論説 論 説 田 中 孝 男 台湾における訴願法の運用について︵一︶ 蹟次 はじめに 一 台湾の訴願制度︵以上本号︶ 二 訴願審議委員會における訴願法の運用 三 日本の行政不服審査法改正への示唆 おわりに 1 (74−1−!) 本稿の意義・目的 はじめに 1 れ、法案化が近い。その点で、現在の韓国行政審判制度を比較研究するのは、時宜にかなっているとは言い難い。これ ぺ 日本の行政不服申立制度に相当する韓国の行政審判制度については、二〇〇六年一二月、行政審判法改正草案が発表さ そして、東アジアの中で、韓国は、現在、現行制度発足後二〇年を経て大幅な改革をしょうとしている。すなわち、 になっていると、筆者は考える。 おける法制度の改善には著しいものがある。そこで、これらの国々との比較研究も欧米諸国との比較と同じくらい必要 総じてB本の制度と良く似ている。また、ここ一〇年から二〇年くらいの間に進んできた両国の民主化に伴い、両国に 自体は問題ではない。ただ、韓国や台湾など東アジアの行政救済制度は、欧米の制度よりも、文化的・歴史的な関係で つど た。現在の行服法改正の動きの中でも、欧米の制度についてはかなりの程度参考にしているように思われる。そのこと 日本における行政上の諸制度に関する立法論ないし制度論は、これまで欧米諸国の類似制度を参照することが多かっ ることを目的とする。ここで、諸外国の類似制度の中から、今回、台湾を取り上げたのは、次の理由による。 会︵原語﹁訴願審議委員會﹂。以下では原語表記とする︶の運用実態について紹介し、日本の法制度改革への示唆を得 本稿は、このような状況にかんがみ、日本の行政不服申立制度に相当する台湾の訴願制度の運用、特に訴願審議委員 ハユ ハヨ れゆえに、これまでの同法の解釈運用とその課題を踏まえた充実した法制度改革が望まれる。 足早になっている。今回の改正は、もし行われれば、一九六二年の雑訴法施行後初の本格的な改正となるといえる。そ 日本においては、近年、行政不服審査法︵同法を本稿では以下﹁行論法﹂と略称表記する︶の改正に向けての動きが 論説 (74−!−2) 2 台湾における訴願法の運用について(一) (田中) に対して、台湾の現在の訴願制度は二〇〇〇年から始まり、制度実施後今日まである程度の期間が経過し、新しい制度 ら が定着しつつある。また、周知のとおり、台湾は、日本の行政事件訴訟法、行弘法、行政手続法に相当する法律を、い ずれも二〇〇〇年前後に制定・施行した。これらの法律に基づく行政救済制度・行政手続鰯度は、日本の制度も参照し つつ、日本よりも先駆的な内容を有している面があると考えられる。そこで、新しい政策の立案・制度の設計に当たり、 先駆的な内容については、運用面も含めて、いかなる国の制度であっても積極的にこれを参照するのが妥当である。 以上のように、制度の日本との類似性と先駆性の観点から、本稿で台湾を取り上げるのである。 2 先行研究 ハぢ 日本の行政法学では、台湾の行政救済に関していくつかの論文はあるものの、訴願制度に焦点を当てて検討したもの は非常に少ない。現時点では、罪龍澤氏の一連の研究が台湾訴願制度の全体像を示すものとして最も詳細と思われる。 こ ハ このサ氏の研究は、台湾の訴願制度の全体像を理解するためには非常に有用であるし、同法は罪氏の文献以降も改正さ れていないので現行法の説明としてなお有効である。ただ罪氏の当該研究は、主として制度の解説とその解釈論が中心 ハむ であるため、運用実態が必ずしも明確ではない。 本研究の位置付けと方法・叙述の展開方法 本稿は、このような日本における台湾訴願法・訴願制度の研究状況において、研究が不十分な現在の台湾訴願制度の 運用実態を、日本の運用実態を念頭に置いて明らかにするものである。その点で本稿は、行政法学における、行政不服 3 (74−1−3) 3 申立制度の研究、東アジア︵台湾︶行政法の比較研究に位置付けられる。そして、具体的には以下次のとおり検討を進 める。 る。それゆえ同委員會の実態は、日本の信服法改正の議論にとって参照価値が高いと思われる。署長では、まず、調査 申立制度に良く似ている。しかし、外部の有識者の参画する訴願審議委員會は一般法レベルでは日本にはない制度であ から提供を受けた資料等に基づき、その内容を明らかにする。第一節で見るように台湾の訴願制度は、日本の行政不服 次に第二節では、台湾の訴願制度の具体的な運用につき、訴願審議委員會の実態調査︵ヒアリング︶及び当該委員会 した堕そして、本節の最後に、台湾全国における訴願の運用実績について簡単に見る。 まずは、台湾における訴願法運用の実態把握を優先する。本格的な訴願法の実定法解釈の比較研究については他聞を期 れる。その重要性については否定すべくもないが、日本で行われている行服法改正の動きの早さを踏まえ、本稿では、 えれば、本来であれば、台湾で展開されている学説、判例整理等を含む、より包括的・体系的な実定法の研究が求めら 審議委員會関係規定についての説明を詳しくする。このような検討に関して、日本における台湾訴願法の研究状況を考 事項を乱心に記す。また、現行訴願法の概要については、第二節以後の本稿の理解に必要な事項という視点から、訴願 け すなわち、ここでの、制度の沿革については、日本における台湾訴願法の先行研究において十分には触れられていない ちなみに、その内容は、いずれも、制度の運用を理解するために必要な前提知識を得るために必要な範囲にとどめる。 ら訴願法に規定する訴願をいう。本稿では、狭義の訴願すなわち訴願法に基づく訴願を検討対象とする。 ︵再︶申訴、復核、複核、復査、盆暮更正、再審査などと規定されているものが含まれる。また、狭義の訴願とは、専 ⋮機関に対して、救済を請求するすべての行為をいう。訴願法に定める訴願のほか、台湾の実定法上、異議、論難、 と狭義の訴願の二種類がある。広義の訴願とは、人民が、違法・不当を含む行政処分の蝦疵に対して、管轄権を有する ぬ まず、第一節では、訴願制度の沿革と概要について、簡単に整理する。ここで、台湾において訴願には、広義の訴願 論説 (74−1−4) 4 台湾における訴願法の運駕について(一) (田中) 方法や項目に関する前提の説明をする。その上で、内政部、螢工委員會︿労働委員会﹀、毫北市、璽北縣の四箇所の訴 願審議委員會における運用実態を見ていく。必ずしも網羅的な調査ではないが、訴願審議委員會については沼本ではあ まり知られていないことから、各訴願審議委員會によって実際の審理方法が異なっていることを示すだけでも意義はあ だ るだろう。 このようなインタビューを踏豪えた実態把握は、木佐茂男氏が旧西ドイツの行政裁判制度について用いた研究方法を あ 参考にしている。そしてこのような研究方法は、法社会学的なものであるが、行政法学においても、行政における執行 過程の実態研究をはじめとして一つのスタイルとして確立しつつあるように思われる。ただし、この節の記述は、比較 法社会学の方法論の体系化の議論の上に各論として展開するものではない。なお、インタビューのみに基づく部分はそ の文書に︻人名︼を付記してその旨を明らかにする。インタビューの受け手は、一般的には自己肯定的になると思われ、 調査対象事項について実際よりも殊更に都合の良いことしか言わない可能性がある。あるいは受け手の経験・主観・先 入観によって、本当の制度内容とは異なる理解・考え方をしている可能性がある。本稿では客観的統計などによって裏 付けられるインタビューの内容の確実性についてできる限り裏付けをしたが、︻人名︼を付している部分はその者の主 観による点を明らかにしておく方が適切であると考える部分である。 次に第三節では、現在進められている日本の平服法改正に対して、台湾の制度から示唆される事項をまとめる。同節 では、まず、日本の法改正の動向について、経過と改正の論点について要点を述べる。続いて、台湾の訴願審議委員會 からの示唆され得る事項について整理をする。 最後に、本稿で得られた知見と本稿の隈界・今後の研究課題について述べて、本稿の﹁おわりに﹂とする。 以下本稿で台湾の制度に関する法律用語︵欝本語訳︶に関する言及は、徒に日本での先行研究における訳語を変える ことによって読者に混乱を来すことは適当ではないと考え、なるべく罪龍澤氏の著作で使用する訳語を使用する︵罪氏 5(74一レ5) の使用と異なる部分については、その旨を示す︶。ただし、日本語と異なる固有名詞的な法律用語については︹︺書 きにより原語︵繁体字︶表記をする︵日本語と同じ意味で用いる同じ言葉については特に︹︺を付けない︶。また、 ろの自治立法は、地方立法機関を通過して公布されたものは﹁自治條例﹂、地方行政機関が制定したものは﹁自治規則﹂ を付することができ︵同法第二条︶、行政院︵行政機関︶が発布する命令は、その性質によって、﹁規程﹂﹁規則﹂﹁細 レ 則﹂﹁辮法﹂﹁綱要﹂と称することができる︵同法第三条︶。さらに、自治体︹地方自治團膣︺が定める日本でいうとこ なお、台湾では、中央法規標準法により、立法院の定める法律には﹁法﹂﹁律﹂﹁條例﹂あるいは﹁通則﹂という名称 本語表記とが大きく異なる場合は、胃体字の後ろにく ﹀書きで日本語表記を付記することがある。 漢字表記については繁体字を用いる。行政機構名など固有名詞についても、胃体字表記をする。もっとも、繁体字と日 また、台湾の文献引用については、日本語論文を引用する場合における表記方法と同じ方法をとる。ただし、文献の あっては西暦の後ろに︵︶書きで中華民国暦を﹁民国何々年﹂と表記する。 記に関しては、日本の判決年月日表記にあっては西暦の後ろに︵︶書きで元号表記をし、台湾の判決年月日表記に 表記は西暦とするが、判例集検索の便宜を考慮し、裁判・行政不服申立て・訴願の判例・裁決例・決定例に関連する表 民国年に、一九一一を加えると西暦年となる︶。そこで、本稿では、日本との年号比較を容易にするため、本文の年号 さて、年号表記に関して、台湾では中華民国暦が採用されており、民国元年は西暦一九一二年である︵したがって、 表記に続いて︹ ︺書きで円換算表記をする。 中国︵大陸︶の通貨﹁元﹂との混同を避けるため、以下では台湾元の別表記である﹁圓﹂で表記する。﹁園﹂での金額 さらに、貨幣価値に関し、一台湾元一三・五日本宮で計算する︵二〇〇七年三月のレート︶。この台湾元については、 言葉・用語については、︿ ﹀書きで日本語表記をする。 原語︵業体字︶表記が必要と解される箇所については、適宜︹ ︺書きで当該原語を記す。特に日本語訳をした特別な 論説 (74−1−6) 6 台湾における訴願法の運用について(一) (田中〉 と称することとなっている︵地方制度法第二五条︶。日本の法令の名称と台湾のそれとではつけ方が少し異なるが以下 では特に注記せずに台湾の法令についてはその名称をそのまま用いて表記する。 一 台湾の訴願制度 訴願制度の沿革 ω 一九一四年訴願法、一九三〇年訴願法、一九三七年改正訴願法 ハが 現在の台湾訴願制度につながる法律としては、まず、一九一四︵民国三︶年七月二〇日公布・施行の全︸八箇条から 成る訴願法がある。ただし、この法律は、いわゆる北洋政府が制定した法律であるため、南京政府︵国民党政府︶から 今Bまで続く台湾の政府関係の文献などでは、南京政府が制定した一九三〇年三月二四臼公布・施行の訴願法を最初の 訴願法として表記している︵同法を以下コ九三〇年法﹂という︶。このため、法制史的には一九一四年の訴願法も重 ゆ 要であり今後の研究が必要となるが、ここでは、訴願法の運用実務を見ていくという点で、差し当たり一九三〇年法か ら説明を始める。 ハ 全一四条︵第一四条は施行期日を規定するのみ︶から成るこの一九三〇年法は、訴願権とその対象︵第一条︶、管轄 ︵上級機関への訴願︶・審級︵訴願・再訴願の二審制。以上第二条︶、訴訟との関係での訴願前置主義︵第四条︶、訴願期 問︵三〇日。第五条︶、訴願書の必要的記載事項︵第六条︶、審理手続︵第七条∼第九条︶、訴願決定書︵第一〇条︶、執 行不停止原則︵第一一条︶、訴願決定の拘束力︵第一二条︶等を定める。今日的な視点で見ると、訴願人の手続的権利 の規定が乏しいなど行政救済法としての不備が指摘できるものの、必要があるとき口頭弁論︹言詞辮論︺をすると規定 7 (74−!−7) 1 ハれ していること︵第九条︶には注意をする必要がある。 には一九三七年法を踏襲している。 第三に、訴願期間について規定を整備した︵第八条∼第一一条︶。ただし、訴願期間を三〇露とする点など、基本的 第二に、訴願管轄について規定を整備した︵第三条∼第七条︶。 第一に、訴願の対象に、行政処分の意義について明確化し、いわゆる不作為が含まれることも明記した︵第二条︶。 る。 ︵29︶ 規定。以下コ九七〇年法﹂という︶。一九三七年法と比べた場合の一九七〇年法の主な改正内容は、次のとおりであ ハが 次は、一九七〇年一二月二三日公布・施行の改正訴願法である︵全文二八条。ただし、第二八条は施行期臼を定める ② 一九七〇年法と一九七九年∴九九五年改正 ぜ いる。 訴願については、この一九三七年法が適用されていた。なお、請願法は、一九六九年一二月に改正され、現在に至って て訴願権と訴訟権で﹁救済権﹂と記す︶。もっとも、請願法は、一九五四年に制定・公布されたが、戦後しばらくの間、 している︹人民有請願、訴願及訴訟之権︺。訴願・訴訟権の明記が注目される︵台湾の憲法教科書では請願権を別とし 一九四七年一月一日公布・同年一二月二五日施行の申華民国憲法第一六条は、人民の請願、訴願、訴訟の権利を保障 地支配の下に置かれていたので、詳細は措き、次に進む。 あ 一九三〇年法や一九三七年法は、台湾における現行訴願法の原型かもしれないが、当時の台湾地域は大田本帝国の植民 次に訴願法は、一九三七年に修正された︵一九三七年一月八日公布・施行。以下コ九三七年法﹂という︶。一九三 ハ 七年法は、一九三〇年法と比べると、訴願前置主義規定が削除され︵一九三〇年法の第四条相当規定がない︶、訴願の ハが 審理・決定までの期間が法定された︵訴願提起から三箇月以内。一九三七年法第八条第二項︶点が大きく異なる。なお、 論説 (74−1−8) 8 台湾における訴願法の運用について(一) (田中) 第四に、訴願人の訴願手続に関して、これも基本的には一九三七年法を踏襲しつつ、行為無能力者の訴願の場合の代 理︵第ご二条︶について規定する。 第五に、訴願提起後の手続︵答弁書作成、訴願の︹撤回︺︿取下げ﹀など︶を詳細化した︵第一四条∼第二一条︶。訴 願の審理・決定期間︵訴願提起二三〇日以内︶は、一九三七年法を踏襲する。なお、必要があれば口頭弁論を行うこと が一九七〇年法にも規定されている︵第一九条︶。 第六に、訴願決定書の記載事項︵第二二条︶、執行不停止の原則︵第二三条︶、拘束力︵第二四条︶などは、一九三七 年法をほぼ踏襲して規定されている。 そして第七に、本稿との関連で重要な訴願審議委員會制度が、この一九七〇年法で初めて創設された。すなわち、同 法第二六条は、﹁各機関は、訴願事件を処理するにおいて、訴願審議委員會を設け、その構成員は、法令の規定に習熟 している者であることを原則とする。その組織規程は主管の院がこれを定めるし︹各機關辮理訴願事件、藻魚訴願審議 委員會、組成人員以熟譜法令者為原則“其組織規程、由主管院定之︺との規定を置いた。なお、﹁法令の規定に習熟し ている﹂という委員の資格要件は行政院の当初の案には盛り込まれていなかったが、立法院の委員会審査によって修 ハ 正・追加された。 れ ただし、璽北市では一九六〇年には訴願審議委員會が発足していた。したがって、すべての行政機関でそのような訴 願審議委員會が置かれていたわけではないかもしれないが、運用レベルでは一九七〇年法ではなく一九三七年法の時代 においても同様の組織が置かれていたことに注意しなけれぼならない。 一九七二年七月二五日には、行政院及各行政機関訴願審議委員會組織規程が制定された。この規程は、訴願審議委員 會の組織に関し、委員構成などについて記している。 一九七〇年法は、一九七九年=一月七日に最初の改正がなされた。当該改正では、第二六条第一項に、﹁受理事件が 9 (74−1−9) 醸B 説 ffA 多いときは、専門的に事務処理をする人員を増やすものとする﹂︹“受理事件繁多者、鷹増調人員專責辮理︺との後段 が追加され、また、同条第二項につき、主管院が訴願審議委員會の組織規程と審議規則を定めることが規定された︵七 お 九年改正は、実質的に﹁審議規則﹂の部分が追加されたのみ︶︹訴願審議委員會組織規程及審議規則、由主管院定之︺。 当該改正を受け、一九八○年五月七臼、行政院議各行政機関訴願審議委員會審議規則︵以下﹁審議規則﹂という︶が公 布・施行された。この規則は、訴願審議委員會の審理手続について規定する。 ただ、研究者からは、組織規程について、訴願審議委員會の構成人員の資格制限が設けられていない、訴願審議委員 會には専任の人員が置かれない、回避規定の中身がなくて具体明確さを欠き適切な制度運用が期し難い、訴願決定権が お 誰に属するのか規定に疑義があり行政組織法規が具えるべき基本的内容が欠如している等々の批評がなされていた。 一九七〇年法は、その後、一九九五年に改正されている。これは、後述の一九八八年から始まった訴願法研修組織に ハが おける全面的な訴願法改正の検討にあって、全文改正を待たずに訴願審議委員會の部分のみ改正されたものである。当 該改正においては第二六条第一項後段が、﹁訴願審議委員會の委員の少なくとも三分の一は社会的に公正な人、学者、 専門家でなけれぼならない﹂と改正された︹各機甲辮理訴願事件、鷹設訴願審議委員會、組成人員以捕者法令者為原則、 其中社會公正人士、學者、專家出得少於訴願審議委員差歯員三分量一︺︵第二項は改正なし︶。なお、改正案の検討途中 では﹁社会的に公正な人﹂等の要件は、五分の一以上の学者・専門家であったものが、立法院の審査によって修正され ていったものである。 お ㈹ 二〇〇〇年施行の訴願法 訴願事件さらには行政訴訟事件の増加に伴い、行政訴訟法の改正草案策定︵一九八八年︶後、政府・行政院は一九八 八年五月から訴願法研修組織︹訴願法研修小組︺を置き、訴願法の改正作業に着手した。同組織は、一九八九年一一月 から一九九三年九月まで会議を行い、要綱をまとめて行政院に答申し、行政院は同年一〇月に草案を完成し、法案は、 (74−1−iO) IO 台湾における訴願法の運飛について(一) 佃中) 一九九四年五月に立法院に付託された。そして、現行法となる全一〇一条の訴願法は、一九九八年一〇月に公布された。 また、この改正法の施行期日は、行政院の命令で定めることとなっていた︵訴願法第一〇一条第二項目。そこで、行政 院は、一九九九年七月三一日、同改正法の施行期日を二〇〇〇年七月一瞬とする行政院令を公布した。なお、二〇〇〇 年六月に、この施行前の改正訴願法は、台湾省と福建省が地方自治団体でなくなったことに伴う若干の法改正がなされ ているが、当該改正規定も、一九九八年の改正法の二〇〇〇年七月一日施行と同日に施行されているので、二〇〇〇年 あ 改正法は、施行後は一度も改正されていないことになる。 二〇〇〇年改正後の訴願法の内容は、次項・2で述べる。 ω 訴願審議委員會制度の参照先 ぶ 一般に、台湾の各種の法制度には、日本と類似し、あるいは華言を参照するものが相当数あると考えられている。実 お 際、一九三〇年法は、ドイツ、オーストリア、日本の近代的行政裁判制度を手本にして制定されたとされているし、あ が るいは二〇〇〇年訴願法の改正草案は日本の行器法を参考にしているとされている。 確かに、一九三〇年法は日本の旧訴願法に良く似ている。例えば、先にあげた一九三〇年法第九条の口頭弁論規定も、 日本・旧訴願法第=二条の﹁口頭審理﹂とほぼ同じ規定振りである。しかし、すべてを日本法などのコピーと考えるの は妥当ではない。例えば、当時の農本の訴願法では訴願対象について列挙主義が採用されていたのに対して、一九三〇 ハゆ 年法は既に概括主義を採用していた︵さらには訴願に続く行政訴訟も同様に概括主義を採用する︶。そして、一九七〇 年法時点では内部組織的なものであったとはいえ法制度化された訴願審議委員會のような審査組織は、日本では、訴願 法でも、行服法でも制度化されていない。後述のように、璽北市の訴願審議委員會は一九六〇年には発足しているから、 その時点で日本の制度とは異なっていることになる。 ぶ ハだ ここで、日本の訴願法改正論議の中では、このような合議制⋮機関の審査制に関する議論は、ほとんど出てこなかった。 1! (74−1−ll) 論 説 その当時には、第三者機関による訴願における救済率の方が処分庁・監督庁による訴願より高いという実績データが ゐ あったのに、そうしたデータは考慮されなかったのである。なお、東アジアでは、韓国訴願法︵一九五一年施行︶が、 上級行政庁のない国務総理や各部長官︵大臣に相当︶の処分に対する当該国務総理等への訴願に対する内部的委員会と しての訴願審議会制度を有していた︵ただし、実際には一九六四年まで訴願審議会は置かれなかった︶。 ここで、台湾の訴願審議委員會のモデルすなわち参照先について、本稿執筆現時点において著者は、明確化すること ができない。なお、後述の肇北市訴願審議委員會・主任委員の張玉珠氏に対するインタビューにおいて、張氏は、憲法 ハ で保障する訴願権を内部から行政機関内部から実質化するオンブズマン的な組織を構想したのではないかとの考えを示 されている。ここで、台湾の公的なオンブズマン組織には、別に監察院がある。監察院が行政機関の外部から苦情に対 ゆ する救済機能を果たすのに対して、訴願審議委員會は行政機関内部において訴願事項の救済を図る機能を有する。その 点で、張明珠氏が語った訴願審議委員専一内部オンブズマン説は、うなづける点がある。 ただし、重要な政策テーマについて主管組織以外の上級ないし高級公務員から成る内部組織で意思決定を行ってから 行政庁・行政機関として意思表示をするという仕組みは、日本でも政府が各種﹁推進本部﹂を設置して行政を進めると いう方式で存在する︵この推進本部に外部有識者が参画することもある︶。さらに、台湾では、法規・立法審査、︵類似 する日本の制度からいえぼ︶政府調達苦情処理といった分野でも、それぞれ、法規委員會、採再診訴審議委員會といっ ゼ た、行政⋮機関の高級職員に行政機関外部の法律専門家等が加わる内部組織が置かれている。その点で、外部専門家が委 員として加わった法的意思決定を内部組織が行うという仕組みは、訴願審議委員會にだけ見られる特殊なものではない。 (74−!−!2) 12 台湾における訴願法の運用について(一) (田中) 二〇〇〇年訴願法の制度概要 現行の台湾訴願法の条文訳は弄氏の研究に負い、ここでは、日本の行服忌による行政不服申立制度との比較で台湾の 訴願法について特色ある事項及び訴願審議委員會関係で少し詳しく指摘しておくべき事項について、並べておきたい。 ω 訴願制度と行政不服申立制度との大まかな制度比較 台湾訴願法と行服法の仕組みは、全体としてみれば、使用する用語も含めて良く似ている。したがって、後述の実務 の理解に必要な範囲で、日本と台湾で相違する事項を中心に、ごく簡単に制度比較をする。このような観点から記すの で、理論的には重要な論点でも説明をしない事項がある。ただし、訴願審議委員會の関係規定については、別にまとめ ハが て説明する。 ア 訴願・行政不服申立ての対象と種類 訴願の対象は、違法不当な行政処分であり、かつ、概括主義が採用されている︵訴願法第∼条第一項前段︶。不作為 ︵不作為期間原則二か月︶や、権利利益が侵害されると認めるときも、同様に訴願をすることができる︵訴願法第二条︶。 後述の訴願に対する決定の類型から、ここでいう不作為に対する訴願については、義務付け訴願︹課予義務之訴願︺と 呼ぶこともできるといわれている。 これは、日本の行政不服申立てとほぼ同じと考えて良いと思われる。また、その種類については、いわゆる上級庁的 機関があるときは当該機関に訴願をするし、上級庁がないときはその行政庁に対して訴願を提起する︵訴願法第四条 ∼第一三条︶。ただし、地方自治團朧︿自治体﹀の処分の不服に対しては、国の機関や縣︵市︶機関に訴願を提起する 形になっていて、国と地方自治漁戸は上下関係にあるかのような仕組みとなっている︵二4ω参照︶。日本では、審査 請求と異議申立てに分けているが、台湾ではいずれも﹁訴願﹂として扱われる。また、台湾には﹁再審﹂の制度はある 13 (74−1−13) 2 が、これは確定した訴願裁決事件について、特別な事由がある場合に限り、再度訴願裁決をした機関に訴願をするとい ものでも、法律の全体構造、適用対象、規範が生み出す効果や社会発展の要素などを総合判断して、特定個人を保障し あ ていると意図していると認められるときには救済を認めるという。 が 日本の不服申立適格は一般に取消訴訟の原告適格と同じと解されており、かつ、取消訴訟の原告適格につき﹁法律上 ハガ 保護された利益説﹂すなわち﹁保護規範説﹂が最高裁判例の解釈であると解されている。 で決するという見解が司法院の解釈だとされる。ここでは、法律が公共の利益や一般の国民福祉の設定を規定している 上の利害関係であり、事実上の利害関係は含まない。また、この法律上の利害関係の判断には、いわゆる保護規範理論 ぶ 第一項前段︶であり、処分の相手方と利害関係人である︵訴願法第一八条︶。そして、ここでいう利害関係とは、法律 台湾の訴願適格︹訴願當事人適格︺は﹁違法不当な処分によってその権利又は利益を損害された者﹂︵訴願法第一条 ウ 訴願適格・不服申立適格 が採電されている。 お 第一項本文︶。ただし、個別法律により、税関係、福祉関係、公務員関係など、非常に多くの分野で不服申立前置主義 これに対して、日本は、一般法たる行政事件訴訟法レベルでは自由選択主義を採用している︵行政事件訴訟法第八条 訟︵同法第八条︶では訴願前置主義が採用されていないので、﹁訴願なくして行政訴訟なし﹂︹無訴願即無行政訴訟︺の ハき 命題が成立しているわけではない。二〇〇〇年の行政訴訟法は、訴願前置を求めない訴訟類型を増やすこと及び一九七 ハお ○年法まで採用されていた再訴願手続を廃止することで訴願前置主義の範囲を縮減したのである。 台湾は、取消訴訟において、訴願前置主義を採用している︵行政訴訟法事四条︶。ただし、確認訴訟、一般の給付訴 イ 訴願前置主義・自由選択主義 う仕組みであり︵訴願法第九七条︶、日本の再審査請求のような制度ではない。 論説 (74−1−14) 14 台湾における訴願法の運用について(一) (田中) 書本・台湾どちらの保護規範説もドイツの︵ωoげ無謬。吋密讐①○訟①︶を参照しての議論であり、少なくとも判例理論に お おいて、台湾の訴願適格と謡本の不服申立適格の範囲は、外見的にはおおむね同じと考えて良いと思われる。 工 訴願期間 主観的訴願期間は三〇日である︵訴願法第一四条第一項︶。客観的期間は三年である︵同条第二項目。訴願期間内に原 行政処分に不服があることを表示したときは訴願を提起したものとみなされ、それから三〇臼以内に訴願書に提出しな おすことになるので︵訴願法意五七条︶、訴願期間は、事実上最大六〇日にまでは伸びることになる。 日本の審査請求期間・異議申立期間は六〇臼︵異議申立て後の審査請求期間は三〇日。行服法難一四条・第四五条︶、 再審査請求期間は三〇日︵行服法五三条︶であるから、制度的には、日本は、台湾よりも総じて申立期間が長いと述べ ても良いであろう︵ただし、客観的期間は台湾の方が長い︶。 オ 訴願手続 訴願手続は、手本の審査黒塗制度の手続に良く似ているので、鷺本の審査請求制度と比較をして、大幅に異なる制度 ハ 部分︵訴願審議委員會部分については後述︶についてのみ、簡単に説明する。 第一に訴願書の提出先である。すなわち、訴願入は、訴願書を、原則として原行政機関経由で訴願管轄⋮機関に提出す る︵訴願法第五八条第一項︶。日本では、原則として審査庁に直接審査請求書を提出することが前提となっていて、処 分庁にも提出できることになっている︵行服法事一七条第一項︶。田本の旧訴願法は、台湾の現行訴願法と同じように 原処分庁に訴願を提起する仕組みであった︵日本・旧訴願法第二条虫一項目。しかし、これでは、裁決庁への送付が遅 滞するなどの旧・訴願人の地位を不利にならしめたり、握りつぶし等の弊害があったといわれていたために儲蓄法にお いて改正されたとされる。台湾の制度と対照的な部分であり、なぜ、台湾では原行政機関経由の制度となっているのか、 ハ その弊害はないのかという点についての実態把握が重要になる。 15 (74−1−15) 第二に、原行政処分機関の弁明書の提出は必要的である︵訴願法第五八条第三項、第五九条︶。臼本では審査庁によ れ る弁明書提出要求が任意的であり、かつ、審査請求人に答弁書提出請求権もないと解されている︵行筆法第二二条︶の とは対照的である。 分機関とその上級行政機関は、原行政処分が明らかに違法・不当のときは、一定の事由に該当しない限り、原行政処分 ︹不受理︺の要件は、訴願法に規定されているが、訴願期間を過ぎたために不受理とされた決定について、原行政処 と同視してよいと思われる。︹撤錆︺は﹁取消し﹂を意味する。 日本の行政不服申立制度との比較では、︹不受理︺︵訴願法第七七条︶は却下と、︹駁回︺は棄却︵訴願法第七九条︶ 訴願に対する決定は、︹不受理︺、︹駁回︺及び︹撤錆︺である。 ハが キ 決定 続において、申立人にこの種の閲覧請求権がないこと︵行服法言四八条︶にも注意が必要である。 また、訴願人等には、原行政処分機関が訴願受理機関に提出した証拠書類等についても閲覧請求権及び謄写請求権があ る︵訴願法第七五条第二項前段︶。なお、閲覧と謄写の費用については請求人が負担する。一方、日本の審査請求制度 には処分庁から提出された文書等についての閲覧請求権のみがある︵職服法馬三三条︶。また、日本では、異議申立手 第四に、訴願人等には、訴願受理機関の保存文書等の閲覧講求権及び謄写請求権がある︵訴願法第四九条第一項目。 じなければならない︵行服法第二五条第一項ただし書︶。 どまっている。日本の審査請求制度には、口頭弁論手続はないが、意見陳述については申立人からの要求に義務的に応 にのみ義務的になされる︵第六三条第三項︶し、口頭弁論についても、法文言上は、訴願受理機関の裁量的取扱いにと 意見陳述請求権︵同条第三項︶、口頭弁論請求権︵第六五条︶がある。ただし、意見陳述は﹁正当な理由があるとき﹂ 第三に、訴願の審査手続は、原則として書面審理である︵訴願法第六三条第一項︶が、訴願人の手続的権利として、 論説 (74−1−16) 16 台湾における訴願法の運用について(一) (田申) が を︹撤鎗︺したり︿取り消したり﹀、変更したりすることができる︵訴願法第八○条第一項︶。 また、訴願の理由があれば、訴願受理機関は原行政処分を取り消すほか、事情︹羅宇︺によっては、変更の決定をし たり、原行政処分機関に差し戻し︹転回︺をしたりして別の処分をするとの決定をすることもできる︵訴願法第八一条 第一項本文︶。この場合、相当の期聞を定めて処分を命ずる︵同条第二項︶。また、このときの変更処分について、訴願 人に不利益な変更処分をしてはならない︵同条第一項ただし書︶。不作為に対する訴願に理由があるときは、相当の期 間を定めて一定の処分を命ずる決定がなされる︵訴願法第八二条︶。このため、この不作為の訴願について、義務付け 訴願と呼ばれることがあるのである。 ちなみに、原行政処分機関による答弁が詳しくなかったり、期限を過ぎても答弁をしないときは、訴願受理機関は、 職権で事実を調査して決定してもよいし、あるいは訴願に理由があるとして原行政処分を︹撤鎗︺しても良い︵審議規 則第 二 六 条 第 二 項 ︶ 。 ハぜ なお、違法な処分であっても︹駁回︺の決定をする制度︵情況裁決あるいは情況決定と呼ばれる︶も規定されている ︵訴願法第八三条︶。日本の事情裁決とよく似ている。 訴願に対する決定は、訴願書を受け取った翌日から起算して三か月以内にしなければならない︵訴願法第八五条下一 項前段︶。必要なときは、訴願人等に事前に通知して延長することができるが、最長で二か月を超えることができない ︵同項後段︶。また、決定後一五鷺以内に訴願人に送達されなけれぼならない︵審議規則第二八条第一項︶。この処理期 問の規定は行政実務では訓示説︵期間が過ぎても決定は有効︶が採用されているといわれている︵ただし、期間を過ぎ れば、行政訴訟法第四条第一項後段の規定により行政訴訟を提起できる︶。 これら決定のほか、訴願人は、訴願提起後決定書が送達前は、︹撤回︺︿取下げ﹀をすることができるが、一度︹撤 回︺する︿取り下げる﹀と、同一の訴願を提起することができない︵訴願法第六〇条︶。 !7 (74−1−17) 訴願に対する決定の種別と効力は、︵もちろん、謄本では﹁不作為の違法確認﹂が台湾では﹁不作為に対する義務付 号︶。非教示・誤教示の救済については、同法第九八条・第九九条に規定がある。 これに対し、台湾では、行政軍容法雨九七条で、行政処分の書面記載事項として規定されている︵同条第一項第六 行政事件訴訟法第四六条と、行政救済の各法律に規定されている。 豆本では、不利益処分等の行政処分時における行政不服申立て及び取消訴訟の提起に関する教示が、行服法第五七条、 ケ 教示 あろう。 要件その他の細部は別として、執行不停止原則と執行停止制度の基本的な構造は、日本の行政不服申立制度と同様で る︵同条第二項︶。また、訴願の執行停止は、行政法院も行うことができる︵同条第三項︶。 ハれ 一方、執行停止について規定する台湾行政訴訟法第一一六条第三項は、行政訴訟提起前の執行停止制度を規定する。 ハお このため、訴願法による執行停止と行政訴訟法による執行停止の適用関係が問題になる。 訴願には執行不停止原則が採用され︵訴願法第九三条第一項︶、申立て又は職権による執行停止制度が設けられてい ク 執行不停止原則 受理率︵却下率︶が大きくなる。逆に言えば、日本の場合の﹁取下げ﹂と合わせて比較しなければならないことになる。 決・決定は取下げがなされないという例外的な場合を除き原則として行われない。これは、台湾の統計上、見かけの不 ﹁不受理しの決定がなされることである。日本の実務では、この場合、不服申立ての取下げを行政指導し、却下の裁 すなわち、決定前に原行政処分機関が訴願対象となっている原行政処分を職権で︹撤錆︺したく取り消した﹀ときは、 る。ただし、実務と統計の比較で注意しなければならないことがある。 け﹂であるなど細かく言えば少し異なるが、︶大まかに言えば日本の行政不服申立てとほぼ同じと考えて良いと思われ 論説 (74−1−18) 18 台湾における訴願法の運用について(一一) (田中) 次に裁決決定時における行政訴訟の教示については、日本では行政事件訴訟法器四六条で規定されているが、台湾で は訴願法第九〇条︵教示が誤っている際の救済については第九一・九二条︶で規定している。 れ 教示が誤っていた際の救済内容等については明文による︵台湾︶か解釈によるか︵日本︶で相違が出てくるが、おお むね教示制度は日本と台湾で同様と理解してよいと考えられる。 わ なお、台湾では行政程序法によって、いわゆる陳情に関しても手続保障がなされている︵陳情の処理結果に対する通 知義務などが定められている︶。同法第=六条第二項は、.陳情事項について訴願、訴訟、国家賠償請求をすることが できるときは、陳情を受理レた⋮機関は、そのことを陳情人に告知しなけれぼならないと規定する。これも、救済手続の た 教示 に 近 い 。 コ 地方自治への配慮 訴願法第七九条第三項は、地方自治團艦が処理する事項にかかわる訴願事件における上級行政機関の審査について、 が いわゆる合法性のみの審査をすることを規定する。二〇〇〇年改正法によって創設された規定である。台湾の地方自治 團腱が処理する事項︿事務﹀は、︹自治事項︺と︹委辮事項︺に分かれる︵なお、これら︹事項︺の区分については、 二3ω参照︶。この規定は自治事項にだけ適用される規定である。したがって、︹委辮事項︺に同条は適用されず、当該 事項については、妥当性・合目的性の審査もされることになる。このため、︹自治事項︺と︹雪沓事項︺の区別が重要 お になる。しかし、その区別は実際には困難であるとされる。 り 日本では、特別法がなければ、自治事務については原則として異議申立てがなされる。一方、法定受託事務について は国や都道府県の機関に審査請求︵地方自治法第二五五条の二︶がなされ、それについては明文の規定で制約がなされ ていないので、合法性に限らず不当性についても審査される。この制度については地方自治法上の論点ではあるが本稿 の主眼とする論点ではないので詳しくは省略する。そして、台湾の︹自治事項︺一日本の自治事務、台湾の︹委辮事 !9 (74−1−!9) 項︺11臼本の法定受託事務と、単純化して考えるならぼ、自治事務の不服申立てについては、原則異議申立てであり、 である。 規定が整備されていないため再審制度には解釈論上多くの疑義が残されている。例えば、再審申請に基づいてした決 定についてさらに再審の申請をすることができるかとか、再審の決定に対して行政訴訟を提起できるのかといったこと されたものである。行政院は、訴願の決定は行政救済の終審ではなく、本質的には行政手続の一環であり、行政訴訟に よる救済も可能であるなどとして、再審制度に反対していた。 ハガ 法院の審議の時に、訴願決定後に民事訴訟や行政訴訟の再審事由に類似することが起きたときのための制度として増設 再審制度は、訴願法の二〇〇〇年改正で創設された仕組みである。行政院が示した当初の案にはこの制度はなく、立 の他規定がないときの訴願関連規定の再審への準用が定められている。 述する﹁行政院及各級行政機滋養願審議委員會審議規則﹂には、再審申請書の記載事項や再審に対する決定の種類、そ 時から起算して三〇日以内にする︵同条第二項・第三項︶。再審手続について訴願法は他に規定を有していないが、後 は、訴願決定をした機関に対して、再審を申請することができる︵訴願法第九七条第一項︶。再審の申請は、訴願確定 確定した訴願決定についても、法規の適用が明らかに間違っているときなどの一定事由に該当するときは、訴願人等 いて簡単に補足する。 お 後述のように、台湾の訴願法の実務家︵訴願審議委員會関係者︶からは廃止論が見られるため、ここで再審制度につ サ 再審制度 日本の方が、地方自治の範囲は広いといえるかもしれない。 国等の機関による裁定的関与は受けないという点において、一般法規定レベルでは、自治事務に関しては、台湾よりも 論説 (74−1一一20) 20 台湾における訴願法の運朋について(一) (田中) ② 訴願審議委員會 以上、大まかな制度紹介をした。単純化すれば、ここまでで示してきた台湾の訴願制度は、日本の孤身法上の審査請 求と、おおむね同様の仕組みと考えることができる。これに対して、以下に示す訴願審議委員會のような仕組みは、日 本では一般法たる青服法には規定されていないものであり、日本と比較した場合の台湾の訴願制度を特色付けるものと 考えられる。そこで、まず、訴願審議委員會に関する実定法を概観する。 二〇〇〇年訴願法は、訴願審議委員會に関して、﹁第二章 訴願審議委員長﹂において、設置の義務付けとその委員 資格︵第五二条︶、裁決における訴願審議委員會の決議︵第五三条︶、審議記録︵第五四条︶、委員の回避︵第五五条︶ について規定する。そのほか、訴願の手続や決定に関する規定にも、訴願審議委員會の具体的な職務が規定されている。 なお、この法律の規定を受け、制度的には一九七〇年法と同じであるが、日本の法規でいえぼ委任命令として、訴願審 議委員會の組織については組織規程が、審議については審議規則が、別途定められていることになる。以下、﹁委員會 の組織﹂、﹁審議手続﹂に分けて、実定法上の仕組みを概観する。 ⇔り 訴願審議委員會の組織 各機関は、訴願事件を処理するために、訴願審議委員會を設置しなければならず、その構成員は法翻に関する専門知 お 識を有する者を原則としなければならない︵訴願法第五二条第一項︶。訴願審議委曼會の委員は、その機関の高級職員 及び慎重に選んで招聰した社会公正の人、学者、専門家が担当する︵同条第二項前段︶。その中で、社会公正の人、学 者、専門家︵これらをあわせて以下﹁外膀委員﹂という。日本風にいえぼく外部委員﹀︶の人数は、二分の一を下回っ てはならない︵同項後段︶。この規定については、訴願法の二〇〇〇年改正において、外心委員の最低基準を、一九七 〇年法︵一九九五年改正により明示された法定基準︶の﹁三分の一﹂から﹁二分の一﹂に引き上げた重要な改正箇所で あり、立法趣旨は、いわゆる訴願決定の信用力︹公信力︺の増強にあった。なお、法制の専門知識を有する者が二分の 21 (74−1一一21) ハ 一未満の場合、外聰委員の割合が二分の一未満の場合にした訴願決定の適法性が問題となる。 し、及びその一人を︹執行秘書︺と指定することができる︵同条第二項︶。 訴願審議委員會の事務局職員︹承辮入員︺は、首長がその行政機関の中で法制に関する専門知識を具える者から派遣 費は支給しないこととしていたりで、各機関によって、かなり取扱いが異なっている。 ただし、これらの規定は年々改定されるものの、後述のように実務的には、改定される前の基準によっていたり、交通 魚︿キロメートル﹀以上離れた遠隔地から出席する場合には、別の規定により交通費を支給できることとなっている。 規定﹂によって審査費、出席費、兼職費を支給するとされている。この﹁規定﹂︵二〇〇四年九月改訂︶によれぽ、出 ハぜ 席費の支給は毎会議二〇〇〇圓︹七五〇〇円︺と、審査費は︸件六九〇圓︹二四一五円︺となっている。また、三〇公 たり、口頭意見陳述を聴取したり、審議委員會の会議に参与したときは、﹁統一彙整修正各機關學校出席費目濫費支給 なお、外聴委員の報酬について、訴願法、行政院等組織規程には特に規定がないが、書面審査をして審査意見を記し に基づく︶。 委員の二分の一以上は法制に関する専門知識を有する者としなければならない︵以上、行政院等組織規程第四条第一項 ら専任又は兼任で派遣し、又は外聰委員に担任させる。その中で、外聴委員は委員の二分の一を下回ってならないし、 法制に関する専門知識を有する高級職員を、専任又は兼任で派遣する。その余の委員は、首長がその機関の高級職員か 審議委員會の委員は、五人から一五人までであり、その中の一人が主任委員となる。その機関の首長は、副首長又は 員は、行政院の査定を経て各機関が定め、業務を実施する︵行政叢誌組織規程第三条第一項︶。 と略称表記する︶。ここで主管の院とは、行政院のことをいう。 ハ 訴願審議委員會は、訴願受理機関の内部機関であり、独立した機関ではない。訴願審議委員會の編成、職の名称、定 訴願審議委員會組織規程及び審議規則は、主管の院が定める︵同条第三項。以下﹁行政院等組織規程﹂﹁審議規則﹂ 論説 (74−1−22) 22 台湾における訴願法の運罵について(一) (田中) 事務局の職員数について行政院は、実態調査をした結果、訴願業務の性質と案件は各機関によって異なり統一的な配 置基準の設定はなお難しいので、各機関が業務の状況により自ら異体的な職員配置の標準を定めるよう通知している。 もっとも、この通知の中では、事務職員各人につき、二実勤務日︹工作日︺で一件の案を完結し、一年間の実勤務日を 二五四日で計算し、平均年間一二七件の処理をするモデルを設定する。そして、そのモデルと、中央行政機関の二〇〇 一年から二〇〇四年までの実情を比較し、毎年平均一人二五〇件以上案件を収受するようになると、処理件数が八○% に低下し、三月以内に処理できる件数が五〇%以下になるといったことが示されている。一人年間一三〇件弱が、一つ のモデル的な人員配置となっているといえよう。 直轄市、縣︵市︶政府の訴願審議委員會の組織規程は、直轄市、縣︵市︶政府が別に定める︵行政院等組織規程第五 条︶。ただし、例えば、垂北市の訴願審議委員會の組織規程については第二節で見ていくように確かに別に定められて いるが、蔓北縣訴願審議委員會にあっては行政院の組織規程によっている。 ω 訴願審議委員會の運営︵訴願手続︶ 訴願の決定は、訴願審議委員會の決議を経てしなければならず、その決議は委員の過半数の出席をもって、出席委員 の過半数の同意でこれを行う︵訴願法第五三条︶。したがって訴願決定にあっては訴願審議委員會の役割が重要となる。 そこで、訴願法レベルでは委員の回避︵第五五条︶、委員會の審議記録︵第五四条︶、意見陳述の手続︵第六四条︶が規 定されている。そして、より詳細な定めが審議規則に置かれている。そこで、以下、原行政処分機関に訴願書が提出さ れた場合を例に審議規則も含めて手続を説明する。 訴願書が原行政処分機関に提出された場合において、原行政処分機関は原処分が合法妥当かどうかを先重ねて新たに 審査する︹先行重新審査︺︵訴願法第五八条第二項︶。訴願の理由があれぼ、原処分の取消しや変更をし、訴願管轄機関 に報告する︵同項︶。訴願に応じないときは、答弁書を添えて訴願受理機関に訴願書を送る︵同条第三項︶。その際は、 23 (74−1−23) 答弁書の写しを、訴願人に送付する︵同条第四項︶。訴願書に訴願理由が記載されていなけれぼ一〇臼以内に、訴願書 に理由が記載されていれば二〇日以内に、ζれらの処理をしなければならない︵審議規則第六条第一項︶。 なお、訴願審議委員會の主任委員あるいは委員がその訴願案件において利害関係を有するときは、自ら回避しなけれ 一人が議長の職務を代行する︵以上審議規則第=二条︶。 ない。会議は、主任委員が議長をする。主任委員が招集︹召集︺できず、又は出席できないときは、指定された委員の 訴願審議委員會の会議は主任委員が招集︹召集︺し、委員本人が出席しなけれぼならない。他人による代理は許され 員を列席させて説明させることができる︵同条第二項︶。 らない︵審議規則第一二条第一項︶。この審議については、原行政処分機関その他の関係機関に通知し、その期日に職 訴願案件は、訴願審議委員會の委員が意見を提出した後に、主任委員が指定する期日に開会し、審議を経なけれぼな た後に、審査意見を提出し、審議の準備に供える︵同項後段︶。 付する︵審議規則第一一条第一項前段︶。委員は証拠書類を詳しく閲覧し、事実を研究分析し、及び法規の適用を行っ ときは直ちに証拠書類と一緒に、訴願審議委員會の委員全体に送付し、又は三人以上のグループに分けた委員の審査に 訴願案件は、答弁が完備してから、訴願法上の審理手続を進める。事務局職員︹承辮人員︺は、処理意見を起草した 訴願は、手続審査︵形式審査︶をし、不受理の状況がなけれぼ実体審査をする︵審議規則第八条︶。 経ることになる。 する︵審議規則第九条︶。逆に言えば、︹撤回︺以外の案件、例えば︹不受理︺︿却下V案件は訴願審議委員會の審議を その後、訴願が訴願人により︹撤回された︺ ︿取り下げられた﹀ときは、訴願審議委員會の審決を経ずに案件が終了 この︹先行重重審査︺の法的性質について、学説には訴願手続説と行政手続説があり、先行害毒審査の範囲はどこま でか、訴願人の主張の範囲外まで職権で審査して決定することができるかといった点が、解釈論上の問題となっている。 論説 (74−1−24) 24 台湾における訴願法の運用について(一) 佃中) ぼならず、審議に参与してはならない︵訴願法第五五条︶。 そして、訴願審議委員會が訴願案件を審議するときは、職員を指定して審議記録を作成させてこれを添付しなければ ならない︵訴願法第五四条第一項前段︶。委員は、その審議中に決議と異なる意見を所持したときは、その請求を経て、 記録しなけれぼならない︵同項後段︶。少数意見記載権があることが特筆される。 さて、このほかに訴願人の権利にとって重要で、訴願審議委員會にかかわる重要な手続として意見陳述と口頭弁論手 続があるので、これらについて簡単にまとめる。 まず、意見陳述は、訴願受理機関は必要があるときに、訴願人、参加人又は利害関係人に通知して、指定した場所で 意見陳述させることができる︵訴願法第六一二条第一項︶。訴願人・参加人から意見陳述の請求があるときは、正当な理 由があれぼ、あらかじめ場所を指定して意見陳述の機会を与えなけれぼならない︵同条第二項︶。この意見陳述につい ては、訴願審議委員會の主任委員が指定した委員に、意見聴取を行わせることができる︵訴願法第六四条︶。意見陳述 については、訴願人・参加人に正当な理由がないときは、訴願受理機関は拒絶の通知をすることができ、又は訴願決定 の中で理由を明らかに示しておく︵審議規則第一〇条第一項︶。また、主任委員は、事務局職員︹承辮人員︺をこの意 見陳述に同席させて、記録を作成し、訴願関係ファイルに付することができる︵同条第二項︶。 これに対して口頭弁論︹言詞辮論︺手続は次のようになる。 訴願受理機関は、訴願人・参加人からの申立てにより、又は必要なときは職権で、訴願人等及び原行政機関の派遣職 員に、指定した期日に指定した場所で口頭弁論を行うことを通知することができる︵訴願法第五四条、審議規則第一四 条第一項︶。このときは、参加人や補佐人に通知をしたときに、答弁書のコピー又は抄本を付けて通知しなければなら ない︵同条第二項︶。そして、この口頭弁論は、訴願審議委員會の会議の進行申に行わなけれぼならない︵審議規則第 一四条第三項︶。 25 (74−1−25) 口頭弁論は次の手続で進む︵訴願法第六六条各号︶。①訴願受理機関は事件の要旨の陳述を行う。②訴願人、参加入 字の訂正に関する手続が、第二一九条にはその他の所定の方式を遵守するといったことが規定されている。 記する︶という手続を定める。第二一七条には調書に審判長︿裁判長﹀らの名を記すことが、第二一八条には調書の文 読し、ないし閲覧をさせ、記録に異議があれぼ書記官が更正する︵異議が不当であれぼ調書に﹁異議﹂があった旨を付 と同一の効力を有することを定める。第二一六条は、調書記載の陳述内容とその付記事項について、申立てがあれば朗 することを認める規定である。第一=五条は、調書内で文書を引用したりときに、その文書の内容が調書に記載された 以下民事訴訟法の残りの関係規定を見ていくと、まず第二一四条は、日本で言えば当事者が陳述書の提出による陳述 記録するときは、その録音テープや撮影テープなどを、口頭弁論調書とともに訴願審議委員會の審議記録に付けておか ハが なけれぼならない︵審議規則第一六条第二項。これは、民事訴訟法第一=三⋮一条の内容に相当する︶。 原行政処分⋮機関の職員などの氏名、弁論の進行要領を記載する︵審議規則第一六条第一項各号。これは民事訴訟法福野 ハ 一二条・第二一三条の口頭弁論調書記載事項に準じている︶。録音機や撮影機などの機器を使用して口頭弁論の進行を 口頭弁論の調書には、弁論の場所・年月日、出席委員、事務局職員の姓名、訴願案件︵の名称︶、出席した訴願人や その部分は審議規則の内容を説明する。 民事訴訟法の準用規定の内容は、調書の記載事項などであり、一部、審議規則において具体的に定めていることから、 口頭弁論については、訴願審議委員會の審議記録︵訴願法第五四条第一項︶とは別に調書︹筆録︺を作成しなけれぼ ハがい ならず、審議記録に添付資料として編纂し、並びに民事訴訟法第二=一条から第二一九条までの規定を準用する。この 訴願受理機関は、訴願人及び原行政処分機関に質問を提出する。 法律上の陳述を行う。④訴願受理機関又は原行政処分機関は、陳述しあるいは答弁の他方に対して、再答弁を行う。⑤ 又は訴願代理人は、事件について事実上の又は法律上の陳述を行う。③原行政処分機関は、事件について事実上の又は 論説 (74−i−26) 26 台湾における訴願法の運用について(一) 佃中) これら意見陳述・口頭弁論については、口頭弁論の効果が法定されていないとか、詳論弁論に出席しなかった委員は が 訴願決定の表決に参与できるのかなどの規定上の問題が指摘されている。 ㈲ 訴願審議委員會会委員・事務局職員の資質及び運用実態解明の重要性 以上のように、台湾と日本の訴願・行政不服申立制度は、第三者も加わる組織︵訴願審議委員會︶が決定ないし裁決 に関与するかどうかが制度的な最大の違いである。したがって、もし諸本よりも台湾の制度の方が国民の救済に関して より高く機能しているならば、訴願審議委員會の制度運用が重要な鍵を握ることとなる。 そこで、次項において、現在の制度運用の全体像を台湾と日本で比較をし、救済の現状についてどのような相違があ るのかを確認した上で、次節においてと実際の機関における訴願審議委員會の運用実態を見ていく。 訴願制度の運営状況︵全国水準︶ ω 訴願の統計 ハが サ氏の研究時点では﹁台湾全体の訴願状況を知り得る資料は入手できなかったしとされているが、現在は、行政院の ハが ホームページにおいて、台湾全体の訴願状況が公表されている。当該統計資料について、簡単に紹介しておく。 別表1は、台湾の中央行政機関︵以下便宜的に﹁国の機関﹂ということがある︶の訴願の提起・審理状況を示すもの である。また、別表2は、︹地方自治團膿︺︿自治体﹀の訴願の提起・審理状況示すものである。 これらの別表から、台湾における訴願状況を概説的に整理すると、次のようになる。 第一に、二〇〇五年の一年に国の機関に提起された訴願件数は、前年度未決の数と合わせ、二万三五〇六件である。 このうち、年度末に未決の事件は四五五四件あり、二〇〇五年中に処理された件数は一万八九五二件となる。処理件数 27 (74−1−27) 3 誘脇.︾ 艸@.。。洲 鑓O、N g。っ ㊨OoO ON O鑓 勲 餌 NO①.N 薫ゆ ①。○ ①N 簿O.ゆ 蕊N、N 象06 ゆ譲 ま 宦 ミゆ $ 縮 震 Oめ 戴 嶋。っ ①O︷ ゆ鐸 ぜ露 D阿 O餌ご ト○っ頃 ま 熟。う O窯 $ n︷.一 鶉 耳洲.。q 氏 鈷⑩ 奪麓∼。, ①。っ層.ゆ O爲 氏B○ p。。ド州 m①.︷ 寒◎っ 匿ト 戴 鵠響 謎ト、爲 N餌 等。。、ゆ 。二如3㎏訪繕輕鶯︾30短誕懸^♪麺^♪︾ゆ酬姿姻騒膿 ︵堀駆慰更響奴e終嚥︶趣賦鰹鰹魍調や採 確颯鰹掛鎖寵岳 ︵酸蠣轟H蝋趨,鋼罵淫軽︶趣甑鰹騨H蝋︽ ︵誕轍織日蕪擁笹︶翻颯鰹8謝 ︵鷺鷺想綱髄曇糞灘e終磁V趣賦鰹報竈 ︵蝋翠想振竃鰹紳蕪e資瓢︶劔颯鰹紳蕪騒圖 ︵罐謹肇騒麹.無握eく騰鰹禦︶趣嘱鰹勲簿蝋麺霞蕊璽瞬懸團 ︵蜘魍霰・駕霞ゆ粥趣慰鐘k臨晋︶薗眠臓遡k ︵箭羅想娠痢肇唄鍵e粁置︶醜鍍潮遊鍵 卜8.一 蕊eq 寒ゆ ゆ一 ト醜 斜。っ ゚①.囲 黛 艪m、︾ 匿 卜Oト、囲 ゆ雲、︷ ③餌 麟 黛 N霧.。q一 欝ト 蕊σq 例曇 州。っ。う、。っ 謎 專 卜調 蝉の 護︾ 寒 Oト 蓉ト ①6っ① 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第二に、二〇〇五年の一年に地方自治直前の機関に提起された訴願件数は、前年度未決の数と合わせ、七二四九件で ある。このうち、年度末に未決の事件は一五〇七件あり、二〇〇五年中に処理された件数は五七四二件となる。処理件 数の内訳は、︹不受理︺=二四〇件︵そのうち原行政処分取消しによるもの五五九件︶、︹駁回︺二九九九件、︹磁心︺六 九八件となっている。また、決定件数五〇三七件に対する行政訴訟提起数は八八一件となっている︵訴訟提起率一七・ 四九%︶。︹移韓︺は三三一件、︹撤回︺は三七四件である。決定件数に対する︹撤錆︺の割合を救済率として表すと、 自治体の機関についての訴願の救済率は=二・八六%︵不受理案件中原処分の取消しをしたものを含めると二四・九 六%︶となる。審決期間については三か月以内が三四三七件︵六八・二四%︶、三か月から五か月が一五五九件︵三〇・ 九五%︶であり、五か月を超えたものは四一件︵○・八一%︶である。 ② 日本との比較 ハ 日本では、行政不服申立ての統計は、定期的にはまとめられていない。ただ、二〇〇七年三月、国レベルの二〇〇五 年度分の調査結果が公表された。また、自治体レベルについても全自治体を対象に調査がなされており、本稿脱稿時点 ハゆ では、調査結果は取りまとめ中となっている。そこで、まず、国レベルについて、二〇〇五年度分調査の数値と比較を (74一一1−30) 30 台湾における訴願法の運用について(一) (田中〉 する。日本の自治体については、二〇〇五年度調査の直前の調査は、二〇〇二年度調査︵ただし、都道府県・指定都 市・指定都市以外の県庁所在市のみ︶なので、この二〇〇二年度調査の数値と比較をする。 なお、台湾・訴願法の適用される対象とB本・行政不服審査法の適用される対象、比較年の取り方︵暦年か、臼本の 会計年度か︶など、違いがあるが、通則的∴般法的制度の大まかな実態比較には十分と思われる。 第一に、二〇〇五年度の一年に国の機関に提起された行政不服申立て件数は、前年度未決の数と合わせ、三万一五六 九件である。このうち、年度末に未決の事件は一万一九四一件あり、二〇〇五年度中に処理された件数は一万九六二八 件︵取下げを含む︶となる。処理件数の内訳は、却下=二五八件、棄却一万二七七九件、容認二五五三件、その他九件 であり、その気取下げ二九二九件である。処理件数︵一万六六九九件︶に対する容認の割合を救済率として表すと、国 の機関についての行政不服申立ての救済率は一五・二九%となる。なお、容認件数のうち一五九〇件は、国税通則法・ 国税徴収法・情報公開関係事件である。審査期間については三か月以内が八五一一件︵五〇・九七%︶、三か月から六か 月が二=一三件︵一二・七一%︶であり、六か月を超えたものは六〇六五件︵三六・三二%︶である。 第二に、二〇〇二年度の一年に自治体の機関に提起された行政不服申立ての件数は、前年度未決の数と合わせ、三六 万六三五四件である。桁違いに多いが前年度未決事件数は三五万五四三八件あり、同年度の新規提起分は一万九一六件 である。滞留する事件の多く︵二八万九六七四件︶は地方公務員関係事件であり、かつ、特定の県︵福岡県、鹿児島県、 長崎県︶に偏っている。このうち、年度末に未決の事件は三一万三四五四件あり、二〇〇五年中に処理された件数は五 万二九〇〇件となる。処理件数の内訳は、却下四八二〇件、棄却五一五一件、容認四三八件その他の処理一一件、取下 げは四万二四八○件である。裁決・決定件数︵一万延〇九件︶に対する容認の割合を救済率として表すと、自治体の⋮機 関についての行政不服申立ての救済率は四・二一%と非常に低い。審査期間については三か月以内が二〇六五件︵一 九・六九%︶、三か月から六か月が一二〇四件︵=・五七%︶であり、六か月を超えたものは七一四〇件︵六八・五 31 (74−1−31) 九%︶である。 ついて特定の立場に立つことを意味するものではない。 ︵2︶ 本稿では、統治の実態を踏まえ、台湾を一つの国家と扱って表記をする。ただし、これは台湾と中国大陸における政治問題に 服審査﹂ではなく﹁行政不賑申立て﹂と表記する。 不服申立てに係る制度について、行政機関側からではなく国民の側に立って議論をするという基本的立場を表すために、﹁行政不 ︵1︶ 本稿では、法令用語や文献引用による場合及び行政機関体側からこの制度を記述しなければならない場合を除き、行賑法上の ︵続く︶ され得る。その点でも、法運用の実態調査が必要になる。 も指摘できる。ただし、この処理期間の差異は、訴願や行政不服申立てに対する対応に配置する七重職員数などに左右 者が加わる機関による審議を経ての決定制度が一般法としては存在しない日本の方が処理に要する期問が長いという点 力の高さと結びつけることは、国より自治体の方が、救済率が低いという現状からは、無理な説明である。また、第三 ては一般的に地方公務員よりも国家公務員の方が優秀だという雰囲気がある。したがって、救済率の低さを公務員の能 救済率が低いことは、原処分がより適切になされていると肯定的に評価する考え方もあり得る。しかし、日本におい よりも救済率は高くなる。また、自治体レベルでは極端に日本の救済率が低いということを指摘することができる。 ︿取下げ﹀はさせずに、訴願に対する︹不受理︺︿却下﹀の決定をする。そこで、実質的な救済率で見ると、総じて日本 に、行政機関によって救済率は大幅に異なるし、台湾の場合は職権で︹撤錆︺︿取消し﹀をした事件でも訴願の︹撤回︺ 救済率については、国の⋮機関レベルでいえぼ、日本と台湾はそう違わないかもしれない。ただし、第二節で述べるよう 日本の人口が台湾の約六倍であることを考えると、上本の不服申立ては、規模的には台湾の六分の一の水準といえる。 台湾と日本を比較すると、日本の地方公務員関係の事件を除くと、総数自体は台湾と日本でかなり近い数字となる。 論説 (74−1−32) 32 続く行政上の訴訟制度︵これを本稿では行政訴訟制度という︶をいうものとする。何をもって﹁行政救済︺と定義するかの議論に ︵3︶ 本稿において﹁行政救済制度﹂とは、主として私人の主観的権利に係る法的救済制度としての、行政不服申立制度及びこれに 敏正編﹃行政救済法1﹄︵有斐閣・一九九〇年︶一∼一六頁を参照。 ついては、差し当たり、下山瑛二﹃人権と行政救済法﹄ ︵三省堂・−一九七九年︶の﹁序説し、室井力﹁現代行政と行政救済法し杉村 総理行政審判委員会のホームページ︵同日付けのニュース参照︶で見ることができる。算蔓\\≦奄芝鯨ω巨℃緊。部画9豊漁\露αの×室℃。な ︵4︶ インターネットでの公表は二〇〇六年一二月八日。この行政審判法改正試案︵遡碧噌豊嘱噌噌刈上︶は、次の、韓国国務 ︵5︶ これらの法律は、原語で、それぞれ行政訴訟法︵二〇〇〇年七月一日施行︶、訴願法︵二〇〇〇年七月一日施行︶、行政程序法 お、以下において、ホームページを示す際、その最終アクセス欝は、すべて二〇〇七年五月六日である。 ︵二〇〇一年一月一臼施行︶と呼ばれる。以下では、これらの法律は原語で表記する。日本の法律と区別をしゃすくするためであ る。なお、本稿では、日本・台湾ともに、法令の制定年の表記は、施行された年で表記する。効力を有していない時期を法の制定 ︵6︶ 例えば、改正行政訴訟法の概括的な解説については、玉國文敏﹁台湾の新行政訴訟法﹂石島弘ほか編﹃税法の課題と超克一山 改廃年とした場合、未施行期間にも当該法令が施行されているとの誤解を与えかねず、不適当であると考えるからである。 田二郎先生古稀記念論文集﹄︵信山社出版・二〇〇〇年︶五一三∼五五五頁を参照。この玉國論文は、訴願前置主義の関係で、訴願 についても少し触れている︵五二六∼五二七頁︶。また、改正行政訴訟法の条文の翻訳については、﹃[特許庁委託]台湾の改正行 ︵7︶ 研究は、サ製図﹃東アジアの行政不服審査制度−韓国・中国・台湾そして臼本﹄︵有信堂高文社・二〇〇四年︶としてまとめら 政事件訴訟法﹄︵財団法人交流協会・二〇〇一年︶がある。 れている。以下、同書をサ﹃東アジア﹄と略称表記する。台湾関係は、同書第二編第 章︵台湾の訴願法︶として収録されている ︵8︶ ただし、二〇〇〇年法改正までについては、木佐茂男・毒素鳳﹁台湾における行政争訟制度の改革1⋮行政不服審査、行政訴 二六六∼一九七頁︶。 翠黛專任助理教授︶﹁中華民国における行政手続法制定および行政争訟二法改正︵一︶、︵二・完ご六甲台論集︵法学政治学篇︶四 訟、行政裁判所しジュリスト一〇八一号︵一九九五年一二月一五屋号︶九七∼一〇一頁、あるいは逆井琳︵玄莫大學公共事務管理 六巻三号二四五∼二九一頁、四七巻一号一七九∼二二七頁︵いずれも二〇〇〇年︶がある。以下、木佐・林論文を﹁木佐・林﹁台湾 ︵9︶ 罪氏は、﹁今後の運用がはたしていかなるものであるかについても資料を入手しだい、考察したい﹂と述べた上で︵罪﹃東ア 行政争訟﹂﹂と、王論文を﹁王﹁中華民国︵一︶﹂しないし﹁王﹁中華民国︵二︶﹂﹂と略称表記する。 ジア﹄一九〇頁︶、蔓北帯訴願審議委員會のホームページ︵ぼ酔§\\≦薯≦巷℃$一もの鋤一.錺帯魚δqO︿魯芝\︶の内容を紹介している︵同 書 九五∼一九七頁︶。ただ、その後の罪氏の論文︵警守澤﹁東アジア諸蟹との比較から見た環本の行政不服審査法しジュリスト 33 (74−1−33) 佃中) 台湾における訴願法の運鰐について(一) 説 葭開 弧 ︵10︶ 以上の訴願の意義に関する記述につき、察志方﹁訴願制度﹂翁岳生血﹃行政法︵下︶︵三智︶﹄︵元照出版・二〇〇六年︶二六 =一三四号︵二〇〇六年︶二一頁∼二七頁︶でも、台湾の訴願制度の運用実態について新たな知見は提示していない。 五∼二六六頁を参照した︵なお、罪﹃東アジア﹄一六七頁も参照︶。この﹃行政法﹄の編者の翁氏は、現在、大法官会議主席であ 氏︵國立成功大學科技法律研究所教授︶は、台湾の行政救済法・訴願制度研究で最も有名な研究者の一人といえる。本論文を、以 る司法院長︵騒本の最高裁判所長官に相当︶の職にあり、本書は、台湾行政法における重要な基本書の一つである。また、藥志方 下、藥﹁訴願制度﹂と略称表記する。 ︵19︶ 前掲・行政院法務部ホームページ﹁全國法規資料庫﹂における訴願法の立法沿革及び前掲・行政院法規委員會編集﹃訴願法 ︵18︶ 謝振民﹃中華民馬立法史﹄︵正中書冊・一九三七年初版・一九四八年三一版︶一二九四∼一二九六頁。 七三巻第三号三九五頁の脚注︵3︶を参照。 と表記するかについては、田中孝男﹁自治体総合行政不服審査機関の設置構想−政策法学の視点から一﹂法政研究︵九州大学︶第 ︵17︶ 日本の﹁地方公共団体﹂︵主に普通地方公共団体及びこれに準ずる特別区︶を、以下﹁自治体﹂と表記する。なぜ、﹁自治体﹂ 会科学研究五五巻五・六合併号︵二〇〇四年︶二七三∼三一五頁を参照。 ︵!6︶ 比較法社会学の方法論については、差し当たり、広渡清吾﹁﹁法の比較﹂についての再考−比較法面会論のための覚書1﹂社 ︵15︶ 例えば、潤本の自治体の規制執行研究として北村喜宣﹃行政執行過程と自治体﹄︵日本評論社・一九九七年︶参照。 佐氏の著作におけるような多数のインタビューには至っておらず、個別の訴願審議委員會の事例紹介を中心としたものにとどまる。 ︵14︶ 具体的な方法として、木佐茂男﹃人間の尊厳と司法権愉︵霞本評論社∴九九〇年︶一=∼二三頁を参照。ただし、本稿は、木 文全体のねらいから、詳細な議論の展開を行わなかったことはやむを得ないものと思われる。 にとどまっている。ただ、王論文執筆時点では、二〇〇〇年の改正訴願法は、公布されていたが施行されていなかったので、王論 ︵13︶ 訴願審議委員會について、王﹁中華民国︵二ごはこ〇二頁で触れているが、法律及び審議規則の条文と若干の解釈論の紹介 特にその後新たな議論となっている部分を中心に補足的に述べるにとどめる。 本稿では、罪﹃東アジア㎏において言及する台湾・訴願法の解釈論︵特に薬志方氏の論ずるところ︶については雰氏の成果に委ね、 ︵12︶ それゆえ、本来であれば、前掲・藥志方氏の著作など台湾の文献を十分に踏まえた実定法解釈が求められるにもかかわらず、 〇〇五年︶を参考にした。 利用した。同時に、法律の沿革と公式な英語訳である行政院法規委員會編集﹃訴願法︵︾Q慧三ω窪鋤臨く①︾℃℃巴︾。酔︶﹄︵行政院・二 間ぴq冨≦︶の条文や立法院公報のPDF文書及び行政院法務部ホームページ﹁全國法規資料庫﹂︵耳翼\\鋸耳遠OU・ぴqO<.酔乏\営.器℃︶を ︵11︶ 法律の沿革と内容については、台湾立法院︵国会に相当﹀の電子法令データ﹁立法院法律系統﹂ ︵簿ε \\一一結団面○<.轡乏\碍。αqぐ (74−1−34) 34 ︵20︶ それ以前の訴願に係る法制度も含め罪﹃東アジア臨∼六七∼一六八頁参照。 ︵跨鳥ヨ卿麟卿QQ酔吋鱒樽一く①帳〆℃℃9一諺Oけ︶隠では、最初の同法は、一九三〇年法となっている。 ︵21︶ 勢﹃東アジア﹄一七三頁は、後述の二〇〇〇年改正で訴願における口頭弁論制度が創設されたかのような印象を与える記述と なっているが、条文的には、一九三〇年法から口頭弁論の規定はある。 年法と同時に改正された行政訴訟法第一条第一項の規定は、次のとおり︹人民因申二重地方官署之違法慮分、至損害其灌利、纒依 ︵22︶ ただし、訴願前置主義は当時の行政訴訟法第一条で規定されていたので、訴願前置主義が廃止されたわけではない︵一九三七 訴願法提起再訴願而不服其決定、或提起再訴願途二個月不為決定者、得向行政法院提起行政訴訟。︺︶。このことにつき、翁岳生 ︵23︶ サ﹃東アジア﹄三五匹頁の資料では、一九三七年改正は第一二条と第=二条の改正のように書かれているが、筆者が条文を確 ﹁行政訴訟制度現代化之研究﹂國立蓬斎言定法畢論叢四巻一期︵一九七四年﹀八七頁も参照。 虚した限りでは、一九三〇年法、一九三七年法のこれらの規定ないし相当規定は、条文の移動はあるものの、内容に変更はない。 行されていた。 ︵24︶ 訴願法ヲ台湾二施行スルノ件︵一九二二︵大正=︶年三月二八日勅令第五一号︶によって台湾の地域には日本の訴願法が施 ︵26> 例えば、陳慈陽︵國立毫北大學法律學系教授︶﹃憲法學︵第二版ご︵元照出版・二〇〇五年︶六一二∼六二八頁参照。これは、 ︵25︶ 罪﹃東アジア﹄一六八頁では中華民国憲法の公布・施行は一九三七年となっているが、一九四七年が正しい。 ︵27︶ 台湾の請願法は全= か条とβ本の請願法よりも条文数が多いが、規定の内容は臼本法とそれほど大きな違いはない。ただし、 台湾で定評のある特に重要な害心法教科書の一つである。 訴願事項、訴訟事項については請願することができない︵台湾・請願法第四条︶点、請願の処理結果については請願人に通知義務 ︵28︶ 罪﹃東アジア﹄一六八頁は一九六〇年となっているが、一九七〇年が正しい。 がある点︵同法第八条︶が、日本法と異なる。なお、請願と訴願の関係については、藥﹁訴願制度し二六七∼二六八頁参照。 ︵29︶ 一九七〇年法の実施に向けての台湾内政部の取組みに関して中国蒔報社論﹁内政部早急先鞭一徳内政部改進訴願審議的三項措 置﹂﹃護国時報﹄︵新聞︶一九七二︵民国六一︶年=月一三日が、あるいは警察関係者による当時の警察関係の訴願審議手続の解 ︵30︶ 立法院公報第五九巻第八五期院会記録二九頁。 説として、濡正﹁談訴願審議程序﹂﹃警光熱︵雑誌︶二〇四号︵一九七三年︶がある。 ︵31︶ 次の墓北市訴願審議委員曾の﹁圓顧﹂のホームページを参照。 ︵32︶ 罪﹃東アジア﹄一六八頁は、一九六九年と一九七九年に法改正があったとし、前者が第一項の改正、後者が第二項の改正とし 簿8“\\≦≦≦巷噂$圃’賦︷需茜○<8≦毒びOIじ。鋤超× 35 (74−1−35) 佃中) 台湾における訴願法の運燗について(一一) 説 曇A 葭醸 当たらない。 ているが、台湾立法院・行政院の法令データの立法沿革・議事録を見る遣り、一九六九年に訴願法が改正されたことを示すものは見 ︵33︶ 程明仁︵公刊当時・中華農書著作禮人協會法務組︶﹁訴願司法化的新里程−淺談訴願審議組織之攣革﹂﹃植根雑誌﹄=一巻九期 評論レベルでも批判がなされていた。例えば、張乃凡﹁封修正訴願審議委員會組織規定評議︵上︶︵下︶﹂﹃自立晩報﹄︵新聞︶一九 ︵一九九六年︶三五五頁。訴願審議委員會委員の資格規定がなく、専任職員の設置についても規定していない点については、政治 年︶三五六∼三五八頁、同﹁熟談修正訴願審議組織規程し﹃政治評論﹄第三〇巻第二期︵一九七三年︶三九∼四〇頁を参照。また、 七三︵民国六二︶年二月一九麟・二〇田︶、同﹁談修正訴願審議委員愈組織規程﹂﹃政治評論﹄︵雑誌︶第二九巻第=一期︵一九七三 訴願審議委員會の独立機関化等を意見するものとして、孫艦齢﹁建議改進各行政機関之訴願審議委員會︺﹃民主潮﹄︵雑誌︶第二七 ︵34︶ 木佐・林﹁台湾行政争訟﹂九八頁参照。 巻第一期︵一九七七年︶九∼一一頁がある。 ︵35︶ 程明仁・前掲﹁訴願司法化的新里程﹂三五六∼三五九頁参照。 ︵36︶ 二〇〇〇年改正法の立案から制定・施行までの経過については、木佐・林﹁台湾行政争訟︺九八∼九九頁、王﹁中華民国︵二ご ︵37︶ 訴願制度が行政訴訟制度と関連するので司法制度について限っても、露本の調度が台湾において意識され、あるいは影響を受 一九六頁、雰﹃東アジア﹄一六八∼︷六九頁及び三五二頁を参照。 けていることについて、鈴木賢﹁台湾の法曹制度﹂広渡清吾編﹃法曹の比較法社会学﹄︵東京大学出版会・二〇〇三年︶二二四頁、 ︵38︶ 木佐・林﹁台湾行政争訟﹂九七頁、王﹁中華民国︵二ご 一八二頁。 二五三頁参照。 ︵40︶ もちろん、β本の方が救済に手厚く読める規定もあるので、台湾の訴願調度の方がすべての面でB本の訴願制度よりも優れて ︵39︶ 木佐・林﹁台湾行政争訟﹂九九頁。 ︵姐︶ 日本の行政不服審査法は、一九三二年の︵改正︶訴願法案がそのまま生き延びたものと言われている︵梅木崇﹁訴願法案︵昭 いるというわけではない。 容については田中二郎﹃行政争訟の法理﹄︵有斐閣・一九五四年︶五=二∼五 七頁を参照︶においては、台湾の訴願審議委員禽の 和七年︶と行政不服審査法し法学新報︵中央大学︶九六巻=・=一号︵一九九〇年︶=八頁参照︶。だが、同訴願法案︵その内 ︵42︶ 行脹法の法案は、一九五九年六月に発足した訴願制度調査会がその一年半後の一九六〇年暮れに出した訴願制度改善要綱及び ような組織は構想されていない。 その参考案たる﹁行政不服審査法︵仮称︶要綱案﹂に原型があるが、これらの中でも台湾の訴願審議委員會のような組織整備は盛 (74−1−36) 36 り込まれていない。改正案の焦点としてもほとんど意識されていなかったと思われる︵田中二郎ほか﹁訴願制度の改正をめぐる諸 不服申立制度を独立・第三者的な裁決機関による前審裁判に改組すべきとする議論︵兼子仁﹁訴願制度改善案の理論的検討﹂自治 問題﹂ジユリストニニ一号六頁以下︵一九六一年︶の関係者による議論を参照︶。もちろん、研究者の中には、理想論として行政 るし、審廷その他の物的施設も必要で、これは現在の行政機関に期待することは困難などの消極的な意見もあった︵雄川一郎﹁訴 研究三七巻二号︵一九六一年︶七六頁参照︶があったが、その正しい運用には高度の技術的訓練をもった審判スタッフを必要とす 願制度改善要綱について﹂﹃行政争訟の法理﹄︵有斐閣・一九八六年︶︸三二頁︵初出一﹁訴願制度改善要綱について﹂自治研究三七 巻二号︵一九六一年﹀一三頁︶。行政実務家は、学識経験者から成る非常勤の訴願委員と称すべき諮問機関への意見聴取制度でさ ﹁訴願制度の課題﹂自治研究三五巻八号︵一九五九年︶九∼一〇頁参照︶。 不当処分についての審議をこのような学識経験者に裁決させることは妥当でないと考えていた︵諸橋嚢︵元会計検査院検査 v 一 この監察院の組織概要に関する日本語文献として、青山武憲・欧慶爾﹁中華民国監察院組織﹂アジア研究所紀要︵亜細亜大学︶ 人から一〇人とし、委員には高級職員や学者・専門家を選任する。そして、現在の名簿︵次のホームページ︶によれば、委員は、 いて、蔓北市法規委員會組織規程第二条は同委員會の業務につきおおむね内政部と同様の法規事務︹法制事項︺を定め、委員を八 が加わり得るのである。なお、内政部法規委員會の委員名簿が公開されていないので、聴感市でみていけば、同市法規委員會につ 規管理組織ないし霞治体の法制事務組織の所管事務に機能的には類似する。ただ、委員會の委員には、大学研究者等の外部専門家 に熟知している高級職員のほか必要があれば学者や専門家を選任できる︵第四条前段︶。法規委員会の業務は、日本の各省庁の法 解釈や国家賠償事件の処理など、法規事務︹法制事項︺を担当する︵第二条︶。その委員は、一七人から二三人で構成され、法律 會組織規程が定められている。同規程によれぽ、岡委員會は、内政部の年度立法計画、法規案件審査、法規の整理・編纂、法令の ︵47︶ 例えば、内政部について、内政部組織法第九条は各種委員會を設置することができると規定し、これを受けて内政部法規委員 簿暮一\\≦≦拍ミ卿肋 ○ < 齢 け 嶺 \ 営 脅 × ’ 霧 ℃ 二三号 ︵一九九六年︶一五八∼一三〇頁がある。ただ、現在の状況を知るには監察院のホームページを参照する方が適切である。 ︵46︶ 晶磁法 院法 制 委醐 △餌 四[ ム同 第六 ム図 委藺 △ 万ム 蒼 磁敵 嶋 録。 興 第 三 期 次 体 貫 立法院公報第五八巻五二期委員会記録七頁︶。 提案者︵行政院︶によると、訴願審議委員會の調度化は法治行政強化の一方策と位置付けられている二九六九年六月一一日、 罪﹃東アジア臨二八∼三五頁参照。 加藤泰守﹁訴願法改正について﹂公法研究二三号︵︷九六一年︶二〇〇頁及び二〇四頁の第2表参照。 45墾馨官え 宅≦≦貯≦鐘曽Φ茜。<・酔芝\ぼ賃○\ヨ磐麺呂 大学教授一人、弁護士一人、国の⋮機関︵中央研究所を含む︶二人、シンクタンク一人、甫の高級職員五人となっている。ゲ簿P\\ 37 (74−1−37) 佃中) 台湾における訴願法の運朋について(∼) 説 葭隈 払 れによって権利利益に損害を受けた者は、当該政府機関に異議を提出できる︵同法第七五条︶。異議の処理結果に不服のある者は、 ︵48︶ 政府垂下法︿政府調達法﹀の規定による救済手続のために設置されている。政府機関が調達において法令・条約違反をしてそ 各機関に置かれている政府採購申訴審議委員會に、申訴を申し立てることができる︵同法第七六条第一項︶。漏壷の判断は訴願決 定と同視される︵同法第八三条︶。政府蔓質申訴審議委員會の委員は、七人から二五人までであり、法律や調達について専門知識 のある公正な人から選任する︵その機関の高級職員三人までを兼務委員のとして派遣できるが、高級職員の兼務委員は、全委員の 願制度﹂二六五頁脚注4参照︶。 五分の一を超えてはならない︶︵同法第八六条︶。なお、採購幽晦は、台湾では広義の訴願としての申訴に位置付けられる︵藥﹁訴 皇五七条第三項参照︶は、台湾では明示的に訴願を提起できる︵﹁訴願主体﹂とする︶︵訴願法第一条第二項︶。これは地方自治権 ︵49︶ 例えば、躍本では﹁固有の資格﹂によって行奏法による不服申立てを排除されている自治体その他のいわゆる公法人︵行服法 のあり方を考えると重要な点だが︵昇﹃東アジア﹄一七〇頁参照︶、ここでは説明を省略する。 務め、現在でも台湾行政法学の権威である。以下本書を、呉﹃行政事訟法論﹄という。また、同氏の著作﹃行政法之理論與実用 ︵50︶ 呉庚﹃行政事訟法論︵第三版︶﹄︵三民書局・二〇〇五年︶三〇七頁。著者は、蔓湾大脳教授を経て、台湾の大法宮を二〇年間 ︵増訂第九版︶﹄︵三民書局・二〇〇五年︶は、台湾の行政法︵総論・行政救済法︶をほぼ全般的に解説した台湾行政法学における最 も有名な基本書の一つである︵以下、呉﹃行政法之理論與実用﹄という︶。 ﹃行政宰訟法論﹄は﹃行政法之理論與実用﹄のうち行 政争訟︵訴願・行政訴訟︶について特に詳しく書かれていて、﹃行政法之理論與実用﹄の姉妹編と位置付けられている。なお、呉氏 ︵5!︶ 曼﹃行政事訟法論睡三〇二頁。 の著作は改訂が頻繁に行われるので、引用時には注意を要する。本稿では、上記のとおり、二〇〇五年の改訂版を用いている。 ︵52︶ 呉﹃行政争訟法論﹄=二頁、なお、このことにつき王﹁中華民国︵二︶﹂一八六頁も参照。 ︵53︶ 二〇〇三年一月一五日に開催された司法制度改革推進本部・行政訴訟検討海星一二嗣会合で配布された﹁資料3 行政事件訴 訟法第八条第一項ただし書に定める不服申立前置を定めた規定一覧表﹂によれぽ、当主の時点で、六五法律七二件の不服申立前置 の規定がある。一九六二年の行政事件訴訟法制定当時の法律の整備において不賑申立前置に関連して五一件の法律が挙がっている とされている︵園部逸夫編﹃注解行政事件訴訟法﹄︵有斐閣∴九八九年︶∼四〇頁︹渋谷秀樹︺︶から、この間、前置主義が増加 評論社・二〇〇四年︶一二九頁︹見上崇洋︺に指摘がある︶。 したと考えてよい︵前置主義の増加傾向ついては、室井力・芝池義塾浜川清編著﹃行政事件訴訟法・国家賠償法︵第二版︶﹄︵日本 ︵55︶ 司法院国字第四六九号解釈二九九八年=月二〇臼︶。これは、台湾・田家賠償法第二条第二項︵日本の国家賠償法第一条第 ︵54︶ 行政法院一九八六︵民国七五︶年判例第三六二号。 (74−1−38) 38 訟の取消訴訟における原告に必要とされる法律上の利益について言及する呉﹃行政孚訟法論﹄=二∼一一四頁、﹃行政法之理論 一項に相当︶の賠償請求権者に関する解釈についてのものである。臭﹃行政法之理論與実用﹄六二八頁及び周頁が引用する行政訴 與実用﹄六五八∼六五九頁参照。もっとも、取消訴訟の原告適格に関しては、台湾でも日本と同様に﹁法律上の保護利益説﹂と ﹁受けるに値する保護利益説﹂の対立があるという指摘につき、玉國文敏・前掲﹁台湾の新行政訴訟法﹂五二八頁参照。また、広義 度﹂二七二∼二七九頁も参照。 の訴願制度における訴願適格︹訴願當蔵人適格︺の問題を、被害者訴願、利害関係者訴願、民衆訴願に分けて論ずる藥﹁訴願制 ︵56︶ 塩野宏﹃行政法H︵行政救済法︶[第四版]﹄︵有斐閣・二〇〇五年︶一九∼二〇頁。ただし、別に、取消訴訟の原告適格よりも ︵57︶ 藤田宙靖﹃第四版行政法亙︵総論﹀[改訂版]﹄︵青林書院・二〇〇五年︶四〇七∼四二二頁、同﹃行政法の基礎理論 上巻隔 不服申立適格の方が広いという解釈もある。 ︵有斐閣・二〇〇五年︶二八五∼二八六頁︹初出u二〇〇一年︺。 格の判断にも影響が及び︵塩野宏・前掲﹃行政法難﹄二〇頁︶、あるいは不服申立適格の実質的拡大がなされたと評価されている ︵58︶ 日本では、二〇〇五年行政事件訴訟法改正により、取消訴訟の原告適格に関する解釈規定が追加されたことから、不服申立適 違いがでるか具体的な事件で比較をしなければならない。ただ、本稿の主題ではないので、当該論点のみを指摘する。 ︵宇賀克也﹃行政法概説H 行政救済法﹄︵有斐閣・二〇〇六年︶四一∼四二頁参照︶。これによって、日本と台湾の議論にどこまで 導昼\\乏≦≦・2●びqOダ葺\℃菩岡貯\O暮p。\①器⑩一8濾駆鳶も無 ︵59︶ 台湾行政院のホームページには、分かりやすい訴願手続の流れ図があるので、あわせて参照のこと。 ︵60︶ 南博方・小高醗﹃全訂注釈行政不服審査法﹄︵第一法規・一九八八年︶一五七頁参照。 ︵61︶ ただし、学説には請求権を認める積極説もある。議論の全体が分かりやすいものとして、室井力・芝池鎖病浜川清編著﹃コン メンタール行政法亙 行政手続法・行政不服審査法﹄︵日本評論社∴九九七年。以下、室井ほか﹃コンメンタール﹄という︶三六 ︵62︶ 行政院及各級行政機關訴願文書使用牧費標準︵二〇〇〇年月月一〇臼行政薫蒸八九訴字第一三二五八号︶。それによると、閲 四∼三六五頁︹岡崎勝彦︺。 覧は一件一回二〇〇圓︹七〇〇円︺である。閲覧蒔に謄写︵コピー﹀をするときは、さらに一枚二圓︹七円︶が必要である。また、 閲覧せず費用を事前に納付して謄写するときは一枚三日︹一〇・五円︺が必要である。 ︵63︶ 台湾と比較すると、審査庁が職権で収集した文書等、審査庁が作成した文書等の閲覧という対象範囲と、謄写︵コピー︶交付 一∼三八二頁︶、学説ではそのことについて支持するのが有力である︵塩野宏・前掲﹃行政法薮﹄二九∼三〇頁参照︶。ただし、立 の有無について問題となる。まず、前者の対象範囲について裁判事例は否定的な傾向であるとされ︵室井ほかコンメンタール三八 39 (74−1−39) 佃中) 台湾における訴願法の運粥について(一) 説 薦關 狐 法論として、閲覧請求権の範囲が狭すぎ、処分庁が収集した拒否処分、不利益所分の事実を証する資料はすべて閲覧請求の対象と めるべきという説がある︵室井ほか﹃コンメンタール﹄三八二∼三八三頁︶。 すべきという学説もある︵宇賀克也・前掲﹃行政法概説H﹄五六∼五七頁参照︶。後者の謄写に関しては、解釈としては、これを認 ︵65︶ サ﹃東アジア﹄一八六∼一八七頁があるので、簡潔にのみ述べる。 ︵64︶ 弄﹃東アジア﹄は、﹁裁決﹂と訳しているが、本稿では原語表記に従い﹁決定﹂で表記する。 ︵66︶ 訴願受理機関が不受理の決定書の理由において、原行政処分機関が原行政処分を取り消したり変更したりしたことを記す。 ︵68︶ 訴願書を収受した機関が収受した日の翌日である︵審議規則第二七条第一項︶。したがって原行政処分機関が訴願書を受け ︵67︶ 呉﹃行政孚訟法﹄三七二頁は︹情況裁決︺と記すが、同﹃行政法之理論與実用﹄六四八頁は︹情況決定︺と記す。 審査期間が法定化されず不明だとするが、審議規則上は二〇〇〇年訴願法制定当初から明確である。ただし、他の機関から移送さ 取ったときは、その原行政処分機関が訴願書を受け取った翌日から起算される。この点につき興﹃東アジア睡一八八∼一八九頁は ︵69> 察﹁訴願制度﹂三三九頁。 れた場合の移送期間の算定につき明確でないことなど、期間計算にはなお不分明なところがある︵察﹁訴願制度﹂三四〇頁参照︶。 ︵70︶ 条文の日本語訳は、王﹁中華民国︵二ご一九〇頁を参照。 ︵71︶ 罪﹃東アジア﹄一八九頁、王﹁中華民国︵二と二一一頁参照。このことに関し、最高行政法院二〇〇五︵民国九四︶年一月 法第九三条による執行停止の申立ては行政機関に対するもの限りであると判断し、解釈論上の疑義を整理した。もちろん、この裁 二〇臼裁定︵九四年度華字第八六號︶は、行政訴訟法理=六出二項・第三項による執行停止の申立てをするときは、それは訴願 定をもってしても、行政機関に対する訴願法による執行停止申立てと、起訴前の行政訴訟法による執行停止申立ての競合問題は残 るところであり、理論的には見解が分かれ実務も同様の状況にある。どちらが先に審理すべきか、といった点などである︵呉﹃行 政事訟法﹄一六三頁参照︶。この最高行政法院裁定は、行政機関に対する執行停止の申立てと行政法院に対する行政訴訟法による 執行停止の申立てについて両者が並存することを認めているのみなので、競合問題を解決しているわけではない。その他の複数機 ︵72︶ 出訴期間より長い期間を教示され、教示に従ってした取消訴訟の提起が法定期聞を超えていた場合に、﹁正当な理由﹂︵行政事 関に執行停止の申立てをしている場合の問題などに関して、藥﹁訴願制度﹂三二三∼三二六頁が詳しく論じている。 件訴訟法第一四条第一項︶があると解釈することが考えられる︵宇賀克也・前掲﹃行政法概説鷺﹄一三九頁など︶。ただし、例え と述べる︵南博方・高橋滋編﹃条解行政事件訴訟法︵第三版ご︵弘文堂・二〇〇六年︶七五六頁︹竹野下喜彦︺参照︶ので、国民に ぼ、元裁判官と思われる弁護士は、出訴期間は六月度あるから例えば出訴期間について教示しなくても正当理由と考えるのは困難 とっては解釈論で教示の誤りが本当に救済されるかどうか不萌確である。 (74−!−40) 40 ︵73︶ 内容については、王﹁中華民国︵一︶﹂二八三頁が饅本語で示されていて便宜である。ただし、この王論文において陳情部分 ︵74︶ 呉﹃行政法之理論與実用匝六=工専は、陳情入の意思表示をできる限り保護するようにするため、行政機関に対する特定の請 については詳細な考察を行っていない。 法令に詳しくないために法定の方式を満たさずに提出したものであるから、陳情受理機関は各関係法律に従って処理すべきであり、 求は行政訴訟法上の法に基づく申請の性質を有するし、行政措置に不服に対しては訴願の実質的意義を具えている、ただ陳情者は 他の陳情事項と同視すべきではないとする。なお、環本では、異議申立てか陳情かは当事者の意思解釈によるとした判例︵最高裁 判所一九五七︵昭和三二︶年=一月二五日第二小法廷判決・民集一︸巻一四号二幽六六頁︶がある。一般論としては当然のことの ようでもあるが、この事件では、結果として、都市計画法上の﹁異議の申出﹂に関する法定の形式で書かれた﹁異議申立書﹂を行 ︵75︶ 舞﹃東アジア﹄一七四頁参照。 政機関が申立者に理由をただして陳情扱いにしたことが適法とされている。 ︵77︶ ただし、個別の法規定により、公の施設を利用する権利に関する不服申立てのように、自治事務でも国や都道府県の機関に審 ︵76︶ 呉﹃行政法之理論與実用﹄六四八∼馬装九頁、﹃行政争訟法﹄三五四∼三五八頁参照。 ︵78︶ サ﹃東アジア﹄一七六∼一七七頁。 査請求・再審査請求をするとしているものがある︵地方自治法第二三八条の七第一項・第六項、第二四四条の四重 項・第六項︶。 ︵80︶ 呉﹃行政争訟法﹄三八三頁。 ︵79︶ 藥﹁訴願制度﹂三四五頁参照。 ︵81︶ 呉﹃行政争訟法﹄三八二頁。 ︵83︶ 呉﹃行政争訟法﹄三三五頁。 ︵82︶ 弄﹃東アジア廓では﹁上級職員﹂と訳しているが、ここでは原語表記に従った。 ︵84︶ 呉﹃行政争訟法﹄三三六頁。罪﹃東アジア撫一九三∼一九閥頁、脚注㈱は、呉﹃行政事訟法繍同歯の内容にほぼ等しい。また、 志方氏は、駆馳委員が確実に力を入れてかかわらせるようにすること、訴願案件について専門的に学ぶことが前提となっていて、 この論点につき、藥志方﹁訴願審議蒋外聰委員鷹否過半之研究﹂中律會訊第鱈巻第六期︵二〇〇二年︶踏∼九頁がある。なお、藥 そうでなけれぼ、審議が形式に流れてしまうし、門下委員が多すぎると﹁行政の自我反省﹂機能が失われるおそれもあると指摘す という︵察﹁訴願制度し同頁︶。ただし、第二節で述べるように、このような理論的な指⋮摘と現実の訴願審議委員會の運営には、 る︵藥﹁訴願制度﹂二八八頁︶。そこで、ある学者は、分割審理制度を提案したり、受払委員を参審委員とするよう建議している 特に外心委員による審理を重視する憂北市政府・蘂北江政府の実例に照らすと、著者には、少し乖離が感じられる。このほか、︸ 41 (74−1−4!) 佃中) 台湾における訴願法の運網について(一) 「欄 説 蓋ム・ ○人の委員中五人が法制の長門知識を欠く者で構成され、さらに三人が機関の代表として任じられて明らかに原行政機関側に偏っ 本土法覆雑誌第二期︵一九九九年︶一〇三∼ 〇六頁がある︵この演習の設例には、代理人の選任につき訴願受理機関がこれを拒 ている場合の救済について事例演習をする藥怪童︵総立蔓濁大嘘法律學院専任教授︶﹁訴願審議委員會之組織輿程序合法性﹂台濁 ︵85︶ 奥﹃行政争訟法﹄三三五頁︵罪﹃東アジア﹄一八二頁も同旨︶。そして、このことについて最高行政法院二〇〇五︵民国九四︶ 否した場合も、小問として加えられている︶。 年五月二七日裁定︵九四年度裁字第九七三號︶は、訴願を受理する⋮機関は﹁上級⋮機関﹂であって﹁上級機⋮関訴願審議委員長﹂では ないと判示した。この事件は、出訴期間を過ぎて営利事業所得税に関する行政訴訟を提起した際、訴願決定書について提訴後に ﹁訴願委員會﹂とある誤記を﹁訴願審議委員會﹂に更正したことが訴願決定の効力発生時期に影響を及ぼすからということで抗告 ︵86︶ 行政院秘書長二〇〇四年六月二五日院璽訴字第〇九三〇〇八六四七五墨継︵次のホームページに掲示︶。 人が争ったものである。 ︵87︶ 外国語の審査費も定められているが中国語による審査費をここで掲げた。 簿ε一\\≦≦≦塁ぬ○<・酔≦\6酵蛉ω覧×灘Φ影ほ鷲誌①律。酔窯○審Bお刈欝露℃け圃 委員會編﹃行政機関訴願作業実務﹄︵二〇〇六年︶三六六∼三六七頁に収録されている。 ︵88︶ 行政院秘書面癖二〇〇五年一一月一〇日暮蔓訴字〇九四〇〇九三四︷○号。この庭函︿書簡ないし通知﹀は、行政院訴願審議 ︵90︶ 察﹁訴願制度﹂三一八∼三二〇頁参照。 ︵89︶ 罪﹃東アジア﹄三五八頁の翻訳を少し変えた。 行政程画法く行政手続法V第三二条と第三三条には、回避規定があるので、これらの規定が適用されるかどうかが問題となる。藥 ︵91︶ 事務局職員が訴願事件と利害関係があるときの案件について自ら回避すべきか否かについては、明文の規定がない。あるいは、 氏は、事実面から回避が必要であるとする学説があるとしながらも、察氏本入は、訴願法第五二条及び第五三条の規定から、事務 も参照︵行政程序法の関係規定の準用による救済について言及されている︶。 局職員には決定権がないので、回避は必須ではないと見解に立つ︵藥﹁訴願制度﹂二八八頁︶。なお、呉﹃行政孚訟法﹄三三七頁 ︵92︶ 罪﹃東アジア﹄三五八頁の翻訳を少し変えた。 ︵93︶ ﹁行政院訴願審議委員會補充規定訴願人請求陳述意見処理方式﹂前掲・行政院訴願審議委員會編﹃行政機関訴願作業実務﹄︷八 一頁には、当該ロ頭意見陳述拒否の理由として、訴願法第七七条に規定する不受理決定の事情のいずれかに該当するとき、同じ種 ︵94︶ 歩﹃東アジア﹄三五八頁の翻訳を少し変えた。 類の処分に類型化されている案件でかつ原処分の証拠事項が明確であって意見陳述をしても実益がないときが挙げられている。 (74−1−42) 42 台湾における訴願法の運用について(一) (田中) 馨望鍾が 行政院﹁九四年度行政院議各級行政機關訴願業務統計偏﹁1 本院及各級行政機關訴願案件牧温情形、翠竹結果、 審決期限及 罪﹃東アジア﹄ 一九五頁。 呉﹃行政事訟法葡三閥二∼三四五頁参照。 日本の法令でいえば、﹁第二二二条の二﹂と枝番を付しているのと同様のものである。 審議規則は細かくは規定していない。その限りで、民事訴訟法第二一三条の規定が準用されることになろう。 書については必要的記載事項となっていない。また、民事訴訟法第二=二条は弁論の進行要領の中身につき各号について規定する ︵95︶ ただし、民事訴訟法の口頭弁論調書には弁論公開の有無についても必要的記載事項とする︵同条第五号︶が訴願の口頭弁論調 ︵2G美︶ 例えば、台湾における知的財産の審査結果に対する不服は訴願法に基づくものとして統計上扱われているが、日本では行政不 簿B周︶による。 ︵3⑪エ︶ 台湾の公務員︵教師を除く︶の権利利益に関する救済手続は、訴願法ではなく、︹公務人員保障法︺による︹復学︺︹申訴︺、 服審査法以外の法律による不服申立てとして扱われている。 員保障暫培訓委員會︺︿公務人員保障・研修委員会﹀によって審議決定される︵同条第二項︶。教師︿教員﹀については、︹教師法︺ ︹再申訴︺の手続によりこれを行うこととなっている︵同法第麟条第一項︶。これらの手続については考試院に設置される︹公務人 による︹申訴︺、︹再申訴︺手続がある︵同法第三一条︶。その点で、台湾・臼本の比較にあって、日本における公務員関係事件を除 いても、均衡を欠くものではなかろう。 43 (74−1−43) ︵101︶ 総務省﹁行政不服審査法の施行状況に関する調査結果﹂︵簿8“\\ダ尋毛あ○諏鶯諏δqO“℃\働q︽○欝窪\惹糞一\欝融押ミ2欝野i蔓。霧鋤” 県庁所在市のみを対象とした調査を一九九四年度、二〇〇二年度の二回行ったのみである。 調査をしていない。自治体に至っては、全自治体調査は二〇〇五年度のみしかしておらず、その他、都道府県・指定都市・その他の 九七七年度、一九八二年度、一九八三年度、一九八四年度、一九九四年度、二〇〇二年度、二〇〇五年度のわずか一〇回しか実態 ︵001︶ 総務省の示す各種報告書や資料を見ると、国レベルでは、一九六二年度︵公告法施行後︶、∼九六七年度、一九七二年度、∼ す簿ω蔦9乞&Φ目認ω俸9¢獄け碧雛α俸じご鶉諺ωΦ○ω○冒日俸ヨ℃ーー一︶。 なお、本稿脱稿後、二〇〇六年の訴願審議実績が、行政院のホームページにおいて、公表されている︵算ε一\\潮妻≦b︽♂qo<.酔毒\ 簿唇ミ≦≦≦2ぬ04≦\一℃・霧覧。艶○脅u蒔鼠欝Oa蝕け縫N。。り陣じ◎霧ΦOω○μ鴫俸ヨ℃1一︸ 提起行政訴訟件敷﹂ 99 )
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