日本とアメリカの建築物の違いについて

日本とアメリカの建築物の違いについて
髙塚
理恵子
私がトーランスへ交換派遣生として赴くに当たり、特に意識していたのは建築物についてです。私
はトーランスへ行く前から、日本とアメリカにおける建築物のデザインの違いについて興味を持って
いました。私は小さい頃から建築物に対して人一倍興味を持っており、建築家になるのが夢でした。
今回のトーランス派遣は日本とアメリカの建築物に対する意識の差や、デザインそのものの違いを認
識するいい機会になるのではと思ったからです。
最初にトーランスに来て驚いたのは、建物の様式がほとんどワンパターンなことです。例えば、日
本なら和風様式の建物、洋風様式の建物、一口にビルといっても新型の高層ビルから古くに建てられ
たマンションまで様々なものがあります。ですがアメリカには今と昔の建築物にそれほど差が現れて
いないのです。この意見にはずっと日本で暮らしてきた私の主観も入っていると思いますが、アメリ
カの建物は年季というのが分かりにくいものが多いと思います。例えば、企画の一環でトーランスで
一番古くから建っている家にお邪魔したのですが、その家は大昔に建てられたとは思えないほどに綺
麗で、
モダンな建物でした。
もちろんきちんと整備されているということも理由にあると思いますが、
ホストファミリーに見せてもらった様々な歴史ある建物を見ても、これは最近建てられた一軒家だと
言われればなんの躊躇いもなく信じてしまいそうになるほど綺麗な建物が多かったのです。
なぜだろうと考えた結果、ひとつの結論にたどり着きました。日本とアメリカの違いは、建築物の
影響を受けた国の違いから来ているのではないかという結論です。例えば、アメリカは建築物だけで
なく文化的にも様々な面でヨーロッパからの影響が色濃く感じられます。しかもそのまま取り入れる
のではなく、自国の文化にきちんと適応するように改善された導入の仕方です。対して日本は、明治
維新という大きなきっかけを元に急速な速さでヨーロッパからの文化の導入を始めました。そのせい
で、他国の様式を自分たちの文化に上手く適応させることができなかったのだと思います。勿論、ア
メリカとヨーロッパ間での価値観の違いと、日本とヨーロッパ間での価値観の違いでは、後者のほう
が大きいでしょう。この急速な導入の影響で、和洋折衷と呼ばれる明治時代独特の建築様式が生まれ
ました。例として鹿鳴館などが挙げられます。
今の日本は、明治時代とは比べ物にな
らないくらい和洋折衷になっていると思
います。ただ、明治時代よりは和と洋の
区別がはっきりとしています。アメリカ
の建物はどれも美しく、デザイン性にも
優れていて、正直日本に帰ってきた時に
は尐し色彩にかけた景色にがっかりして
しまいました。ですが、日本の建築には
日本ならではの良いところがあり、勿論
それはアメリカにはないものです。
今回の派遣で、アメリカと日本の建築
様式の違いや、その根拠について自分な
りに考えることができたので、今後アメ
リカを訪れる時には、建築家になって、日本の建築のいいところをアメリカの建築に活かすつもりで
行きたいと思います。