日本の戦後美術資料の収集 ・公開・活用を考える Postwar Art-Archives-Museums シンポジウム ∼大阪新美術館建設準備室所蔵「具体美術協会」関係資料を中心に∼ 近年、日本の戦後美術は国際的な研究対象となっており、作品だけでなく資料の収集・整理と公開・活用は、美術館をはじめとする関係機関が直 面している課題といえます。昨年、戦後日本のもっとも重要な美術団体の一つであり、欧米を中心に再評価の動きが高まる 「具体美術協会」 の関係資 料が、大阪新美術館建設準備室に寄贈されました。大阪新美術館では、今後、資料の整理作業を進め、 「具体アーカイブ」 を整備して公開していく予 定です。 この重要な資料についての情報が発信され、広く活用されるようになることは、 日本の戦後美術のアーカイブにおける試金石の一つとなるといえ るでしょう。 「具体美術協会」関係資料をはじめとする戦後美術資料のアーカイブを整備し、国内外に発信して有効に活用するために、現在 本シンポジウムでは、 の課題がどこにあり、 これからどのような方向をめざすべきか、 日本戦後美術の研究者やアーカイブに詳しい専門家を招き、美術館をめぐる問題を中心に 考察します。 また、本シンポジウムの中で、今年度の資料整理成果発表として、 「具体美術協会」関係映像フィルムの一部を公開します。 「具体美術協会」 と 「具体美術協会関係資料」 前衛画家・吉原治良をリーダーとして 1954 年に誕生した 「具体美術協会」 (具体) は、戦後日本屈指の前衛芸術グループで、白髪一雄、元永定正、 村上三郎、田中敦子、嶋本昭三、吉田稔郎らが在籍しました。斬新な作品制作やパフォーマンスによって国際的に活躍した 「具体」 は、近年、海外の 研究者からも熱い注目を浴びています。大阪は吉原の生誕の地であり、 「具体」 の活動拠点であった展示施設「グタイピナコテカ」 は、大阪市が新しい 美術館の整備を予定している中之島にありました。今回大阪市に寄贈された関係資料は、パフォーマンスや展覧会、制作の様子を記録した映像・写 真フィルム、機関誌『具体』、具体展ポスターおよびパンフレット等の公式資料、吉原治良旧蔵図書など、数万点におよぶ貴重な資料群です。 プログラム ※途中休憩あり 13:00 ∼ 開会挨拶 会場 国立新美術館長 国立新美術館 3 階 講堂 青木 保(あおき たもつ) 13:10 ∼ 講 演 鈴木 勝雄(すずき かつお) 「アーカイブ/ミュージアムの境界で起きること:論点の整理と課題の提起」 東京都港区六本木 7−22−2 http://www.nact.jp/ 東京国立近代美術館主任研究員。過去に担当した展覧会のうち「沖縄プリズム 1872-2008」 (2008) 、 「実 験場 1950s」 (2012) 、 「都市の無意識」 (2013) ではドキュメンタリー映像や書籍・雑誌を駆使して、作品と資料を等価に扱う 展示方法を試みた。 2014年には国立美術館ライブラリ所蔵の資料をベースに 「美術と印刷物」 展を企画。 会場についての問い合わせ 13:50 ∼ 報 告 アクセス 高柳 有紀子(たかやなぎ ゆきこ) 「大阪新美術館建設準備室所蔵 『具体美術協会』 関係資料について」 「2015年度資料整理成果発表∼ 『具体美術協会』 関係資料より映像の一部上映」 大阪新美術館建設準備室学芸員。専門は近代洋画、特に関西の美術。 「生誕 100年記念 吉原治良展」 (2005)、 「油絵の大阪」展(2010)、「佐伯祐三とパリ―ポスターのある街角」展(2012)等の企画に携わる。2015年より準備室 の所蔵となった 「具体」資料を担当する。 14:50 ∼ 発 表 1 平井 章一(ひらい しょういち) 「 『具体美術協会』 関係資料の意義と今後の研究への期待」 TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル) 東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札 6 出口(美術館直結) 東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a 出口から徒歩約 5 分 都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7 出口から徒歩約 4 分 京都国立近代美術館主任研究員 (情報資料室長)。2004年に兵庫県立美術館、2012年に国立新美術館で 「具体」 の回顧展を企画。編著に 『三岸好太郎、吉原治良・抒情のコスモロジー』 (本の友社、2001)、 『「具体」 ってなんだ ? 』 (美術出版社、2004)。2006∼ 12年、国立新美術館情報資料室の基盤作りに携わる。 15:20 ∼ 発 表 2 谷口 英理(たにぐち えり) 「戦後日本美術研究の基盤としての資料とは∼国立新美術館所蔵の写真資料を中心に」 国立新美術館学芸課研究員 (美術資料室長)。 日本近現代美術研究、美術資料研究。編著に 『美術批評家著作選 集15 今泉篤男 植村鷹千代』 (ゆまに書房、2013)、共著に 『美術の日本近現代史 制度・言説・造形』 (東京 美術、2013)、 『昭和期美術展覧会の研究』 (中央公論美術出版、2009)他。 16:00 ∼ パネルディスカッション 「日本の戦後美術資料の収集・公開・活用を考える∼美術館の役割とは∼」 鈴木 勝雄、高柳 有紀子、平井 章一、谷口 英理、平野 到、河﨑 晃一(司会) 平野 到(ひらの いたる) 埼玉県立近代美術館主任学芸員。専門は戦後美術。 「矩形の森―思考するグリッド」(1994) 、「1970年−物質と知 覚 もの派と根源を問う作家たち」 (1995) 「 、イスラエル美術の現在」 ( 2001) 、 「長澤英俊−オーロラの向かう所」 (2009) 、 「清水晃・漆黒の彼方/吉野辰海・犬の行方」 (2012) 、「浮遊するデザイン−倉俣史朗とともに」 (2013)等の展覧会 に携わる。 河﨑 晃一(かわさき こういち) 甲南女子大学文学部メディア表現学科教授。1989年より芦屋市立美術博物館に勤務。吉原治良、 「具体」、小出楢 重、阪神間モダニズムなどの展覧会を企画。 『具体資料集ドキュメント具体 1954-1972』編纂(1993)。2006年から兵 庫県立美術館に勤務、2010年から館長補佐。海外での 「具体」展、 「具体」元メンバーの展覧会の企画に携わる。 16:55 ∼ 閉会挨拶 菅谷 富夫(すがや とみお) 大阪新美術館建設準備室 研究主幹 文化庁 平成 27 年度我が国の現代美術の海外発信事業 主催:文化庁、大阪新美術館建設準備室、国立新美術館 後援:全国美術館会議 内容についての問い合わせ 大阪新美術館建設準備室 TEL 06-6469-5189 FAX 06-6469-3897 (土日祝を除く 9:00∼17:30) アートリップミュージアム 検索 http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu120/artrip/
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