分析表(日立市水道事業)(PDF形式 121キロバイト)

別 紙
経営比較分析表 分析欄
1.経営の健全性・効率性について
①経常収支比率
23年度は東日本大震災の影響で収益が減少し比率が100%を下回ったが、24年度以降回復し103%程度
で推移し、26年度には料金改定により給水収益が増加し比率が112.40%まで上昇した。しかし、今後、人口
減少等による水需要の減少傾向が続くなか、老朽施設に係る修繕費や更新経費が増加し、比率は減少基
調に転じることが予想される。
経営基盤の安定化に向け、適切な料金体系等の検討及び維持管理費の削減等に努めていく必要があ
る。
また、平成28年4月1日に簡易水道事業の統合を予定しているため、統合後の収支状況を踏まえ分析を
行う必要がある。
②累積欠損金比率
26年度時点で累積欠損金は生じていない。しかし、水需要の減少や老朽管路更新に伴う減価償却費の
増加等により将来的には損失が生じることが予想される。
経営基盤の安定化に向け、適切な料金体系等の検討及び維持管理費の削減等に努めていく必要があ
る。
③流動比率
水需要の減少や老朽管路更新の増加等により、25年度に比率が138.8ポイント低下した。26年度は、会計
制度改正により、1年以内に償還する企業債償還金が流動負債に振替えられたことからさらに220.72ポイン
ト比率が低下し、類似団体平均値比では139.51ポイント下回っている状況にある。
経営基盤の安定化に向け、企業債借入の条件の見直しを含めた検討を行っていく必要がある。
④企業債残高対給水収益比率
料金体系上、国庫補助事業の要件に該当しなかった本市においては、施設更新経費の財源を自己財源
及び企業債で賄ってきたため、26年度比率は類似団体平均値よりも167.59ポイント上回り、給水収益に対
する企業債未償還残高が大きい状態となっている。また企業債未償還残高は、償還により年々減少してい
る状況にあるが、老朽管路更新経費の増加により将来的には増加に転じる見込みとなっている。
今後も多くの老朽施設の更新が控えている状況であり、更新事業の適正化を図るとともに、国庫補助金
等の新たな財源の確保、適切な料金体系の検討及び維持管理費用の削減に努めていく必要がある。
⑤料金回収率
25年まで100%未満であった比率は、料金改定により26年度から100%を上回り、給水収益で給水に係る
費用を賄える経営状態となった。しかし、今後、水需要の減少等による供給単価の低下、老朽施設に対す
る修繕費等による給水原価の上昇が見込まれており、再度100%を下回ることが予想される。
経営基盤の安定化に向け、適切な料金体系等の検討及び維持管理費の削減等に努めていく必要があ
る。
⑥給水原価
23年度は、東日本大震災の影響で有収水量が減少し前年度比で7.88円上昇した。26年度は、利率低減
による支払利息の減少及び耐用年数経過による減価償却費の減少等により前年度比で5.39円減少し、類
似団体平均値とほぼ同額の155.94円となった。しかし、今後、水需要の減少により有収水量が減少する
中、老朽施設に対する修繕費等が増加し給水原価が上昇する見込みであり、投資の効率化や維持管理費
の削減等の経営改善に努めていく必要がある。
⑦施設利用率
26年度値で類似団体平均値を14.26ポイント下回っている状況にある。また、水需要の減少等により給水
量が年々減少することに比例して利用率も減少している状況にある。
今後の施設の更新においては、1日最大配水量等を踏まえた水需要を的確に捉えた上で、効率のよい施
設規模の見直しを検討していく必要がある。
⑧有収率
23年度は東日本大震災の影響で有収率が85%台まで低下したが、復旧作業や漏水調査により年々上昇
し26年度は89.39%となり、類似団体平均値近くまで改善した。本市の有収率が低い要因としては、高低差
が激しい地理的要因や管路の老朽化等が考えられるため、 今後も引き続き漏水調査や老朽管路更新等
を実施し、効率のよい経営に努めていく必要がある。
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2.老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率
水道施設の老朽化度合は類似団体平均値より高く、施設の更新等の必要性が高い状態となっている。25
年度から水道施設更新計画に基づき老朽管路の更新に着手したが、将来的には浄水施設等の更新も必
要となる見込みとなっている。
今後も引き続き老朽施設更新が経営に与える影響等を踏まえた財政収支見通しを立てていくとともに、補
助金等の財源の確保、適切な料金体系等の検討及び維持管理費の削減等に努めていく必要がある。
②管路経年比率
有形固定資産減価償却率と同様に、類似団体より法定耐用年数を経過した管路を多く保有しており、管
路の更新等の必要性が高い状態となっている。
水道事業全体の財政収支見通し及び水道施設更新計画を踏まえ、適切な更新を推進する必要がある。
③管路更新率
25年度から老朽管路の更新に着手したことから、更新率は類似団体平均値より高くなっている。今後も引
き続き、財源の確保等に努めながら、計画的な事業の推進を図っていく必要がある。
3.全体総括
収益の根幹となる水道料金は人口減少等による水需要の減少により減少基調で推移する一方、費用は
老朽施設の修繕や更新等への対応により増加していく見込みであり、今後の経営状態はさらに厳しくなる
見込みとなっている。
また、人口減少等による水需要の減少は収益だけでなく施設の規模にも影響するものであり、老朽施設
の更新に当たっては、効率的な投資に視点をおいた対応が求められている。
今後も引き続き経営基盤の安定化に向け、情勢を踏まえた的確な財政収支見通しを立て水道施設更新
計画の随時見直しを図るとともに、国庫補助金等の財源の確保、適切な料金体系等の検討及び維持管理
費の削減等に努めていく必要がある。
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