イスラームの基礎知識 - 神戸ムスリムモスク

イスラームの基礎知識
人間はみな生まれ、現世を生き、死を迎え、永遠の来世での生活が運命づけられています。誰でも
自分がどこから来て、どこへ帰るのか、ふと思ったことがあるのではないでしょうか。それらの疑
問に対し、イスラームの教えではこうお答えします。
Q:誰があなたたちを創造したのですか?
A:人間は人間を創造することは決してできません。それはわたしたちの力は限られているからです。
わたしたちの想像を超える力を有するものは唯一神だけです。イスラームの教えで、唯一の神をア
ラビア語で「アッラー」と呼びます。唯一神アッラーがわたしたちの両親も、天も地も、その他の
あらゆるものもみな創造されました。
Q:アッラーはどうやってそれらを創造されたのですか?
A:かれは、ご自分の力と命令によって全てを創造されました。かれが「クン」(アラビア語で「な
れ」)と仰れば、全てが可能になるのです。
人間は先ず、アッラーの存在が真実であることを受け入れることから自分がどこから、又どのよう
に来たのか、そしてなぜ現世で生き、死を迎え、死後どうなるのかが分かるのです。私たちの存在
を創造したお方が一番ご存知であるのは当然です。
Q:では逆に、アッラーを信じない人のことについてアッラーは何と仰いましたか?
A:その人たちのことは、
「カーフィル」
(真実を隠す者、又は不信者)と仰いました。それは、人は
誰でも神様の存在を思い出すようにアッラーはわたしたちの心と身体を御創りなったからです。困
難や災害に面し、誰の助けも得られない状況で、人は皆「神様!」と彼に身を委ねます。それが真
の「人間」としてあるべき姿なのです。誰ひとり完璧な者はいません。誰かに助けを得て生きてい
けるのです。その生きる力を限りなく与えてくださっている御方は、唯一の神「アッラー」なので
す。その真実を隠すものは本当の「人間」の姿ではない状態であるにすぎないのです。
Q:ある人たちはアッラーではない他のものを拝んだり、ふたつやみっつの神様を信じています。そ
のような人たちのことは何と呼ぶのですか?
A:そういった人たちのことは「カーフィル」あるいは「ムシュリク」(多神教徒)と呼びます。
Q:「カーフィル」あるいは「ムシュリク」はアッラーに受け入れられるのでしょうか?
A:彼らは決してアッラーに受け入れられません。なぜなら、アッラーはひとつの存在で、彼と比べ
る相対者はなにひとつ無く、絶対者であるからです。例えば、ある人は特別な物に力があり、それ
によって自分の望みが叶うと思い込んでいます。お守りを持っていれば○○が叶う、あるいは悪か
ら守られるなど、お守りの力に効果があると勘違いしています。しかし、アッラーと同等に何かも
のや人を置いたならば、彼の存在で何か欠けるものがあり、彼は他のものや代理人を得て存在して
いることになってしまいます。それは私たちのような「創造物」の存在であって、アッラーは決し
てそのような創造物ではなく、
「創造者」なのです。唯一神アッラーのみが全ての物や人を創造し、
彼の力やお慈悲を供給し、保持しているのです。よって、彼以外の何かを神とした者は決して許さ
れません。
さて、私たちは亡くなったらどこへ行くのでしょう?死者の遺体はイスラームの教えの下、洗浄さ
れ、埋葬されます。この世に信者がいなくなり、誰一人アッラーに感謝する者がいなくなったら、
「最後の審判の日」がきます。それはアッラーのみが全ての人を裁く日で、私たちが天国又は地獄
に行くことが告げられる日なのです。現世で悪行を行った者には罰があります。すべての現世で亡
くなった者は、お墓の中でその審判の日まで待たなければなりません。それはとても長く、人間は
死を迎えた時から来世の始まりとなるのです。
長い期間を過ごすお墓は、信者が現世の行いをどれだけ慎重に生きてきたかが反映されます。例え
ば、礼拝をする前に洗礼をきちんとしていた者のお墓はきれいな状態で有意義に過ごせますが、清
潔面を気にしなかった者のお墓は悪臭が漂い、決して望む状態ではないです。また、お墓の中でア
ッラーはすべての者に対し3つの質問をします。
お墓の中で聞かれる 3 つの質問:
Q1:あなたは誰ですか。(あなたの宗教でアッラーを信仰する者を何と言うか。)
A:「ムスリム」です。
Q2:あなたの宗教は何ですか。
A:「イスラーム」です。
Q3:「イスラーム」という宗教はどのような教えですか。
A:先ずアッラーは唯一であること。アッラーの他に崇拝するのにふさわしいものはいない。そし
てムハンマド様(サッラッラーフ アライヒ ワサッラム)はアッラーの僕であり最後の預言者で
ある。クルアーンはアッラーの書である。イスラームは真実の宗教であり、現世と来世のあらゆる
良いまたは素晴らしい教えである。
Q:ムスリムになる条件とは?
A:誰でも唯一神アッラーと預言者ムハンマド様(サッラッラーフ アライヒ ワサッラム)がアッ
ラーの僕であると心から信じ、イスラームの教えに沿って行動する者は「ムスリム」である。
Q:ムスリムの家庭から来た赤ん坊が生まれた時に耳にする、又は非ムスリムがムスリムとして信仰
する際に口にしなければならない「カリマ」(ことば)とは?
A:「ラー イラーハ イッラッラー ムハンマドゥン ラスールッラー」(アッラーの他に崇拝に
値するものはない、ムハンマドはアッラーの使徒である。)この「カリマ」(ことば)は「カリマ・
タッイバ」
(良いことば)又は「カリマ・タウヒード」
(アッラーの唯一性のことば)とも言います。
この「カリマ」を証言する時に以下のように言う。:
「アシュハドゥ アン ラー イラーハ イッラッラー
ワアシュハドゥ
アンナ
ムハンマダ
ン アブドゥフ ワラスールフ」(わたしはアッラーの他に崇拝に値するものがないということを
証言します。そしてわたしはムハンマドがアッラーの僕であり使徒であることを証言します。)こ
れを「カリマ・シャハーダ」(証言のことば)と言う。
Q:では、唯一神アッラーとかれの使徒、預言者ムハンマド様(サッラッラーフ
ラム)を信じるといのはどういうことか?
アライヒ
ワサッ
A:それは「イーマーン・ムジュマル」
(信仰箇条)と言って、唯一神アッラーの名前と性質を信じ、
彼のあらゆる命令を受け入れることである。
「アーマントゥ ビッラーヒ カマー フワ ビアスマーイヒ ワスィファーティヒ ワカビル
トゥ ジャミーア アフカーミヒ」(わたしはアッラーのことを、かれのすべての名前や性質をそ
のまま信じ、かれのあらゆる命令を受け入れます。)
Q:イスラームの教えで、唯一神アッラーは、6 つのことを信仰しないと本当の信仰心をもったとは
言えないと仰いました。それらは何でしょう?
A:「イーマーン・ムファッサル」(信仰の詳細)と言って、①アッラー②天使③啓典(アル・クル
アーン)④使徒(最初の使徒アーダム様から最後の使徒ムハンマド様までの全ての預言者様)⑤審
判の日⑥運命
「イーマーン・ムファッサル」は信仰告白の際、以下のように証言する。:
「アーマントゥ ビッラーヒ ワマラーイカティヒ ワクトゥビヒ ワルスリヒ ワルヤウミル
アーヒリ ワルカドゥリ カイリヒ ワシャッリヒ ミナッラーヒ タアーラー ワルバアスィ
バアダル マウティ」(わたしはアッラーを信じ、天使、啓典、使徒、審判の日を信じ、良いこと
も悪いこともあらかじめアッラーによって運命づけられていたのだということを信じ、死後の生命
(復活)を信じます。)
以上のすべてを心の底から信じ、真実だとことばで認めて実践している者は、アッラーからの沢山
の祝福と御慈悲が与えられるでしょう。私たちの目からは見えないアッラーの存在を受け入れ、信
じることはある者にとっては難しいかもしれません。又、信じていても忘れる時もあるでしょう。
それはアッラーが私たちをそのように御創りになったからです。「人間」はアラビア語で「忘れや
すい」という意味を含みます。彼は私たちをそのように御創りになったので、彼を思い出したり、
忘れたりすることはごく自然なことです。アッラーが仰った、弱い人間の中で一番賢い者は、彼に
悔悟する者です。それらに対し、アッラーは限りないお許しを与えられ、天国への道へと運んでく
れるのです。誰が天国に行けるかはアッラーにしかわかりません。それ以上に、沢山の善行があっ
ても、彼の慈悲なくては天国に行けないのです。一番大事なことは、彼に対する信仰心を忘れない
ことです。信仰心がなければ、全てを失ったことと同じなのです。
参考文献「タアリームル・イスラーム」-初心者のためのイスラーム
神戸ムスリムモスク
Kobe Muslim Mosque