多用途対応型自走式小型スクリーン…(1) 製品紹介 C0508-10 多用途対応型自走式小型スクリーン =自走式スクリーン VR308 のご紹介= 日立建機㈱ 久保田 隆之 Takayuki Kubota 1.はじめに このようにVR308では大きくなりがちな自走式ス 現在、日立建機では環境製品単品のご提案からト クリーンをあえて小型化することで機動性と多様性 ータルシステムとしてのソリューション提案へと環 を最大限に引き出す事をコンセプトに開発されてい 境事業の位置付けを発展させ、お客様のニーズによ る。 り広くお応えできるよう取り組んできている。 トータルソリューション提案の中でも選別工程を 重要な要素とした発生現場内(オンサイト)処理を 実現するトータルソリューションを目指し、これを “日立オンサイト スクリーニング アンド ソリ 3.基本仕様と特徴 VR308 の基本仕様とその特徴について説明する。 まず、VR308の外観写真を写真1に、基本仕様を第 1表にそれぞれ示す。 ューション” 、Hi-OSS(ハイオス)と称して“0”エ ミッションの実現に努力している。 今回ご紹介申し上げるVR308は現場の内外を問わ ない機動力の実現、優れた作業性による使い勝手の 向上、そして多様化への対応を目指して開発した自 走式スクリーンで、Hi-OSS の中心をなすものであ る。以下、VR308の特徴と詳細について説明する。 2.VR308 開発の基本コンセプト VR308は以下の基本コンセプトによって開発され 写真1 VR308外観図 た自走式スクリーンである。 q 抜群の機動性を実現: 10t セルフでの輸送。 容易な現場内換装(クレーンなどを使わずに 10 分程度で輸送姿勢から作業姿勢へ) 。 w 解体ガラリサイクル製品の多様化への対応: 現場内選別(クラッシャとの連結による C40 な どの選別)への対応。 e VR308 は全油圧駆動による自走式スクリーンで、 下部走行体、専用パワーパック、メインおよびサイ ドの2本からなる排出コンベヤ、スクリーン本体で 構成され、次のような特徴をもっている。 q 900mm × 2,400mm の振動スクリーンを搭載 多彩な用途:連結して使用することによるに し、当社自走式クラッシャ ZR420JC を含む 30t よる多段ふるいの実現。ベースマシンを応用す クラスクラッシャの2次処理(クラッシャ閉じ ることで多彩なスクリーンへの対応を可能とす 側セット 40mm で破砕時の排出量約 100t/h)に る。 対応可能である。 0385-9878/05/¥500/論文/JCLS w メインコンベヤ、サイドコンベヤを装備した 建設機械 2005.12.61 多用途対応型自走式小型スクリーン…(2) 第1表 VR308 の基本仕様 運転質量 [kg] 7,600 全長(作業時/輸送時) [mm] 9,250/10,200 全幅(作業時/輸送時) [mm] 5,800/2,450 全高(作業時/輸送時) [mm] 3,500/2,550 エンジン クボタ V1505-KA 名 称 定格出力 20.6/2,300 −1 [kW/min (PS/rpm)] (28.0/2,300) スクリーン 形 式 1段デッキ振動型 篩い寸法(幅×長さ) [mm] 9,00×2,400 −1 振動数 [min ] 目開き [mm] 設置角度3段階可変 900 40(標準機仕様) [度] 写真2 セルフローダ積載時 9、12、15 最大供給塊 [mm] 80×80×80 標準処理能力 [t/h] 100 [mm] 750×3,500 [mm] 600×2,700 度の短時間で可能とし、しかも、切替え作業時 メインコンベヤ ままで 10t セルフローダでの輸送が可能。写真 2に積載時の写真を示す。 ベルト幅×排出高さ サイドコンベヤ ベルト幅×排出高さ e 輸送姿勢から作業姿勢への切替えを 10 分程 走行速度 [km/h] 1.9 にクレーンなどの補助具を必要としない。第1 登坂能力 [度] 15 図に作業姿勢での3面図、第2図に輸送姿勢で [L] 70 の3面図をそれぞれ示す。 燃料タンク容量 r サイドコンベヤを実装したままで自走可能な メインコンベヤ ベルト幅 750 サイドコンベヤ ベルト幅600 2,700 3,500 スクリーン(3× 8) 2,450 1,930 9,250 5,800 第1図 62 建設機械 2005.12. 作業姿勢での3面図 多用途対応型自走式小型スクリーン…(3) サイドコンベヤ(ヘッド側)屈曲格納 サイドコンベヤ(テール側) 2,550 メインコンベヤ屈曲格納 2,450 10,200 第2図 輸送姿勢での3面図 ため、現場内での機動力に優れ、多彩な用途へ の対応を可能としている。 t メインコンベヤの排出高さはクラス最大級の 3,500mm で、10t ダンプへの直接積載を可能と している(第1図参照)。 y サイドコンベヤの排出高さは 2,700mm で、4t ダンプへの直接積載を可能にしている。 u エンジンは、2次排出ガス規制に対応してい る。 また、主要オプションとして、大型供給ホッパ 写真3 (1,500mm × 1,600mm) 、メインコンベヤカバー、走 2連結した状態 行リモコン(有線式)なども用意しており、さらに その利便性を高めることができる。 2連結 4.多彩な適用例の紹介 以下、その特徴である多様性を発揮した適用例に ついて説明する。 a 単独作業 2連結によるサイジング(分級)の多様化 VR308を2台連結することで、2床式スクリーン と同じ3種類のサイジング(分級)が可能である クラッシャとの連結 (写真3、第3図参照) 。 s 単独作業 q 単独で作業することで、土質改良機にダメー ジを与える原因となる玉石や大礫を取り除き、 第3図 組合せシステム例 建設機械 2005.12.63 多用途対応型自走式小型スクリーン…(4) 効率の良い作業を可能とする。また、土質改良 機の後処理として 0 ∼ 20 などの製品の生産が可 第1章でご紹介させて頂いたとおり、当社ではハ ードとしての機械単体からソフトとしての Hi-OSS 能である。 w 5.おわりに 高速道路工事や新規造成工事等で発生する木 片混じりの土砂はそのままでは管理型最終処分 (トータルソリューションシステム)の提案へと環境 事業を発展させ、展開している。 場へ全量持込となるが、これを VR308 で篩う 今回ご紹介させていただいた VR308 は Hi-OSS の ことで、最終処分場への搬入量の減少と木片の 中心的役割を担う選別手段の1つである。VR308は リサイクルを可能にする。 その機動力と多様性から、お客様の現場に対するソ d 木材破砕機との組み合わせ リューションとしてお役に立てる機械と確信してい q 抜根など、石や土砂を多く含む材料は木材破 る。 砕機(リサイクラ)の破砕ビットの磨耗を促進 これからもお客様にさらに充実した Hi-OSS のご する、破砕時に石が飛び出す、といった問題が 提案をさせていただくため、より一層の努力をして 発生する。これらの問題は VR308 で篩うこと まいるので、今後ともよろしくお願いいたしたい。 で相当量解消することが可能である。 w 木材破砕機(リサイクラ)の後処理として使 用すれば、破砕された木材のサイジング(分級) が可能となり品質の良い木材リサイクル材を生 産することも可能である。 5.自走式クラッシャとの組み合わせ 自走式クラッシャで生産する製品をその場でサイ ジング(分級)することにより、RC40 などの生産 においてもクラッシャのセット値を必要以上に狭め ないですむため、歯の寿命延長、クラッシャへの過 負荷頻度を低減するなどの利点を得ることができる (写真4、第3図参照) 。 【筆者紹介】 久保田隆之 (昭和 39 年6月 21日生) 日立建機1 環境システム事業部 技術部 技術課長 〒112-8563 東京都文京区後楽 2-5-1 TEL :03-3830-8093 FAX:03-3830-8219 E-mail:[email protected] 日立建機株式会社 <本社住所> 〒112-8563 東京都文京区後楽 2-5-1 写真4 クラッシャと連結した状態 ● 優良技術図書案内 ● 第 4 のものづくり革命 山口俊之著 A5 判 175 頁 定価: 2,100 円(本体: 2,000 円) お問合せは日本工業出版㈱販売課まで 販売直通 03(3944)8001 64 建設機械 2005.12. FAX 03(3944)0389
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