地域ケア会議とは 1.

2014年 11月29日 地域保健総合推進事業 報告集会in博多
地域ケア会議とは
「個別地域ケア会議に
セラピストとしてどう参加するか」
~その課題は何か・どう解決するか~
大東市保健医療部高齢支援課
理学療法士 逢坂伸子
1.地域ケア会議が必要とされる背景
2.地域ケア会議の目的と機能
3.地域ケア会議の開催状況
4.セラピストの役割
5.予防給付リハサービスの現状
6.個別課題から地域課題を抽出する視点
7.関係者への周知
「平成21年度老人保健健康増進等事業における地域包括ケア研究会の報告書」
1.地域ケア会議が必要とされる背景
2025年に実現を目指す
「地域包括ケアシステムの姿」
①住民主体の組織の活用、介護保険制度の役割
②自立支援型マネジメントの徹底
③医療との連携
ケアプランは要介護状態
の改善や悪化防止のため
④介護予防、軽度者
の達成目標を設定して作
⑤在宅サービスの充実
成され、サービス提供者も
⑥高齢者住宅の整備確保
その目標達成に向けて
サービスを提供する。
⑦施設の有効利用
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と
今後のあり方に関する検討会
第2回(H24.5.9)
利用者の状態像に応じた評価結果
資料1
①要介護度が軽度の事例
介護支援専門員の資質向上と
今後のあり方に関する調査研究
ケアプラン詳細分析結果報告書
ポイント
郵送によるアンケート調査による実態把握
回収数:8,425件、抽出した事例数:70件、
詳細分析の対象とした 事例数:14件
②要介護度が中程度の事例
・総合的な援助の方針を定めにくく、状態像の改善を考慮した
ケアプランとなりにくい
・リハビリテーションを行う際に、生活上の禁忌、留意事項への
配慮が必要
要介護度が中程度では、総合的な援助の主な方向性を「状態像
の改善」とすべきか「状態像の維持あるいは重度化の予防・延伸
化」とすべきかの判断が分かれやすいところ。こうした判断に資す
るよう、今後、介護支援専門員の参考となる事例等を示していくこ
とも必要。
ADL、IADLの中で改善可能な項目が多い割合が大きい一方、生
活上の禁忌・留意事項がある利用者も多いため、適切な専門職に
よる配慮されたリハビリテーションが必要。
・ADLが自立である項目に関して訪問介護サービスが利用され
ている割合は小さいが、通所介護のサービス内容が不明瞭
・改善可能性が高い利用者は多いが、リハビリテーションの利
用率は少ない
自立状態にあるADLに対する訪問介護サービスが利用されている
割合は1~13%程度であり、利用事例も、個別にみると、認知症が
比較的重度であったり、障害を持っていたりする例が多く、総じて妥
当なものであると云えた。
一方、通所介護の利用者は約6割と多いが、屋外移動、入浴、着
脱衣といったADLについて、改善可能性が高い人の割合が大きいに
も関わらず、リハビリテーションの利用は約3割にとどまっていた。
③要介護度が重度の事例
・家族等の介護者の負担軽減について、より詳細に介護者の
負担の要因の分析をし、ケアプランで具体的な目標を設定す
ることが必要。
・「疼痛の看護」、「インスリン注射」、「褥瘡の処置」等の医療処
置が必要とされた事例においても、訪問看護の利用率が低い
介護する家族から見て、具体的に何が負担になっているのかを
掘り下げ、その負担感を軽減する目標とサービス内容になってい
るプランは少数。
また、介護保険あるいは医療保険のどちらの訪問看護も利用し
ていない割合は、必要とされた医療処置にもよるが3割程度。介護
支援専門員が主治医から情報を収集する機会を確保するとともに
、地域における資源の量を検証することも必要。
「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討委員会」
として整理した検討すべき課題(抜粋)
・介護保険の理念である 「自立支援」の考え方 が、
十分共有されていない。
・利用者像や課題に応じた 適切なアセスメント(課題把握)
が必ずしも十分ではない。
・サービス担当者会議における多職種協働 が十分に
機能していない。
・重度者に対する医療サービスの組み込みをはじめとした
医療との連携 が必ずしも十分ではない。
介護保険法の改正による
地域包括支援センターの機能強化
(地域包括支援センター)
第115条の46(略)
2~4(略)
5 地域包括支援センターの設置者、包括的支援事業の効果的な実施のた
めに、介護サービス事業者、医療関係、民生委員法(昭和23年法規第198号
)に定める民生委員、高齢者の日常生活の支援に関する活動に携わるボラ
ンティアその他の関係者との連携に努めなければならない。
【解説】
■地域包括支援センターにおいて、介護事業者、医療機関、民生委員、ボラ
ンティアなどの関係者のネットワークが十分に構築されていないのではない
か、との指摘があることから規定を新設
■この条項の新設の趣旨は、単にネットワークを形成することを目標とする
のではなく、地域ケア会議などの場を活用して、迅速に関係者の共有認識と
合意形成を図るための前提条件の重要性を意識して規定したことに留意
平成24年4月6日厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長通知
設置運営要綱における「地域ケア会議」の目的
2.地域ケア会議の目的と機能
①地域ケア会議の目的
ア 個別ケースの支援内容の検討を通じた、
(ⅰ)高齢者の実態把握や課題解決のための地域支援ネットワークの
構築
(ⅱ)地域の介護支援専門員の、法の理念に基づいた高齢者の自立
支援に資するケアマネジメントの支援
(ⅲ)個別ケースの課題分析等を行うことによる地域課題の把握
イ その他地域の実情に応じて必要と認められる事項
②地域ケア会議の構成員
上記の①の会議の目的に応じ、行政職員、センター職員、介護サービ
ス事業者、医療関係者、民生委員等の中から、出席者を調整する。
平成24年4月6日厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長通知
地域ケア会議の目的
地域ケア会議の参加者や規模は、検討内容によって異なる。
平成25年3月 長寿社会開発センター 「地域ケア会議運営マニュアル」
社会保障審議会介護保険部会(第44回 平成25年5月15日)
3.地域ケア会議の開催状況
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平成25年4月25日 厚生労働省老健局老人保健課
第1回都道府県介護予防担当者・アドバイザー合同会議資料
地域ケア会議へのリハビリテーション専門職の
関与および役割についての調査結果
地域ケア会議の開催状況
(平成25年4月1日~8月31日)
未開催かつ
開催予定無
•
方法
郵送配付・回収による自記入式調査票調査
• 対象
全国1742市町村(特別区含む)の
地域包括支援センター主管部署
• 調査期間
平成25年9月17日から同年10月30日
・ 回答数 864件(回答率:49.6%)
106
(12.3%)
無回答
6
( 0.7%)
開催した
未開催だが
開催予定
平成25年度地域保健総合推進事業
「行政の理学療法士,作業療法士が関与する効果的な事業展開に関する研究報告書」
180
(20.8%)
572
(62.2%)
単位:件、%
開催された個別地域ケア会議にて検討された項目 n=429
個別地域ケア会議の実施状況
(地域ケア会議を実施していた572市区町村が対象)
全体の
49.7%
開催された個別地域ケア会議の参加職種
(429件中無回答3件を除く426件を対象)
個別地域ケア会議でリハ専門職に
最も助言を期待したいこと n=802(無回答62件を除く)
その他
10.
21
22
個別地域ケア会議における職種の必要性
n=793(1項目でも無回答だった71件除く)
4.セラピストの役割
全体の状況を情報収集しながら
医学レベルでの状態像を把握する
23
状態像を把握する意味は
現在の状態に至る過程を探ること
1 予後予測
この状態になった
要因
今の状態がどうで
あるかの確認
疾病予後
生活評価
• 疾病特有の予後(病態・病期)
• 現状の生活状態を継続することによって変化する予後
(生活不活発の影響)
2 支援方法 ケアプランへの反映
• 現状の生活状態を継続することによって変化する予後
• 変化させられるサービスが入っているか
疾病と生活の双方の要因が絡み合って
状態像をつくっている
25
26
【 生活機能評価(アセスメント) 】
キュウシン ハナコ
氏名
臼杵 花子
調査日
事前
見ようとする視点を持ちましょう
患者
A
D
L
生活者
I
A
D
L
患者ではなく、生活者です
H26年5月9日
備考
事後予測
室内歩行
○1
杖使用にて自力歩行可
屋外歩行
○1
杖使用にて自力歩行可
外出頻度
○1
1回程度/週
排泄
○1
食事
○1
入浴
○1
着脱衣
○1
掃除
△1
右足に力が入りにくくバランスが悪い。自分の部屋
は何とか行う。
○2
洗濯
△1
ほとんど娘が行い、時々は自分で洗うことがある。
○2
買物
△1
娘が全てを行っている。
○2
調理
△1
娘が全てを行っている。娘の分の食事も準備したい
との意欲あり。
○2
整理
○1
ごみ出し
△1
娘が全てを行っている。
○2
通院
△1
娘の運転もしくはタクシーにて。車(軽の自家用車)
を運転したいとの希望。
○2
服薬
○1
自己管理。飲み忘れなし。
金銭管理
○1
電話
○1
社会参加
○1
生活行為評価表によ
る現状評価と予後予
測の整理表
毎日自力にて行っている。
【判定基準】
自立度
27
自立
一部介助
全介助
困難度と
改善可能性
楽にできる
少し難しい
改善可能性
高い
改善可能性
低い
改善可能性
高い
改善可能性
低い
判定
○1
○2
△1
△2
×1
×2
28
ポイントは生活機能評価で改善しよう
としていることを確認すること
重要
備考欄に要因が正しく分析評価されているか
○△×の付き方と変化させようとしている
箇所を確認する
• 何を課題として
• どうしようとしているのか
自立度
自立
○1
一部介助
○2
△1
△2
改善できる
直接アプローチ
改善できない
代貸サービス
改善の可能
性を探す
全介助
×→△
△→○
2 →1
困難度と
改善可能
改善可能 改善可能
改善可能性
改善可能 楽にできる 少し難しい
性
性
性
低い
性
高い
高い
低い
判定
生活機能評価の見方
×1
不足していれば 地域課題へ
×2
30
29
ニーズ・課題について①
和光市のケア会議ではこんな質問が出てきています。
①このままの生活を続けると、どんな問題が予見出来ますか?
⇒現状の生活を続けることのリスク
②少しでも生活機能を上げたいんですが、その余地はありますか?
⇒予後予測
•掃除を頼みたい。
•買い物を頼みたい。
本人家族の希望
個人の
ニーズ
③この方が入浴に困っているのは何が原因なんでしょうか?
アセスメント上、専門職として
分析する生活課題
⇒障害の原因
•掃除ができなくなっ
た理由は?
•また、掃除ができる
ようになるには?
④どうすれば、入浴が自立、あるいは軽介助でできますか?
⇒課題解決の手段を探る
⑤リハビリ効果を上げるために介護職がどんなことをしたらいいですか。
⇒リハビリと介護の連続性
31
合意の上につくられるのがケアプラン
自立支援型プラン例
これは 目標では無く、手段!
ニーズ・課題について②
目標
生活全般の解決すべき課題
「清潔を保持できない」状況
⇒一人で入浴できない。リスクが高い
清潔を保持したい
何で、一人で入浴ができないの?
長期
通所介護利用によ
り入浴できる
期間
6ヶ月
短期
通所介護に利用に慣
見直し れる
期間
3ヶ月
目標
生活全般の解決すべき課題
個人因子:本人に関すること
右麻痺 脳梗塞2回繰り返している
これが
課題!
環境因子:家族や地域、住環境等
独居、支援者なし、自宅の浴室は段差
が多い・・・等
片麻痺による歩行不安定
(転倒を繰り返す、浴槽の跨
ぎができない
右肩麻痺による上肢の動作
に制限
(身体を洗う、着替えをするこ
とが困難)
長期
期間
浴槽の跨ぎ動作が一
人でできる
6ヶ月
洗体動作が自立でき
る
6ヶ月
短期
期間
介助者の体を支える介
助により跨ぎ動作がで 3ヶ月
きる
着替えの動作が自立
できる
3ヶ月
33
34
塩分1日6g以下の食
自立支援型ケアプラン例
通所で入浴することのみが
目的になっているサービス
援助内容
サービス内容
サービス種別
清潔保持ができるよう、通所介護で入浴しましょう。で
きるだけ自分で洗えるところは自分で洗い、背中など
は手伝ってもらいましょう。
見直し
通所介護
頻度
期間
週2回
6ヶ月
頻度
期間
6ヶ月
栄養士の指導に沿った 3ヶ月
自立支援型ケアプランとは?
サービスを入れることが
目的化しているケアプラン
援助内容
サービス内容
足を持ち上げる動作、麻痺側と健側の足の使い方指
導を行い、またぐ動作が自立できるよう指導する。
その際、自宅の浴槽の環境にも注意し、
必要であれば手すりの設置や改善も検討します
サービス種別
課題を解決する(改善する)ことを
目的とするケアプラン
残存機能の活用!
通所介護
週2回 6ヶ月
考え方がとても「リハビリ的」
通所介護
週2回
35
36
地域ケア会議におけるセラピストの役割
セラピストとして何ができるか
1. 活動ができない要因を個別レベルで評価し
予後予測
と
目標到達の手法提示
です
2. 予後予測を行う
○改善可能なものは
→適切な運動プログラムや生活支援に繋げる
○改善できないものは
→代貸する物や人的サービスとしてケアプラン
に組込む
38
37
プラン変更時のバックアップ
ケアプラン変更
5.予防給付のリハサービスの現状
利用者
~あなたの地域のリハサービスは
自立支援へのアプローチをしていますか?~
説明と同意
ケアマネ
市町村のバックアップ
助言者
39
第47回社会保障審議会 介護保険部会資料 H25.9.4
第47回社会保障審議会 介護保険部会資料 H25.9.4
第47回社会保障審議会 介護保険部会資料 H25.9.4
第47回社会保障審議会 介護保険部会資料 H25.9.4
事例
6.個別課題から
地域課題を抽出する視点
• 82歳 女性 独居 要支援1
• 骨粗鬆症、転倒後の廃用性筋力低下
• 利用サービス:
週1回の通所介護 閉じこもり予防
筋力向上
週1回の訪問介護 買い物、掃除
・ 外出先は病院とデイサービスのみ
個別課題
その1 担当ケアマネは週1回のデイサービスの利用で筋力向上
の効果が得られると思っていた
その2 デイサービスの職員も同様に考えていた。
その3 デイサービス以外の日の過ごし方の課題
地域課題
他のケアマネやデイサービスの職員たちもそう思っているのでは?
ケアマネ、デイサービス職員は筋力増強の運動理論を知らない
要支援1は週1回しかデイサービスを利用できないがどうやって
筋力向上させればいいのか
対策
その1 自宅でできるセルフプログラム 体操ビデオ作成
その2 ケアマネ・デイサービス職員向け研修開催
「週1回の通所で介護予防の効果が出せるのか」
7.関係者への周知
~行政セラピストとして~
自立って??
それぞれが考える
「自立」と「自立支援」を出し合う
職種間の違いに気づき、共通認識を持つ
職種や立場によって概念が違うような・・・
どの職種でも、どの立場でも共通概念となるように、
大東市における自立支援とは何かを「はっきり」させる
ことが必要なのでは?
49
50
2014年 10月14日 地域ケア会議実務担当者会議
「地域包括ケアシステムの実現に向けて」
~大東市における自立支援をみんな考える~
多職種混在のグループで意見を出し合い、
職種間の違いを確認
「自立」って、何?
福祉系 どれだけサービスを使っても、介助して
もらっていても自己決定ができているこ
とが自立
「自立支援」って何?
・本人にとって
・家族にとって
・地域住民にとって
・支援者にとって
医療系 ADLが自立していること
次回に向けて各事業所で意見を
出してもらってきてください
2014年 11月4日 地域ケア会議実務担当者会議
「地域包括ケアシステムの実現に向けて」
多職種参加による地域ケア会議
~大東市における自立支援をみんなで考える~
グループワーク1
ステップ1(5分)
ステップ2(20分)
ステップ3(20分)
「自立」について
各事業所で出てきた用語を書き出す
ポストイット1枚に用語をひとつ
できるだけ短い言葉で
KJ法
似通った言葉をグルーピングして、整理
グループ同士の関係性を→などで表現
グループから報告
グループワーク2
「自立支援」について
ステップ1(5分)
ステップ2(30分)
ステップ3(20分)
自立について意見を出してもらうと・・・
やっぱり、職種間の違いが明確に!
自分を律するという「自律=自己決定」は今までも、
とても大切にされてきました。
これを否定する人は、職種が違っても誰もいません。
これから考えていただきたいのは、この視点が
足りないと言われているADLの自立、自分で立つ方の
「自立」に絞って、自立支援を考えて見ましょう。
各グループで出てきた意見を
運営委員で整理
次回は・・・
あるある事例を
同職種でグループワーク
職種間での視点や意見の違いを確認
「だから、多職種での事例検討が必要だよね」
次々回は・・・
大東市における「自立支援」の定義を確定
その後、みんなで考えた「自立支援」への
課題は何かを抽出する