磁歪式振動発電デバイスの量産構造と組み上げ法

磁歪式振動発電デバイスの量産構造と組み上げ法
考案者 上野敏幸 平成28年2月17日公開
磁歪式振動発電デバイスにおいては、磁歪材料(鉄ガリウム合金など)と磁性体の平行梁を構成する必要があり、
この磁性体とフレームを兼ねる一体部材の形状加工は現状ワイヤー放電加工などで行っている。
この部材にはSUS430(磁性のあるステンレス)の厚板を利用し、よって加工にも時間がかかる。
また耐性(へたりの発生)や内部損失の問題があり、よりバネ性の高い材料の利用が望まれる。
この問題を解決するために以下の構造と組み上げ法を提案する。これは磁性体の板材をプレス、折り曲げ加工で
成形することを基本にする。素材としては薄板のSK材などバネ性の高い材料が利用でき、必要に応じ焼きなましなどの
熱処理を施すことでバネ性を高めることができる。形状加工においては、穴加工や部分的な板幅の調整なども行う。
この加工、処理後の部材にコイルを巻いた磁歪素子を接合(方法任意)し、永久磁石と磁片(磁気バイアスのため
磁片は形状加工でも可)を付けることでデバイスが完成する。以上、簡単で安価にバネ性の高いデバイスを提供することができる。
バネ性のある材料(磁性体)
板材に形状加工を行う。
(部分的に板幅などを変えることで剛性、磁気抵抗を調整)
上面図
正面図
プレス、曲げ加工
必要に応じ熱処理(焼きなましなど)
耐力、弾性限の向上
コイル
磁歪素子(板、棒など)
屈曲部を設けることで
平行梁部の剛性調整も可
コイルを多く巻ける
蝋付け、溶接(抵抗、レーザ)、超音波などによる接合
この構造では様々なバリエーションが容易にできる。直線のみならず、U字形(2種類、ダブル)、L字形、音叉型
スイッチ型、振動増幅機構合わせ型、連結、多自由度型などある。また磁歪材料の板材が安価にできれば、磁歪材料を
折り曲げることでデバイスを成形することもできる。
永久磁石
後付け
磁片
U字形(タイプ1)
振動が持続する構造
振動源に固定
U字形ダブル
発電部が二箇所
U字形(タイプ2)
錘
永久磁石
力
固定端
固定端
音叉型
振動が持続する構造
L字形
2軸振動に対応
スイッチ型
磁石を省略
錘
錘
連結型
発電部が二箇所以上ある
磁歪板を折り曲げる
いずれ磁歪材料が安価になれば
振動増幅機構(2自由度型)
多自由度型
複数の共振モードで発電が可能