震災から 4 年半の時を経て

震災から 4 年半の時を経て
東日本大震災から 4 年半の月日が流れました。被災地は、復興に向けて、一歩ずつあゆ
みを進めております。震災直後立ち上げたこのプロジェクトもすでに、4 年以上の活動を継
続していることになります。当初は、毎日、朝に晩にと支援物資を運ぶ毎日でした。仲間
の幼稚園の園バスに、積めるだけの荷物を積んで、走り回っていたことが、つい先日のこ
とのように思いだされます。ハードな毎日ではありましたが、むしろ必要なところに必要
な物を届けるだけの支援は、単純で、わかりやすい活動でもありました。
物資が行き渡ったころから被災地の課題は、次第に複雑になってきました。「被災地」と
一言で言うわけにはいかない課題が、それぞれの園に、保育者に、子どもたちにありまし
た。
それらのすべてを支援するには、私たちのプロジェクトはあまりにも小さく、あまりにも
無力でした。
それでも、私たちの活動を知った国内外のみなさまから、温かい支援のメッセージや支
援金が継続して送られてきました。この間、保育者仲間、そしてその関係者のみなさまの
お気持ちに、どれだけ励まされたかしれません。本来なら、その一つひとつのご支援に、
御礼のご挨拶を差し上げなければならないところですが、それが十分にできずにここまで
きたことを、ただただ申し訳なく思う次第です。このような場から、御礼を申し上げます
ことをお許しいただければと思います。
震災から 3 年の 3 月。支援し続けてきたのびる幼稚園(東松島市)が新たな土地に、新
園舎を建設されました。国からの補助金が支給されるとはいえ、それはほんの一部でしか
なく、60 歳を迎える園長先生が、2 億円近い借金をされての再建でした。狭くて古い仮設
園舎で、走り回る子どもたちの様子を見て「なんとしても、子どもたちのために園を再建
したい」と決意された園長先生の熱意と、私たちのプロジェクトの活動に賛同してくださ
ったみなさまから、多額の寄付金が届きました。法人でも、NPO でもない、こんな小さな
プロジェクトに、びっくりするような多額の寄付金が届き、私たちもこのお気持ちに何と
しても応えなければ・・・と、進めてきた活動でした。のびる幼稚園では、今週末新園舎
で 2 回目の運動会が行われます。仮設園舎で 18 人までに減少した園児も少しずつ増えてい
るとのことです。少し、光が見えたかな、という段階です。
一方、再建を模索しながら仮設園舎で保育を継続され続けてきたのに、この春休園を決
意された幼稚園もあります。町全体の再建のために、せっかく再建した園舎から移動し、
再度仮設園舎での生活を始められた幼稚園もあります。幼稚園や保育所を再建するという
計画は現実のものになったものの、土地の確保ができず、園舎再建までにあと 3 年の時間
を要する地域もあります。この地が本当の復興の時を迎えるまでには、まだまだとてつも
なく長い時間が必要であることを実感します。
私たちの活動は、おそらく被災地が課題を抱えている限り、今後も継続していく予定で
います。しかし、4 年半という時を経た今、活動はひとつの転換期を迎えているようにも思
います。手を差しのべる形の支援から、未来に向けて共に考え、歩む支援へとでも表現す
ればよいかもしれません。
活動の転換期を迎えたことを契機に、私どもの HP を新しくいたしました。これまで、
滞りがちであったご報告をブログを通して、お伝えしていきたいと考えています。「被災地
の今」をお知らせしていくことも、転換期を迎えた私たちの重要な活動の一つになるよう
に考えています。ぜひ、時にブログを見ていただき、被災地の今を知っていただければと
思います。
忘れないでいただけることが、何よりもこの地で頑張るみなさん、保育者、子どもたち
を元気にします。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。
みやぎ・わらすっこプロジェクト
代表
磯部 裕子