アトピー性皮膚炎治療薬候補, 新規なスフィンゴシン類縁体 富山大学 医学薬学研究部(薬学) 教授 矢倉隆之 1 既存のアトピー性皮膚炎治療薬と その問題点 (1) 既存の治療薬 ・ステロイド ・抗アレルギー薬 ・保湿剤 問題点 【ステロイド】 ・免疫抑制のため感染のリスクが高くなる⇒皮膚炎がさらに悪化する ・長期服用により,骨粗しょう症のリスクが高くなる ・皮膚が薄くなる ・毛細血管が拡張し,ステロイド酒さを引きおこす ・急に投薬中止すると離脱症状がでてくるので,数か月かけて 減薬しながら中止しないといけない 2 既存のアトピー性皮膚炎治療薬と その問題点 (2) ) 【抗アレルギー薬】 ・皮膚の保護に関する作用はない ・皮膚炎は抑制しない ・痒みの抑制程度は小さい ・経口投与では,眠気が出てくる 【保湿薬】 ・皮膚の保護は,一時的 ・痒みの抑制作用はない ・皮膚炎そのものの治療効果はない 3 新規作用機序による アトピー性皮膚炎治療薬の創製 4 皮膚上の保護成分代謝 5 スフィンゴミエリンデアシル化の推定反応機構と 阻害薬の分子設計(遷移状態モデル) 6 SCDase阻害活性評価( 阻害活性評価(in ) 阻害活性評価( vitro) スフィンゴミエリンデアシラーゼは未だ単離されていないため, スフィンゴ脂質を脱アシル化する酵素であるSCDaseを用いて, を用いて, スフィンゴ脂質を脱アシル化する酵素である 1, 2の活性評価を行なった。 の活性評価を行なった。 TLC分析の結果 分析の結果 7000 SM 6000 5000 SPC 4000 3000 2000 1000 SM SPC CNT 1a 1b 1c 2a 2b SM: スフィンゴミエリン SPC: スフィンゴシルホスホリルコリン 2c 0 SPC SPC CNT: コントロール A CNT B C D E F G 1a 1b 1c 2a 2b 2c 1a: (0.05 µmol) 2a: (0.05 µmol) 1b: (0.10 µmol) 2b: (0.10 µmol) 1c: (0.15 µmol) 2c: (0.15 µmol) 7 マウスへの塗布による活性評価(in ) マウスへの塗布による活性評価( vivo) 塗布1時間後の急性効果(塗布前の掻き動作回数との比較) (%:塗布前との (%:塗布前 塗布前との割合 との割合) 割合) 時 間当たりの掻 時間当たりの 時間当 たりの掻き動作回数 1 100 p<0.05 vs. Vehicle (n =5-6) 80 Vehicle(溶媒) A H 60 40 20 0 EtOH/acetone 溶媒 8 阻害作用 9 合成法 2 3 10 新技術の特徴・従来技術との比較 本提案薬物は, ・痒みの抑制に加え,皮膚保護の両方面の作用を 同時にもつ ・これまでにない新しい作用機序による これまでにない新しい作用機序による薬物 作用機序による薬物 従来のものは, ・痒みの抑制あるいは皮膚保護作用の片方しか ・痒みの抑制あるいは皮膚保護作用の片方しか もってないので,治療効果は中途半端 ・多剤を併用する必要がある 11 実用化に向けた課題 • 現在,ある程度の構造活性相関がわかった。 しかし,ターゲット酵素が見つかっておらず, 正確な in vitro 試験ができていない。 • 今後,in 今後, vivo 試験についての実験データを 取得していく。 • 実用化に向けて,製剤開発を行う必要あり。 実用化に向けて,製剤開発を行う必要あり。 12 企業への期待 製薬企業との共同研究を希望 • アトピー性皮膚炎治療薬(外用剤)に興味を アトピー性皮膚炎治療薬(外用剤)に興味を持 皮膚炎治療薬(外用剤)に興味を持 つ製薬企業 つ製薬企業 • 外用剤開発の技術・システム・ノウハウを持つ 外用剤開発の技術・システム・ノウハウを持つ 製薬企業 • 当該物質の最適化、薬物動態、安全性試験 当該物質の最適化、薬物動態、安全性試験等 物質の最適化、薬物動態、安全性試験等 については、製薬企業の技術により克服できる と考えている。 13 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称: スルホニルを有するフィトスフィンゴシン誘導体 • 出願番号:PCT/JP2015/081173 出願番号: • 出願人:富山大学 • 発明者:矢倉隆之 発明者:矢倉隆之, 矢倉隆之,安東嗣修, 安東嗣修,南部寿則, 南部寿則, 藤原朋也, 藤原朋也,金田英亨 14 問い合わせ先 問い合わせ先 富山大学 産学官連携コ 産学官連携コーディ 官連携コーディネ ーディネーター 平川龍夫 TEL: TEL: 076-434-7196 FAX: FAX: 076-434-5138 e-mail: : [email protected] 15
© Copyright 2024 ExpyDoc