大津市(以下「市」という。)は、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促 進に関する法律」(平成11年法律第117号、以下「PFI法」という。)第7条に準じて、 ごみ処理施設整備・運営事業(以下「本事業」という。)を特定事業として選定したので、 同法第11条第1項に準じ、特定事業の選定にあたっての客観的な評価を行い、その結果を公 表する。 平成 28 年 2 月 19 日 大津市長 越 直美 ごみ処理施設整備・運営事業 特 定 事 業 の 選 定 平成 28 年 2 月 19 日 大 津 市 目 次 1 事業概要等 ······································································································ 2 (1)事業内容に関する事項 ················································································· 2 (2)計画地に関する事項 ···················································································· 5 (3)整備方針 ··································································································· 5 2 市が自ら事業を実施する場合とDBO方式で実施する場合の評価 ····························· 6 (1)評価方法 ··································································································· 6 (2)市の財政負担見込額による定量的評価 ···························································· 6 (3)DBO方式で実施することの定性的評価 ························································· 8 (4)事業者に移転するリスクの評価 ····································································· 8 (5)総合的評価 ································································································ 8 1 事業概要等 (1)事業内容に関する事項 1)事業名称 ごみ処理施設整備・運営事業 2)事業に供される公共施設等の種類 ごみ処理施設 3)公共施設等の管理者等の名称 大津市長 越 直美 4)事業目的 本事業は、経年劣化による処理能力の低下により、環境美化センター及び北部クリーンセンタ ーについて、新たな(仮)新環境美化センター及び(仮)新北部クリーンセンター(以下、2 施 設を総称して「本施設」という。 )として、ごみ焼却施設にリサイクル施設を併設して、民間の経 営ノウハウや技術的能力等を活用し、効率的な施設の設計、建設、解体・撤去及び運営が期待で きるDBO手法を導入して実施するものである。 5)施設の概要 施設名称 (仮)新環境美化センター 建設 大津市膳所上別保町 785 番地の 1 ほか 予定地 (現環境美化センター敷地周辺) 市有地面積 約 4ha(現施設用地を含む) 敷地面積 (仮)新北部クリーンセンター 大津市伊香立北在地町272番地ほか (現 北部クリーンセンター敷地周辺) 市有地面積 約 6ha(現施設用地を含む) ※ 別途、一部造成工事あり(予定) ※ 別途、一部造成工事あり(予定) ○ 新ごみ焼却施設 ○ 新ごみ焼却施設 ・施設規模: ・施設規模: 175t/日(87.5t/日×2 炉)、 175t/日(87.5t/日×2 炉)、 ストーカ式 ストーカ式 ・処理対象物: ・処理対象物: 燃やせるごみ、リサイクル施設か 燃やせるごみ、リサイクル施設か らの処理後可燃物、災害廃棄物 らの処理後可燃物、災害廃棄物 施設概要 ○ 新リサイクル施設 ・施設規模:19.0t/5h かん 1.5t/5h びん 4.0t/5h ペットボトル 2.0t/5h 燃やせないごみ 8.0t/5h 大型ごみ 3.5t/5h ○ 新リサイクル施設 ・施設規模:19.0t/5h かん 1.5t/5h びん 4.0t/5h ペットボトル 2.0t/5h 燃やせないごみ 8.0t/5h 大型ごみ 3.5t/5h ※ 既存のプラスチック容器資源化施 設(10t/5h)については、継続使用 する。 2 ○ 環境美化センター ・180t/日(90/日×2 基) 、流動床 燃焼方式 ・煙突高さ:55m 解体・撤 ○ 余熱利用施設(富士見市民温水プ 去する既 ール) 存施設 ・RC造、一部鉄骨造 ・地上 2 階地下 1 階建(地下 2 階相当 分に調整池有り) ・建築面積:1,393.77 ㎡ ・延床面積:2047.45 ㎡ - 6)事業内容 ア 事業方式 本事業は、PFI法に準じて、DBO(Design Build Operate)方式により実施する。 イ 契約の形態 市は、本事業について事業者に設計業務、建設業務、解体・撤去業務及び運営業務を一括 して契約するために事業者と本事業に係る基本契約を締結する。 また、市は基本契約に基づき、建設事業者と本事業に係る建設請負契約を締結する。さら に、市は基本契約に基づき、SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)と本事業に 係る運営委託契約を締結する。 なお、基本契約、建設請負契約及び運営委託契約を総称して特定事業契約という。 ウ 事業期間 事業期間は、次のとおりとする。 (ア) (仮)新環境美化センター 設計・建設期間 平成 29 年 4 月から平成 33 年 3 月まで 既存施設解体及び付帯施設建設期間 平成 30 年 4 月から平成 35 年 3 月まで 新ごみ焼却施設 平成 33 年 4 月から平成 53 年 3 月まで 新リサイクル施設 平成 32 年 4 月から平成 53 年 3 月まで 運営期間 (イ) (仮)新北部クリーンセンター 設計・建設期間 平成 30 年 10 月から平成 34 年 6 月まで 新ごみ焼却施設 平成 34 年 7 月から平成 54 年 3 月まで 新リサイクル施設 平成 34 年 4 月から平成 54 年 3 月まで 運営期間 エ 事業期間終了後の措置 市は、事業期間終了後も本施設を継続して公共の用に供する予定である。事業者は、事業 期間終了時に本施設を市の定める引継ぎ時における施設の要求水準を満足する状態で、市に 引継ぐものとする。 3 オ 業務範囲 (ア)事業者の業務範囲 ① 設計業務 ・各種調査 ・設計 ・その他関連業務(循環型社会形成推進交付金に係る申請支援、許認可申請支援等) ② 建設業務 ・造成工事 ・建設工事 ・施設建設に伴う各種許認可申請支援(手数料等含む) ・用地外のインフラ整備(電気の整備等) ・その他関連業務(上記に伴う仮設工事、事業者が行うべき近隣対応等) ③ 既存施設の解体・撤去業務 ・環境美化センター及び余熱利用施設(富士見市民温水プール)の解体・撤去業務 ・解体に伴う各種許認可申請支援(手数料等含む) ・跡地整備工事 ・その他関連業務 ④ 運営業務 ・受付管理業務 ・運転管理業務 ・維持管理業務 ・環境管理業務 ・情報管理業務 ・その他関連業務 (イ)市の業務範囲 ① 設計業務及び建設業務 ・用地の取得 ・近隣同意の取得、近隣対応(市が行うべきもの) ・施設建設に伴う各種許認可の申請・取得 ・建設工事監理 ・用地外のインフラ整備(上下水の整備等) ・その他これらを実施する上で必要な業務 ② 既存施設の解体・撤去業務 ・近隣対応(市が行うべきもの) ・解体工事監理の実施 ・解体に伴う各種許認可の申請・取得 ・その他これらを実施する上で必要な業務 ③ 運営業務 ・近隣対応(市が行うべきもの) ・資源化業務(本施設より搬出される資源化物の売却事務。ただし、場外搬出車両への 積込みは、事業者が実施) ・契約管理(モニタリング)の実施 ・その他これらを実施する上で必要な業務 4 カ 事業者の収入 本事業における事業者の収入は、次のとおりである。 (ア)設計業務、建設業務及び解体・撤去業務に係る対価 市は、設計業務、建設業務及び解体・撤去業務に係る対価について、施設整備費として 建設事業者に支払う。支払は、基本的に出来高に応じて支払うものとする。 (イ)運営業務に係る対価 市は、運営業務に係る対価を委託料として、運営期間にわたってSPCに支払う。委託 料は、固定料金(一般廃棄物の処理量等に関わらず発生する人件費や補修費等)と変動料 金 (一般廃棄物の処理量等に応じて変動する燃料費や薬剤費等) で構成されるものとする。 なお、委託料は、物価変動に基づき、年に1回改定する。 (ウ)売電収入の取扱 本施設で発生する熱エネルギーについては、本施設内で有効利用を図るものとする。発 電による電力は、まず本施設内で使用し、余剰の電力については、電気事業者へ売電する。 この際の売電収入については全て SPC に帰属するものとする。 (エ)資源化物の取扱 運営事業者は、本施設を運転することにより発生した資源化物を本施設内に貯留し、市 に引き渡す。なお、その際、運営事業者は積み込みまでの範囲を担うものとする。 (2)計画地に関する事項 1)(仮)新環境美化センター 所在地 大津市膳所上別保町 785 番地の 1 ほか 敷地面積 約 4ha 区域区分 市街化調整区域 都市計画区域内(平成 28 年度にごみ処理場として都市計画決定 用途地域 (区域の変更)予定) 容積率 200% 建ぺい率 40% 音羽山風致地区(煙突を除く建築物の最高高さ:15m 以内) その他 要求水準書(案)に記載のとおり 2)(仮)新北部クリーンセンター 所在地 大津市伊香立北在地町 272 番地ほか 敷地面積 約 6ha 区域区分 市街化調整区域 都市計画区域内(平成 28 年度にごみ処理場として都市計画決定 用途地域 (区域の変更)予定) 容積率 200% 建ぺい率 60% その他 要求水準書(案)に記載のとおり (3)整備方針 本施設の整備方針は次のとおりである。 基本方針① ・大気・騒音・振動・悪臭等、周辺環境に与える影響を抑制す 環境への負荷が小さい る施設とする。 施設(環境保全性) ・自然エネルギーの利用や省エネルギー型機器の導入等により、 低炭素社会の構築に寄与する省エネルギー型の施設とする。 5 ・トラブルの発生が少なく、維持管理が容易な施設とする。 基本方針② ごみを安全に処理でき ・施設従事者や見学者等の安全性を確保するため、各種車両の 通行安全性に配慮した施設とする。 る施設(安全性) ・施設従事者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成で きる施設とする。 ・計画的な維持管理及び補修など、適切な保全を行うことので 基本方針③ きる施設とする。 ごみを安定的に処理で ・多様なごみ質やごみ量の期間的変動に対応が可能、かつ、長 きる施設(安定性) 期間にわたる耐用性に優れた施設とする。 ・ごみ焼却で発生する熱を利用して発電を行うことにより、施 基本方針④ 設内で消費される電力の一部として再利用するとともに、余 エネルギーの回収に優 剰分を電力会社に供給できる創エネルギー型の施設とする。 れた施設(エネルギー回 収性) ・敷地を有効かつ適正に活用した施設とする。 基本方針⑤ 周辺環境と調和する施 ・周辺の豊かな自然環境と調和するとともに、市民から信頼さ れ、市民が身近で親しみの持てる施設とする。 設(周辺環境調和性) ・施設の建設から運転管理及び維持管理に至るまで、ライフサ 基本方針⑥ イクルコストの低減を考慮した施設とする。 コストパフォーマンス の高い施設(経済性) 2 市が自ら事業を実施する場合とDBO方式で実施する場合の評価 (1)評価方法 本事業をDBO方式で実施することにより、公共サービスの水準の向上を期待できること及び 事業期間を通じて市の財政負担の縮減を期待できることを選定の基準とした。具体的には、以下 について評価を行った。 ・市の財政負担見込額による定量的評価 ・DBO方式で実施することの定性的評価 ・事業者に移転するリスクの評価 ・上記による総合的評価 なお、市の財政負担見込額の算定に当たっては、将来の費用と見込まれる財政負担の総額を算 出の上、これを現在価値に換算することにより評価を行った。 (2)市の財政負担見込額による定量的評価 1)市の財政負担額算定の前提条件 市が、 本事業を自ら実施する場合及びDBO方式で実施する場合の財政負担額の算定にあたり、 設定した主な前提条件は次の表のとおりである。 なお、これらの前提条件は、市が独自に設定したものであり、実際の事業者の提案内容を制約 するものではない。 ア 事業費などの算出方法 市が自ら DBO方式で 項目 算出根拠 実施する場合 実施する場合 ①利用者収入な - - - どの算出方法 6 項目 市が自ら 実施する場合 設計費 建設費 解体・撤去費 工事監理費 ②設計業務、建 設業務及び解 体・撤去業務 に係る対価の 算出方法 ③運営業務に係 運営費 る対価の算出 方法 ④資金調達に係 交付金 る費用の算出 起債 方法 一般財源 ⑤その他の費用 の算出方法 - DBO方式で 実施する場合 同左 算出根拠 市が自ら実施する場合は、 プラントメーカーの見積等 より設定。 DBO方式で実施する場合 は、予防保全による修繕を 踏まえた上で、市が自ら実 同左 施する場合に比べて一定割 合の縮減が期待できるもの として設定。ただし、電気 や水道等の費用は、市が自 ら実施する場合の費用と同 額で設定。 同左 起債条件を次のように設 定。 起債充当率: ・補助事業 90% ・単独事業 75% 償還期間:23 年 (据置3年) 利率:起債の近年動向を 踏まえて設定 SPC関連費(設 SPC関連費などは、他の 立費、経費など) 事業の実績等を参考に設 アドバイザリー費 定。 モニタリング費 ※ アドバイザリー費:事業者の選定業務に係る支援を外部に委託するための費用。 ※ モニタリング費 :事業実施状況のモニタリングに係る支援を外部に委託するための費用。 イ VFM検討の前提条件 項目 値 ①割引率 4% ②物価上昇率 ③リスク調整値 - - 算出根拠 物価変動に伴う対価の改定を予定しているため、 物価上昇は見込まない。 定量化が困難なため、リスク調整費は考慮しな い。 ※ VFM:Value for Money の略。支払(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value) を供給する考え方のこと。ここでは、市が自ら実施する場合とDBO方式で実施する場合の財 政負担額の差額を意味している。 2)財政負担額の比較 上記 1)の前提条件に基づいて、市が自ら実施する場合及びDBO方式で実施する場合の財政 負担を現在価値換算のうえ比較すると、4.38%の財政負担額軽減が見込まれる結果となった。 7 市が自ら実施する場合及びDBO方式で実施する場合のVFM 項目 値 備考 ①市が自ら実施する場合の財政負担 32,939,622 千円 - 額(現在価値ベース) ②DBO方式で実施する場合の財政 31,496,469 千円 税収を控除済み 負担額(現在価値ベース) ③VFM(金額) 1,443,154 千円 ①-② ④VFM(割合) 4.38% ③÷① (3)DBO方式で実施することの定性的評価 本事業をDBO方式で実施する場合、市の財政負担額削減の可能性といった定量的な効果に加 え、次のような定性的な効果が期待できる。 ア 事業者の創意工夫・ノウハウの発揮 設計、建設及び運営の各業務を分離して発注することに比べて、事業者に各業務を一括し て性能発注することで、供用開始後の運営を見据えた施設整備が可能となる。 また、 長期的な視点で運営が実施されることで、 ライフサイクルコストの縮減だけでなく、 事業者の創意工夫・ノウハウ(専門的知識や技術的能力等)が発揮でき、業務の効率化が期 待できる。 イ 長期的な視点に基づく運営内容の向上 長期的かつ包括的な委託を行うことにより、運営期間を通じた適時の補修等の実施、中長 期的な視点での業務改善の実施、セルフモニタリングの実施等が行われ、長期的な視点での 業務全体の最適化による運営内容の向上が期待できる。 ウ リスク分担の明確化による安定した事業運営 事業実施前からリスクを想定し、その責任を適切に分担することにより、事業全体におけ るリスク分担の明確化・最適化が図られ、問題発生時の適切かつ迅速な対応が可能となる。 それにより、事業目的の円滑な遂行や安定した事業運営の確保が期待できる。 (4)事業者に移転するリスクの評価 DBO方式で実施する場合に事業者が負担するリスクは、事業者が市よりも効果的かつ効率的 に管理可能であるものを対象としている。そのため、事業者が有するリスクコントロール及びリ スクヘッジのノウハウを活かすことで、顕在化の抑制、顕在時の被害額の抑制が期待できる。 (5)総合的評価 本事業は、DBO方式で実施することにより、市が自ら実施する場合に比べ、事業期間全体を 通じた市の財政負担額について、4.38%の縮減を期待することができるとともに、公共サービ スの水準の向上、効果的かつ効率的なリスク負担も期待することができる。 したがって、本事業をDBO方式で実施することが適当であると認められるため、PFI法第 7 条に準じて特定事業として選定する。 8
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