平成 24 年度 学位論文

平成24年度
学位論文
大学サッカー競技における
集団凝集性・集団効力感とライフスキルとの
関連性の検討
兵庫教育大学学校教育研究科
教育内容方法開発専攻行動開発系教育コース
M11210H
持田和明
大学サッカー競技における
集団凝集性・集団効力感とライフスキノレとの関連性の検討
兵庫教育大学大学院
学校教育研究科教育内容方法開発専攻
持田和明
フスキルの個人的なスキルについても,学業を
本業とする大学生とアスリートとしての立場を
両立させ,積極的にチームに関与していくこと
や,試合に出場できない等自分白身が苦境に立
たされていても,忍耐強くチームのために全力
を尽くして行動する基盤となるスキルであるこ
はじめに
集団スポーツにおいて,チームのまとまりと
競技成績は深く関係性のあるものだと考えられ
ている(本間ら,2004).そこで,チームのまと
まりという視点から本研究において,2つの変
とが考えられる.
数に着目した.先行研究(阿江,1985)によって,
これらのことから,選手個々のライフスキル
チームパフォーマンスと関連性のあることが示
が集団凝集性・集団効力感を高めるための1つ
されているrまとまりの程度」を認識する変数
の方法と仮説を立て,ライフスキルと集団凝集
である集団凝集性.そして,パフォーマンスを
性・集団効力感の3者間の関連性を検証するこ
高める要素の1つであることが示唆されている
とを本研究の目的とした.
(河津,2010)「集団に属するメンバーが共有す
る信念」(Bandura,1997)を指す集団効力感で
ある.この両概念は,パフォーマンスに影響を
与えているだけでなく,両概念同士が密接な正
●■■●カ●
ライ7月}ル
の相関があることが明らかになっている
(Heuze,2006).このことから,近年の研究で
■■1■■
■1 ■■●舳●一■端●口拮テル■,
は,これら2つの概念を用いて集団スポーツに
ついての研究が進められている.
1.調査対象と調査時期
では,これら2つの変数を高めるためのキー
ワードとして,本研究では,個人の心理社会的
能力であり,r日常生活で生じるさまざまな問題
や要求に対して,建設的かつ効果的に対処する
調査対象:関西学生サッカーリーグ1部に所属
するA大学を対象として,その男子部員57名
(平均年齢19.8±0.9歳)
ために必要な能力」(WH0.1997)と定義される
rライフスキル」に着目した、その理由は,チ
ームそのものは個々の集合体であり,集団凝集
調査時期:2012年5月,2012年9月
2.調査内容
性や集団効力感を規定するものの1つは,構成
員個々の能力であると考えたためである.その
(1)集団凝集性
阿江(1986)が作成した集団凝集性尺度を用
ライフスキルの構成に関して,島本・石井(2006)
いた、本尺度は,19項1ヨ,5因子(メンバーへ
は,大学生全般に求められるライフスキルを対
の親密さ,チームワーク,魅力,価値の認めら
人的なスキル(親和性,リーダーシップ,感受性,
対人マナー)と個人的なスキル(計画性,情報要
れた役割、目標への準備)からなる.
約力,自尊心,前向きな思考)の2つに大別して
(2)集団効力感
いる.
芹澤ら(2008)が作成した高校運動部員版集
また,ライフスキルにおける主要な側面であ
るコミュニケーションスキルと集団効力感との
間には,正の相関関係が認められることが明ら
団効力感尺度を用いた.12項目3因子(能力発
揮、協力体制、準備態勢)からなる.
かにされている(芹澤ら,2008).さらに,ライ
i
(3)ライフスキル
チームに所属する選手個々の「コミュニケーシ
島本ほか(2013)が作成した大学生アスリー
ョン」「感謝する心」の両スキルとの間に正の
関連性があることが示唆された.
ト用ライフスキル評価尺度を用いた、本尺度は,
40項目10因子(目標設定,コミュニケーショ
また,縦断データによる重回帰分析の結果,
ン,ストレスマネジメント,体調管理,最善の
効力感・凝集性ともに「コミュニケーション」
努力,礼儀・マナー,責任ある行動,考える力,
が両変数に正の影響を与えていた.このことか
謙虚な心,感謝する心)からなる.
ら,チームに所属する選手個々の「コミュニケ
ーション」スキルが上がると,集団効力感,集
3.分析方法
団凝集性が上がるのではないかと示唆される.
(1)既存尺度の信頼性の検証
また,同様に,縦断データによる重回帰分析の
信頼性(内的一貫性,安定性)を検討するため
結果,r感謝の心」がrコミュニケーション」
に,両時点における各々の尺度の内的一貫性を
に正の影響を与えていた.このことから,「コ
表すα係数を算出した(ライフスキルは各下位
ミュニケーション」を高めるためにはr感謝す
尺度).安定性については,1時点目(2012年5
る心」を高める必要があることが推測される.
月),2時点目(2012年9月)の同一変数間の相
(図2).
関係数(再検査信頼性係数)を算出した.
(2)横断データ,縦断データを用いた変数間の
’二㌘ !醐誠
関連性の検討
ュ
^,…
㎜舳一→コu畠ケーシル
変数間の関連性を検討するため,まず,横断
三三… ヨ;・・
、 胴舳螂
データをもとに各尺度間の相関分析を実施し
固ユ 分術業果
た.また,変数間の関係を厳密に検討するため,
1時点目のライフスキル下位因子を独立変数,
2時点目の集団凝集性,集団効力感それぞれを
考察
経験的に,感謝の一言を伝えるか否かによっ
てその後のコミュニケーションの円滑さが変化
従属変数とする重回帰分析(ステップワイズ
法)を行った.なお,分析にはIBM SPSS
Statistics20.0を用いた.
することもあるだろう.このことからも,「感謝
する心」がコミュニケーションに正の影響を与
えるのではないかと考える、
その「コミュニケーション」スキルが集団凝
集性,集団効力感に正の影響を与えていること
が示された.集団効力感に限って言及すると,
芹澤ら(2008)の知見と同様の結果を示している.
このように示された要因としては,調査対象ク
ラブがチーム全体のコミュニケーションの活性
化を重要視した「ファミリー制度」という活動
を行なっているためではないかと推測する.
また,両スキルが凝集性、効力感に正の影響
を与えているからこそ,横断データにおいても
凝集性,効力感と「感謝する心」「コミュニケー
ション」の両スキルの間には正の関連性がある
ことが示されたのではないかと推測される.
主任指導教員:永木耕介/指導教員:島本好平
結果
(1)既存尺度の信頼性の検証
α係数においては,全体的には基準値であ
る.70を上回る値であった.再検査信頼性係数
では各側面ともに,その値は概ね.40以上であ
った.この結果から,各尺度の信頼性は概ね確
保されていることが確認された.
(2)変数間の関連性の検討
集団凝集性,集団効力感とライフスキル各下
位尺度との相関分析における結果では,rコミ
ュニケーション」「感謝する心」の両スキル
が.50以上の中程度の正の相関関係を示した.
また,2時点目の調査においても,同様の結果
が得られた.このことから,集団のまとまりと
ii
論文要旨...........................................................................................i
目次.................................................................................................血
第1章
序論
1.1
研究の背景
1.1.1
集団スポーツにおけるチ』ムのまとまりとパフォーマンス.............、..1
1,1.2
集団凝集性とは........................................................................2
1,1.3
集団凝集性に関連する先行研究の紹介..........................................4
1.1.4
集団効力感とは........................................................................6
1.1.5
集団効力感に関連する先行研究の紹介..........................................8
1.1.6
ライフスキルについて...............................................................9
1,1.7
ライフスキルに関連する先行研究の紹介......................................12
1.2
研究の目的...................................、..........................................13
1.3
本論文の構成...........................................................................14
第2章 研究の方法
はじめに
2.1
調査時期................................................................................16
2,2
調査対象と調査手続き..............................................................16
2.3
調査内容
2.3.1
フェイスシート.....................................................................17
2.3.2
集団凝集性..............、...、........................................................17
2,3.3
集団効力感...........................................................................1g
2.3.4
2.4
ライフスキル........................................................................21
分析内容................................................................................24
第3章 結果
3.1
信頼性の検証..........................................................................25
3.2
各時点における変数の基本統計量...............................................26
3,2.1
3.3
各時点間の変数比較................................................................27
横断データを用いた相関分析
3,3.1
1回目データを用いた分析.....................................................28
3.3.2
2回目のデ』タを用いた分析................................、.................28
3.4
3.4.1
縦断データを用いた重回帰分析
重回帰分析(従属変数:集団凝集性、集団効力感)......................30
iii
3.4.2 重回帰分析(従属変数:コミュニケーション)...........................32
第4章 考察
4.1 第3章のまとめ..................................................................34
4.2 「集団凝集性・集団効力感」に影響を及ぼす要因の分析
4.2.1 時点間の変数比較について....................................................35
4.2.2集団凝集性・集団効力感の総得点に影響する要因.........................36
∼集団凝集性・集団効力感とコミュニケーションスキル∼
4.2.3集団凝集性・集団効力感の総得点に影響する要因.........................37
∼コミュニケーションスキルと感謝の心一
4.3 現代の大学生にみられる問題... ..38
4.4 問題解決について.............. .39
第5章
結論
5.1
本調査から得られた知見............
....................................41
5.2
今後の展望と課題.....................
....................................42
謝辞.................................................................、、..............、..............43
本論文に関する報告...........、...............................................................44
参考文献..........................................................................................45
付録:
本調査表..........................................................................................48
iV
第1章序論
1.1 研究の背景
1.1.1 集団スポーツにおけるチームのまとまりとパフォーマンス
チームワークとは、目標とするパフォーマンス発揮のためにチームの個々が
連携することを指し示している。チームという環境の中で行われるスポーツ競
技において、チームパフォーマンスは選手個々の能力の合算では推し量ること
はできない。チームワークの良さが良い結果に繋がることは想像に難くないで
あろう(阿江ほか,2008)。
実際に、2006年サッカードイツW杯において、日本代表がチームとしての
まとまりを欠き、本来の力を発揮できないまま予選リーグで敗退する例がある
(JFAテクニカルレポート,2006)。反対に、サッカー日本代表遠藤保仁選手は、
2010年W杯南アフリカ大会において、試合に出場しないサブの選手が不満を
口にしない、大会期間中の練習で一切手を抜かない態度を示すことにより、チ
ームとしての一体感が高まり、ベスト16進出という結果を残せたと後に語って
いる。加えて、チームとして一体感のあるチームは、泥臭く、身体を張ったプ
レーができると述べている(遠藤保仁,2011)。これらのことからも、チームの
まとまりと競技成績には密接な関係があることが推察される。
視点をスポーツに限らず企業組織に広げると、組織のまとまりを高めるため
の方法として、ドラッカー(2001)によるマネジメントやそれを基にした「もし高
校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩
崎,2009)がブームを巻き起こした。これ以降、日本でも、企業、スポーツ集団等
のジャンルを問わず、集団の在り方について検討がなされている本が多く出版
されるようになった。
一方、スポーツ心理学分野における研究では、個人を対象とした研究が中心
であり、集団全体を考慮に入れた研究はほとんど行われていなかった(George
and Fe1z,1995)。しかしながら、近年、集団全体を対象としたチームとしての一
1
第1章序論
体感、まとまりを測定する指標である集団効力感やそれに関連した集団凝集性
についての研究が少しずつ増加し始めている。両概念については、それぞれ以
下のように定義付けされている。
集団効力感
「状況の要求に上手に協力して反応するために、自分たちの能力を配分し、調
整し、統合する場合に共有する集団的能力」(Za㏄aro,1995)
集団凝集性
r集団のメンバー間が引き合う魅力を維持する社会的な力であり、集団を分裂
させる力に抵抗する力」(Mノ・ガー,2007)
このようなことを背景として、本研究では、集団効力感・集団凝集性をチー
ムのまとまりを測定する概念として、取り上げる。
1.1.2集団凝集性とは
集団凝集性はチームワークを発揮するまでの過程としての現れ方としてとら
えられている(阿江ほか,2012)。(図1.1)
賃人\集
団
凝> チ_ムバフトマンス
`メチームワ■ク》
弘一
々
●人1
図■.1:集団凝集性・チームパフォーマンス関連図
集団凝集性とは、最初にLewin(1943)によって用いられた集団のまとまりを
表す概念である。Lewinは、集団のメンバー間が集団に留まろうとする力と、
集団を離れようとする力とのバランスによって成り立っている。例えば、分裂
第1章 序論
させる力が大きくなった場合に凝集性は小さくなるとした。そして、凝集性を
測定するポイントとして、Bonmr(1959)は集団に対する魅力のみ、特に、集団
に属するメンバーに対する対人魅力のみを凝集性の大きさとして考えていた。
しかし、対人魅力による凝集性を測定することに対して、Eisman(1959)が集団
凝集性は対人魅力だけでなく、多次元によって構成されていると論じた。更に、
Camon(1985)は、集団凝集性を「課題一社会」「個人・集団」次元という複数の
次元で捉えている。「課題」とは課題志向のことを指し、集団の目標とする課題
を達成することを目的に凝集することを示している。「社会」とは、社会志向の
ことであり、集団内における対人魅力を目的として凝集していることである。(図
2)これらを個人レベル・集団レベルの違いでとらえようと試みている。その後、
Heuze(2006)は、プロパスケッドボール選手を対象とした集団凝集性を「課題・
社会」「個人・集団」次元で捉えた研究を行なっている。その結果、集団レベル・
個人レベルにおいても、課題凝集と集団のまとまりの間に正の相関関係がある
ことを示している。このように、近年の研究では、多次元によって集団凝集性
の検討が行われており、特に、「集団の課題」が共通点として挙げられている。
臥にとつ
モ団の魅≡ 眺とつε竃集団の㍗
スポーツ集副二おける
凝集性次元
集団の縮合 、 集団の統合 、
(社会 一 膿麗 ≡
図1.2:Carroneta1(1998)による集団凝集性モデル図
3
第1章 序詮
1.1.3集団凝集性に関連する先行研究の紹介
1.The deve1opmeI1t ofanins伍umentto assess co止esion m spo式teams.
Camn(1985)は、スポーツ集団における、凝集性に与える要因として下記4
つを挙げている。
①環境要因(競技レベル・集団のサイズ等)
②個人要因(性別・態度・不安)
③リーダーシップ要因(リーダーシップのタイプ)
④チーム要因(種目特性・志向性・集団模範)
これら4つを用いて、スポーツ集団の集団凝集性構造モデル(図1,3)を示し、
集団凝集性が4つの要因とそれぞれに円循環的に相互作用することを示唆して
いる。
チーム・製=囚
/仙…岬’\
仙1人妻囚 環境要因
一一\一’ [一/’
≡リーダーシップ.
要閑
丁仕丁榊一
㎜
電人の業業 賃人の業果
着火こ■業盤
図1.3:スポーツ集団の集団凝集性モデル構造モデル(C趾mn■982)
2.集団凝集性尺度の再検討
阿江(1986)は、Yuke1sonet a1(1984)が作成した、集団凝集性尺度38項目、
阿江作成の31項目の合計69項目からなる質問紙を用いて調査を行なった。「全
くちがう」から「非常にそうだ」までの7件法により構成されている。調査対
4
第1章 序論
象は、部活動所属の大学生男子219名で、競技レベルは関東大学1部リーグと
なっている。因子分析の結果、rメンバーの親密さ」rチームワーク」r魅力」r価
値の認められた役割」「目標への準備」の5因子19項目が抽出されている。
3.集団凝集性と集団志向の関係、および、集団凝集性の試合成績への効果
阿江(1985)は、集団に対して抱く、社会感情尺度と集団凝集性を直接評価させ
る凝集性尺度を用いて実験が行った。社会感情尺度は、6個の形容詞からなる集
団に対して抱く魅力を測定する尺度である。集団凝集性尺度については、「対人
魅力による凝集」「所属・課題による凝集」の2つの因子から構成されている。
調査対象は、バレーボールチームである。集団志向分類の基準は、競技志向と
して、全日本女子バレーボール選手権出場5チーム、実業団12チーム。レクリ
ェーション志向として、ママさんバレーボールチーム5チーム、同好チームが8
チームに分類されている。
結果、社会感情尺度、集団凝集性尺度の下位尺度である「対人による凝集」
が、ママさんバレーボールチームが1番高く、実業団チームが1番低いことを
有意に示している。一方、集団凝集性下位尺度である、「所属・課題凝集」は、
学生が1番高く、ママさんバレーボールチームが1番低いことを有意に示して
いる。加えて、試合成績と集団凝集性との相関の検討では、「所属・課題による
凝集」のみが試合成績と正の相関関係であることが示された。これらのことか
ら、競技スポーツチームにおいては、「課題凝集」が試合成績とより関係が深い
ということが示唆され、Heuze(2006)と同様の知見が得られている。
4.スポーツにおける集団凝集性の構造検証ならびにパフォーマンスとの関係
織田(2007)は、Carr㎝(1982)の集団凝集性モデル構造に基づき、集団凝集性
5
第1章 序論
尺度を作成し、妥当性を検討している。また、それによって2つの検証を行な
っている。
①スポーツ場面における個人・社会志向性尺度(磯貝,2000)を用いて、スポーツ場
面において志向が個に向いているのか、集団に向いているのか、の捉え方の違
いによって集団凝集性に対する認知の違いがあるのかを検討
②フェイスシートの競技レベルによって3カテゴリーに分類し、パフォーマン
スの指標として競技レベルを用いている。それにより、集団凝集性とパフォー
マンスの関係を検証している
結果、個人志向性は、「課題に対する集団の魅力」に最も影響を及ぼし、社会
志向性は集団凝集性因子である4つ全てに有意差があることから、凝集性全般
にわたって影響を及ぼすことが示唆されている。パフォーマンスとの関連の検
証では、「課題に対する集団の魅力」に大きな影響があることが推察される。し
かしながら、従来の研究とは異なり、競技レベルが高いチームは社会凝集が低
いという結果はみられなかった。
このように、集団凝集性における先行研究では、「課題凝集」が集団凝集性、
チームパフォーマンスに与える影響が大きいという知見が多く行われている。
1.1.4集団効力感とは
集団効力感は、Bandura(1997)によって唱えられた概念であり、「ある目標を
達成するために組織された集団において、目標を達成するために必要な課題を
実行するという、集団に所属するメンバーが共有する信念」と定義されている。
また、Za㏄aro(1995)は「状況の要求に上手に協力して反応するために、自分た
ちの能力を配分し、調整し、統合する場合に共有する集団的能力」と定義付け
ている。つまり、集団効力感とは、チームの能力に対するメンバーの確信であ
第1章 序論
ることから、チームに対する自信のことを指している。Za㏄aroは集団効力感の
資源として集団サイズ、集団のリーダ』シップ、代理体験、過去のパフォーマ
ンス等を挙げている(図4)。また、近年、先行研究において、集団効力感と集団
凝集性、パフォーマンスは密接に関連することが示唆されている。Heuze(2006)
は、バスケットボールチームを対象として、集団効力感、集団凝集性、パフォ
ーマンスの3変数間の関連性について検証している。結果、過去のパフォーマ
ンスと集団効力感、集団凝集性の中でも、r集団の課題に対する統合」との間に
関連性があることを示している。しかしながら、集団凝集性を媒介として集団
効力感が上がるのか、もしくは、その逆なのか、ということが未解明となって
いる。いずれにせよ、集団効力感と集団凝集性の間には何らかの関連性がある
ことが推察され、それらについての先行研究を紹介していくこととする。
代理体験
集団の
集団サイズ
リロダ・シツブ
集団効力感
集団凝集
過去のバフォロマンス
言語による説得
図1.4:集団効力感の要因(Za㏄amet副,1995)
7
第1章 序詮
1.1.5集団効力感に関連する先行研究の紹介
1.集団成果に影響を及ぼす集合効力感の効果∼スポーツチームを対象に∼
本間ら(2004)は、集団効力感の先行要因を「過去の成果」、「代理学習」「目標
設定」「競技の性質」「レディネス志向」「チームワーク」と仮定し、それぞれの
要因ごとに項目を作成した。あわせて、Paskevich(1999)らの先行研究を参考に
し、「プロセス信念」「成果信念」の2因子13項目から構成される集団効力感尺
度を作成した。それを用いて、集団効力感の先行要因と集団効力感、勝敗と集
団効力感との間の因果関係の検討を行なっている。結果は、勝ちチームと負け
チーム間の各先行要因の平均値の差では、r競技の性質」を除き、全て勝ちチー
ムの方が負けチームよりも平均値が有意に高いこと、「プロセス信念」と勝敗が
因果関係にあることが示された。また、集団効力感の先行要因と集団効力感と
の問にそれぞれ関連性があることが明らかにされている(図1.5)。
目右票書空気…
成果
代理望学習
フpローヒス{言含
チームワーク≡
連携性競さ変
レ’ラ声イネス
成果イ言含
過去の成果1
図1.5:集団の成果と集団効力感と先行要因の関係(本間ら,2004)
2.高校運動部員を対象とした集団効力感の研究
一集団凝集住及び部活動ストレッサーとの関連による検討一
尼崎ら(2004)は、高校野球部員を対象とした「試合前の落ち着き」「試合中の
流れ」r終盤の粘り強さ」から構成される集団効力感尺度を作成し、集団凝集性、
8
第1章 序論
部活動ストレッサーとの関連性を検討している。集団凝集性尺度は、「試合前の
落ち着き」「まとまり」「誇り」「コーチ評価」の4因子14項目で構成されてい
る。集団凝集性の各因子を独立変数、集団効力感の各因子を従属変数とした重
回帰分析を行なった結果、「試合前の落ち着き」と「親密さ」「まとまり」、「試
合中の流れ」と「まとまり」「コーチ評価」、「終盤の粘り強さ」と「親密さ」「誇
り」「コーチ評価」がそれぞれ有意な正の標準偏回帰係数を示した。また、部活
動ストレッサー尺度も同様に有意な正の標準偏回帰係数がみられた。このこと
から、集団凝集性と集団効力感との間に関連性があることが明らかにされてい
る。
3.高校運動部員の集団効力感に関する研究
一集団効力と部活動適応及び社会スキルとの関係∼
芹澤ら(2008)は、集団効力感と部活動適応、社会的スキルとの関連性を検証し
ている。社会的スキルとは、人間関係の形成や維持に必要な技能であり、スポ
ーツ場面での社会的スキル向上が日常生活にも影響を与えることが推測されて
いる。ここで用いられた、競技社会的スキル(杉山,2001)はr表出力」r解読力」
「社会的自己コントロール」「相手への対応」の4因子16項目で構成されてい
る。これら4因子を独立変数、集団効力感の各因子を従属変数とした重回帰分
析を行なった。その結果、「表出力」と集団効力感の各因子の間に有意な正の標
準偏回帰係数がみられた。「表出力」は、チームメイトとのコミュニケーション
に関する項目で構成されており、この結果から、コミュニケーションと集団効
力感の間に正の相関関係があることが明らかになった。
1.1.6 ライフスキルについて
アメリカにおいて、IQ重視の社会が閉塞状態になっていた時代、知能指数(IQ)
9
第1章序論
に対する概念として、こころの知能指数(EQ(Emotiona1Quotient)という概念が
広まった。このEQがライフスキルの起源である。
日本においても、EQを用いた能力開発プログラムやセミナーは多くの企業、
学校に導入されている。EQが取り上げられるようになった背景は、アメリカ同
様、日本がIQ重視の社会が閉塞状態になっていたこと、子どもの共感性、自己
コントロールスキルの欠如が理由として挙げられる。特に、後者に関しては、
犯罪の低年齢化、子どもの学内におけるいじめ、引きこもりが近年は増加して
きている一因だと考えられる。この事実を受け、1996年、中央教育審議会では、
「生きる力」の育成を基本方針として定めた。以後、生きる力の概念が広く社
会に受け入れられるようになった。さらに、上野(2002)は、目標設定、コミュニ
ケーションスキルなどの心理社会能力であるrライフスキル」は、生きる力と
共通する部分が多いと指摘している。そのため、rライフスキル」獲得に関する
研究が教育現場では、近年盛んに行われている。
ライフスキルとは、WH0(1997)によると、ライフスキルを対人場面で展開さ
れる社会的スキルを内包した心理社会的能力と方向づけ、「日常生活で生じるさ
まざまな問題や要求に対して,建設的にかつ効果的に対処するために必要な能
力」と定義づけしている。WHO(1997)は、多くの人々に適用される非常に一般
的なライフスキルとして、次の10の側面をあげている。
・自己認識 Se1f・awareness
・共感性 Empathy
・効果的コミュニケーションスキル E脆。tive Communication Ski11s
・対人関係スキル Interpersona1re1at1onsh1p Sk111s
・意志決定スキル Decision Making Ski11s
・問題解決スキル Prob1em So1vingSki11s
10
第1章序論
・創造的思考 Creative Thinki㎎
・批半1」的思考(クリティカル思考) Critica1Thinking
・感情対処 Copingwith Emoti㎝s
・ストレス対処 Copingwith Stress
また、国内のライフスキル研究では、島本・石井(2006)は、大学生全般に求め
られるライフスキルを対人スキル(親和性、リーダーシップ、感受性、対人マナ
ー)と個人スキル(計画性、情報集約力、自尊心、前向き思考)の2つに大別して
いる。また、島本ら(印刷中)は、アスリートに求められるライフスキルとし
て以下の1Oの側面を挙げている。
・ストレスマネジメント Stressmanagement
・目標設定 Setting goa1s
・考える力 Thmkmgcarefu11y
・感謝する心 Appreciatingothers
・コミュニケーション Communicating
・礼儀・マナー lMainta1nmgetiquetteanamanners
・最善の努力 A1ways making㎝e’s best e脆rt
・責任ある行動 TakingresponsibiIity他rone’s ownbehavior
・謙虚な心 Beinghumb1e
・体調管理 1〉[aintainingphysica1hea1thandwe11being
ライフスキルが高ければ、アスリートとしても、優れた成績を収める傾向が
あるように、ライフスキルとスポーツ成績との間に正の相関があることは、先
行研究においても示されている(石倉,1999;島本・石井2007)。また、ライフスキ
ルと集団に関する先行研究では、芹澤ら(2008)の先行研究において、社会的スキ
ルの「表出力」と集団効力感との間に相関があることが明らかにされている。
11
第1章 序論
社会的スキルは、ライフスキルに内包している概念であり、ライフスキルの対
人スキルにあたる概念が社会的スキルとほぼ同義である。このことから、ライ
フスキルの対人スキルが集団効力感、集団凝集性と正の相関関係にあるのでは
ないかと推測される。加えて、集団に属しスポーツをする限り、試合に出場で
きない時、怪我をした時、など様々な困難に当たるであろう。そのような時に、
チームのため、仲間のために全力を尽くすことができる選手が多いチームほど
まとまりがあることが考えられる。その困難を乗り越える際に必要なスキルが
ライフスキルの個人スキル(例えば、前向き思考)なのではないかと考える。そこ
で、本研究では、対人スキル、個人スキルを合わせた特性をもつライフスキル
に着目することとした。
1.1.7 ライフスキルに関連する先行研究の紹介
1.大学期における課外活動の種類とライフスキルの関係
平井ら(2012)は、ライフスキルを個人スキル(計画性、情報集約力、自尊心、
前向きな思考)と対人スキル(親和性、リーダーシップ、感受性、対人マナー)に
大別し、調査対象者を文化系・体育会系など幾つかにグループ分けし、それに
よって課外活動の種類とライフスキルの関係を示している。結果、以下のこと
が明らかとなった。
①4年生は、ライフスキル得点、個人・対人スキル得点のいずれも他学年よりも
有意に高い得点を示し、女性は、対人スキルのみ男性よりも有意に高い得点を
示した。
②体育会系(特に、集団スポーツ)は、ライフスキル得点、個人・対人スキル得点
いずれも無所属者・文化系所属者よりも有意に高い得点を示した。
12
第1章序論
2.スポーツ経験とライフスキルの因果のモデル構成の試み
島本・石井(2007)は、体育授業におけるスポーツ経験とライフスキル(個人ス
キル・対人スキル)の間に影響を媒介する第3変数をメンタルヘルスとし、因果
モデルを検証している。その結果、「個人スキル」に対しては、体育授業におけ
るスポーツ経験はメンタルヘルスを媒介とした間接効果のほうが「個人スキル」
に大きい影響を示した。一方で、「対人スキル」モデルでは、体育授業における
スポーツ経験が直接効果で「対人スキル」に影響を示していた。
1.2 研究の目的
芹澤らが示したように、集団凝集性・集団効力感には、社会的スキル、特に、
コミュニケーションと関連性があることが明らかになっている。これは、ライ
フスキルの対人スキルにあたるものであり、チームスポーツには、個人スキル
を含めた総括的なライフスキルが必要なのではないかと推測する。そこで、本
研究の目的は、ライフスキルのどの下位尺度が集団凝集性・集団効力感と正の
関連があるのかを明らかにすることである。
13
第1章 序論
1.3本論文の構成
本論文の構成を、図1.6に示す。
第1章では、集団凝集性・集団効力感、ライフスキルについて論じる。第2章
では、調査内容、調査時期などの研究方法について論じる。第3章では、3回の
本調査から得られた結果について論じる。第4章では、分析結果を受け、集団
凝集性。集団効力感に影響を及ぼすライフスキルの要因を検討し、論じる。ま
た、現代の大学生の特徴を挙げ、日本の教育現場でも鍵となっている「生きる
力」について論じる。第5章では、本研究の結論、今後の課題と展望について
論じる。
14
第1章庁議
寛1量序晴
、}研究の背只と目的一
・稟団澱真性・真動劾力感・ライフスキルの紹介
.これまでの先行酬琉の級介、悶固点
・=一醐ぢ剛こま…ける目。句
.■;レ、
算2章 研究方法
}函査方法・貢間統について∼
・本醐音の実施方絵.実施崎期.分析方法1=ついて
・各尺度を相成する内容1二ついて
.サ
:算3章幹男
一搬新調童から測られた錆棄一
…・各尺度間の相関闇係について
・各尺度の管領性の検証
サ
一算4章考索
山要因分析・「生きるカ」一
I・
3貫のまとめ
業団獲稟性業団劾力感と有意に開係するライフスキルの裏剛二ついて
・「生きるカ』の昭介
サ
業5素舗調
一要因分析・「生きるカ」一
・第1章一第4重がら絹られた籍諭1:ついて
・今後の誤級と震唄
図 1.6
本論文の権威
15
第2章 研究の方法
2.1 調査時期
本研究では、関西学生サッカーリーグ開幕の平成24年5月、リーグ中断時期
の9月の2時点による縦断調査を行う。
2.2 調査対象と調査手続き
今回の調査では、関西地区の私立大学1校の男子サッカー部を調査対象とし
た。同大学を調査対象とした理由は、縦断調査を行うために調査対象を絞る必
要があったことと、数十人以上という統計解析を行う際に必要なある程度の人
数を一度に確保することができたためである。学生には、ミーティングが始ま
る前に配布、その場で記入をしてもらい、ミーティング終了時に回収を行なっ
た。尚、選手選考など、調査結果は日常の部活動場面には一切関係しない旨を
口頭で伝えた。合計で76部配布し、2度の調査に不備なく回答した57部(4年
生11名、3年生17名、2年生20名、1年生10名 回収率75%)の有効回答を
得た。
16
第2章研究の方法
2.3 調査内容
2.3.1 フェイスシート
フェイスシート上にて名前、所属カテゴリー、学年への記入を求めた。
2.3.2集団凝集性
本研究では、阿江(1986)による大学生運動部員(対象競技:サッカー、バスケ
ットボール、バレーボール)を対象として作成された集団凝集性測定尺度を凝集
性を測る指標として用いた。これは、Carron(1982)らの凝集性尺度を基にした、
「メンバーへの親密さ」「チームワーク」「魅力」「価値の認められた役割」「目
標への準備」の5因子19項目から構成されている。尚、尺度自体は5因子から
構成されているが、今回の分析では、尺度全体の尺度得点(総合点)のみを対象と
した。これは、「集団凝集性」という概念そのものを対象としているためである。
また、本尺度の信頼性については、大学生運動部員を対象とした、持田・島本
(2012)の研究によって内的一貫性を表すα係数においても基準値の.70を上回る
値であったため、本研究においても適用可能と判断した。
回答方法は、r1:全くちがう」からr7:非常にそうだ」までの7件法によっ
てなされており、数字が高いほど「集団凝集性」が高い状態であることを表し
ている。集団凝集性尺度の項目を表2.1に示す。
17
第2章 研究の方法
表2.1
集団凝集性測定尺度(阿江,1986)
第1因子:メンバーの親密さ
チームに対する友情を感じ、それに満足している
チーム内に揉め事がたくさんあり、お互いうまくやっていけない
チーム内は親密であると思う
チーム活動以外でも、メンバーはお互いにうまくやっていける
メンバ』間の人間関係は、良いと思う
チームメンバーはお互いに強い仲間意識を持っている
チーム内の人間関係が好きである
チームメンバー間のコミュニケーションは少ない
第2因子:チームワーク
試合で負けていても、チームはしっかりまとまっている
自分のチームは、試合では素晴らしいチームワークを発揮する
メンバーは皆チーム内での自分の役割を自覚している
勝つために、まとまることができきるチームであると思う
第3因子:価値の認められた役割
あなたの役割やチームヘの貢献はメンバーから十分に認められている
あなたの役割やチ』ムベの貢献はコーチングスタッフから十分に認められてい
る
第4因子:魅力
今のチームメンバーであることは非常に価値がある
今のチームメンバーであることに大変誇りを感じている
第5因子:目標への準備
コーチの指導方法は良いと考えている
試合で必要な作戦、役割、手続きは、コーチから十分に与えられている
コーチの作戦が理解され、達成されるまで、十分に訓練されている
18
第2章研究の方法
2.3.3集団効力感
集団効力感を測定する尺度として、芹澤ら(2008)によって、Shorteta1(2005)
によるCo11ective E舶。acy Sca1eを基に開発された高校運動部員版集団効力感
尺度を用いた。尚、この尺度は、高校生を対象として開発されたものである。
しかしながら、持田・島本(2012)の大学サッカー部員を対象とした研究によって、
同尺度を用いた際、探索的因子分析を行なった結果、因子構造もほぼ同等の配
列を示し、内的一貫性を表すα係数においても基準値の.70を上回る値であった
ため、同尺度の大学生への適用は可能と判断した。
本尺度は、「能力発揮」「協力態勢」「準備体制」の3因子12項目で構成され
ている。尚、尺度自体は3因子から構成されているが、今回の分析では、集団
凝集性尺度同様、尺度全体の尺度得点(総合点)のみを対象とした。回答は、「1:
全く思わない」から「5:とても思う」までの5件法で回答を求めた。各因子の
合計得点が高いほど、各因子に対する評価が高いと判断される。以下、表2.2
に高校運動部員版集団効力感尺度を示す。
19
第2章研究の方法
表2.2 高校運動部員版集団効力感尺度
第1因子:能力発揮
私のチームは、対戦相手よりも高い技術を発揮することができる
私のチームは、対戦相手よりも良い動きをすることができる
私のチームは、他のチームよりも高い能力を発揮することができる
私のチームは、対戦相手に勝つことができる
第2因子:協力体制
私のチームは、チームの結束力を高めることができる
私のチームは、チーム内の問題を解決することができる
私のチームは、チーム内において効果的なコミュニケーションをとることがで
きる
私のチームは、気が散らないようにすることができる
第3因子:準備態勢
私のチームは、対戦のための準備をすることができる
私のチームは、プレッシャーに負けずにプレーすることができる
私のチームは、目の前の試合に対して、身体的なコンディションを整えること
ができる
私のチームは、目の前の試合に対して、心の準備をすることができる
20
第2章 研究の方法
2.3.4 ライフスキル
ライフスキルを測定する尺度として、島本ら(印刷中)が開発した大学生アスリ
ート用ライフスキル評価尺度を用いた。「ストレスマネジメント」「目標設定」「考
える力」「感謝する心」「コミュニケ』ション」「礼儀・マナー」「最善の努力」「責
任ある行動」「謙虚な心」「体調管理」の1O因子40項目によって構成されてい
る。回答は、「1:ぜんぜんあてはまらない」から「4:とてもあてはまる」の4
件法で回答を求め、評定値が高いほど、ライフスキルの獲得レベルが高いと解
釈される。以下、表2.3に各下位尺度の項目を示す。
21
第2章 研究の方法
表2.3大学アスリート用ライフスキル評価尺度
※二重線下線がつく項目は逆転項目である。
目標設定
目標は考えるだけでなく、紙に書き込むようにしている
一週間や一ヶ月、半年単位とある期間ごとに目標を立てている
目標を達成するための計画を具体的に立てている
強く意識しつづけるために目標をノートやスケジュール帳に書き込んでいる
コミュニケーション
チームのメンバーの前では本当の自分を表現することができている
チームのメンバーとは誰とでもコミュニケ』ションがとれている
同学年だけでなく,先輩や後輩,指導者ともうまく付き合っている
チームのメンバーとはプライベートも含め幅広く交流するようにしている
ストレスマネジメント
悩み事を一人で解決できない時には、誰かに相談するようにしている
悩み事は包み隠さず相談相手に打ち明けるようにしている
悩み事はきちんと話を聞いてくれる人に打ち明けている
悩み事は相談相手に素直に打ち明けている
体調管理
食事は自分に必要な栄養素を考えながら摂取している
適度な睡眠をとり,次の目に疲れを残さないようにしている
同じような物ばかり食べていて 食生活が偏食気味である
用もないのに夜更かしをしている
最善の努力
なかなか周囲に認められなくても辛抱強く努力し続けることができる
なかなか成果が出ない時でも,自分を信じて努力しつづけることができる
目標の達成に向けて,一歩一歩着実に努力していくことができる
単調な作業の繰り返しでも,地道に取り組むことができる
22
第2章研究の方法
礼儀・マナー
試合中に悪質なヤジを飛ばすようなことはしない
感情的な挑発行為や言動は行わない
対戦相手や審判に失礼になるようなことはしない
反則されても仕返しするようなことはしない
責任ある行動
同じような失敗を二度と繰り返さないようにしている
失敗をした時には,すぐにその分を取り返そうと努力する
ここぞという場面では,持てる力を全部出し切るようにしている
失敗から得た教訓を今後に活かしている
考える力
あれこれと指示を受けなくても、次にどうすればよいか考えることができる
成功や失敗の原因を自分なりに分析してみることができる
問題や課題への解決方法を,自分自身で見出すことができる
周囲の人の考えをもとに,自分なりの答えを導き出すことができる
謙虚な心
だとえほめられたとしても,いつまでもその事で浮かれることはない
過去の栄光や成功にいつまでもとらわれないようにしている
調子に乗りそうな時でも,その気持ちをうまく抑えている
いつも自分が絶対に正しいとは思わないようにしている
感謝する心
お礼の言葉は,はっきりと声を出して伝えている
rありがとう」の気持ちを素直に表現することができる
自分を支えてくれている人への感謝の気持ちを,いつも胸に留めている
家族や親しい友人であっても,感謝の気持ちはきちんと伝えている,
23
第2章研究の方法
2.4 分析内容
まず、既存尺度の信頼性(内的一貫性、安定性)の検証を行った。本研究に
おいて使用している既存尺度の内的一貫性を検討するために、集団凝集性尺度、
高校運動部員版集団効力感尺度、大学生アスリート用ライフスキル評価尺度の
各下位因子それぞれのα係数(Cronbach’s α)を算出した。合わせて、安定
性を検討するために、1時点目(2012年5月)、2時点目(2012年9月)間の各尺
度間における相関係数(再検査信頼性係数)を算出した。合わせて、時間の経
過によって変数の値が有意に変動しているかを確認するため、同一変数内にお
ける時点間の値の差を対応のあるt検定により検討した。
次に、各尺度の関連性の検討として、集団凝集性、集団効力感とライフスキ
ル間の横断データを用いた相関分析を行なった。また、変数間の関連を厳密に
調査するために、1回目本調査のライフスキル下位因子を独立変数、2回目の
集団凝集性、集団効力感を従属変数としてステップワイズ法による重回帰分析
を実施した(図2.2)。分析には、IBS SPSS Statistics20.Oを用いた。
2}点8
1}点目
羅桑住劾カ盤尺度続点
ライフスキル下位尺度得点
国2.2 重回層分析イメ’ジ目
24
第3章結果
3.1 信頼性の検証
本研究では、各変数の内的一貫性を検討するために、α係数を算出した。
また、安定性を検討するために、再検査信頼性係数として、同一変数内におけ
る時点間の相関係数を算出した。表3.1には、信頼性を表す各係数の値を示して
いる。
表3.1変数の信頼性(n=56)
信姦騒
α係数
鵬点目
1時点目
2時点目
→2時点目
集団凝集憧 .95
.卿
.49
集団効力感 .93
.93
.蝸
目標設定 .81
172
、欄
コミュニケーション .測
.68
.65
ストレスマネジメント .90
.91
.50
体調管理 167
.77
.72
最善の努力 .83
.79
.75
礼儀・マナー .82
.73
.51
責任ある行期 .73
.75
.53
着えるカ .81
.65
.63
謙虚な心 .備
.74
.籏
農書する心 .83
.83
.62
注1〕 1時点目:2012年5月 2時点1ヨ:2012年≡9月
注2〕再検養信頼性係数の割まいずれもP〉0.1
内的一貫性を表すα係数において、一部で基準値の.70を下回るものがみられ
たが、全体的には、基準値を上回る値であった。
安定性を表す再検査信頼性係数では、集団凝集性、集団効力感両尺度、ライ
フスキル下位尺度の各側面ともに、その値は概ね、中程度以上の正の相関関係
を示す.40以上であった。
この結果から、各尺度の内的一貫性と安定性は概ね確保されていることが示
25
第3章 結果
された。
3.2 各時点における変数の基本統計量
表3.2には、各変数の基本統計量を示している。
表3.2各時点における変数の基本統計量(n=56)
1時点目
2時点目
{2012年9則 帽㈱
{2012年5月,
SD 平均橦 SD
平均値
集団凝集性
一02.48
集団劾力感
46.境
目標設定
15,00
0,63
7.73 45,70
7,76
0,73
10.66
2.96 10,48
2,51
0,58
コミュニ・ケーション
12.77
2.38 12,66
1,94
0,43
ストレスマネジメント
11.82
3.59 11,59
2,90
0,52
体調管理
12.27
2.41 12,43
2,62
0,63
最善の努力
12.75
2.12 12,00
2,16
2.oか
礼携.マナー
11.強
2.76 12,07
2,37
1,61
責任ある行動
13.41
1.80 13.I8
1,80
0,99
考える力
12.55
2.12 12,57
1,72
0,8
議虚な心
12、珊
2.00 12,66
2,00
1,16
感議する心
13.船
2.00 14.06
1.9④
0.71
13.64 101,25
リ〈0.5
注1〕集団凝集性尺度得点:最埴、値I9最大値133
注21集団効力感尺度得点:最小値12最大値6①
注3〕 ライフスキル各下位尺度:最小値4最大薗16
ライフスキル下位尺度得点は、すべての時点において、「感謝する心」が最も
高く、反対に、常に目標を意識して行動するという「目標設定」が一貫して最
も低い平均値であった。
26
第3章結果
3.2.1時点間の変数比較
時点間の相違を調査するため、各変数に対して対応のあるt検定を行なった。
その結果、「最善の努力」において、0.5%水準(t:2,018,pく0.5)で2時点目よ
りも1時点目のほうが有意に高い値を示した(表3.2図3.1)。
図3.1 r最善の努力」時点ごとの下位尺度得点
最善Φ努力
^ .
14.00 −
13.50
13.00
12.珊 一
1ユ.00
(.申.05〕
11.珊 ・
「■…
吹:2.01ε)
11.00 1
塒点目
塒点目
12012年5月1
1ユ012年9月1
「最善の努力」以外の変数についてみてみると、集団凝集性、集団効力感、ラ
イフスキル各尺度得点は1時点目と比較し、2時点目の得点は低くなっている。
しかし、この差は有意な値ではなかった。
27
第3章晴果
3.3 横断データを用いた相関分析
3.3.1 1回目データを用いた分析
1時点目(2012年5月)の調査結果を踏まえ、集団凝集性、集団効力感とライ
フスキル下位尺度間の相関関係を検討するために、集団凝集性尺度得点及び集
団効力感尺度得点とライフスキル下位尺度得点について相関分析を行なった)。
分析の結果、ライフスキル各変数と集団効力感・集団凝集性との相関関係の
値は、「目標設定」を除きいずれも有意な正の相関関係が認められた(r=.11∼.62,
いずれもpく.05)。そこで、本研究では、より強い相関関係を抽出するために相
関係数が.50以上の値を示した関係性のみに着目することとした。その結果を、
図3.2に示す。
「r=皿以上の開係を表記」
目管設定 「係散の値はいずれも〆血山
54 コミューケーション 62
ストしスマネ三戸メ:ソト
体調管理
良書ω努力
一一」, 、50
集団動力働 ’‘■一一. 集団鵬牲
孔資・マナー
\ 責匡ある行動
\ ’53
\塊該る力
」珊 植塵な心
.50 冒訂する心 別
図3.2 1時点目(2012年5月)相関分析結果
分析の結果、集団凝集性、集団効力感に共通してrコミュニケーション」r感
謝する心」間に中程度の有意な正の相関が示された。この結果は、芹澤ら(2008)
と同様の知見を得られた。その中では、社会的スキルのrコミュニケーション」
と集団効力感との間に正の関連性があることを示唆している。
28
第3章 結果
3.3.2 2回目のデータを用いた分析
分析結果が安定したものかを確認するために、2時点目(2012年9月)の調査
をもとに、相関分析を行なった。1時点目の分析結果と同様、ライフスキル各変
数と集団効力感・集団凝集性との相関関係の値は、「目標設定」を除きいずれも
有意な正の相関関係が認められた(r=.14∼.62,いずれもp〈.05)。そのため、1
時点目の分析結果と同様に、相関係数が.50以上の値を示した変数のみに着目す
ることとした。その結果を図3.3に示す。
rFj0以上の宙幌を表記」
目標設定 「相関係散の値はいずれも呼』u
.62 コミユ・ケーション 53
ストレスマネジメット
体調音理
最善ω努力
集団地力冒
集団嬢実性
孔働・マナー /
/
/
責任ある行動
\
珊!
.60 言える力
練虚な心
占7居竈する心 珊
図3.32時点目(2012年9月)の相関分析結果
分析の結果、集団凝集性、集団効力感に共通して1時点目の結果と同様、「コ
ミュニケーション」「感謝する心」間に中程度の有意な正の相関が示された。加
えて、今回の分析結果では、「考える力」との間にも中程度の正の相関関係が認
められることが示1された。
29
第3章結果
3.4 縦断データを用いた重回帰分析
3.4.1 重回帰分析(従属変数:集団凝集性、集団効力感)
ライフスキルの各下位尺度と集団凝集性、集団効力感との関係をより厳密に
検証するために、1時点目(2012年5月)のライフスキル各下位尺度を独立変数、
2時点目(2012年9月)の集団凝集性尺度得点及び、集団効力感尺度得点を独立
変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行なった。
独立変数
従属変数
目撮設定
コミュ;ケ・シ…1シ
ストレスマネ…ノメント
R一言.21...
体棚管理
集団凝集’置
、由二 ‘2時点目,
口書の籍カ
孔債・マナー
口鉦ある行数
書貴る刀
...
調歴な柱
Y.m1
躯端するlo
図3.4重回帰分析の結果(集団凝集性)
その結果、集団凝集性の決定係数は、R2=.21(F=5.5,p>.001)、集団効力感の決
定係数は、R2=.11(F=7.43,p>.O1)であり、ともに有意な値であった。
まず、集団凝集性においては、分析の結果、唯一、『コミュニケーション』が
集団凝集性に対して正の影響を与えていることが示された(図3.4)。また、集団
効力感においても同様に『コミュニケーション』のみが正の影響を与えている
ことが示された(図3.5)。
これらのことから、チームに所属する選手の「コミュニケーション」スキル
が高いほど、チームの集団凝集性、集団効力感が高まる可能性が示唆された。
30
第3章 結果
独立変数
従属変数
8優設定
コミュニケーション
ズトレスマネミノメント
一■=.11・.
体旧普鯉
策1慎効力感
一2時、点一.”
口書ω賀カ
乱調・マナー
電任ある行数
書える刀
・.
録慮な心
態銅する’じ
図3.5重回帰分析の結果(集団効力感)
31
ネ.o1
第3章結果
3.4.2 重回帰分析(従属変数:コミュニケーション)
次に、集団効力感、集団凝集性に対する正の影響が示された「コミュニケー
ション」に対してどのライフスキル下位尺度が影響を与えているのか検討した。
1時点目(2012年5月)の「コミュニケーション」を除いたライフスキル各下位
尺度を独立変数、2時点目(2012年9月)の「コミュニケーション」を従属変数
とした重回帰分析(ステップワイズ法)を実施した(図3.6)。
従属変数
独立変数
目標設定
R2=.21.‘.
コミュニケ・シ…1シ
ストレスマネジメント
コミュニケーション
12回日1
体調管理
量暮の努力
礼優・マナー
資任ある行コ
.55.榊
書えるカ
.構.
垂ュ。001
勝虚な心
感謝する心
図3.6重回帰分析の結果
「コミュニケーション」の決定係数は、R2=.29(F=22.9,p>.001)で有意な値を
示した。分析の結果、『感謝の心』のみがコミュニケーションに対して正の影
響を与えていることが示された。このことから、コミュニケーションスキルを
高めるためには、r感謝する心」を高めることが重要である可能性が示唆され
た。
縦断データを用いた一連の重回帰分析によって、集団凝集性、集団効力感に
対しては「コミュニケーション」スキルが正の影響を与えることが示唆され、
rコミュニケーション」スキルに対しては、 r感謝する心」が正の影響を与え
32
第3章結果
ることが分析結果によって推測された(図3.7)。
.二㌶
実回雅美1性
酬する心→地ニケー沖ン
55...
ュ
1㈱点目,
.47...
.35..
、1鼻団賄カ殖
‘2時、点目,
33
第4章考察
4.1 第3章のまとめ
尺度の信頼性
本研究で用いた各尺度について、α係数(Cronbach’s α)を算出した結果、
概ね基準値の.70を超えていたため、内的一貫性が確認された。
また、安定性を表す再検査信頼性係数においても、各側面のすべてに中程度
以上の正の相関関係がみられ、安定性も確認された。
時点間における各変数の変化
同一変数内における、1時点目と2時点目の平均値の比較を対応のあるt検定
を用いて行なったところ、ライフスキル下位尺度の「最善の努力」において、
0.5%水準(t=2,018,pくO.5)で1時点目のほうが有意に高い値を示した。それ以外
の変数については有意な差は認められなかった。
横断的データを用いた相関分析
集団凝集性、集団効力感とライフスキル各下位尺度との相関分析における結
果では、rコミュニケーション」r感謝する心」の両スキルが集団凝集性,集団
効力感との間にr:.50以上の中程度の正の相関係数を示した。また、1時点目の
データを用いた結果の再現性を確認するための2時点目の調査においても、同
様の結果が得られた。このことから、集団のまとまりとチームに所属する選手
個々の「コミュニケーション」「感謝する心」の両スキルとの間に正の関連性が
あることが示唆された。
縦断的データを用いた重回帰分析
集団凝集性、集団効力感とライフスキル各下位尺度との関連性を厳密に検証
するため、1時点目のライフスキル各下位尺度得点を独立変数、2時点目の集団
34
第4章考察
凝集性、集団効力感の両尺度を従属変数とする重回帰分析を行なった。その結
果、効力感、凝集性ともに、ライフスキル下位尺度の「コミュニケーション」
が有意な正の影響を与えていた。このことから、チームに所属する選手個々の
「コミュニケーション」スキルが上がると、集団効力感、集団凝集性が上がる
のではないかと示唆された。また、1時点目のライフスキル各下位尺度得点を独
立変数、2時点目の「コミュニケーション」スキルを従属変数として重回帰分析
を行なった。その結果、「コミュニケーション」スキルには、「感謝する心」が
有意な正の影響を与えていることが示された。このことから、集団のまとまり
を高めるためには、「感謝する心」をいかにして高めるかが重要になってくるの
ではないかと推測された。
4.2 「集団凝集性・集団効力感」に影響を及ぼす要因の分析
4.2.1 時点間の変数比較について
「最善の努力」において、1時点目と比較し、2時点目が有意に低い結果とな
った。また、集団凝集性、集団効力感、ライフスキルの尺度得点についても、
有意差はみられなかったが、2時点目に各尺度得点が低下している。この結果か
ら考えられる要因としては、調査対象チーム(以下A大学)のチーム状況が関わっ
ているのではないかと推測する。A大学は、1年間を通じて行われる、関西学生
サッカーリーグ1部に所属している。そのリーグ戦において、A大学は、リー
グ前期の成績が芳しくなかった。そのため、2時点目の調査を行なった、中断期
間中の9月の選手の言動がネガティブな類のものが多く、練習の雰囲気も良く
なかった。先行研究では、試合の勝敗と集団効力感との間には関連性があるこ
とが示唆されている(Za㏄aro et a1.1995)。このことからも、チーム成績が原因
となり1時点目の調査と比較し、2時点目のほう集団効力感が低かったことが考
えられる。それに伴い、2回の調査を通じて、集団効力感と中程度の有意な相関
35
第4章考察
がみられた「最善の努力」が2時点目に有意に低下したのではないかと推測さ
れる。
4.2.2集団凝集性・集団効力感の総得点に影響する要因
∼集団凝集性・集団効力感とコミュニケーションスキル∼
重回帰分析の結果から、ライフスキルの「コミュニケーション」スキルが集
団凝集性、集団効力感に正の影響を与えていることが示された。特に集団効力
感については、芹澤(2008)らの知見と同様の結果を示している。このように示さ
れた要因としては、調査対象クラブがコミュニケーションの活性化を重要視し
た活動を行なっているためではないかと推測する。
当該チームは、ファミリ』制度という活動を実施している。ファミリー制度
とは、4回生が親となり立場、学年関係なく5,6名の”ファミリー”という枠をつ
くり練習時間以外で食事や遊びなどでコミュニケーションが取れる場をつくろ
うという目的で実行されている活動である。対象チームは、100名近い学生が所
属している。選手の競技能力に応じて、カテゴリーがA,B,Cとあり、学年も1
回生から4回生がおり普段からカテゴリーごとに練習時間も異なる。そのため、
コミュニケーションが取ることができない学生同士がいるといった問題が生じ、
それを改善するために取り入れられた活動である。この活動を通して、複数の
選手から、「普段接することがない選手と接しクラブに自分が関わっている気持
ちが高まった」や「リーグの応援に一生懸命なれるようになった」等の声が聞
かれた。この活動があったため、集団効力感に対して選手個々の「コミュニケ
ーション」スキルが影響を与えたのではないかと推測する。
ファミリー制度の活動は、近年、チームや企業のまとまりを高めるために実
施されて注目を集めている「チームビルディング」に近い活動だといえる。チ
ームビルディングとは、予め組まれているプログラムをチーム、企業に所属す
36
第4章考察
る聴講者に対して、ファジリデーターが実施する。プログラムは目的によって
様々だが、チームで目標を確認し合い、目標に対するアプローチの方法をグル
ープで話し合うこと等が大部分のチームビルディングのプログラムの内容であ
る。荒地ら(2011)は、チームビノレディングによって、集団効力感が高まることを
確認している。また、チームビルディングは、プログラムの内容を除き、主な
活動の根幹となっているものが、メンバー間のコミュニケーションである。水
野ら(2012)は、チームビルディンクプログラムを経験することにより、実施前よ
りも実施後は、学生の他者理解スキルが有意に高くなっていることを確認して
いる。
これらのことからも、選手個々の「コミュニケーション」スキルを高めるこ
とが、チームの集団凝集性、集団効力感が高ねるごとに繋がる可能性があるこ
とが示唆される。
4.2.3集団凝集性・集団効力感の総得点に影響する要因
∼コミュニケーションスキルと感謝する心∼
重回帰分析の結果から、ライフスキルの「コミュニケーション」スキルに正
の影響を与えている変数が、ライフスキル因子の1つである「感謝する心」で
ある。この結果について考察していくこととする。筆者も含め、経験的に感謝
の一言を伝えるか否かによって、その後のコミュニケーションの円滑さが変化
することを経験したことがあるだろう。感謝の一言が自然に出てくるためには、
「自己開示」が必要となると推察する。中村(1991)は、コミュニケーションスキ
ルを高めるためには、自己開示、対人魅力、非言語的行動の3つの側面が正の
影響を与えていることを示している。これらの経験則や先行研究からも、「感謝
する心」を育成することが、コミュニケーションスキルを向上させるキーワー
ドになるのではないかと推察できる。さらに、「感謝する心」を育成することに
37
第4章考察
より、コミュニケーションスキルが向上し、最終的に集団効力感、集団凝集性
が高まるのではないかと推測する(図4.1)。
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一
、
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〆
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04.■ 06■,0えり‘・融量●業者ル■0
実際に、「感謝する心」を育成するための実践的取組みとしては、原田(2006)
が行なった事例として松虫中学陸上部で行なった例が挙げられる。原田が最も
力を入れたことは清掃活動と奉仕活動であったという。そして、原田はこの活
動によって、大阪の松虫中学陸上部を7年間で13回の日本一を輩出する強豪校
に育てた。この事例以外にも、「感謝する心」を再確認するため、他者理解を深
めるために清掃活動をおこなっている企業、チームが幾つか存在する。この事
実からも、今後は、「感謝する心」について焦点を当てた検討を行なっていく必
要がある。
また、今回の調査において、「コミュニケーション」と「感謝する心」を除く
ライフスキルの各因子は、集団凝集性・集団効力感に対して有意な影響を与え
ていなかった。このことから、「最善の努力」や「責任ある行動」などのライフ
スキルの各因子は、第3の変数を介して集団凝集性・効力感に影響を与えてい
るとも考えられ、今後は、そのような媒介変数について検討を行っていく必要
があるだろう。
38
第4章考察
4.3 現代の大学生にみられる問題
1.1.6で述べた問題に加え、大学生でも大麻栽培や性犯罪などの犯罪が近年増
加している。また、挨拶をしない、講義をしている先生を目の前にして携帯を
扱うなど、「人間らしく生きる」という当たり前のことができない大学生が増え
てきているように感じる。また、大学サッカー部活動場面においても、ゴミを
拾わない、挨拶をしない、試合に出られなくなった時、自分で思うようにプレ
ーができない時、味方がミスした時などに苛立ちが募り集中力を欠いてしまう
場面が多く見られる等の問題が増加し始めた。背景としては、サッカーをする
環境が整いすぎていることが要因の1つだと考える。例えば、Jリーグの下部組
織に所属し、12歳で中学生に相当するジュニアユースに入る。15歳でセレクシ
ョンに合格すれば18歳まで3年間高校生に相当するユースチームに所属するこ
とが約束されている。ユースチームに所属すると、練習は績麗な芝生の上でで
き、練習の後片付けや準備はほとんど大人のスタッフが行う。一方、高校部活
動では、理不尽な練習や上下関係が厳しい風土がある。この違いを象徴するこ
とを現ヴァンプォーレ甲府監督城福浩氏は以下のように述べている。
「南アフリカW杯メンバー23人のうち、Jクラブユース出身者は4人だけだっ
た。なぜクラブユース出身者よりも高校出身者のほうが日本代表まで上り詰め
る選手が多かったのか。それは、ジャパンブルーのユニフォームを着る選手は
どういうものかと言うと、“託せる選手’’なんです。うまい選手がジャパンブル
ーのユニフォームを着るのではなくて、目の丸を背負ってピッチに立てる選手
というのは“託せる”選手でないといけない。いろいろな見方はあるにせよ、
例えば岡田武史監督、あるいは他の監督がチョイスした選手の中で、“託せる選
手”は高校サッカー出身者のほうが多かったのが事実なのだと思います」(サッ
カージャーナリスト養成講座)
39
第4章考察
大学サッカー界にはJユース出身者が増加してきている。このような背景が
あり、耐えることができない、考えることができない大学生が増加しているの
ではないかと考える。
4.4 問題解決について
4.3で述べた現状を改善するために必要不可欠であることが、「人間らしく生
きる」という当たり前のことができる力「生きる力」を育成することである。
即ち共通する部分の多いライフスキルを養うことでもある。大学部活動を通じ
て、人と接する申で、対人関係スキル、効果的コミュニケーションスキルを学
び、試合に出場ができないことや厳しい練習を乗り越え、目標達成のために全
力を尽くす過程の中でストレス対処、問題解決能力などのライフスキル(個人ス
キル)が高まるのではないかと考える。その結果、選手個々の集まりであるチー
ムのまとまり、集団効力感、集団凝集性が高まるのではないかと推察する。
これらのことからも、大学サッカー部活動においての活動に全力を尽くすこ
とで、ライフスキルを身に付ける機会が多く存在するはずである。その機会を
創り出すために、指導者は組織を円滑に運営させる活動、雰囲気を生み出し、
選手をサポート、見守っていかなければならない。
40
第5章緒論
5.1 本調査から得られた知見
本研究では、以下3つの知見が確認された。
①横断データを用いた相関分析の結果、集団効力感、集団凝集性とライフスキ
ル因子「コミュニケーション」、「感謝する心」の間に正の関連性が安定的に認
められた。
②縦断データを用いた重回帰分析の結果、集団効力感、集団凝集性に対して、
ライフスキル因子「コミュニケーション」スキルが正の影響を与えていた。ま
た、「コミュニケーション」スキルに対して、ライフスキル因子「感謝する心」
が正の影響を与えていた。
これらの知見から、チームに所属する選手のライフスキルの特定の側面が、
集団効力感、集団凝集性と密接な関係にあることが示された。
チームは選手個々の集合体であり、チームとしてのまとまりを高めるために
は、特に、「コミュニケーション」と「感謝する心」が重要な要素となることが
推察された。
41
第5章緒論
5.2 今後の展望と課題
本研究では、ライフスキルと集団凝集性、集団効力感との間に一定の関連性
があることが認められ、大学サッカー部の組織作りに関して指導者が留意しな
ければならないポイントについて明らかにすることができた。しかしながら、
今回は1大学のみの検討となっているため、他大学サッカー部において結果が
異なるという可能性が示唆される。そのため、今後は、調査対象を拡大する必
要性がある。
今後の課題は、ライフスキルと集団効力感、集団凝集性を媒介する第3の変
数として、産業組織心理学分野において組織のまとまりを高める手がかりとし
て注目されている、組織市民行動に着目する。
組織市民行動とは、「命ぜられなくても従業員(職員)自らが行う行動で、そ
の行動によって会社(あるいは組織)の作業効率を促進させるが、従業員がそ
うした行動を行なったからといって、彼らの報酬や昇進に影響するわけではな
く、行わないからといって非難されることがないもの」(田中,2002)であり、先
行研究は組織市民行動が増加することにより、集団のまとまりが高まり
(Aoyagi,2008)、企業作業効率が向上するとされている(Podsako皿1997)。その
ため、本研究において着目したライフスキル、特に「感謝する心」や「コミュ
ニケーション」とも正の関連性があるのではないかと推測される。これらのこ
とから、今後は、r感謝する心」やrコミュニケーション」、組織市民行動、集
団効力感、集団凝集性との関係性を、横断調査、縦断調査を通じて検証してい
くことが必要である。
42
謝辞
謝辞
修士論文の作成にあたり、多くの方々にご指導、ご協力を頂きました。その
結果、無事に修士論文を完成させることができました。皆様には、この場を借
りて厚く御礼申し上げます。
指導教官である島本好平助教には、お忙しいスケジュールの合間に時間を見
つけ、丁寧にご指導をしていただき、こころより感謝致しております。
最後になりますが、調査協力をして頂いた、関西学院大学サッカー部員、ス
タッフの方々、島本先生と関係のある他大学の諸先生方、誠にありがとうござ
いました。
2012年12月20目(木)
43
持日ヨ利明
本論文に関する報告
本論文に関する報告
学会発表・抄録集
1)持田和明・島本好平(2012)
大学サッカー競技における組織市民行動尺度開発の試み.日本体育学会第63回
大会発表論文集pp54.
2)持田和明・島本好平(2012)
大学サッカー競技における集団凝集性・集団効力感とライフスキルとの関連性
の検討.日本スポ』ツ心理学会第39回大会発表論文集pp34−35
44
参考文献
参考文献
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島本好平・石井源信(2007)スポーツ経験とライフスキルの因果モデル構成の試み.
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島本好平・東海林祐子・村上貴聡・石井源信(2010)アスリートにおけるライフス
キル評価尺度開発の試み.日本スポーツ心理学会第37回大会研究発表抄録集,
島本好平・石井源信(2010)運動部活動におけるスポ』ツ経験とライフスキル獲得
との因果関係の推定.スポーツ心理学研究,37,89・99
田中堅一郎(2002)日本版組織市民行動尺度の研究.産業・組織心理学研究,15(2)
,77−88
上野耕平・中込四郎(1998)運動部活動への参加によるライフスキル獲得に関する
研究.体育学研究43,33・42
内田遼介・土屋裕睦・菅生貴之(2011)スポーツ集団を対象とした集合的効力感の
現状と今後の展望一パフォーマンスとの関連性並びに分析方法に着目して一,体
46
参考文献
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Mad−d−ux JE,Seife脆。acX adaption,and−ad−justment:Theory,research,and−
app1ication.P1enum Press,New兄rk and−London:308−330
47
付録
大学サッカー競技に関する
アンケート調査へのご協力のお願い
このアンケートは、部活動場面をはじめとした日常生活全体におけるあなたの行動や考え方について調べるこ
とを目的に実施されるものです。
回収した資料は、全体的な傾向を統計的に分析するという目的のみに使用し、個人の回答を問題視するような
ことは絶対にないことをお約束します。
また、一つひとつの質問には深く考え込まず、第1印象を大切にありのままの様子をお答え願います。厘匿盟
埜隻幽』また、継続的に調査を行わせていただくため・幽
せてお願いします その際のプライバシーの保 については保証致しま
最初に、下記の必要事項への記入をお願いします
回答に要する時間は約20分です。それでは、ご協力よろ
しくお願いします。
○名前
○記入日
○学年
○カテゴリー
月 目
回生
Aor B or C
調査責任者
兵庫教育大学大学院 学校教育研究科
行動開発系教育コース 持田和明
e’mai1/motida_63@yahoo.co巾
兵庫教育大学大学院 学校教育研究科
行動開発系教育コース助教
e・mai1!koheし一sh1mamoto@yahoo.coJp
48
島本好平
付録
I あなたのチームについてどのように感じますか?最も当てはまる数字1つに○印を付けて下さい。
※二重下線の質問は、選択肢の意味が逆となりますので、注意して回答してください
(1.全く違う∼4.どちらともいえない∼7.非常にそうだ)
1 2 3 4 5 6 7
{一一一■I・一一一… .i一一一■.… .一・一・.一’I一一・一一一一・一一■I一■■I・1一..一一う
1.
自分のチームは、試合では素晴らしいチームワークを発揮する......
2.
チーム内で揉め事がたくさんあり、お互いうまくやっていけない...
3.
チーム内は親密であると思う...
4.
試合で負けていても、チームはしっかりまとまっている...
5.
今のチームメンバーであることは非常に価値がある......
6.
チームメンバーはお互いに強い仲間意識を持っている...
7.
試合で必要な作戦、役割、手続きは、コーチから十分に与えられている...
8.
チームメンバー間のコミュニケーションは少ない.、.......
9.
チーム活動以外でも、メンバーはお互いにうまくやっていける...
10.あなたの役割やチ』ムベの貢献はメンバーから十分に認められている、.、.
11.コーチの指導方法は良いと考えている...
12.今のチームメンバーであることに大変誇りを感じている..........
13.チームに対する友清を感じ、それに満足している、..
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
14.あなたの役割やチームヘの貢献は
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
コーチングスタッフから十分に認められている....、.
15.メンバー間の人間関係は、良いと思う...
16.勝つために、まとまることができきるチームであると思う.......
17.メンバーは皆チーム内での自分の役割を自覚している...
18.チーム内の人間関係が好きである.......、.
19.コーチの作戦が理解され、達成されるまで、十分に訓練されている...
49
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
1・2・3・4・5・6・7
付録
■ 試合中のあなたのチームに関してお聞きします。
以下の各文章を読んで、最も当てはまる選択肢の数字1つにO印を付けて下さい。
(1.全く思わない2.あまりそう思わない3.どちらともいえない4.まあそう思う5.とてもそう思う)
20.私のチームは、目の前の試合に対して、心の準備をすることができる.........
21.私のチームは、チーム内において効果的なコミュニケーションをとることができる...
22.私のチームは、プレッシャーに負けずにプレーすることができる.........、.....
23.私のチームは、対戦のための準備をすることができる...
24.私のチームは、チームの結束力を高めることができる..、
25.私のチームは、目の前の試合に対して、身体的なコンディションを整えることができる
26.私のチ』ムは、チーム内の問題を解決することができる.............
27.私のチームは、対戦相手よりも良い動きをすることができる.......
28.私のチームは、他のチームよりも高い能力を発揮することができる.、.
29.
私のチームは、対戦相手に勝つことができる..............
30.
私のチームは、気が散らないようにすることができる..、
31.
私のチームは、対戦相手よりも高い技術を発揮することができる...
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
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1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
ウラヘ続く
50
付録
皿 日々の運動部活動等からなる、あなたの日常生活全体における様子についてお聞きします。
以下の各文章を読んで、現在の自分に最も当てはまる選択肢の数字1つにO印を付けて下さい。
※二重下線の質問は、選択肢の意味が逆となりますので、注意して回答してください
(1.全然当てはまらない2.あまり当てはまらない3.わりと当てはまる4.とても当てはまる)
32.目標は考えるだけでなく、紙に書き込むようにしている、............
33.チームのメンバーの前では本当の自分を表現することができている...
34.悩み事を一人で解決できない時には、誰かに相談するようにしている、...、....
35.食事は自分に必要な栄養素を考えながら摂取している..........
36.なかなか周囲に認められなくても辛抱強く努力し続けることができる...
37.試合中に悪質なヤジを飛ばすようなことはしない................
38.
同じような失敗を二度と繰り返さないようにしている...
39.
あれこれと指示を受けなくても、次にどうすればよいか考えることができる...
40.
たとえほめられたとしても,いつまでもその事で浮かれることはない.........
41.お礼の言葉は,はっきりと声を出して伝えている................
42.一週問や一ヶ月、半年単位とある期問ごとに目標を立てている..、、
43.チームのメンバーとは誰とでもコミュニケーションがとれている,、、、.
44.悩み事は包み隠さず相談相手に打ち明けるようにしている.......、.......
45.適度な睡眠をとり,次の日に疲れを残さないようにしている............、
46.なかなか成果が出ない時でも,自分を信じて努力しつづけることができる.、.
47.感情的な挑発行為や言動は行わない........1....
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
.1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
1・2・3・4
48.失敗をした時には,すぐにその分を取り返そうと努力する...
1・2・3・4
1・2・3・4
49.成功や失敗の原因を自分なりに分析してみることができる...
...1・2・3・4
50.過去の栄光や成功にいっまでもとらわれないようにしている...
51.「ありがとう」の気持ちを素直に表現することができる......
52.目標を達成するための計画を具体的に立てている.........
53.同学年だけでなく,先輩や後輩,指導者ともうまく付き合っている、..
54.悩み事はきちんと話を聞いてくれる人に打ち明けている.........、......
55.回幽...
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付録
※二重下線の質問は、選択肢の意味が逆となりますので、注意して回答してください
(1.全然当てはまらない2.あまり当てはまらない3.わりと当てはまる4、とても当てはまる)
56.目標の達成に向けて,一歩一歩着実に努力していくことができる...
57.対戦相手や審判に失礼になるようなことはしない.、.........、....
58.ここぞという場面では,持てるカを全部出し切るようにしている、......、....
59.問題や課題への解決方法を,自分自身で見出すことができる..............
60.調子に乗りそうな時でも,その気持ちをうまく抑えている...
61.自分を支えてくれている人への感謝の気持ちを,いつも胸に留めている...
62.強く意識しつづけるために目標をノートやスケジュール帳に書き込んでいる..........
63.チームのメンバーとはプライベートも含め幅広く交流するようにしている...
64.悩み事は相談相手に素直に打ち明けている................
65.
用もないのに夜更かしをしている...
66.
単調な作業の繰り返しでも,地道に取り組むことができる.、.
67.
反則されても仕返しするようなことはしない.........
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68.失敗から得た教訓を今後に活かしている........…...................、
69.周囲の人の考えをもとに,自分なりの答えを導き出すことができる...
70.いつも自分が絶対に正しいとは思わないようにしている......
71.家族や親しい友人であっても,感謝の気持ちはきちんと伝えている,....
調査は以上となります。ご協力有難うございました。
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