人口減少社会における企業経営について

(2016 年2月号掲載)
人口減少社会における企業経営について
群馬経済研究所主任研究員
~要
齊藤由香
約~
1. 当研究所は 2015 年8~9月、県内企業を対象に①人口減少社会での企業経営と②人口
減少対策等の相談先に関するアンケート調査を行った。以下は、その結果の概要であ
る。
2. まず、人口減少社会での企業経営についてたずねたところ、回答企業の8割強は、国
内人口の減少が経営上の「懸念材料となる」と考えており、主な問題点では、
「顧客の
減少」や「従業員の不足」が多く挙がっている。
3. 人口減少が「懸念材料となる」企業のうち、人口減少への対策を「既に実施している」
は2割強にとどまるが、検討中まで含めると、6割程度は人口減少対策に取り組む姿
勢を示している。具体的な対策では、「定年年齢引き上げ等を含む、熟練社員の活用」
や「主要営業品目の仕様変更や販売対象拡大」等を挙げる企業が多い。
4. 次に、企業が人口減少対策等を検討するに当たり、外部の組織・団体等に相談をもち
かけることがあるかどうかたずねたところ、「ほとんどない」が5割強、「時々ある」
が4割弱という結果になっている。
5. また、人口減少への対策で企業が専門家に相談したい課題では、
「人材育成」、
「市場(販
路)開拓」、「業務の効率化」、「技術水準の向上」等、項目は多岐にわたっている。
6. 今回の調査によれば、企業は人口減少を経営上の懸念材料としており、一部には、顧
客の減少や従業員の不足などへの対策に取り組む動きもあった。人口減少で、顧客や
働き手の対象が様変わりする予想のなか、企業は、既に実施している「定年年齢引き
上げ等を含む、熟練社員の活用」などに加え、定年制そのものの廃止など、さらに一
歩踏み込んだ対策を検討、実施していく必要があるとみられる。