ユーザーにメリットのない SDSなんていらない 2015/10/28 アイティメディア株式会社 ITインダストリー事業本部 エグゼクティブエディター 三木 泉 Copyright © 2015 ITmedia Inc. IDCのSDS定義は日米で微妙に異なる IDC Japan: 「容易に入手可能な(カスタマイズされていない)コンポーネ ントによって構成されたコモディティハードウェアを前提とし、 その上に搭載されたソフトウェアスタックによってストレージ 機能のフルセットを提供するプラットフォーム」 IDC: IDC's approach defines software-based storage as any storage software stack that can be installed on commodity resources (x86 hardware, hypervisors, or cloud) and/or off-the-shelf computing hardware. Furthermore, in order to qualify, software-based storage stacks should offer a full suite of storage services and federation between the underlying persistent data placement resources to enable data mobility of its tenants between these resources. 1 いまや誰もが自社製品を「SDS」と呼ぶ 結局、「ソフトウェアストレージ」=「ソフトウェアディファ インドストレージ(SDS)」になってしまっている。 昔からある製品を新しく見せるために、「SDS」という言葉に 飛びついているベンダーが多い。 それって意味ある? 2 「何でもSDS」、意味が全くなくはない 単なるソフトウェアストレージでも、本当に汎用サーバーを使 えるのなら、専用アプライアンス型のストレージ製品に比べ、 かなり安上がりになる。 巷には、無償で使えるソフトウェアストレージもあるので、こ うしたソフトウエアを使えばとても安く、「なんちゃってスト レージ」がつくれる。 もう少し踏み込むと、ハードウエアの更改作業が、ハードウエ アアプライアンスに比べて安価になるケースが多い。 だからといって、それだけで「SDS」と呼ぶ意味が本当にあ る? 3 「Software Defined」の分かりにくさ SDNやSDS、SDDCが分かりにくい理由は、特定の技術やアー キテクチャを指すわけではないことにある。だが、少なくとも Software Defined製品の目指すものは比較的はっきりしてい る。 「従来ハードウェアで実現してきた機能をソフトウエアで実現 することがすごい」ということではない。 4 「Software Defined」とは 「Software Defined」とは 利用者がやりたいことを最短距離で実現で きるようにするための、ITの利用方法 いいかえればITが文房具のように使えることを目指す動き 背景には、ITが特別のものではなくなってきたことがある。い まやテレビに演幕は要らない ソフトウエアでも、「Software Defined度」 はさまざま 5 Software Defined Networkingの例 【技術動向】SDNはなぜ誤解されるのか http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1212/07/news04.html 6 「Software Defined」の4つの「使える」 Software Defined製品は、4つの意味で、「使える」ことを 目指さなければならない ・ユーザー組織がやりたいこと、つまりビジネス目的の達成に つながりやすいという意味で「使える」 ・ユーザー組織の人々自身がさわりやすいという意味で「使え る」 ・複雑な設定を必要とせず、求められる機能を自動的、自律的 に提供できる頭のいい(インテリジェントな)存在という意味 で「使える」 ・求められる機能や性能を確実に果たすという意味で「使え る」) 7 「ストレージ」は「データ管理」に変化しようとしている 従来型エンタープライズ 向け機能 オンプレミス 高速性 フラッシュ ストレージ 既存 製品 クラウド 容量 スケールアウト ソフトウェアストレージ オブジェクト ストレージ 柔軟性、汎用性 8 ユーザー組織がデータ管理でやりたいこと 何も制限がないとしたら、データについて何をしたいですか? ・データを入れる「バケツ」の容量の限界に悩みたくない ・データの「バケツ」自体の管理をしたくない ・データの種類ごとに、異なる「バケツ」を使うのはいやだ ・データの可用性維持を意識したくない。冗長性確保は知らな いうちになされていてほしい ・データが必要な時に必要なところにあってほしい ・「オンプレミス」「クラウド」「どのクラウド」といったこ とも意識したくない(アクセス先、アクセス手法) ・データを臨機応変に特定ユーザーと共有したい ・データのセキュリティは、自動的に確保されてほしい ・データをポリシーでコントロールしたい 9 例えば「アクティブアーカイブ」 データをそのサイズに関わらず、消去せずにずっと一次スト レージに保存しておき、必要な時に手元で呼び出せたら…… それだけで、これまでにはできなかったレベルのデータ分析や 機械学習が実現できる可能性が生まれる さらにデータの保存と呼び出しをどこからでも行えたら…… 保管コストに悩むことなく行えたら…… *AWSのAmazon Glacierは、「データの取り出しリクエス トを発行すると、『3.5~4.5時間で』データが取り出される」 10 改めて、「SDS」とは 「Software Defined Storage」とは 利用者がやりたいことを最短距離で実現で きるようにするための、データの利用方法 特定ストレージ製品の「SDS度」は、自社のやりたいことを、 どれだけ最短距離で実現できるかによって測るべき 11
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