Hi-cut filter

神経伝導検査に必要な
医用工学(基礎知識)
日本光電工業株式会社
医療機器事業本部
宮原
注意:本資料は本来必要な監修を頂いておりません。取扱はご自身の責任においてお願いいたします。
隆彦
企画部
~
本日のメニュー
1. 機器を安全に使うために
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おすすめ
① 漏れ電流とアース
② 禁忌・禁止および注意事項
2.機器を正しく使うために
① 差動増幅器とノイズ
② フィルター/加算平均(AVERAGE)
人気No.1
保護接地(アース線)
機器を安全に使うための基礎知識
漏れ電流のある医療機器に患者あるいは操作者が触れた場合
医療機器は、3Pの電源ケーブルを使用することが
義務づけられており 意識しなくとも、接地される。
保護接地(アース線)
機器を安全に使うための基礎知識
2P + 接地線
3Pのテーブルタップ?
すぐに使うのをやめましょう。 なんちゃって3Pのテーブルタップ
保護接地(アース線)
機器を安全に使うための基礎知識
気がついたら直ぐ使うのをやめましょう!!
3Pを2Pに変換するアダプタ
保護接地(アース線)とボディーアース(ニュートラル電極)
機器を安全に使うための基礎知識
接地では
ありません×
禁忌・禁止および注意事項
機器を安全に使うための基礎知識
取扱説明書や添付文書には記載されています。
必ず内容を把握して、安全に検査をおこなってください。
禁忌・禁止および注意事項
機器を安全に使うための基礎知識
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のサイトから
各社の医療機器の添付文書が検索できます。
差動増幅器とノイズ
機器を正しく使うための基礎知識
画面に波形を表示したり、記録したりするためには
生体信号を 1V 程度の大きさに増幅する必要がある。
心電図
0.5mV – 数mV
1,000倍以上増幅
脳波
10uV – 200uV
10,000倍以上増幅
筋電図
10uV – 数mV
1,000倍以上増幅
差動増幅器とノイズ
機器を正しく使うための基礎知識
心電図や脳波・筋電図などの生体信号は
とても微弱なため、雑音に埋もれている。
単に、増幅しても雑音も大きくなってしまうので
雑音を抑制し、生体信号のみを増幅する差動増幅器
が用いられる。
差動増幅器とノイズ
機器を正しく使うための基礎知識
差動増幅器は、+、-、二つの入力をもち
二つの入力の信号の差を増幅する。
二つの入力に同じ信号が入力されると
その信号は抑制される。
差動増幅器の働き
機器を正しく使うための基礎知識
オームΩの法則
機器を正しく使うための基礎知識
理想的な波形とは
機器を正しく使うための基礎知識
導出電極の
皮膚抵抗を下げる
ニュートラル電極
(ボディアース)の
皮膚抵抗を下げる
導出と刺激の
ケーブルを
交差させない
理想的な波形とは
機器を正しく使うための基礎知識
刺激のノイズが大きく
立ち上がりが不鮮明
皮膚処理を行い
刺激のノイズが減少
フィルタの働き
計測された生波形
機器を正しく使うための基礎知識
高い周波数成分を取り除く Hi-cut filter
×
特定の周波数成分を取り除く Notch filter
+
+
×
低い周波数成分を取り除く Low-cut filter
×
フィルタの働き
低域・高域遮断フィルタ
機器を正しく使うための基礎知識
高域遮断フィルタ Hi-cut filter
低域遮断フィルタ Low-cut filter
フィルタの設定周波数はそれ以上(以下)の周波数を
全てカットするということではない。
100Hzの低域フィルタをかけても、交流障害(50,60Hz)は
完全には無くならない。
ノッチ(ハム)フィルタの影響
機器を正しく使うための基礎知識
刺激のアーチファクトがHum filterにより
変形(振動)してできた嘘のピーク。
A1
10ms
B1
10ms
HUM filter ON
HUM filter OFF
HUM filterを使うと、刺激のアーチファクトが変形し
あたかも反応波形のように見える。 注意!!
ハムフィルタの影響
機器を正しく使うための基礎知識
HUM filter OFF
A1
3ms
HUM filter ON
B1
3ms
正中神経刺激 APB導出CMAP
HUM filterを入れると波形がひずむ。
特に、下肢SSEPではP38がフィルタの影響により小さくなる。
雑音とは
機器を正しく使うための基礎知識
目的とする信号以外の電気信号は全て雑音
装置内部から発生する雑音 内部雑音
他の機械から誘導する雑音 静電誘導雑音・電磁誘導雑音
生体から発生する、目的としない生体電気(脳波・筋電図・心電図)
電極インピーダンスのばらつきにより生じる差動成分
増幅器の内部雑音
増幅器は、回路を構成する部品より発生する
雑音を持ち、これを内部雑音という。
内部雑音は、入力をショートすることで測る
ことができる。
近年の機械では、内部雑音は充分小さく
測定に問題とはならない。
機器を正しく使うための基礎知識
浮遊容量と変位電流
機器を正しく使うための基礎知識
使っている機械がなくとも、雑音が混入する。
使わない機械は、壁のコンセントから抜く。
????
浮遊容量と変位電流
浮遊容量により導線接続されて
なくても電流(雑音)は流れる。
(マクスウェルの変位電流)
James Clerk Maxwell 1831-1879
機器を正しく使うための基礎知識
静電誘導による雑音
機器を正しく使うための基礎知識
シールドによる雑音対策
機器を正しく使うための基礎知識
シールドする!!
電磁誘導
機器を正しく使うための基礎知識
他の機械より発生する磁界により
線が接続されていなくても電磁誘導
により電流(雑音)が発生する。
John Ambrose Fleming 1849-1945
電磁誘導による雑音
機器を正しく使うための基礎知識
電磁誘導に対する雑音対策
機器を正しく使うための基礎知識
リード線を束ねる!!
電極インピーダンスの不整合
機器を正しく使うための基礎知識
電極インピーダンスは低くすることも大切だが
2つの電極のインピーダンスを揃えることも大切。
G1in = En・R2/(R1+R2)
G2in = En・R4/(R3+R4)
電極インピーダンス、R1とR2の値が異なると
電圧の差が生じ、雑音となる。
電極インピーダンス
機器を正しく使うための基礎知識
インピーダンスを揃える。
インピーダンスを下げる。
加算平均(AVERAGE)
機器を正しく使うための基礎知識
• 心電図・脳波・筋電図よりもさらに小さい電位
のABR・SEP等に代表される誘発電位を測定
する場合に用いられる手法
• 電気・音・光などの刺激に対して同じタイミン
グで発生する、生体信号は増幅される
• ノイズはランダムに発生するため、減少する
加算平均(AVERAGE)
お
な
じ
波
形
機器を正しく使うための基礎知識
拡大するとノイズも
大きくなってしまう
加算平均(AVERAGE)
• 加算をN回
信 号
ノイズ
機器を正しく使うための基礎知識
=
=
N倍
1/√N
加算平均
機器を正しく使うための基礎知識
各刺激に対する
波形
加算平均
機器を正しく使うための基礎知識
1回
5回
10回
20回
• 判読は困難
• 波形は明瞭
• 立上がりが不明確
• 判読には十分
• 判読に十分
• 刺激回数が多い?
まとめ