箱根 山のホテル の湖畔の有り得ない絶景に、 美食と温泉完備の優等生ホテル 2010年9月 箱根、どこに泊まるか? 今回初めて元箱根にある、「小田急山のホテル」へ行ってきました。私が小田原へ転居して5年 近くになるのですが、実はその間に箱根に宿泊したことは一度もありませんでした。それは小田原からだと箱根は十分日帰 りで楽しめるということもありますし、箱根の宿泊施設はいわゆる「箱根価格」でずいぶん割高なため、宿泊を控えていた こともあります。しかしこれだけ宿泊施設が覇を競う箱根の近くに住んでいると、だんだん良いホテルを見つけて泊まって みたくなってきました。ただ伊豆の宿泊施設にもよくある現象ですが、「こんなに払ったのにこんな程度か」とがっかりす るのだけはなんとか避けたいものです。そこでさまざまな資料をもとに私なりの「ベストの一軒」を探しましたが、この作 業は楽しい反面、とても難しい作業でした。 百花繚乱、いずこも捨てがたい 私の場合、箱根へ行くという事はほぼ美術館へ行くか、散策することを意味します。小田原から高原の空気を吸いに出か けると、本当にリフレッシュできるからです。散策ガイドでも書いたように、さまざまなルートを設定できるのが箱根の良 ! クラシカルホテル倶楽部 東京・山の上ホテル 1 さで、それぞれに特徴があるのも「箱庭的」箱根の魅力です。それだけに宿泊施設を絞り込むのはきわめて困難ですが、料 理自慢の洋式ホテルで、歴史があり、子連れでも宿泊できることを条件に3軒まで絞り込みました。富士屋ホテル・箱根ハイ ランドホテル・小田急山のホテルの「箱根御三家」(私の勝手な命名ですが)がそれです。いずれも甲乙つけがたいホテル ですが、最終的には芦ノ湖畔というリゾート感あふれる立地条件に惹かれ、「小田急山のホテル」へ出かけることに致しま した。 今回のルート 当日は箱根湯本を9時前に出る登山電車に乗り込み、のんびりと強羅へ向かいました。このくらいの時間ですと車内もま だ空席があり、景色を眺めながらのんびりと移動ができるのでおすすめです。強羅からは施設巡りバスでまずポーラ美術館 へ行き、ちょうど開かれていた「アンリ・ルソー展」を楽しんでから、バスで湿性花園へ移動。湿性花園からは私の大好き な早川沿いの散策路をのんびりと2時間ほど歩いて桃源台へ行き、そこから船で元箱根のホテルへと向かいました。船から湖 畔に建つ赤い屋根のホテルを詳細に眺めると、建築デザインとしてはかなりスキがなく、見とれるほどです。山のホテルま では、元箱根から山のホテルまでは、芦ノ湖岸の石畳で出来た散策路を15分ほど歩くと到着します。このアプローチもなか なか素敵でした。 女性的外観を裏切る内装の渋さ 山のホテルに入ること自体はじめてでしたが、建物に入ると瀟洒な外観とはだいぶ異なる印象でした。基本的にはダーク ブラウンの木材と白壁によるシンプルなインテリアで、多少少女趣味的にも思えた外観と比べ、ずいぶんシックで高級感が あります。客室内のインテリアも山荘風のしっかりとした作りであり、いきすぎたアンティーク趣味ということは決してあ りません。圧巻なのはサロン中央に鎮座する巨大なマントルピースで、(本で見ただけですが)川奈ホテルを彷彿とさせる むしろ男性的な印象でした。11月頃から燃やし始めるとのことですが、薪は社員が裏山から切り出してくるとのこと、冬に も是非訪れてみたいです。 あちこちに居るスタッフによる抜かりのないサービス 館内をあちこち探検し、展望室・サロン・売店など見て回ってから、いよいよお風呂へ行きました。清潔で明るい大風呂 があり、純度は不明ながらも敷地内で湧く温泉だとのこと、特別温泉マニアでもない私には文句なしです。どういうわけか 他には誰もおらず、息子と二人で他愛もない話をしながらの長風呂は、しみじみと幸せでした。夕食はフレンチと和食を選 べますが、私はフレンチにしてみました。2時間ほどフルコースとワインを堪能しましたが、その間のソムリエやボーイの 方々の至れり尽くせりのサービスは、さすがに一流ホテルと思わせるものでした。翌朝はテラス席で芦ノ湖を眺めながら朝 食をいただきましたが、その爽快さと景色は日本にいることを忘れさせるほどでした。チェックアウトは12時と遅く設定さ れており、ゆっくりと庭園を散策したり、サロン・ド・テで飲み物をいただいたりと午前中ものんびり過ごせるように工夫 されています。そんなわけで一泊だけではありましたが、実に楽しい二日間を過ごさせていただきました。 実際に泊まってみての感想 「山のホテル」は1948年にホテルとして創業を開始し、現在の建物となったのは1978年だそうです。現在のホテルに好感 を抱く私としては、意外に新しいので正直なところちょっとがっかりしました。しかしそれでも築44年、さすがに内装に味 わいがあります。この建物を末永く大事にメンテナンスして使い続けてほしいと、ファンの一人として強く希望いたします。 こうした素晴らしいサービスを受けると、自分の仕事になんらかの形で活かせないものか、などと夢想してしまいます。日 本の病院は山近病院も含め、まだまだホスピタリティということは二の次になってしまうのですが、接遇など参考となる点 もあるはずです。せめて私もホテルマンを見習って、こぎれいな服装や散髪を心がけようと思った次第です。ホテルの内外装 は素晴らしく、スタッフ数にもゆとりがあるようでサービスも良好、庭園も素晴らしいとなればほとんど不満はありませ ん。箱根の老舗ホテルの力を思い知ったという感じであります。ただ、古いホテルに魅力を感じない人や、温泉の泉質にと ことんこだわる人、豪華絢爛なラグジュアリーホテルこそ最高と考える人、コスト度外視で美食を極めたい人、などには向 かないかも知れません。 「山のホテル」のここがスゴい: 1)芦ノ湖畔の日本離れしたロケーションと、手入れのゆきとどいた庭園 2)こぢんまりとした美しい外観と、簡素だがシックな内装 3)全般的に良好なサービス 「山のホテル」の不満: 1)残念ながら私にとって週末は予算オーバーなので、金曜日の利用を考慮中。 2)お風呂のBGMがなければ、野鳥のさえずりを楽しめるのですが。 3)ホテル以北の道路に歩道がなく、散策路が限定されてしまうのがウオーカーとしては不満 ! クラシカルホテル倶楽部 東京・山の上ホテル 2
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