07 アメリカの人材ビジネス 人材ビジネス関連統計データ 人材ビジネスの代表的な統計データを紹介する。 アメリ Survey を実施し、 労働統計局が 2000 年に調査を再開 カの場合、 連邦レベルでは、 日本の派遣法にあたる法律が した以降も同調査を継続している。 なく、 許可制や届け出制も導入していない。 そのため、 政府 年間の派遣・契約労働者数は、 2013 年時点で前年比 機関も労働者派遣事業に関する公式な報告書は公表して 4.4%減の 1,100 万人。 過去 10 年間の平均は 1,220 万 いない。 派遣労働者数については、 産業分類コードにもと 人となる(図表 2) 。 これは人材派遣会社が派遣・契約社 づきアメリカ労働省労働統計局から報告されているが、 員に発行するForm W-2(源泉徴収票) の年間発行数に 売 上 高 等 につ いてはアメリカスタッフィング 協 会 もとづく。 (American Staffing Association) といった事業所団体 労働統計局では、 約 14 万 4,000 の民間の事業所と政 の報告のみである。 府機関を対象とする事業所調査Current Employment 職業紹介事業(特に前受金型職業紹介事業) やPEO、 Statistics を通じて、 毎月 12 日を含む 1 週間の非農業部 アウトプレースメントといった、 労働者派遣事業以外の人 門雇用者数を業界別に集計し、 翌月の第 1 金曜日に公表 材ビジネスの統計データについても政府統計はなく、 事業 している。 これには派遣労働者数も含まれている。 業種分 所団体や市場調査会社の調査や推計のみと、 総じてデー 類は北米産業分類システムにもとづき、 派遣労働者数は 「Temporary help services」 に分類されている。 タを収集するのは容易ではない。 図表 1 は、 アメリカスタッフィング協会が報告したアメリ 図表 3 は、 直近 10 年のこの派遣労働者数を棒グラフ カの週あたりの平均派遣・契約労働者数(Temporary にしたものである。 これによると、 2013 年 12 月時点で and Contract) の 推 移 を 表 す。 2013 年 に は、 前年比 277 万 4,000 人(季節調整値) にのぼる。 ただし、 アメリ 4.0%増の 300 万人に達している。 同協会は、 労働統計局 カスタッフィング協会によると、 これは人材派遣会社のコー が労働者派遣業界の雇用者数調査を中止した1990 年か ポレート社員の人数も含むという点で、 同協会のデータと ら四 半 期ごとにASA Staffing Employment and Sales 異なる。 図表 1 週あたりの派遣・契約労働者数の推移 1992 ∼ 2013 年 3.50 (単位:100 万人) 四半期動向 年間総数 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年) 出典:アメリカスタッフィング協会 2014 ASA Staffing Industry Economic Analysis https://americanstaffing.net/staffing-research-data/2014-staffing-industry-economic-analysis/ 禁転載 発行・監修:株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所/発行日:2010 年 5月1日 更新日:2015 年 2 月 1 日 1 07 人材ビジネス関連統計データ 図表 アメリカの人材ビジネス 2 年間派遣・契約労働者数の推移 1994 ∼ 2013 年 (単位:100 万人) 20.0 16.3 15.0 16.8 14.2 17.3 過去 10 年の平均:12.2 13.9 12.8 12.7 11.9 11.2 13.5 14.3 14.6 14.5 12.9 12.6 11.5 11.7 10.0 9.4 11.0 9.7 5.0 0.0 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年) 出典:アメリカスタッフィング協会 2014 ASA Staffing Industry Economic Analysis https://americanstaffing.net/staffing-research-data/2014-staffing-industry-economic-analysis/ 図表 3 労働統計局発表の週あたりの派遣労働者数(季節調整値)の推移 2004 ∼ 2013 年(各年 12 月の数字) (単位:1,000 人) 3,000 2,634 2,643 2,445 2,500 2,774 2,553 2,546 2,395 2,245 2,046 2,000 1,894 1,500 1,000 500 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (年) 出典:米労働統計局 Employment, Hours, and Earnings from the Current Employment Statistics 禁転載 発行・監修:株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所/発行日:2010 年 5月1日 更新日:2015 年 2 月 1 日 2 07 人材ビジネス関連統計データ アメリカの人材ビジネス 図表 4 は、 アメリカスタッフィング協会が発表した労働 Census) の 2007 年の売上高 (180 億ドル) を基準値とし、 者派遣・契約事業および職業紹介事業の売上高の推移 Staffing Industry Analysts が推定する成長率をあては である。 労働者派遣・契約事業の売上高は、 2007 年に めて算出されている。 Staffing Industry Analysts による 983 億ドルに達したが、 翌年 3.8%減少。 2009 年には前 と、 同売上高は 2008 年に前年から 12%減少し、 2009 年 年比 24.1%減の 720 億ドルにまで落ち込んだ。 その後回 にはさらに 50%減少した。 2010 年から回復基調に転じ、 復基調が続き、 2013 年には前年比 4.3%増の 1,092 億 前年比 22.2%増、 2011 年には 20.3%増と 2 年連続で ドル に 達した。 これ はASA Staffing Employment and 二桁台の成長率を記録。 2012 年には 5.1%増、 2013 年 Sales Survey に基づく。 には 8%増加となった。 これにより、 2013 年の売上高は 職業紹介事業(Search and Placement) の売上高に 132 億ドルに達したと推定される。 つ いて は、 米 商 務 省 の 経 済 国 勢 調 査(Economic 労働者派遣・契約と職業紹介を合わせたスタッフィング 図表 4 スタッフィング業界の年間売上高 2001 ∼ 2013 年 $140 職業紹介 労働者派遣・契約 $120 111 102 $100 91 82 $80 (単位:10 億ドル) 12% 14% 116 15% 117 111 110 14% 97 10% 122 11% 11% 10% 11% 80 10% 78 79 16% 12% 10% 84% 88% 90% 89% 88% 86% 85% 86% 90% 90% 89% 90% 89% 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 $60 $40 $20 $0 (年) 出典:アメリカスタッフィング協会 2014 ASA Staffing Industry Economic Analysis https://americanstaffing.net/staffing-research-data/2014-staffing-industry-economic-analysis/ 参考 職業紹介事業の年間売上高の推移 2000 ∼ 2012 年 20 エグゼクティブサーチ(search) 18.0 人材紹介(placement) 15 (単位:10 億ドル) 16.1 15.1 12.8 12.8 6.2 5.2 10 9.3 4.1 10.2 8.3 15.9 6.8 5.7 6.5 12.2 9.7 5.1 7.9 4.5 3.8 3.9 5 0 11.6 5.5 7.1 7.8 8.9 7.6 5.2 4.6 5.7 7.7 10.4 11.2 9.4 4.0 4.2 4.5 4.4 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (年) 出典:アメリカスタッフィング協会 American Staffing 2013: Navigating the 1% Economy 注:図表 4 と内容が一致していない部分があるが、アメリカスタッフィング協会の情報をそのまま掲載した 禁転載 発行・監修:株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所/発行日:2010 年 5月1日 更新日:2015 年 2 月 1 日 3 07 人材ビジネス関連統計データ アメリカの人材ビジネス 業界全体の年間売上高は、 2013 年には前年比 4.6%増 の後は上昇傾向が続き、 2014 年 7 月には 2.07%と過去 の 1,224 億ドルと過去最高水準に達した。 職業紹介事業 最高水準を記録した(図表 5) 。 はスタッフィング業界全体の売上高の 10.8%を占めた。 図表 6 は派遣労働者の平均離職率と在職期間を表す。 アメリカスタッフィング協会は、 2013 年までは毎年 平均離職率は 2013 年に前年の 294%から 263%に低 Economic Analysis レポートの中で、 職業紹介事業の売 下し、 過去最低水準を記録した。 アメリカスタッフィング協 上高の内訳を発表していた。 それによると、 2012 年時点の 会は離職率を(週あたりの派遣労働者数 派遣・契約 職業紹介事業の売上高 122 億ドルのうち、 エグゼクティブ 労働者に対するForm W-2 の年間発行数) 100 で算出 サーチ(search) は 78 億ドル、 人材紹介(placement) している。 は 44 億ドルとなっている(参考) 。 アメリカの人材マネジメント協会(Society of Human 労 働 者 派 遣・契 約 事 業の今 後の見 通しについて、 Resource Management) によると、 アメリカ全体の平均 Staffing Industry Analysts は 2014 年には売上高がさ 離職率は 15%である。 らに5%増加し、 2015 年には6%増加すると予測している。 平均在職期間は、 アメリカスタッフィング協会が調査を 職業紹介事業の売上高の成長率については、 それぞれ 開始した 20 年前から毎年 1 ∼ 2 日伸びている。 2012 年 7%、 10%と予測される。 に、 11.3 週から 13.2 週へと大幅に増加した。 2013 年に 労働統計局によると、 派遣労働浸透率(非農業部門の はさらに 14.3 週に伸びている(図表 6) 。 雇用者に占める派遣労働者の割合) は、 1990 年代に上昇 全米PEO 協会(National Association of Professional が続き、 2000 年 4 月には 1991 年 7 月(1.02%) の約 2 Employer Organization) の「2013 Annual Report」 倍に相当する 2.03%に達したが、 翌年にアメリカ経済がリ によると、 アメリカのPEO 業界の 2012 年の総収益は セッション入りし、 12 月には 1.64%にまで低下した。 920 億ドルと前年から 80 億ドル増加した。 同協会に加 2005 年 11 月には再び上昇し 1.96%となった。 派遣・契 盟するPEO 会社は約 400 社で、 業界全体の約 85% に 約労働者数が 30%も減少したリーマンショック後の「グ 相当する収益を上げている。 1 社あたりの共同雇用者数は レート・リセッション」 期に入ると、 浸透率は再び低下。 平均で 6,200 人に上る。 加盟会社の平均的プロフィール 2009 年 6 月∼ 8 月期には 1.34%にまで落ち込んだ。 そ は図表 7 のとおりである。 5 派遣労働浸透率の推移 1990 ∼ 2014 年 2000 年 4 月 2.50 2005 年 11 月 2.03% 1.96% ▼ 2.00 ▼ 図表 ▼ 2.07% 2014 年 6∼7月 ▼ 1.50 1.64% ▼ 2001 年 12 月 1.00 1.34% リセッション期 2009 年 6 ∼ 8 月 0.50 0.00 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (年) 出典:アメリカスタッフィング協会 2014 ASA Staffing Industry Economic Analysis https://americanstaffing.net/staffing-research-data/2014-staffing-industry-economic-analysis/ 禁転載 発行・監修:株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所/発行日:2010 年 5月1日 更新日:2015 年 2 月 1 日 4 07 人材ビジネス関連統計データ 図表 アメリカの人材ビジネス 6 派遣労働者の平均離職率および在職期間 1996 年∼2013 年 16.0 500% 離職率(%) 446 450% 在職期間(週) 443 11.3 400% 393 9.5 9.6 12.8 441 10.5 10.4 10.6 10.3 9.6 399 406 14.3 13.8 11.0 11.4 11.4 14.0 13.2 12.4 12.1 12.0 11.3 10.0 389 373 362 357 350% 8.0 362 355 318 6.0 328 4.0 305 294 300% 277 2.0 263 250% 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 0.0 (年) 出典:アメリカスタッフィング協会 2014 ASA Staffing Industry Economic Analysis https://americanstaffing.net/staffing-research-data/2014-staffing-industry-economic-analysis/ 図表 7 NAPEO 加盟企業の平均的プロフィール 顧客企業数 顧客企業の従業員規模 PEO が共同雇用する従業員数 収益 2007 年 2008 年 2009 年 2012 年 202 社 225 社 238 社 ― 19 人 20 人 19 人 20 人 3,833 人 4,508 人 4,254 人 6,200 人 1.42 億ドル 1.75 億ドル 1.8 億ドル ― 出典: NAPEO 2010 Annual Report 、NAPEO 2013 Annual Report 禁転載 発行・監修:株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所/発行日:2010 年 5月1日 更新日:2015 年 2 月 1 日 5
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