全国大会誘致の基本理念 地域をつくる底知れぬ力

様式-1号
2015年 5月 30日
全国大会誘致の基本理念
公益社団法人富山青年会議所
地域をつくる底知れぬ力
~未来の実りを生み出す先用後利のこころ~
【特異な地形が育んだ風土と先用後利のこころ】
四方を立山連峰と富山湾に囲まれたとやまは、その高低差約4,000mという特異な地形と自然環境
から、様々な文化や風土を育んできました。ホタルイカやシロエビに代表される神秘的で新鮮な魚介類
を活かした食文化のほか、越中売薬を発端とする医薬品産業を中心に、その地形と豊富な水資源が生
む安定した電力供給のもと、日本海側屈指の工業集積県として発展を遂げてきました。
万物の源とも言える清らかで豊かな水に恵まれたとやま。多くの恩恵をもたらす一方で、急流河川ゆ
えの氾濫やイタイイタイ病などの環境被害が発生し、幾度と無く人命や財産を奪ってきました。それでも
先人たちはお互いの信頼関係を大切にし、地道な努力を積み上げることによって、災害に強いとやまの
礎を築いてきました。そして今では、美しい水と大地が産業を潤し、住み暮らす人々の心をも満たす源と
なっています。
また、厳しい自然環境をもつとやまでは、外部との交流にも様々な創造性が求められました。その中で
も特色のある取組みのひとつとして、越中売薬の存在があります。先用後利という商法に注目が集まる
売薬ですが、もっとも深く根付いているのはその精神性です。問題に対して実直に向き合い、知恵と工
夫に満ち溢れた発想力で小さなつながりを積み重ね、未来の実りを信じ諦めず努力しつづける「先用後
利のこころ」こそ、現代のとやまの産業基盤をつくった根幹であると言えます。この越中人の精神である
先用後利のこころは現代の私たちにも脈々と受け継がれ、自然と共生するこのとやまのまちづくりにも
活かされています。
【選ばれる地域(まち)の創造に向かって】
先用後利のこころにより発展してきたこのとやまは、近年「コンパクトシティ」を都市計画テーマに掲げ、
次なる未来へ向けて積極的にまちづくりに取り組んでいます。またその取り組みにより、2011年12月
に富山市は「環境未来都市」に選定され、国内のみならず世界各国から注目を浴びる存在となっていま
す。私たち富山青年会議所も設立60周年を迎えた2012年、小さな子どもからお年寄りまでもが同じ地
域に暮らす一員として、お互いの世代を尊重し支え合う調和の取れた社会を創るために「とやまの10年
先未来ビジョン」を掲げました。そして、富山市とパートナーシップ協定を締結し、市民や行政、まちづくり
諸団体と共に取り組みを始めました。今こそこの連携した取り組みをさらに進化させ、とやまへの想いを
ひとつにすることが必要です。共に全国大会に向けて行動し続けるとともに、先人たちから受け継いでき
た先用後利のこころをより深く落としこむことで、誰もが暮らしたい「選ばれる地域(まち)」を創造すること
ができるようになります。
【地域再興から日本再興へ】
1952年4月、富山県内の同志52名を集め、「富山懸青年会議所」が設立されました。これは、かつて
東西2つの地域に分断されていた富山県を、行政や経済の枠組みを超えた1つの地域にするきっかけ
となるものでした。まもなくその名称は、原則として都市単位に設立されるべき青年会議所の趣旨に合
致しないとの理由で、「富山青年会議所」と改称を余儀なくされましたが、県内9つのLOMへと分離拡大
していく中でも、連携し共に支えあう「一県一青年会議所の設立精神」は脈々と受け継がれて今日に
至っています。
私たちの運動・活動は、とやまというひとつの地域(まち)のみならず、富山県、そして日本各地につな
がり、日本を変えていく力を秘めています。四方を囲まれ、閉ざされていたとも言えるこのとやまの地か
ら果敢にも全国各地を渡り歩き、自らの行動によって地域をつないできた富山の薬売り。そこに常に宿
る「先用後利のこころ」こそ、先行きの見えないこの現代において、未来の実りを生み出す底知れぬ地域
の力に他なりません。そして私たち青年がその精神性をもって運動を伝播するとき、地域再興から日本
再興が実現するのです。
日本の未来は地域の再興に委ねられています。強い使命感をもった全国のJAYCEEが、とやまの地
において先用後利のこころに触れ、これからの地域(まち)のあり方について考えを深めることで、地域
再興そして日本再興への道標となる全国大会を開催させていただきます。