小坂奇石作品紹介 - 徳島県立図書館

展 示 図録 目録 用
ご 挨 拶
本県由岐町出身 で、現代 の 日本を代表する書家 である小坂奇石先生が、
昨年十 月六 日に九十才で鬼籍に入 られました。 日本の書道界 にとっても、│
本県に とってもまことに残念なことであ ります。心か ら迫 障の意を表 した
いと存 します。
徳島県立文書館では奇石先生の書二十数点を所蔵 してお ります。それは
旧徳島県博物館が奇石先生 よ り寄贈を受けて所蔵 していた作品を、文化の
森 に移転する折 に本館 に移管 したものであ ります。
今回 、先生 を偲 んで作品のうち春 にちなんだ書 を展示することに致 しま
した。 これか らも機会あるごとに紹介 していきたいと存 じます。
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小坂奇石
書 はむき出 しの若 さを嫌 うと しか し若 い人 には若 い人 らしい息吹 きの感 じら
れ る作品を書 い てほしい と私は思う。それはあくまでも大成への過程 として望
む ものであ って、決 してそれ 自体高度な芸術作品であることではない。
ことばをかえる と、書 は老成を求める芸術である。長 い年月かけて老成を待
つのは東洋芸術の特色 であろ う。若 い時か ら壮年へかけてしっ くりと技術 と学
問の基礎 をつ くり、人間性の高揚 とともにそれを醸成 し芸術の華を咲かせるの
で ある。
書 の世 界 では二 十代三 十代 の作品が生涯 の傑作 で ある ことはまずないだろ
う。たとえその頃に良 い作品が書けたとしてもその人がそれ以後 に書 いた もの
の方が、よ り価値 の高 い ものであることはほぼ間違 いない。そこに書のむつか
しさがあ り、またおもしろさもある。
若 い人は若 さを武器 とした作品を書 いて欲 しい。若 い人がいやに老成ぶった
作品を書 くよ りもよい。ひとりよが りの暴走を しない眼 りそれはそれで将来 に
良 い結果を蔚すであろう。 しかも本当の腹の底か らの力が巧 まずして作品に出
て くるのはそれ以後であることも心得ておきたい。
そこで若 い人 は真摯な臨書 と、書 についての巾の広 い学問――私はそれを奨
めたい。若 さがわ き道に暴定 しないためにも地道な努力に時間をかけて欲 しい
と思 う。
昭和五十年十月
(『黙語室雑記』 よ り)
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中 ・十
小坂先生 の略歴
明治 34年
大正 6年
昭和 4年
∼ 33年
昭和 31年
昭和 32年
昭和 35年
∼4 1 年
昭和 3 7 年
昭和 4 1 年
昭和 4 2 年
昭和 45年
昭和 51年
昭和 55年
昭和 56年
昭和 57年
平成 3年
徳島県由岐町に生る
書家黒木拝石先生 に師事
漢学者梅見有香 、土田江南 、増田半剣、長岡参蓼
十屋竹雨各先生 に師事
日展審査員
現代書家二十人展 、第一 回 より出品
奈良教育大学教授 │
日展評議員
徳島大学講師
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書道研究誌 「
害源」創刊
大阪 (府市)芸 術賞 t l
高野山大学教授
Ⅲ
文部大臣賞 (日展作品)1
日展参与
由岐町名誉町民
徳 島県文化賞
日 本芸術院 ・恩賜賞
Ⅲ
紺綬褒章
動 二等瑞宝章
奈 良県生駒市で死亡、事年 90才
(10月 6日 )
本名 ・光太日F
号 ・奇石。他 に侃毒子、黙語子、同塵子、吉王室
黙語室 、南田居などと号 した。