平 成 2 8 年 2 月 2 6 日 発 表 北陸経済調査 【総括判断】 〔管内経済の概況〕 北陸財務局管内(石川、富山、福井県)の最近 の経済動向をみると、回復している 。 (総括判断のポイント) 個人消費及び生産は、回復している。 雇用情勢は、着実に改善している。 また、観光等を中心に、北陸新幹線開業に伴う効果が 続いている。 【先行き】 ○ 企業収益や雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、着実に回復を続けていくことが期待される。 ○ 海外景気の下振れなどが景気を下押しするリスクとなっている ことから、その動向に留意が必要。 ○ 北陸地域における人手不足に伴う企業活動への影響が懸念。 項 目 28年1月 総括判断 回復している。 28年2月 前回との 比較 回復している。 【主要項目の判断】 28年1月 項 目 28年2月 個人消費 回復している。 回復している。 住宅建設 回復しつつある。 回復しつつある。 公共事業 前年を下回っている。 前年を下回っている。 生 産 回復している。 雇用情勢 回復している。 着実に改善している。 着実に改善している。 一部では、人手不足感が強まっている。 一部では、人手不足感が強まっている。 平成28年 2月 財務省 北陸財務局 お問合せ先 財務省 北陸財務局 経済調査課 TEL (076) 292-7858 FAX (076) 292-7953 前回との 比較 1.個人消費 ・・・ 回復している (1) 百貨店・スーパー販売 12月の百貨店・スーパー販売は、気温が高めに推移し、衣料品の動きが鈍いなど一部に弱さがみられるものの、 引き続き飲食料品が増加していることや高額品に動きがみられることなどから、回復している。 (注1)pは速報値。 (注2)調査対象事業所の見直しにより、販売額については、平成27年6月以前と平成27年7月以降で連続性がなくなっている。 (資料)経済産業省、中部経済産業局 1 (2) コンビニエンスストア販売等 12月の ・ コンビニエンスストア販売は、飲料や惣菜等に動き がみられることから、順調となっている。 ・ ドラッグストア販売は、品揃えの拡充により飲食料 品等に動きがみられることから、順調となっている。 ・ ホームセンター販売は、暖房器具や灯油等の季節 商品の動きが鈍いことから、弱含んでいる。 ・ 家電大型専門店販売は、暖房器具等の動きが鈍 いものの、テレビ等に動きがみられることから、持ち 直しつつある。 (資料)経済産業省 2 (3) 新車販売 1月の新車販売台数は、普通乗用車は前年を上回っているものの、小型乗用車、軽乗用車は前年を下回っ ており、弱含んでいる。 (資料)日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、各県自動車販売店協会、 軽自動車協会(石川県、福井県)、軽自動車検査協会(富山県) ( 消費者物価 ) 12月の消費者物価(金沢市、生鮮食品を除く総合)は、前年を下回っている。 (資料)総務省、石川県 3 (4) 観光・旅行関連 ①主要観光地 1月の主要観光地の入込客数は、北陸新幹線開業の効果がみられることから、高水準で推移しており、 好調となっている。2月も引き続き高水準を維持しているとの声を聞いている。 27.4-28.1 前年同期比 265.9万人 +94.6万人(+55.2%) 兼六園外国人入園者数(H27年 国・地域別上位) 人数 (千人) 1位 台湾 2位 香港 3位 アメリカ 4位 中国 5位 フランス 総数 135.7 28.8 15.5 14.2 8.9 291.8 (前年実績) 前年比(%) (①127.9) +6.0 (② 19.1) +50.9 (③ 10.0) +55.0 (④ 6.7) +110.6 (⑦ 5.6) +60.7 (229.1) +27.4 シェア(%) 46.5 9.9 5.3 4.9 3.1 100.0 ※丸数字は順位 (注)外国人客は無料入園者を除く。 (資料)石川県金沢城・兼六園管理事務所 27.4-28.1 前年同期比 53.4万人 +12.1万人(+29.5%) 27.4-28.1 前年同期比 22.7万人 +9.5万人(+72.5%) (資料)瑞龍寺 (注)入込客数は、参拝者数と参籠者数を合算したもの。 (資料)大本山永平寺 4 ②主要温泉地 12月の主要温泉地の宿泊客数は、北陸新幹線開業の効果によって高水準で推移しており、好調となっている。 1~2月については、北陸新幹線開業の効果がみられることから、関東方面を中心に県外客が引き続き大幅に 増加しているとの声を聞いている。 27.4-12 前年同期比 321.2万人 +51.9万人(+19.3%) (資料)北陸観光協会 ( 旅行取扱状況 ) 1~2月の旅行取扱状況は、 ・ 国内旅行は、引き続き北陸新幹線開業の効果により、東京方面に加えて、アクセスが向上した東北方面にも 動きがみられるとの声を聞いている。 ・ 海外旅行は、引き続き欧州方面の動きが鈍いとの声を聞いている。 ( 参考 )北陸新幹線利用状況(上越妙高-糸魚川間) 利用者数 前年比 1月 2月 (2月15日まで) 61.2万人 241% 30.2万人 262% 3/14~1/31 836万人 300% (注1)速報値。 (注2)前年比は在来線特急「はくたか・北越」(直江津-糸魚川間)の利用実績との比較。 (資料)西日本旅客鉄道㈱ 5 ■ 新幹線開業効果に係る生の声(足下1-2月) 図表1:延べ宿泊者数の増加率 (対前年同期比) 27/4-11 香 川 1 奈 良 2 富 山 3 滋 賀 4 大 分 5 福 井 10 石 川 12 (%) 20.0 27/1-3 27/4-11(開業翌月~) 14.4 15.0 11.1 10.5 10.5 9.7 10.0 7.1 6.8 5.0 7.4 6.8 6.5 5.8 4.9 全国平均 9.4 8.2 4.8 4.3 4.8 3.2 4.3 3.4 1.6 1.8 0.8 0.4 四国 中国 東北 沖縄 北海道 関東 ( 平均) 福岡 東海 近畿 九州 北陸 0.0 増加率(%) 24.5 21.6 18.7 18.6 18.1 13.2 13.1 7.1 【出所】観光庁「宿泊旅行統計調査」(以下同じ) 【備考】27/4-11期は、当局で27年4~11月の各月を合計し、算定。 なお、各地区財務局別の増加率は当局算定(以下同じ)。 図表2:増加率の国籍別寄与度 (対前年同期比) (%) 27/4-11期 15.0 前 年増 同加 期率 比 3.6 12.6 7.6 5.5 3.3 4.5 2.3 2.3 8.1 4.3 3.2 4.7 ▲ 1.1 北陸 全国 + 1 4 .4 % +7.1% + 1 5 3 万人 +2.6% + 1 3 3 万人 +770万人 + 4 6 .8 % +49.2% + 1 9 万人 +1,549万人 1 ,2 0 9 万人 35,155万人 日本人 1 ,1 4 9 万人 30,455万人 外国人 6 1 万人 4,701万人 1.4 0.4 ▲ 1.0 ■ 高級旅館から予約が埋まる傾向にあり、宿泊単価は、開業前よりも 1割(+2千円)程度上昇している。【石川:温泉地】 ■ メディア等による宣伝効果から、宿泊客数は想定以上に増加してい る。【富山:温泉地】 ■ 引き続き、関東方面を中心に宿泊客が増加しており、例年の冬に比 べて稼働率は高い。【石川:温泉地】 ■ 旅行客が減少したという印象は無く、新幹線の開業効果は持続して いる。【富山:旅行業】 ■ 観光客需要により、銘菓や酒類は引き続き堅調となっている。 【石川:小売業】 ■ 石川県内の宿泊施設で予約が取れない客が流れているからか、 売上高が伸びている。【福井:コンビニ】 ■ 駅付近や繁華街の客数が大幅に増加している。【石川:飲食店】 ■ 旅客運賃収入が増加している。【石川:運送業】 ■ 首都圏から投資物件としての問合わせが来るようになった。 【富山:住宅建設】 ■ 関東在住の北陸出身者からの問合わせが増加している。 【石川:住宅建設】 +2,319万人 + 1 3 .1 % 総計 四国 ▲ 4.9 0.8 1.9 中国 北海道 関東 ▲ 0.4 1.6 0.5 1.2 東北 4.7 ( 平均) 福岡 東海 1.7 近畿 九州 沖縄 ▲ 5.0 北陸 0.0 6.3 8.8 宿 泊 者 数 7.1 6.8 日本人 外国人 9.7 4.9 5.0 総計 ) 11.1 10.5 10.5 10.0 日本人 総計 14.4 1.8 外国人 ( 20.0 勢いは持続している 【備考】日本人は、当 局で「延べ宿泊者数」 から「延べ外国人宿 泊者数」を除いた者と した上で、各寄与度を 算定。 前年は上回るも、勢いに落ち着き ■ 販売額は、首都圏や長野を中心に前年比2割増にあるが、その勢い は落ち着き始めている。【石川:旅行業】 ■ 繁忙期(7-9月)比では、宿泊客数の伸び幅が縮小している。 【富山:ビジネスホテル】 ■ 27年度の売上は2桁増となる見込みだが、年明け以降は需要が鈍 化しており、足下は前年並みで推移している。【石川:レンタカー】 6 ■ 新幹線開業に係る生の声2 抱える課題等 ■ チェックイン・チェックアウト時間以外にも手荷物の受渡しが増加した ことで、相応の人員配置が必要となり、人手の確保に苦労。 【石川:シティホテル】 ■ 人員を増やしているが、それ以上に宿泊客が増加している。 派遣・パートで対応しているが、賃金上昇やおもてなしの質の低下を懸 念している。【石川:温泉旅館】 ■ 関西・中京客は、北陸への宿泊予約は困難との認識が強く、減少し ている。【石川:温泉地】 ■ 地元客は、軽井沢等への流出や宿泊客の増加で予約が困難として、 減少している。【富山:温泉地】 ■ 外国人客が増えており、英語を話せる人材や外国人従業員の導入 も検討している。【富山:観光地】 ■ 北陸3県や長野県等の観光地や企業、地公体等と連携をさらに強 化する必要がある。【富山:観光地】 ■ 観光需要で鮮魚の仕入価格が上昇しているものの、販売価格に転 嫁しきれておらず、利益が減少している。【石川:卸売業】 図表3:先行事例(延べ宿泊者数の増加率 :対前年同期比) (%) 20.0 19.8 15.1 15.0 10.0 9.4 5.0 0.0 3.4 3.1 2.6 開業2年目以降の見込み ■ 宿泊客数は、今年度がピークで、来年度は▲4-8%程度減少を見 込むが、開業前年度よりは増加するのでは。関東は巨大な市場であ り、未訪客の取込みも十分可能。【石川:温泉旅館】 ■ 「効果は縮小」とする声と「効果が続く」とする声が半々。 【富山:温泉地】 ■ 観光客数は、同水準で推移する見通しで、受入態勢(清掃人員等) も引き続き維持・強化する。【石川:観光地】 ■ 4月以降も前年の水準を維持できるのでは。ビジネスやコンサート など、まだまだ需要の拡大が見込める。【石川:旅行業】 ■ 開業効果は、九州新幹線と同様に2年間は続く。【福井:旅行業】 ■ 反動減は避けられないが、①海外情勢不安等による国内旅行へ のシフト、②インバウンド需要の増加等から、大きな落ち込み無し。 【石川:小売業】 ■ 福井への新幹線延伸工事に係る受注増を期待している。 【福井:建設業】 九州 (H23.3.12開業) 北陸 (H27.3.14開業) 17.1 17.1 1.6 ▲ 2.2 初年度 4-6 7-9 10-12 1-3 二年目 4-6 10-12 1-3 7-9 ▲ 5.0 九州 【初年度計】+11.8% 1 2 3 4 【二年目計】+1.3% 5 6 7 8 【備考】当局で各年各月を合計し、算定。なお、北陸、九州は財務局単位である。 (九州は、熊本、大分、鹿児島、宮崎の合計。) 7 2.住宅建設 ・・・ 回復しつつある 12月の住宅建設を新設住宅着工戸数でみると、持家が8か月連続で前年を上回っていることなどから、 回復しつつある。 (資料)国土交通省 3.公共事業 ・・・ 前年を下回っている 1月の公共事業を前払金保証請負金額でみると、前年を下回っている。 (資料)東日本建設業保証㈱ほか 8 4.生産 ・・・ 回復している 引き続き、高水準で推移している。 (資料)経済産業省、中部経済産業局 (注1)pは速報値。 (注2)北陸(3か月平均)は当局試算。 (資料)経済産業省、中部経済産業局 9 業種別にみると、 電子部品・デバイスは、スマートフォン向けを中心に高水準の生産 を続けている。 化学は、大宗を占める医薬品が、後発医薬品を中心に高水準の 生産を続けている。 はん用・生産用・業務用機械は、金属工作機械が弱含んでいるほ か、土木建設機械が減少していることなどから、全体では弱い動きと なっている。 繊維は、婦人衣料向けが減少しているものの、自動車内装材向け が持ち直していることなどから、全体では横ばいとなっている。 金属製品は、大宗を占めるアルミ建材が、住宅用が持ち直しつつ あるものの、ビル用が弱い動きとなっていることから、全体では弱含 んでいる。 【参考】企業収益及び設備投資 (注)pは速報値。 (資料)中部経済産業局 (資料)北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査」 (注1)売上高は「電気・ガス・水道業」を除き、金融業・保険業は調査対象外。経常利益は「電気・ガス・水道業、金融業、保険業」を除き、設備投資は「電気・ガス・水道業」を除く。 (注2)25年度及び26年度は当該年度の1-3月期調査、27年度は27年10-12月期調査時の計画。 10 5.雇用情勢 ・・・ 着実に改善している。一部では、人手不足感が強まっている 12月の有効求人倍率は、上昇している。 新規求人数は、前年を下回っており、新規求職者数は、前年を上回っている。 なお、サービス業、販売業を中心に、人手不足感が強まっている。 また、雇用保険受給者実人員は、前年を下回っている。 (資料)厚生労働省 (注) 北陸は、当局において石川県、富山県、福井県の有効求人数、有効求職者数(季節調整値)を 合算して試算したもの。 (資料)厚生労働省 (注) 当局において石川県、富山県、福井県の新規求人数(パートを除く一般、原数値)、新規求職者数 (パートを除く常用、原数値)を合算し、北陸として試算したもの。 (資料)厚生労働省 (注) 北陸は、当局において石川県、富山県、福井県の有効求人数(正社員)、有効求職者数(パート タイムを除く常用)を合算して試算。 (資料)厚生労働省 (注) 北陸は、当局において石川県、富山県、福井県の雇用保険受給者実人員を合算して試算。 11 (注)パートタイムを含む。 (資料)各県労働局 (注1)北陸は、当局において石川県、富山県、福井県の有効求人数、有効求職者数 (パート含む常用、原数値)を合算して試算したもの。 (注2)構成する福井県の「生産工程」には、一部職種が含まれていない。 (資料)金沢公共職業安定所 (注1)北陸には、新潟県を含む。 (注2)全国の23/1-3期から7-9期は、補完推計値を用いた参考値。 (注3)pは速報値。 (資料)総務省 12 6.金融 ・・・ 預金、貸出金ともに前年を上回っている (1) 預金 12月末の金融機関の預金は、前年を上回っている。 (2) 貸出金 12月末の金融機関の貸出金は、前年を上回っている。 (資料)日本銀行、信金中央金庫 (資料)日本銀行、信金中央金庫 (参考)法人・個人別貸出金 (参考)貸出約定平均金利 (資料)日本銀行 (注)北陸3県内に本店を置く地方銀行・第二地方銀行の貸出金利を加重平均したもので、当座貸越を 含め、金融機関向け貸出を除いたもの。全国は地方銀行。 (資料)日本銀行 (注)北陸3県内に本店を置く地方銀行および第二地方銀行。 13 7.企業倒産 ・・・ 前年を上回っている 1月の企業倒産(北陸3県)は、件数、負債総額ともに前年を上回っている。 (資料)東京商工リサーチ 14
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