華誠記事 - WATSON & BAND 華誠律師事務所

2016年1月
華誠記事
目
次
華誠ニュース
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盲目的な「寄せ集め」から原作品の著作権を尊重 華誠は再びクライアントの権利の堅守に成功
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法律ニュース
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滬深取引所、上場企業大株主及び役員の持分減少規定の実施
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証監会は新株発行制度完備に関する規則を公示
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最高人民法院は、裁判所のインターネット上での司法競売作業の強化及び規範化の「意見」を公布
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知財ニュース
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「ハイテク企業認定管理弁法」での8つの大きな改正点
華誠律師事務所
2016年1月
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華誠は2015年度SMG法務研修会に出席
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先日、華誠は国内の某有名ゲーム会社の代理人として同業界の某社を著作権侵害
及び不正競争で提訴し、勝訴した。本事件の判決はゲーム業界の事業を規制する相
当模範的な役割を備えている。
2013年、国内の某有名ゲーム会社は侠客小説の巨匠である金庸氏から受任し、
中国大陸での「射鵰英雄伝」「神鵰侠侶」「倚天屠龍記」「笑傲江湖」の4作品のモバイ
ル端末におけるゲームソフトの単独翻案権を獲得した。
2014年5月、同業界の某社が認可を得ずに、「六大流派」と題する侠客ゲームを開
発したが、勝手に原作である上記の4作品に含まれる独創的表現形式を大量に使用す
るだけでなく、某社はその公式サイトに金庸氏の係争4作品に関連する素材を使用して
いることに、当該有名ゲーム会社は発見した。
近年中国ではゲーム業界が急成長している新興産業であるため、ゲームにおける
権利侵害をよく見かけるが、本件のように「文字作品」を「ゲーム作品」に翻案する権利
侵害の事例は国内では珍しいことである。
華誠の商標著作権訴訟部のパートナーの劉一舟弁護士と叶培麗弁護士、余夢菲
弁護士は本件の有名ゲーム会社の代理人として、開廷前にゲームと非常に対応のあ
る証拠調べと権利侵害比較書を作成するとともに、公判では「著作権法」と「不正競争
防止法」の関連規定と結びつけ、論点を詳細に主張した。
最終的に、裁判所は「六大流派」が係争作品の独創的表現形式を勝手に使用して
いるとして、係争作品の翻案権の侵害を認定した。さらに、裁判所は被告の行為が不
当に金庸氏の題材のゲームプレーヤーを占有する疑いがあるとして、権利者の今後の
ゲーム開発にマイナスの影響をもたらし、市場秩序を混乱させ、信義誠実の原則に違
反する不正競争を構成することも認定した。
本件の判決は「文字作品」を「ゲーム作品」に翻案する権利の侵害を如何に認定す
るかについて、精確かつ独特な説明が行われただけでなく、更に画期的なことは裁判
所が市場秩序を維持するという高いレベルで知的財産権侵害の波及効果を判断して
いることである。
本件の判決はゲーム業者に大きな警告を与えるものである。他人の作品の独創性
表現形式を利用してゲームに翻案するいかなる行為も、原作品の著作権を尊重するこ
とを前提とするべきであり、いかなる経済活動も市場規則と秩序を尊重し、信義誠実の
原則を遵守することを基本原則とするべきである。勝手に行動することで不必要な訴訟
に巻き込まれないように気を付けるべきである。
華誠律師事務所
2016年1月
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滬深取引所、上場企業大株主及び役員の持分減尐規定の実施
法
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上海証券取引所及び深セン証券取引所はそれぞれ「『上場企業大株主及び役員の持分減少に関
する若干の規定』の実施関連事項に関する通知」(以下『通知』と略称)を公示した。同『通
知』は2016年1月9日より実施されている。上場企業の支配株主及び持分比率が5%以上の董事(取
締役)、監事、管理職の持分の減少を規範化することを趣旨としている。
詳細は次の通りである。上場企業の主要な株主は実施以降、任意の連続する3ヶ月内で証券
取引所での市場取引を通じて減少する持分がその株式総数の1%を超えてはならない。上海証券取
引所の『通知』によると、上場企業の大株主が流通市場でその株式を購入後、引き続き他に取得
した株式を減少させる場合、持分減少の規定を遵守しなくてはならない。その他、上場企業の大
株主はその人民元建ての普通株(A株)、人民元建ての特殊株(B株)の持分を減少する時、減少
比率の株総数を国内外で発行された株式資本を元に算出するとともに、H株も含めるとなってい
る。
証監会は新株発行制度完備に関する規則を公示
中国証券監督委員会(証監会)は先日、「『証券発行と引受の管理弁法』の修正に関する決定」、「『新規株
式公開及び上場の管理弁法』の修正に関する決定」、「『新規株式公開及び創業板上場の管理弁法』の修正に関
する決定」等の規則を公示した。いずれも2016年1月1日より実施されている。
3つの規則の主要な内容には以下の幾つかの面が含まれている。
1、購入申込が放棄された株式に対する処置の完備提案を採用し、投資者が購入申込を放棄した株について、引
受人は事前公示原則に基づいての他の購入申込者に配分することができる。
2、既存の申込除去制度の完備提案を採用し、申込最高価格と最終的な発行確定価格が同じである場合、除
去比率を10%以下にすることができる。
3、独立性強化、及び調達資金の使用情報開示に関する提案を採用し、上場目論見書の基準を修正し、情報
開示に関連する要求を増加・細分化した。
最高人民法院は、裁判所のインターネット上での司法競売作業の強化及び規範化の「意見」を公布
先日、最高人民法院は『人民法院によるインターネット上での司法競売作業の強化及び規範化に関する意見』'以
下、『意見』という(を公布した。
『意見』によると、インターネットでの司法競売作業とは人民法院が法律規定に従い、インターネットプラットフォームにお
いて訴訟対象資産の公開競売する司法行為であり、法執行作業を構成する重要な部分である。インターネット上の司
法競売作業は法執行と競売の分離の原則を堅持し、最高人民法院司法行政装備管理局司法補助作業弁公室が
全国裁判所のインターネット上の司法競売作業を指導する責任がある。地方の各クラスの裁判所の司法技術補助作
業部門は各地のインターネット上の司法競売作業に責任がある。
『意見』は、各クラスの人民法院は人民法院訴訟資産ネット及び各地の裁判所が選択したインターネット取引プラット
フォームで競売を公告し、担当した機関及び入札結果等の情報をランダムに選び、司法競売情報を公開するとしてい
る。
また、『意見』は、裁判所による司法競売は全面的にインターネット競売で行わなければならず、各高級人民法院は
現地の実情を踏まえて、情報公表、オンライン申請、オンライン入札、オンライン決済等の機能を持つとともに規範的に
管理され、また安全で信頼できる優秀なインターネットプラットフォームを選択しインターネット司法競売を行うべきである。
なお、選ばれたインターネットプラットフォームは人民法院訴訟資産ネットにリンクし、情報と資源の共有を実現しなければ
ならない。
さらに、『意見』は、裁判所がインターネット司法競売を行う場合、原則的に競売作業を適格な専門の競売機関に委
託しなければならず、同競売機関を選択する時も公開のランダム方法を採用する。独自に競売のできる裁判所又は競
売依頼のできない訴訟対象資産については、裁判所が自らインターネットプラットフォームにおいて競売を行うことができ
る。
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2016年1月
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「ハイテク企業認定管理弁法」での8つの大きな改正点
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2016年1月1日より施行された「ハイテク企業認定管理弁法」には8つの大きな改正があり、具体的には
以下の通りである。
変化1:知的財産権の関連では、独占的許諾タイプの知的財産権を廃止
自主的な研究開発、譲渡、贈与、M&A等で取得した知的財産権と比べて、「独占的許諾」で取得す
る知的財産権は「独占的ライセンス契約」の締結のみ取得されるものであり、海外の知的財産権の
中国国内での独占的ライセンス契約に係わっている。しかし、現在のところ国家知識産権局はその届
出を受理しないため、所轄機関による審査もできない状況であった。このような背景から新規定では
削除された。
変化2:社員構成の関連では、技術者と研究開発者の構成比率条件を緩和
改正弁法は既存の「現職技術者が従業員全体の30%以上」を「現職技術者が従業員全体の10%を下
回らない」と調整し、「大学・短大以上の学歴」の制限と「現職研究開発者が従業員全体の10%以
上」の規定を削除した。
変化3:研究開発費用の関連では、支出比率の条件を低減
研究費支出比率はハイテク企業認定において最も重要な指標の一つであったが、改正弁法では従来の
「3ランク」を「2ランク」とし、2億元を分岐点として4%と3%の二つの比率を設けた。2億元以下は一括
して4%とし、6%のランクを廃止した。これは中小企業の科学技術イノベーションと発展を奨励し、中
小企業によるハイテク企業資格の申請を促すのが目的である。
変化4:申請書類の関連では、企業所得税の年度申告表を追加
ハイテク企業申請時には「直近3年の会計年度企業所得税納税申告表」を提出しなければならない。同
時に企業税務に関する規範的基準をより高い条件とし、提出が求められる企業の過去の納税申告
記録と財務諸表等の資料は論理的に一致している必要がある。
変化5:年度届出の関連では、「年度発展状況報告表」を追加
改正弁法ではハイテク企業の年度記録届出が法定義務となった。特に、改正弁法の第19条に規定され
る「累算2年分の年度発展状況報告表を提出しなかった企業はハイテク企業資格が取消される。同
時に本条の規定に基づき、ハイテク企業の資格が取消された企業は、それまで徴税特恵政策を受け
ていた税金も、前述の行為が発生した年度から追納しなければならない。」には注意が必要である。
変化6:名称等変更情報を届出ない場合、ハイテク企業資格を取消
ハイテク企業資格を取消された企業は、それまで受けていた徴税特恵政策が適用されず、前述の行為が
発生した年度から税金を追納することを命じられる。
変化7:企業に重大な規律違反行為があった場合、ハイテク企業資格の取消と追徴税
実務上、ハイテク企業に軽微な違法行為があったことを理由に資格がすぐ取消される場合があった。そのた
め、改正弁法の適用は実務における多様性をより尊重し、より公平で合理的になった。同時に所轄
機関の自由裁量権もより多くなった。旧弁法では、法定の事由によりハイテク企業資格が取消された
企業は5年間再申請できないと定められていたが、改正弁法ではそれが削除され、税徴収管理法に
基づき処理すると定められた。租税法律主義の表れでもある。
変化8:公示までの期間が15営業日から10営業日と短縮
2016年から審査スピードが大幅に改善される見込みである。
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