=信頼と選択の学校づくり= つなぐ 平成27年度 千代田高校便り 9 月 3 日 NO. 31 発行:増田 隆 8月27日の2学期始業式の前に,夏休みに行われた各種検定等の表彰を 行いましたので,紹介します。 【第101回情報処理技能検定試験(表計算)合格者】 <第1級> 戸田直樹,中村聡志,餘谷美樹,谷川千愛 <第2級> 天野源士,岡田真菜,笠道直,白砂風香,竹田葵, 高下将一,迫田梨菜, 溝下はるな,吉村凌哉 【 実 用 数 学 技 能 検 定 ( 1 次 :計 算 技 能 検 定 ) 合 格 】 <準2級>小田涼 高校生の神楽甲子園に出場した本校神楽愛好会に対 し,湯崎県知事から【神楽伝承奨励賞】をいただきま した。右の写真は記念の盾です。 この夏休みはちょっと遠距離の出張が多かったので,列 車 の 中 で 読 む 本 を 探 し に 書 店 に 入 っ た 。歌 人 の 俵 万 智 の 本 , 「 会 う ま で の 時 間 」が 目 に 入 っ た 。か つ て「 サ ラ ダ 記 念 日 」 という歌集が爆発的に売れた人だ。 従来の短歌らしくない短歌を詠む彼女の作品はきらい ではなかったので,柄にもなく歌集なんぞを買ってみた。 今 か ら 30 年 前 の デ ビ ュ ー 作 「 サ ラ ダ 記 念 日 」 か ら 今 ま で 出 し た 歌 集 の 中 か ら 自 分 が 気 に 入 っ た 短 歌 394 首 を 選 ん で載せてある。何となくお得感のある本だった。 ち な み に「 サ ラ ダ 記 念 日 」は 「『この味 がいいね』と君 が言 ったから7月 6日 は サラダ記 念 日 」 と い う 歌 か ら き て い る 。 こ の 後 , 日 本 中 で 「 ○ ○ 記 念 日 」 が はやったものだ。 買 っ た 本 の タ イ ト ル 「 会 う ま で の 時 間 」 は 「会 うまでの時 間 たっぷり浴 びたく て各 駅 停 車 で新 宿 に行 く」 か ら と っ て い る と の こ と だ っ た 。 こ の 歌 集 を 読 ん で い る 間 は , 60 近 く の お っ さ ん の 私 も 若 か り し 日 の 出 来 事 を 思 い 出 し て , 何 だ か 20 歳 代 に 戻 っ た よ う な 気 に な っ て い た 。 ところが,読んでいくうちに「サラダ記念日」が大ヒットした時に,わが 敬 愛 す る SF 作 家 で パ ロ デ ィ の 大 家 で あ る 筒 井 康 隆 が 「カラダ記念日」という本歌取りのパロディ本を出した の を 思 い 出 し て し ま っ た 。 そ の 瞬 間 に , 20 歳 代 の 再 来 のような瑞々しい気持ちはどこかに行ってしまって, 「イ ヒヒ」 「 あ は は ぁ 」的 な 感 情 に な っ て し ま っ た 。彼 は 小 松 左 京 が 「 日 本 沈 没 」 と い う シ リ ア ス な SF 長 編 を 出 す と 「日本以外全部沈没」というパロディ本を出したような 御仁である。君たちには「時をかける少女」の作者と言 ったらピンとくる人もいるかも知れないね。私は高校生 から大学生の頃に筒井康隆にはまってしまい,おそらく全作品を持っている と 思 わ れ る( 笑 )。私 は ち ょ う ど 君 た ち く ら い の 頃 は 筒 井 康 隆 の ち ょ っ と 毒 の あるショートショートを読みふけっては「ハハハ!」とか「ケケケ」と笑っ ていたのでした。 「カラダ記念日」は「サラダ記念日」を読んだヤクザが自分も短歌を作っ てみるといった設定で,本歌取り(元の歌を真似て作る)した歌集のスタイ ルをとっている。たとえばこんな具合です。 俵 :「『この味 がいいね』と君 が言 ったから7月 6日 はサラダ記 念 日 」 筒 井 :「『この刺 青 がいいわ』と女 (スケ)が言 ったから7月 6日 はカラダ記 念 日 」 俵 :「嫁 さんになれよ」だなんてカンチュウーハイ2本 で言 ってしまっていいの」 筒 井 :「『組 長 を殺 (や)るぞ』だなんてカンチューハイ2本 で言 ってしまっていいの」 俵 :「『また電 話 しろよ』『待 ってろ』いつもいつも命 令 形 で愛 を言 う君 」 筒 井 :「『また電 話 しろよ』『待 ってろ』いつもいつも命 令 形 で仕 事 ( ゴト)告 げる 親 分 (ボス)」 他にも秀逸な作品があるのだけれど,ここに載せるのは少しはばかられる 気がするのでやめておきます。興味がある人は読んでごらん。 何はさておき,俵万智にしても筒井康隆にしても,ことばを自由自在に操 って自分の伝えたい世界を文章や文字で表現できる作家ってやっぱりすごい と思います。生徒のみんなには自分のお気に入りの作家がいますか? み な さ ん , 間 も な く 秋 の 夜 長 ,「 読 書 の 秋 」 が 訪 れ ま す よ 。
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