Toward the Merger-Driven Unified Model for Triggering

Starburst-AGN Connection
- Toward the Merger-Driven Unified Model
for Triggering Nuclear Activities –
1. 研究の背景
近傍銀河の中心領域では以下の2種類の活動性が観測されています;
・活動銀河中心核 (AGN; 超大質量ブラックホール起源の活動性)
・スターバースト
これら2種類の活動性の研究は80年代から本格化し、折に触れ両者の関連性についても研究
がなされてきました。特に進化的なリンクということではガスに富む銀河同士の合体(メジャ
ー・マージャー) で、超高光度赤外線銀河からクエーサーに進化するアイデアは広く受け入れ
られてきています1,2。
一方、ガスに富む円盤銀河とその衛星銀河の合体 (マイナー・マージャー) は、規模は小
さくなりますが銀河中心領域のスターバーストを引き起こし、その後セイファート銀河に進
化していくというアイデアも提案されてきています3, 4。
従って、これら二つのアイデアを併せると光度によらず、スターバーストからAGNへと
進化する統一的な描像を得ることができます5。これをまとめると、以下のようになります
(図1)。
・メジャー・マージャー → 超高光度赤外線銀河 → クエーサー
・マイナー・マージャー → スターバースト銀河 → セイファート銀河
1
図1 銀河の合体によるAGNトリガ機構の統一モデル5
このアイデアで重要な点は合体に参加する銀河が銀河中心核 (SMBH、 超大質量ブラッ
クホール) を有していることです。つまり、マイナー・マージャーの場合は衛星銀河もSMBH
を持っていることが重要になります。なぜなら、衛星銀河の星々やガスは合体の途中で母銀
河に吸収されてしまいますが、SMBHは軌道角運動量を母銀河の星々に与えながら母銀河の
SMBHめがけて落ち込んで行けるからです(図2)。母銀河のSMBHへのガス供給は衛星銀
河のSMBHが行ってくれるということです。
2
図2
マイナー・マージャーによるスターバーストの発生。SMBHを有する衛星銀河が45
の傾き角で合体する場合を示す。左からx-y, x-z, & y-z平面での形態進化。一番右のパネル
はガス密度を半径の関数で表したもの。赤い部分が重力不安定で、バーストが発生している
場所3。
合体が進行すると母銀河と衛星銀河のSMBHがバイナリを作りますが、この公転軌道面は
周辺のガスにとっては安定軌道面となるのでトーラス構造が自動的に形成されます。また、
マイナー・マージャーは一般にはランダムな方向から起こるので、公転軌道面は母銀河の円
盤とは平行になりません。そのため、狭輝線領域は実際のセイファート銀河で観測されてい
るようにランダムな方向に形成されることになります4。
3
このアイデアのもう一つのエッセンスは
「スターバーストが先で、AGN現象はその後に起きる」
ことです2, 6。この順番があるため、AGN周辺のガスは十分に重元素汚染されることが予想さ
れますが、観測事実はまさにそうなっています7, 8。逆に言うと、重元素汚染を説明しないAGN
化の理論は観測的に排除されるということです。
以上のように、上記で説明したアイデアを採用すると、実際のAGNで観測されている性
質を自然に説明できるメリットがあります。また、ガス供給は衛星銀河のSMBHが行ってく
れるので、kpc から 0.001 pc スケールへ1のいわゆる ガス供給問題 も存在しません。ガ
ス供給問題は孤立銀河でスターバーストやAGN現象が起きることを想定していたために発
生した問題であり、現実の宇宙において
「孤立銀河ではスターバーストやAGN現象は起きない」
とすれば、もともと考える必要のなかった問題であることになります4。
星の世界では、活動的な星は全て連星です。この論理を水平思考すると、活動的な銀河は全
て連銀河(合体銀河)であることになります。一つのプリンシプルが星と銀河の世界で成り立
つことがわかれば、宇宙の摂理をシンプルに理解することができるようになります。
2. 観測による検証方法
この作業仮説を検証するには以下の二つの観測が必要になります。
[A} 近傍のスターバースト銀河とセイファート銀河の中心領域のガスの分布と運動
[B] 近傍のスターバースト銀河とセイファート銀河のディープな可視光撮像
1
セイファート銀河の SMBH の典型的な質量を太陽質量の 1000 万倍とすると、サイズは
1012 cm であり、降着円盤のサイズはその 1000 倍として 1015 cm 0.001 pc となるので、
ガス供給はこのスケールまで行うことが必要になります。
4
[A] では、マイナー・マージャーモデルでは、母銀河の銀河面から離れた場所で擾乱され
たガスが観測されるはずです。したがって、数pcスケールで中心領域のガスの分布と運動を
調べることが重要な検証になります。この観測の実現には ALMA が最適です。
[B] はマイナー・マージャーの痕跡を銀河外縁部に残された痕跡を探査することが目的で
す。マイナー・マージャーはメジャー・マージャーに比べて痕跡が残りにくいので、直接的
な証拠を得ることが一般に難しくなります。たとえばSDSSの深さでは難しいことが指摘さ
れています6。そのため、より大口径の可視光望遠鏡による新たな撮像観測が必要になりま
す。
今回の ALMA WS ではALMAをフィーチャーした研究なので、当然のことながら、 [A]
に焦点を当てて、議論を進めることにします。アクション・アイテムは以下のようになりま
す。
・ 作業仮説の妥当性の検討
・ 近傍のスターバースト銀河とセイファート銀河の中心領域の分子ガスの分布と
運動について、従来のミリ波観測で何がわかっているか、何がわかっていないかを
まとめる
・ ALMAでの観測目標(サイエンス・ゴール)を明確にする
・ 観測目標を達成するためのサンプル選定を行う
大規模観測ならLarge Proposal を提案
少数個のケーススタディなら Normal Proposal を提案
5
3. ALMA Cycle 4 観測のサイエンス・ゴール
銀河の合体による AGN トリガ機構の進化的統一モデルで期待されることは、スターバー
ストが先に発生し、セイファート化は後で起こるので、スターバースト銀河の方が形態的な
擾乱が大きいことです。実際、この傾向はすでに幾つかの観測的研究で示唆されています 6, 9。
また、衛星銀河の合体軌道は母銀河の銀河面に対して、一般にランダムな方向を取るので、
銀河面から浮き上がったガスの分布と運動が期待されます。このモデルの妥当性を観測的に
確認するには、以下の検証を行うことです。
・ スターバースト銀河:数 10pc スケールで擾乱がある(図 2)
・ セイファート銀河:スターバーストに比べて合体が進行しているので、擾乱領域は
より小さくなる(数 pc スケール、あるいはそれ以下)
・ 銀河中心領域で銀河面から浮き上がったガスの分布と運動を検出する
これらを検証するために、スターバースト銀河とセイファート銀河のサンプルを構築する。
分子ガスの分布と運動を調べるには CO 輝線による観測が必要になる。ALMA での CO 輝
線観測の空間分解能は表1のようになる。数 pc スケールの空間分解能を要求する場合は、
CO(6-5)を用いる必要があるが、Band 9 のため、観測のフィージビリティに留意する必要
がある。
表1
Band
Line
ALMA の角分解能 (Cycle 2 当時)
Angular
Resolution
Resolution
Resolution
@10Mpc
@50Mpc
7
CO(3-2)
0.20
10 pc
50 pc
9
CO(6-5)
0.09
5 pc
25 pc
6
4. ALMA Cycle 4 観測のサンプル選択の準備
天体選択:以下の候補がある
(1) マルカリアン銀河
セイファートとスターバーストを含む約 1500 個の活動銀河のカタログ
スターバーストについては
Balzano, V. A. 1983, ApJ, 268, 602
約 100 個のマルカリアン・スターバースト銀河
L(Hα)=1040 ‒ 6 1042 erg/s
このほかに Second Byurakan Sky Survey (SBS) や Kiso Ultraviolet Galaxies
(KUG)もあるがマルカリアン銀河と同様に北天のサーベイなので、必ずしも
ALMA の観測ターゲットの選出に適したものではないことに留意
(2) セイファート銀河
Veron のカタログ
http://heasarc.gsfc.nasa.gov/W3Browse/all/veroncat.html
Veron et al., 2010, A&A, 518, 10
(3) カルテク・パロマー分光サーベイ
Ho et al. 1995, ApJS, 98, 475
Revised Shapley Ames Catalog of Bright Galaxies
δ >0
BT < 12.5 mag
486 galaxies (including 206 HII galaxies)
optical spectra w/2 x4 aperture
(4) SDSS の分光データに基づいて選択?
いずれのカタログから選ぶにしても
赤緯 δ < +20
視線速度あるいは距離の条件
7
V バンドの絶対光度の条件(ホスト銀河の性質)
Hαの絶対光度の条件(活動性のレベル)
:HII galaxies の多くは BPT 図(あるいは VO 図)で大質量星による
光電離であることだけで分類されたものである。そのため、規模的に
スターバーストと認定できないものもあるので、注意が必要
孤立銀河と相互作用銀河を入れるかどうかは要検討
などに留意したサンプリングが必要
5. ALMA Cycle 4 観測のサイエンス・ゴールへ向けた準備
5—1. ASURAを用いたマイナー・マージャーの新たなシミュレーション
銀河のマイナー・マージャーのシミュレーションは、今までにいろいろ行われてきている
が9、銀河中心核(SMBH)を入れたシミュレーションは Taniguchi & Wada (1996)が唯
一のものです3。そこで我々は、母銀河及び衛星銀河それぞれに SMBH を入れて、ASURA
コード 11 を用い、よりファインなマイナー・マージャーのシミュレーションを行うことにし
ました。現在、愛媛大学理学部物理学科4回生の田中雄大氏の卒業研究の一環として、東亰
工業大学の斎藤貴之氏と、馬場淳一氏のご支援をえて、シミュレーションを始めつつありま
す。今後も田中雄大氏の修士論文の研究として継続させていくことになっています。
5−2.ALMA以前の電波干渉計による近傍銀河の観測成果のまとめ
(1) BIMA-SONG (BIMA survey of nearby galaxies)
Helfer, T. T., et al. 2003, ApJS, 145, 259
CO(J=1-0)
輝線
視線速度
Vr < 2000 km/s
赤緯δ > -20
インクリネーション
視直径
!
i < 70
D25 < 70
44 銀河
(内、41 個で CO 輝線を検出)
8
銀河中心核の活動性
なし:4 個
HII:17 個
Seyfert:9 個
LINER:7 個
Transition:8 個
活動性のレベルが低いもの (HII, LINER, transition) が多いので、CO の分布などに顕著
な差を有為に見いだすことは難しい結果は以下にまとめてある
http://cosmos.phys.sci.ehime-u.ac.jp/ tani/BIMA-SONG.pdf
(2) NUGA survey (NUGA = NUclei of GAlaxies)
基本的には数 kpc スケールから 10pc スケールへのガス輸送に着目している研究プロジ
ェクトであり、個別の銀河について 15 編の論文が出ている。観測は CO(1-0) と CO(2-1)
が PdBI で、また HI は VLA で行われた。
Haan et al. 2009, ApJ, 692 1623 (NUGAEVO)では 7 個のサンプルに基づいた力学
的進化に関する研究がなされている。なお、NGC 5850 は extended LINER の例として可
視分光のみであり、NGC 1961 はリング銀河である可能性が指摘されている。
マイナー・マージャーによる影響は念頭に置いていない。
NUGA Survey の 16 銀河の銀河中心核の活動性の分類
活動性なし:0 個
HII:1 個
Seyfert:5 個
LINER:9 個
Transition:1 個
結果は以下にまとめてある
http://cosmos.phys.sci.ehime-u.ac.jp/ tani/NUGA.pdf
9
<参考文献>
1. Sanders, D. B., et al. 1988, ApJ, 325, 74
2. Hopkins, P., et al. 2008, ApJS, 175, 356
3. Taniguchi, Y., & Wada, K. 1996, ApJ, 469, 581
4. Taniguchi, Y. 1999, ApJ, 524, 65
5. Taniguchi, Y. 2013, ASPC, 477, 265
6. Schawinski, K., et al. 2010, ApJ, 714, L108
7. Hamann, F., & Ferland, G. 1993, ApJ, 418, 11
8. Taniguchi, Y. 2004, PThPS, 155, 202
9. Luo, W., et al. 2014, ApJ, 789, L16
10. Mihos, C. J., & Hernquist, L. 1994, ApJ, 425, L13
11. Saitoh, T. R., et al. 2008, PASJ, 60, 667
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