成長を続けるフィリピン BPO 産業 シンガポール駐在員事務所 佐藤 憲彦 フィリピンの人口は 2014 年 7 月に 1 億人を突破しました。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中では、 インドネシア(2 億 5 千万人)に次ぐ規模であり、国連の世界推計人口によると 2028 年には日本を追い 抜き、その後も 2091 年までは人口が増え続ける見通しです。 安定的な人口増加が続くフィリピンでは、①豊富な労働供給が長期的に期待できることや、②依然と して周辺国より人件費が低いこと、③英語のできる質の高い労働力が豊富であることから、最近では BPO (ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の拠点として注目が高まっています。 BPO とは、総務・人事・経理に関連する業務(給与計算、データ入力など) 、コールセンターやソフト ウェアのプログラミングなどの業務を外部委託することを言います。 フィリピン情報技術ビジネス・プロセス協会 (IBPAP)の調査では、2014 年には業界全体の 売上高は 184 億米ドル(約 2 兆 1,700 億円) 、 雇用者数は約 103 万人を突破し、2016 年には 250 億米ドルと 130 万人にそれぞれ拡大すると 見込んでいます。成長を続ける BPO 産業は、フ ィリピンの GDP の約 8%程度を占めるに至って おり、経済の牽引役としての役割を果たしてい ます。 〔出所〕フィリピン情報技術ビジネス・プロセス協会資料より作成。 2016 年の数値は目標値。 BPO 産業は、主に以下の 7 つの分野からなります。 ①コールセンターなどのボイスサービス分野、②金融・会計といったノンボイス分野 ③IT 業務受託分野、④医療記録のデータ化など医療情報管理分野 ⑤アニメ・コンピューターグラフィックスをはじめとするクリエイティブ分野 ⑥ゲーム開発分野、⑦エンジニアリングサービス分野 この中でもフィリピンの強みは、コールセンターなどのボイスサービス分野です。きれいな英語を 話すと言われるフィリピン人が、その強みを活かして、ユニリーバ、シティバンク、AIG など多くの欧米 企業からコールセンター業務を行っています。 日本語を操るフィリピン人は少ないため、日本企業にとってはフィリピンの BPO 産業には馴染みが 薄いかも知れませんが、今後はグローバル化する日系企業の英語でのコールセンターや、医療情報管理 分野などの付加価値の高い分野での活用が期待されています。 201602 広告審査済
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