テーマ(例)の概要 - 早稲田大学曽田研究室

テーマ(例)の概要
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分類A
国土交通省の告示が改定されて薄板軽量形鋼造による中層(4,5階)建物の建
設が可能仁なったが、現在の一般的な構造法を採用する限りにおいては、実際
には実用化が難しい状況にあった。2014年度の卒業研究、修士研究を通じて、
新しい耐力壁の開発がされて、予備的な検討では十分に実用的な住宅を建設
できることが明らかになった。本年度は、さらに技術の詳細に磨きを掛けるととも
に、建設会社とも協力して実中層住宅の設計を目指す。ディテイルの変更が加
えられる場合には、喜久井町の大型実験装置を用いて実験を実施する。
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分類A
一般的な鉄骨構造は、骨組みの主要な部分として「柱+ブラケット」を工場で溶
接により製作した後に、現場でブラケット間に梁を高力ボルト接合する。接合作
業が多数行われることがコストアップの原因となるため、柱と梁材とを現場で直
接溶接接合することも行われるようになって来ている。現場での溶接は天候も含
めて作業環境の良否に左右されるために、一般的には高度の溶接技術が求め
られるために、工数は減るもののコストは減らないのが現状である。また、溶接性
の悪さが、建物の変形能力を劣化させる容易ともなることが知られている。本研
究では、溶接節後部のディテイルを改良することにより、現場溶接でありながら
優れた変形能力を発揮する鉄骨構造の実現を目指すものである。昨年度は大
阪大学の装置を利用して実験を行ったが、今年度は喜久井町の実験装置を利
用しての実験も実施予定。
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分類 D
建築基準法は逐次改訂されて行くために、既存の建築物の数多くが長年の中
に基準法に適応しない建物となる。
それでも過酷な地震動にさへ耐える事の出来る建物が多いが、逆に、現行の
基準法に適合する建物であっても、過酷な地震動の作用を受けると倒壊に至る
場合が有る。特に、変形能力に依存して設計された比較的新しい鉄骨ラーメン
構造では、極めて大きな変形が生じて、倒壊に至らぬまでも残留変形の発生な
どにより継続使用が困難になる場合が有る。
従って、早期に耐震補強を行う必要があるものの、工事がコスト高であることを
主な理由として、補強工事は進んでいない。このような状況を踏まえ、工事をDI
Y化する(建物のオーナー自らが工事を行う)手法を提案する。一般時には使い
にくい工具類を割けて、接着剤による簡易な施工を行う事が本研究課題のポイ
ントである。本研究では、金属同士の接着技術の最先端を応用して、簡便且つ
確実な接着工法の確立を目指す。溶接接合と同様に、接着部の接着具合を超
音波探傷により確認するノウハウをマニュアルとして整備する。
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分類 B
建築学会においては建築物の減衰に関わる成書を出版する準備を進めている
。曽田研究室では、研究室OBも含めて長年にわたり同委員会の活動に関与を
続けているが、委員会に成果の纏めの作業の一環として本研究は位置づけら
れている。実住宅の減衰性能の実測作業も実施予定。
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分類 D
曽田研究室では在来軸組構造の柱・梁仕口に設置する圧効きダンパを開発し
、その精神性能の高い事を実証してきた。同ダンパは、一般的に壁の多いほど
効果が相対的に低くなると考えられているが、極端に壁量の多い構造であるツ
ーバイフォーにおいても高い制振効果を発揮させる機構を考案し、喜久井町実
験室での動加力実験により性能を検証する。
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分類C
本研究は4-5年継続しての実施経歴が有り、既に何種類かのダンパの試作を通
じて、後方の有効性が確認されている。本年度は、特にダンパが発揮する慣性
力の向上を目指した改造を加えた小型のダンパを備えた鉄骨造フレームにお
いて、同ダンパの制振効果を検証を通じて、ダンパ性能のさらなる向上を目指
す。ダンパ単体の動加力試験、ダンパ付きフレームの振動台実験を実施する。
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分類C/D
曽田研究室では、1995年の兵庫県南部地震発生後の1996年以来、学外の企
業との共同と、文科省の研究助成を得ながら、制振構造技術の高度化に関する
研究を続けて来ている。今までの研究の主要な成果の一つとして、粘性系のダ
ンパ(オイルダンパ、粘弾性ダンパなど)の活用が優位であることを明らかにして
いるが、さらに、それらダンパに単にエネルギー吸収性能を次発揮させるばかり
でなく、その他の構造制御機能を付加する事が合理的であることも明らかにして
いる。そのような研究の一環として、多層建物の上下層間で変形の集中が起き
る事を防止するために、上下層の変形をリンクさせることが有用である。既に、ダ
ンパの開発は終えて、2015年度にはその建物内への有効な設置方法を詳細に
検討する。振動台実験を実施予定。
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分類C/D
前スライドでは建物の上下層に発生する損傷集中を対象としてその防止方法を
扱う研究につき説明したが、本研究では、種々の要因により建物に発生する平
面内での有害な変形の集中を防止する手法に関する研究である。振動台実験
を実施予定。
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分類 D
本研究では、構造解析ソフトSAP2000を用いる。SAP2000では図面データを取り
込み建物モデルを構築することができるので、これまでの検討よりも素早く補強
対象建物の動力学特性を把握することが可能です。立体フレームモデルの構
築が可能であり、補強構面別に適切なダンパ設置基数を算出できます。曽田
研究室では、同種の構造システムを木構造に適用することで大きな制振効果
を上げられることを確認し、既に実用化していますが、本研究では、同じ技術を
鉄骨構造に適用する事を目指してスタートさせたが、鉄骨ラーメン構造では接
合部が剛なためダンパが十分に変形せず大きな効果得られませんでした。そこ
で、トグル機構と呼ぶ変形増幅機構を利用するっことでダンパの効率を高める
事を目指しています。ダンパは一般的なオイルダンパの軸変形、あるいは扇形
の粘弾性仕口ダンパを適用する事を予定しています。動的な加力試験、実スケ
ール鉄骨骨組みの振動台実験を実施予定。
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分類 D
本スライドには滑り基礎構造の概要を記す。
地盤面にべた基礎を施工し、表面をレベリングモルタルにより平滑に仕上げた
後に、薄いゴムシートを敷く。その上に超高分子量ポリエチレンシートを敷き詰
め、さらにその上にフレキシブルボードを敷き、その上に上部構造が載る基礎(
布基礎)を打設する。
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分類 D
水平2方向に地震動が同時に作用する場合、滑り基礎は直交するX、Y2方向の
慣性力の合ベクトル方向に滑る。例えば、地震動を正弦波とすると、2方向の波
が同位相であれば基礎は45度方向への振動を繰り返すし、二つの波が互いに
1/4周期ずれているならば基礎は円周上を移動する。実際には、地震動は不規
則な外乱であるので、基礎は水平平面上を不規則に移動することになる。本研
究では、振動台実験によりこの複雑な運動を観察するとともに、現象を数値計算
に拠り裏づけて、実際の滑り基礎構造の耐震安全性につき検討する。
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分類 D
最近20年ほどの間に震度7クラスの地震動が何度も発生している。今後も、その
ような地震動の発生する確率が高いとも言われている。研究室にて開発中の滑
り基礎構造は、そのような地震動の作用に対しても構造物の損傷を防ぐことので
きる優れた構造法であるが、構造の特性により、基礎の滑り変位が過大になって
、建物周辺部との衝突による不具合が発生する可能性が問題として残っている
。本研究では、建築の意匠計画、使用性等々に支障を及ぼさない仕組みとして
衝突緩衝装置(ストッパー)を提案する。概念モデルから始まり、ストッパのデザ
インと、それを取り付けた建物モデルの大地震(過酷な地震動)時の挙動を模擬
した解析により、問題の解決をはかる。
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分類 E
建築基準法では、超高層建物などは詳細な地震応答解析によりその安全性を
確認する事としているが、多くの中低層建物ではそのようにする必要は無く、告
示として導入されている許容応力度等計算、限界耐力計算、あるいはエネルギ
ー計算を用いた簡易な耐震計算法を採用することも認めている。しかしながら、
昨今の過酷な地震動の発生状況を目の当たりにするなら、例え簡易な計算法を
用いるにしても、耐震性能をより確実に予測する事が可能であることが望ましい
。本研究では、建物が最大変形を起こす時(瞬間)に建物に地震から入力され
るエネルギ^-が、その時に建物が吸収可能なエネルギー量との非あくにより安
全性を評価する手法を提案する。一般的な建物は多層な建物であるので、第1
ステップとしては多層建物を等価な1質点モデルに置き換えて地震入力総エネ
ルギーを予測し、次いで、このエネルギーが建物各層に配分される比率を定め
た後に、各層の入力エネルギと吸収エネルギーのバランスから最大変形を推定
することになる。
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