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〇はじめにー歓迎の辞
本日はツーリズム産業―産学オープンセミナーに、100 校から 420 名もの大
勢の学生にお集まりいただき有難うございます。今日は就職説明会ではありま
せんが、ツーリズム産業の何たるか、重要性、将来性、その魅力などお話しま
すので、皆さんが更に関心を持ちより深く理解し、もしよければチャレンジし
ていただければ幸いです。
さて、昨今“観光の時代”などともてはやされましたが、皮肉なことに今世
紀に入り、9・11、イラク戦争、SARS が続きかつてない試練にたたされました。
更に昨年は自然災害が発生し、特に地震の被災地―新潟やタイ・マレーシア・
スリランカなどから深刻な悲鳴が上がっております。つまり、観光産業はそれ
ぞれの地域にとって極めて重要な産業になっているという証左でもあります。
今、業界挙げて視察や支援ツアーを行っているところです。
〇全ては時代が決定するという言葉があります。
産業や企業の価値はその時代に必要とされ社会に支持されているかどうかに
かかっています。当然、時代と共に変化し、産業の主役は変遷してまいります。
今話題になっているプロ野球のオーナーの変遷はまことに象徴的である。また
就職人気も一面を反映しています。
私事で恐縮ですが、私は 62 年入社ですが、当時は繊維産業、弱電メーカー等
が花型産業でした。旅行業などは採用数も少なく話題にもなっていませんでし
た。ところがこの年から JTB は大量採用をはじめました。後でわかったことで
すが JAL さんも ANA さんも採用数は多かったのです。何故かといえば。その
二年後つまり 1964 年はエポックメーキングな年であったからです。新幹線開通、
オリンピック開催、海外旅行自由化、高速道路やホテル建設ラッシュなど―
つまり本格的大衆旅行時代の幕開けであったわけです。
〇ツーリズム産業の成長とその担い手
以降、経済の高度成長やライフスタイルの変化と共に関連産業はそれぞれの
努力により順調に発展してきました。
国内旅行については一貫して主導してきたのは国鉄だろうと思います。有名
な Discover Japan Campaign など観光推進の実質的指導をされました。そ
れに加え、話題性のある旅館・ホテルが各国内観光地で建設してきたたことも
大きいと思います。海外旅行は最初に主催旅行 JALPAK を作った JAL はじめ
航空会社がリードしました。それに各国の政府観光局などが協力していただき
ました。旅行会社もこれらの動きに的確に呼応し魅力的で安い旅行商品を普及
させてきました。
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〇観光立国宣言
さて 21 世紀、小泉総理自ら所信表明で「観光立国」を宣言されました。
観光産業が裾野の広い総合産業であり、景気回復や雇用対策,地域の活性化に
寄与できる重要な産業である、そして日本ブランド(日本人・日本文化)を世
界に発信できるるという認識に立ち国策の柱の一つに位置付けられた訳です。
ツーリズムはより期待される産業として発展させるためには、関連する産業
がよりシステマチックに連携して大きな力にすべく 2001 年 TIJ を立ち上げまし
た。(どのような活動をしているかは後程、寺島副会長から説明いたします。)
さらに、嬉しいことに従来重厚長大産業―モノつくり中心であった日本経済
団体連合会(通称―経団連)が観光に着目され、この度「観光委員会」を新設
されました。誠に心強い限りです。味の素の江頭社長自ら「国家 100 年の計」
に基づいて積極的に取り組む旨、これから詳しくお話されます。今月号の機関
紙「経済 TREND」に「魅力ある国つくりと観光」が特集になっております。
是非ご覧下さい。要するにツーリズムはもはや狭い観光産業だけ語る時代では
なくなりました。
〇世界大交流時代―ツーリズム産業への期待は大きい
世界に目を転じると、昨年の世界の外国旅行者は 7.6 億人と過去最高を示しま
した。これからは I T 時代だからこそ face to face の直接交流が意味を持って
いるのです。今後、政治、経済、文化、教育、スポーツなどあらゆる分野で世
界 大 交 流 時 代 に 突 入 し ま す 。 こ の 流れ を し っ か り 掴 む た め Visit Japan
Campaign を展開して 2010 年に 1000 万人の外国人を受け入れようと計画して
います。そしてこれが単にツーリズムの観点だけでなく、国々の相互理解と平
和に繋がる安全保障に寄与できる面もあります。
このように人々の交流が広がれば、ツーリズム産業の可能性は非常に高いも
のがあります。しかし、それだけでは将来は保証されていません。私たちは、
時代の変化に充分対応しつつ新たなビジネスモデルの構築に絶えず挑戦を続け
ておりますが、更に皆さんの若い感覚、チャレンジスピリットが必要と考えて
おります。
今日のセミナーが皆さんにとって意義深く、この機会に多くのかたがたがこの
産業に挑戦して欲しいと思います。 ありがとうございました。
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