当院では、心臓手術後1日目から立位練習・歩行練習を中心としたリハビリテーションを行っています。 心臓を手術した翌日から、本当に歩く練習をするの?大丈夫?と、驚きの声も聞かれそうですが、むしろ長い間 寝たきりでいることのほうが様々な悪影響を体に及ぼします。たとえば、1週間寝たきりで過ごすと、下肢の筋力は2 割低下し、心肺機能も低下してしまうことが分かっています。ご年配の方にとっては特に、その低下を元に戻すこと は非常に難しく、訓練とコツが必要になります。 手術後、心臓や肺の状態が安定していれば、寝たきりで過ごす理由はありません。歩行練習を積極的に行って いくことにより、筋力及び心肺機能の改善が見込まれ、 ・術後の二次的合併症(筋力低下、肺炎、無気肺、感染症など)予防 ・体力回復 ・早期退院 につながります。 患者様が少しでも手術後の状況に安心感を得られるように、 手術前にリハビリのオリエンテーションを行い、疑似体験もして いただいています。 まず始めに、看護師が、手術後の状態を説明します 例えば ・胸の中心に大きな傷ができる ・傷を保護する胸帯(サラシのようなもの)を巻く ・点滴が入る(腕からだけではなく首からも入ります) ・ドレーンという管や尿を出す為の管が体から出ている ・酸素投与を受ける(マスクなど) など。 この際に、患者様のお体に、模擬的に点滴や酸素マスクや ドレーンの管を装着し、その状態で引き続き理学療法士と一緒に「歩く練習」を体験し、手術後のリハビリを患者様 にイメージしていただきます。どのように動けば良いのか、痛みの無い時に経験し想像することで、実際のリハビリが スムーズに進むことにつながります。 これまで特に意識しなかった起居動作も、体の動きに制限がある状態で行う と、スムーズに行えない場合が出てきます。お体に必要以上の負担なく、少しでも 早く元の生活に戻れるよう、工夫やコツをお伝えします。 ・ベッドからの起き上がり方法 ・痰を出す練習(胸が痛くならないように) ・立ち上がり方法 ・寝返り方法 など 私たちは、担当医師の下、心臓リハビリテーション専従者を含む数名の理学療 法士と病棟の看護師がチームとして協力しながら対応しています。患者様と共に 早期退院に向けて、体力向上、日常生活活動の向上を目標に、支援させていた だいております。
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