茅ヶ崎市立浜須賀小学校 学校長 阪岡 平成26年 晋吉 運動会号 No.4 運動会が終わって1週間が経ちました。悪天候のために1日延期して8日(日)になっ てしまいましたが、825名の子どもたちは運動会にむかう意識を途切れさせることもな く、一生懸命に演技や競技に取り組みました。自分たちの出番が終わると、どの子どもも いつも以上に自分の力を発揮できたようで、とてもいい顔をしていました。私は勝敗より も、この一生懸命さを体で覚えていくことが大事だと思っています。 このように運動会という大きな学校行事が無事に終了できましたのも、当日はもちろん、 事前の準備段階からPTA役員の皆様方をはじめ、保護者の皆様方の多大なるご協力のお かげと思っております。本当にありがとうございました。 運動会からつなげて 翌週に登校してきた子どもたちの様子を見ていますと、力を出し切った余韻にまだ浸っ ているようでした。しかし、何か一つ大きく成長した雰囲気を感じました。これも、保護 者の皆様が、勝敗や順位などの優劣ではなく、競技や演技に立ち向かっていった努力を評 価して、子どもたち一人ひとりがヒーローになれるように励ましてくださったからだと思 います。ありがとうございます。しかし、ここで終わってしまっては惜しい気がします。 「がんばれば成果がある」ということがわかって、他のことでもがんばってみようという 気持ちになっています。もう一息、励ましの声をかけてみてください。 <自分のがんばりをつなげて> 運動会で励ましの言葉をかけてもらった子どもたちは、自分のがんばりを家族にしっか りと受け止められたうれしさでいっぱいです。しかし、単に「がんばったね。よかったね。」 という言い方だけでは少し足りません。一見励ましているようですが、その言い方ではそ の時だけを褒めて、次につながる励ましになっていないからです。もっと具体的にどうい うがんばりをしたから、以前よりもよくなったという言い方がほしいのです。つまり、ど の程度の努力をすれば、どれくらいの成果が表れるのかという経験値が残っていくように 励ますことが必要なのです。これは、成功した時だけではなく、失敗した時も同じです。 経験値の積み重ねが、次への飛躍につながって「生きる力」に結びついていくのです。ま た、次に何を目標とするかを見えるようにして、そのためにはどのような小さなステップ で進めばよいのか、努力しやすくしてあげる必要もあります。ご家庭でお子さんの小さな 成長をしっかりと感じ取って、みんなで喜び合うことをこれからもお願いします。 <友だちのがんばりにつなげて> 私も小学4年生までは、何も考えることなく、先生方に言われるままに演技や競技に参 加していました。徒競走で1位を取りたいと思ってはいましたが、取れなくてもそれほど 落ち込むこともありませんでした。しかし、5年生になって『組み立て体操』の演技をす ることになった時、友だちの一人が倒立することができなくて困っている場面を見ました。 地面に手をついて倒立するだけでも大変ですが、その組み立て体操では全員が台上倒立(台 の上で逆立ちをする)をすることになっていましたので余計に大変でした。誰もが練習を する必要がありました。ところが、組み立て体操の練習をするうちに、その友だちが台上 倒立できるようになっていくのに気付きました。そして、日に日にその成功率が高まって いきました。周りにいた他の友だちも驚きました。後で聞くと、学校での練習だけではな く、家でも毎日練習を繰り返していたそうです。そのことを知った時、私は「自分はどれ だけがんばったと言えるだろうか。自分にあそこまでのがんばりができるだろうか?」と 自分自身を反省しました。 自分だけががんばっていたわけではありません。子どもたちは身近にいる友だちのがん ばりを見て感じ、当日まで練習してきたはずです。友だちのがんばりから影響を受けて、 自分のがんばりに結びつけていくことが、自己を向上させていく上で大事なのです。これ は、どの子どもたちにも気づかせたいことです。 <みんなのがんばりにつなげて> みんなが力を合わせてつくり上げた運動会。一人の力では決して成功しないということ は誰もがわかっています。しかし、運動会を受動的に感じていると、その実感が持ちにく いのも事実です。その点、浜須賀小学校の高学年は11の係に分かれて、みんなのために よく活動してくれました。おかげで、スムーズに運動会が進んでいきました。 係の仕事を進めるには、全体の動きや相手の気持ちを考えながら動かなければなりませ ん。競技や演技をする人の困りを少なくするためにはどのような動きをすればよいのか、 高学年としてどのような言葉遣いや態度を見せていくことが大切なのかなど、全体を見つ める目と、相手を意識した考え方をする必要がありました。先生方の指導もあって、高学 年の子どもたちは見通しを持ち、互いに声を掛け合いながら、いつも以上に活発な動きが できました。一人ひとりが係の仕事に責任を持ち、一人ひとりのがんばりを結び付けて大 きな力とすることができたからこそ、係の役目を果たすことができたのです。よい勉強に なったと思います。 <大人のがんばりにつなげて> もうひとつ、子どもに感じてほしいことがあります。それは、自分たちの力だけでなく、 支えてくれる大人が周りにいたからこそ運動会ができたということです。これは、視野を 広くしないと大人の活動が見えないだけに難しいかもしれません。しかし、最高学年の6 年生だけには感じてほしいことです。なぜなら、これから大人になっていく6年生に、人 の支えになるということはどういうことなのかを考えるきっかけにしてほしいと思うから です。6年生はこれからますます自分のよさを発揮して、人の役に立つ行動に結び付けて いくでしょう。それだけに、物事を広く見つめる目と心を養ってほしいと思っています。
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