上部消化管がん術後の 栄養サポート

第25回がん臨床研究フォーラムプログラム
がん患者の早期社会復帰に対する支援
上部消化管がん術後の
栄養サポート
がん研有明病院
消化器センター
峯 真司
食道外科
上部消化管がんとは?
胃がん
食道がん
なぜ栄養が問題になるのか?
手術前の通過障害
手術後の経口摂取
栄養サポートの課題は?
1. 手術前後の栄養管理
2. 退院後の栄養管理
1 手術前後の栄養管理
1 手術前後の栄養管理
なぜ重要か?
栄養不良→手術後の合併症増加
肺炎、縫合不全、創感染など…
栄養状態改善すると
合併症の発生が低下
手術前後の栄養管理はこの
20年で大きくかわった
20年前の術前術後管理
胃がん食道がんで狭窄→中心静脈カテーテル
がん手術は手術前日に中心静脈カテーテル
手術当日は絶飲食
胃切除は術後5日から、胃全摘は7日目、食道切
除は9日目から食事開始。
縫合不全がおきれば中心静脈カテーテル
現在の手術前の栄養管理
1. 栄養不良のスクリーニング
2. 経腸栄養
3. 免疫強化栄養剤
4. 手術前に抗がん剤治療(食道がん)
栄養不良のスクリーニング
全ての患者さんに栄養サポートが必要
なわけではない…
スクリーニングが重要
NST(栄養サポートチーム)
NSTとは
Nutritional
Support
Team
NSTとは
栄養状態改善のため
多職種による
チーム活動
NST回診
経腸栄養
腸を使う栄養
点滴は最終手段
免疫強化(調整)栄養剤
手術前後に
EPA(エイコサペンタエン酸)
アルギニン、核酸など
手術前の抗がん剤治療
進行食道がん
手術までに約2か月間
この間に栄養改善
手術後の栄養管理
早期経口摂取(鏡視下手術)
経管栄養
栄養サポートチームによるサポート
早期経口摂取(鏡視下手術)
傷が小さい
回復が早い
腸の回復も早い
経口摂取も早い?
経管栄養(食道がん手術)
手術後早期(24時間以内)から経管栄養
腸ろうチューブ
NSTによるサポート
食べやすい形態や
量、嗜好の確認
足りない場合は
補助食品
2 退院後の栄養管理
昔とあまり変わっていない?
胃がん食道がん手術後の問題は?
手術後特有の症状がつらい
体重がもどらない
手術後特有の症状
つかえ感
逆流
腹痛
便秘 下痢
ダンピング症状
手足が冷える
足がつる
おならが臭い
胃は大きくならない!!
体重がもどらない
体力がもどらない
食事が7-8割しかとれない
手術前と同じように食べても体重が戻ら
ない
手術後の症状は
自覚症状
ばらつき
客観的評価困難
術後の症状やQOLの評価は?
質問票
手術後の症状に特化していない
EORTC-QLQ
FACT
新しい質問票
PGSAS
ES4/EGQ
ES4/EGQ
栄養素不足
鉄
カルシウム
ビタミンB12
ビタミンA、B1、B6、E
鉄欠乏→貧血
カルシウム欠乏→骨粗しょう症
ビタミンB12欠乏→貧血、神経障害
手術後の食欲低下
グレリン(ホルモン)の低下
味覚障害
食事量が増えない原因の一つ
亜鉛欠乏
口腔内の感染
術後の抗がん剤治療
特に胃がん手術後(1年内服)
完遂率
胃全摘の方が低い
体重が減った方が完遂率が低い
抑うつ症状
がん患者の5-15%がうつ病
対策
手術後特有の症状
つかえ感 逆流 腹痛 便秘 下痢 ダンピング
手足が冷える 足がつる おならが臭い
ゆっくり食べる
よく噛んで食べる
急いで食べない
寝る直前に食べない
背中に傾斜をつける
術後の食事は?
冊子を作成
体重が戻らない
摂取カロリーを増やす
経口補助食品
消化酵素内服?
栄養素不足
補充
注射
内服薬
サプリメント
食欲低下
グレリン投与?
六君子湯?
時間が解決?
味覚障害
亜鉛投与
口腔ケア
抑うつ症状
精神科コンサルト?
まとめ
胃がん食道がんにたいする手術前後の栄
養管理はこの20年で大きく進歩した
一方、退院後の栄養管理は大きな進歩が
ない。外科医、栄養士、NSTメンバー、
患者らと協力して症状緩和のための対策
を検討する必要がある