ここでは、北海道白樺高等養護学校の50年の歩みを簡単にご紹介します

ここでは、北海道白樺高等養護学校の50年の歩みを簡単にご紹介します。
校歌~背景は旧グラウンドから見た旧校舎~
校歌のゆらい
創立当初、校歌のかわりに「手のひらを太陽に」を歌っていましたが、昭和 44 年に先生方によって現
在の校歌が作られ、開校5周年記念事業の際に披露されました。覚えやすいメロディと力強い歌詞が生
徒に好評で、今でもなお愛唱されています。
校章・校旗について
創立当時、生徒から「帽子に校章がないのはいやだ」とい
う声があり、生徒から案を募集したところ「白樺の葉がい
い」ということから職員と生徒が協力して白樺の葉を図案
化して校章が制定されました。
校旗については、昭和41年1月に北海道教育庁財務課
長、故原尻修三氏のご意思により、夫人の洋子氏から寄贈
を受けました。昭和56年、学校名が改称されたことによっ
て、新校旗に作りかえられ、今日に至っています。
スクールカラーである深緑の校旗に、歴史の重みと多く
の方々の本校教育への期待が込められた校旗です。
校訓の「自主、自立、自省」は、当初「日常生活
目
標」として生徒の身近な目標となっていました。
その後、平成10年に校訓として位置付けられ、現在
でも「目指す生徒像」として白樺の教育に根付いてい
ます。
写真の校訓は、第45回生によって卒業記念制作で
作られた校訓プレートです。
校訓(第45回生卒業記念制作)
生徒玄関に掲示され、在校生を見守っています。
開校50周年記念シンボルマーク(生徒立案)
平成27年4月、開校50周年を記念するマークを作ろうということになり、生徒会執行部を中心に「開
校50周年記念シンボルマーク」を公募しました。生徒からは100点近い作品の応募がありました。
その中から、数字に白樺の木を生かして、葉を配置したデザインが全校生徒、職員、実行委員の皆さ
んの投票により決定しました。このマークは、白樺開校50周年に関連付けられる様々な場面や掲示、
発行物などに活用され、親しまれています。
平成2年に現在の校舎とともにブレザーの制服となりました。
以来、長年生徒が着用してきた制服でしたが、50周年の節目に
在校生のアイディアも取り入れた制服がデザインされました。
平成28年度入学生から新しい制服となります。
ネクタイ、リボンが同柄であり、スクールカラーのグリーンを基調
にしています。(右上
通常の制服
右下
夏服)
開校 50 周年記念学校祭で発表されました。
新制服(平成28年度~)
昭和33年の札幌養護学校(小学部・中学部)の開校以来、知的障害のある生徒の高等部教育が熱
望され、教育関係者や手をつなぐ親の会を中心として、高等部設置に向けた動きが広がりました。
教育や行政関係者も含む多くの方々の御尽力の末、昭和38年に白樺養護学校の設置が決まり、
昭和40年4月に北海道札幌養護学校の校舎において第1回入学式が挙行されました。
同年、校舎第1期工事が完了し、その年の12月に現在の北広島市輪厚に校舎移転を行いました。
初代校舎建築の様子~奥に体育館が見えます~
当時は、校舎の周りに白樺の木が多数生い茂っており、文字どおり「白樺」に囲まれた学校でした。
初代校舎の白樺の木~校舎のまわりを彩っていました~
現在の校舎正面左側に白い塔があります。これは、第6回生の卒業記念製作の「たくましく生きる塔」
です。制作から40年以上が過ぎ、旧校舎が解体され、新校舎になっても、風雪に耐えながら、当時の
場所で文字どおり「たくましく」白樺の生徒たちを見守っています。
旧校舎時代の塔
校舎解体時も残された塔
現在の「たくましく生きる塔」
全国で初めて職業科を設置する高等部だけの養護学校として開校した白樺養護学校では、北海道
内の各地から生徒たちが集いました。
全国にモデルとなる養護学校がない中で、教師たちは率先垂範して、生徒と共に汗を流し、社会自立
に向けた教育を一歩一歩すすめていきました。職業自立に必要な学習として、「体力つくり」「作業学習」
「教科学習」「日常生活の指導」の4つの柱を中心に、教育課程では当時、学校工場方式と呼ばれる受
注作業を中心とした徹底した作業学習が行われ、職業教育や進路指導をすすめていました。その結
果、白樺養護学校の卒業生の多くは一般就労(企業への就職)に進むことが、本校の特色でもありまし
た。開校当時、白樺養護学校は、1学年3学級編制でスタートしました。1学級の人数は10名を超えて
いましたが、学級内の結束も強く、今でも当時の卒業生が本校に集います。
また、「率先垂範」、「共汗共働」、「師弟同行」、「凡事徹底」の指導観は今も根付いています。
クラス写真(開校当時)
強歩(開校当時)
コンクリート作業(昭和50年代)
紙工作業(開校当時)
マラソンの様子(開校当時)
海浜学習(開校当時)
木工作業(昭和50年代)
本校では伝統的な作業学習による職業教育が推進されるとともに、マラソンや重いリュックを背負っ
て長距離を歩く「強歩」、体力つくりの椅子運動、さらに海浜学習、登山、キャンプなども行われ、生徒の
たくましい心と体を育んでいました。
昭和56年、国際障害者年の年に「北海道白樺養護学校」から「北海道白樺高等養護学校」へ校名が
変更されました。
平成2年に校舎が改築されました。校舎角をアーチ化するなど新校舎のデザインは当時としては、斬
新でした。新校舎への移転と同時に、それまでの「職業科」から現在の「産業科」「工業科」「木工科」「家
庭科」「クリーニング科」の5学科の設置になりました。
また、平成3年からは、高等部モデル事業として「生活園芸科」と「生活窯業科」の2学科が新たに設
置され、生活科棟が新築されました。
このことによって本校は、7学科(1学年7学級)が設置される学校となり、モデル事業終了後、現在で
も、この7学科が引き続き設置されています。
新校舎完成時の航空写真
完成した新校舎(前庭付近)
生活科棟の建築の様子
寄宿舎棟も新校舎と共に建てられ、寄宿舎生の生活を支えています。また、当初テニスコートがあっ
た所には、平成 15 年に格技場(柔剣道室)が建てられました。
朝の体力つくりでは、マラソンや体力増進のための椅子運動(踏み台
昇降)などが行われていました。(現在は、マラソンとエアロビクス、筋力
トレーニングが行われています。)
新校舎になってから20数年の時間の経過と共に、現在の白樺高等
養護学校の作業学習が形作られましたが、作業種は変わらなくとも、作
業製品は時代とともに変わっています。
体力つくり「椅子運動」
例えば、以前は、木工作業で「牛乳受け箱」、紙工作業では「デパート商品券の箱」、縫工作業では
「調理用前掛け」などを伝統的に製作していましたが、現在は、別の製品作りに移行しています。コンク
リート作業だけは、民地仕切石、歩道平板を伝統的につくっています。また園芸科では、押し花カレンダ
ーやしめ縄を製作、窯業科ではランプシェードなど新たな製品も加わっています。
木工作業(牛乳受け箱製作)
コンクリート作業(民地仕切石)
紙工作業(紙箱の折り)
校舎正門では、登下校時、元気な生徒たちの声が聞こえます。前庭には、園芸科の生徒やPTAの皆
さんが植えた花壇の花が綺麗に咲き誇っています。
平成2年に誕生した2代目の校舎も完成から26年が
経ちました。生徒玄関で登校する生徒たちを見守ってい
るのは第45回生の卒業記念制作の校訓です。
また、校 門 の 上 には 、校 章 を示 した案 内 板 がありま
す。これは第34回生の卒業記念制作で、今でも学校の
校舎正門
表看板になっています。
生活科棟
格技室(武道場)
寄宿舎棟
白樺のよさの一つは、手先や身体を使った「ものづくり」を通して、生徒の働く力を総合的に高め、社
会の様々な場面で活躍できる人材に育てる作業学習です。1年生(5科)の作業学習は、紙工を担当し
ます。生徒は、スプーンとナプキンのビニール詰め、チーズやチョコレートの紙箱折りなどを中心に手先
を使った細かな作業に真剣に取り組んでいます。
2・3年生はそれぞれ「木工」「コンクリート」「クリーニング」「縫工」「園芸」「窯業」に取り組んでいま
す。木工や縫工、クリーニングでは、時代と共
に、製品や扱う材料は変わってきています
が 、どの作 業 種 でも生 徒 たちは長 時間 の作
業に集中して取り組んでいます。秋には、2年
生、3年生が校外に出て実習に取り組みま
す。緊張感ある職場体験になります。
園芸作業
紙工作業
縫工作業
クリーニング作業
窯業作業
生活科棟、体育館へ続く渡り廊下には歴代の卒業記念制作の作品などが飾られています。白樺で学
び、白樺を巣立った多くの卒業生の作品に長い歴史と伝統を感じる空間でもあります。
歴代の卒業記念制作(作品)が生徒を見守る渡り廊下
白樺の木が両脇を彩るマラソンコース。毎日2.5㎞走るラン
ニングに初めは辛さを覚えていた生徒も、徐々に走力・持久力
が高まり、力強く走ることができるようになります。
自己新記録をねらい、駆け抜ける生徒たちの姿は圧巻です。
白樺の木が見守るマラソンコース
毎日の学習とあわせて行われる学校行事には、「生徒総会」、「マラソン大会」、「スポーツ大会」、「決
意表明会」、「実習報告会」、「学校祭」、「生活体験発表会」、「感謝する会」などがあります。
寄宿舎の行事もあわせると生徒たちの笑顔と感動のドラマがたくさんあります。
本校のある輪厚地区では虹がよく見られます。未来へのかけ橋となる虹は、生徒たちの希望につな
がるかけ橋でもあります。白樺高等養護学校の生徒たちが社会で自立し、活躍できるよう、これからも
生徒たちの夢や希望の実現を目指し、力強く歩み続けてまいりたいと考えております。
校舎にかかる虹
~時には二重虹もかかります~