のフィードバックをより確実なものにすることを目的に、今 年度から各プロジェクト終了毎に運航関係者が集まり反省会を実施。新たなリスクハザードの 抽出と運航関係者間の情報共有を図っています。 (4)安全に関する社内啓発活動の取組み 「社員一人一人が飛行安全を意識する職場の風土」作りを目指し、飛行安全への意識向上活動 を推進しました。 ①飛行安全意識向上のための講話 弊社役員が、社員を対象に、過去に経験してきた事故事例/失敗事例や、国内で過去に発生 した作業ミスによる事故事例等を基に、作業ミスが航空機に与える影響と、一人一人にルール 遵守の大切さを指導しました。 ②「JAL 安全啓発センターの見学/御巣鷹山の慰霊登山」を通じた意識向上研修 1985年8月に発生した「JAL123 便事故」の尊い犠牲を活動に生かすべく、JAL 殿の御協力 のもとで、事故機等を展示してある「JAL 安全啓発センター」の見学と、事故現場である「御巣 鷹山の尾根」を慰霊登山し、「事故とその原因を知る」「事故現品を見る」、そして「事故の悲惨 さ、事故がもたらした御遺族の苦しみや悲しみを知る」ことで、安全意識の向上を図りました。 2014年度は6月に1回(通算4回目)を実施、20名(延べ人数80名で、社員の3/5が参加) の社員を研修させました。 研修者は、事故原因の現品や遺留品の展示物(安全啓発センター)や、無数に建つ墓標(御 巣鷹山)から、事故の悲惨さ、御遺族の悲しみを知ることができ、飛行安全意識を向上すること が出来ました。 5 ③三菱重工の「飛行安全・品質月間行事」に合わせ、弊社全員が安全祈願 三菱重工が10月31日~11月30日に亘り実施している「飛行安全・品質月間行事」に三菱重 工のグループ会社である弊社も参加、10月31日には三菱重工・航空機事業部長からの安全 メッセージを受け、弊社全員が安全の誓いを新たにし、安全祈願を行いまいした。 ④モラル/マナーの向上教育 安全確保のための基本となるモラル及び当社社員としてのマナーを遵守すべく若手社員52名 を対象に教育を実施、モラル/マナーの向上を図りました。 又、2ヶ月毎にマナー遵守の重点項目を定めたポスターを各部署で掲示し、意識の高揚を図り ました。 2.5 使用している航空機に関する情報(2015年3月末現在) 機種 機数 座席数 年間飛行時間 導入時期 機齢 G-1159 1 9 146 1995年 41 MU-300 1 7 132 1997年 32 BE-200T 1 6 245 2007年 34 BE-200 1 6 516 2013年 37 3.航空法第111条の4の規定に基づく報告に関する事項 3.1 事故・トラブルの発生状況 種類 2014年度 2013年度 2012年度 航空機事故※1 0 0 0 重大インシデント※2 0 0 1 安全上のトラブル※3 0 1 0 合計 0 1 1 「解説」 ※1 :航空機事故 航空機の墜落、衝突、火災及び航空機による人に死傷又は物件の損壊等の事態が該当し 国土交通省が認定します。 ※2 :重大インシデント 航空機事故には至らなかったものの、事故が発生する可能性があったと認められるもので 滑走路からの逸脱、非常脱出、エンジンの推力損失の事象が該当し、国土交通省が認定 します。 6 ※3 :安全上のトラブル(義務報告) 2006年の航空法改正により、航空事故等を防止する手段として、航空事故や重大インシ デントに至らなかった事項に関する情報についても航空関係者で共有し、予防安全対策に 活用していくことを目的に、新たに「その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼ す事態」(以下、「安全上のトラブル」と言う)を国に報告する事が義務付けられました。 これらのトラブルが積み重なった場合には事故を誘発することにもなりかねないものの、 個々のトラブルは航空機の安全な運航にほとんど影響はなく、直ちに航空機事故に繫がる ものではありません。 3.2 航空事故・トラブルの概要と処置 航空事故、重大インシデント及び安全上のトラブルは発生しませんでした。 4.安全を確保するために講じた措置 4.1 国から受けた行政処分等と講じた措置 行政処分事項等はありません。 5.2014 年度の安全に関する目標の達成状況と 2015 年度に向けて 5.1 2014年度の安全目標の達成状況 2014年度の安全指標、及び安全目標の達成状況は次の通りです。 (1)安全指標 「我々の努力で防止できる不適合/不手際の防止」 (2)安全目標 「不適合/不手際の発生件数 : ゼロ 件」 (3)結果 1件の不適合を発生させてしまいました。 <発生不適合の状況> 平成26年6月、MU-300機で、飛行中にキャビン天井のADFアンテナ取付け付近から「ブー 音」が発生、同アンテナ取付け部周囲のシーラントに剝がれ(脱落はなし)が見られたことから、 同シーラントの修正処置(再塗布)を行ったものの、その後の飛行で再発(シーラントが剝がれ (脱落はなし)、ブー音が発生)した。 7 <原因> マニュアルでは、「シーラント塗布」と記載されていた為、フイレット・シール(アンテナ端部から水 分等が混入しない様に端部周辺に薄くシーラントを塗布する)を実施したが、航空機製造元に確 認結果、図面には Aero Dynamic Smoothness の要求があり、アンテナ端部の段差が無くなる 様、多量のシーラントを塗布する必要があるとのアドバイスを受けた。 今回、除去前に塗布されていたシーラントは多量に塗布されていたが、アンテナ交換時その理由 を読み取れなかった。 <対策> 今回の事例を全整備員に紹介し、作業前後の形状の違い等に注意する様、周知しました。 5.2 2014年度に推進した安全活動へのベクトル合せ 全社員の安全活動へのベクトル合せ等を目的に、組織の上下左右の意思疎通と、職場内のコミュ ニケーション向上を図るべく、次の活動を行いました。 (1)オフサイト・ミーテングによる上下左右の意思疎通の改善活動 ・会社組織の上下の意思疎通を図ることを目的に、全社員を年齢層別にグループ分け(5名程 度/グループ)し、社長室と、フリーディスカッション方式による対話を計画、今年度は18回で総 計101名を対象に実施致しました。 ・対話では社長室の思いを社員1人1人に伝えると共に、各社員の意見/要望を吸上げ処置する ことで、「身近な社長室」と受け止めて貰う事が出来ました。 ・又、組織の左右の意思疎通を図ることを目的に、各部長と同部長が管轄する社員の職場のグ ループとの間で、上記と同様に対話を実施、今年度は35グループと実施致しました。 (2)職場のコミュニケーション向上活動 ・職場のコミュニケーション向上を図ることで、風通しの良い職場環境を築くことを目的に、「職場 自主改善活動」を取入れ、活動致しました。 これは、職場内で部門間を越えた自由なメンバーでグループを構成(10名程度/グループ)す ると共に、自由な活動テーマを設定し活動、今年3月には社長や部長を交えた発表会と表彰を 行いました。 ・今年度は31グループ、総計262名(派遣社員を含む)が参加、グループ毎に、「頑張ったで賞」 や、「自慢できるで賞」等の表彰状と商品を授与し、活動を称えました。 8 5.3 2015年度における安全に関する目標 2014年度の結果を踏まえ、次の安全推進計画を策定致しました。 (1)安全指標 「ヒューマンエラーによるイレギュラー運航発生件数」 (2)安全目標 「発生件数 : ゼロ 件」 (3)重点推進事項 以前から継続している活動、及び2014年度で推進してきた活動事項は継続して推 進していきますが、2015年度は次の事項を重点に推進し、飛行安全確保を図って 行きます。 ① SMS(IS-BAO)の浸透と定着(ハザード/リスク分析と対策効果モニターの定着) ② プロジェクト終了後の反省会の定着(ハザード/リスクの抽出と対策) ③ 重大/再発不具合の処理要領の標準化(具体的処理手順の明確化) 以上 9
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