受け継いだものを 次世代へ 髙﨑 知一さん (地区:尾掛) 平成24年10月取材 私は,秋冬野菜として,主にそら まめを栽培しています。現在(平成 しかし,問題が生じたこともあり ました。 2 4 年 度 ) は , JA い ぶ す き そ ら ま さまざまな病害が発生し,収量が め部会の会長を務めさせていただい 減少し,品質も悪化しました。病害 ています。 の 拡 大 を 防 ぐ た め , 昭 和 50 年 か ら の そらまめの本格的な栽培は,昭和 26年魚見地区の 4Hクラブ員 5 名 5 年間は,栽培中止にまで追い込ま れました。 が東京市場見学で学び得た成果を1 その後,生産者やJAいぶすき, 0 a の畑で試作し,好成績を収めた 農業改良普及所,市の担当者らによ のをきっかけに,昭和27年に50 って,品種改良や作付体系の研究, a の畑で植え付けたのが始まりと言 病害虫防除法の工夫が続けられ,病 われています。 害も少しずつ減少していきました。 試行錯誤の結果,指宿の気候に合 現在では,多くの関係者の努力が った栽培方法が確立され,面積,収 実り,日本一の産地として全国に名 量が順調に伸びていきました。 をはせるまでになりました。 そらまめは一般的には春の食材で われています。 すが,指宿では,温暖な気候と豊富 産地を守るため,大消費地におけ な水資源を利用し,早い時期から栽 る販売促進活動も大事ですが,地産 培,出荷が可能です。植付けは 9 月 地消も同時に推進していく必要があ か ら 始 ま り , 11 月 末 か ら 4 月 中 旬 ま ると思います。 で収穫が可能です。また,JAいぶ さやに 1 粒または 2 粒しか実が入 すきのそらまめは「かごしまブラン っていないものや,さやの形が悪い ド」に指定されています。 そらまめは安価で取引されています これらのことが,他産地との差別 化につながり,販売価格の安定につ が,さやから取り出した実に大差は ありません。 ながっています。農家としては生活 この単価の低いそらまめを使用し 設計が立てやすい作物の一つですの て,観光地指宿ならではの新たなお で,これから農業を始める人にも, 土産品ができたらと思います。また, ぜひ,チャレンジしてもらいたいと 地元の直売所やスーパーにお手頃な 思います。 価格で店頭に並ぶようになれば,地 ただし,生産現場は決して楽なも のではありません。 4 月に収穫が終 元での消費も増えるのではないかと 思います。 わりますが,すぐに次の収穫に向け 私のお勧めは,むきたてのそらま た作業が始まります。畑の管理や種 めを塩茹でしたものです。お酒を飲 の準備など, 1 年間を通した作業と む人には最高のつまみになると思い なります。特に大変な作業が,植付 ます。 けをした後の「芽かき」作業です。 地元ならではの新鮮なそらまめ。 実入りの良い大きなそらまめを収穫 さやからむくと翡翠色の,見るから するために,わき芽 1 つ1つを数回 に縁起の良さそうな形をしており, にわたり丁寧に取り除かなければな 別名「おたふく豆」とも呼ばれてい りません。本当に根気と体力のいる ます。 仕事です。 市民のみなさんにもいろいろなそ そらまめの大半は関東を中心とし らまめの料理や加工にチャレンジし た大消費地に出荷されており,都市 てもらい,そらまめの産地をみんな 部では高級食材として料亭などで使 で盛り上げていきましょう。
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