ジオシンセティックス技術情報 2 0 0 0 .7 学位論文紹介 博士・修士論文概要の紹介 博士論文 論文名:ジオテキスタイルによる軟弱地盤の支持力改良とその評価法に関する研究 E v a l u a t i n gt h eB e a r i n gC a p a c i t yI m p r o v e m e n to ft h eS o f tC l a yR e i n f o r c e dw i t hg e o t e x t i l e s 著者名:平尾和年(西日本工業大学土木工学科) 指導教員:落合英俊(九州大学大学院 工学研究科 建設システム工学専攻) 授与年月日:1 9 9 7年 2月 26日 キーワード:軟弱地盤、表層処理、模型実験、ジオテキスタイル、支持力、設計法 概要: 近年、軟弱地盤上に土構造物を築造する場合や埋立て地盤を早期利用するために、ジオテキス タイルと呼ばれる地盤補強材料を利用した表層処理工法が採り入れられている。本論文は、覆土 工法に代表される軟弱地盤の支持力改良工法におけるジオテキスタイルの敷設方法とその効果を 実験的に究明し、合理的な支持力評価法と設計法の確立を目的としたものである。 まず、ジオテキスタイル補強地盤の支持力改良に及ぼす補強材料の引張強度,曲げ剛性,およ び土とジオテキスタイルの摩擦特性、それぞれのパラメータの決定法について検討した。また、 現位置の応力・変形状態をシミュレートできる簡易摩擦試験機を試作して、粘土と各種ジオテキ スタイルの摩擦特性を調べた結果、織布・グリッドに比べ不織布系の摩擦力が大きいことを明ら かにした。用いたジオテキスタイルの中では、不織布と織布による複合不織布が最も大きな摩擦 力と引張強度を有することを示した。 つぎに、覆土工法に関する模型実験によって軟弱地盤の支持力特性に及ぼす要因の影響につい て調べた。補強材端部を拘束しない場合には、補強材自身の引張強度、補強材単体の曲げ剛性及 び 、 岡J I軟度は支持力改良に及ぼす影響は小さく、補強材と粘土間の摩擦力が最も大きな影響を与え ることを明らかにした。補強材の端部拘束の効果については、敷設した補強材端部を緩やかに拘 束することによって、補強材の種類に依らず著しい支持力増加が得られることを示した。また、 補強材上にサンドマットを設けることによって支持力が顕著に増加することを踏まえ、サンドマ ット敷設の効果を評価する方法として補強材とサンドマットの複合による見かけの曲げ剛性を算 定する方法を与えた。 さらに、ジオテキスタイルを一層敷設した補強地盤の支持力算定式の中に補強材と粘土の摩擦 力の効果を簡便的に導入する方法を提示し、模型実験によりその妥当性を調べた。支持力算定に 際しては、補強材と粘土の摩擦力を適切に評価することが重要であることを指摘した上で、ジオ テキスタイルと粘土の摩擦力に起因する支持力増分を導入した新たな支持力算定式を提案した。 最後に、支持力式を援用した覆土工法の設計法を改善することを目的として、これまで考慮さ れていなかったジオテキスタイルの端部拘束の効果を取り入れた設計法を示した。主な改善点は、 ①ジオテキスタイルの材料特性を生かした合理的な補強材料の選定,②ジオテキスタイルの端部 拘束の有無を考慮した敷設長の算定,③ジオテキスタイル補強による低減沈下量の算定の 3 点であ る 。 -46- 博士論文 論 文 著者 名:ジオテキスタイルを排水材として用いた粘性土盛土の安定化に関する研究 名:宮田 指導教官:落合 喜害(防衛大学校システム工学群建設環境工学科) 英俊(九州大学大学院工学研究院建設デザイン部門) 授与年月日: 1999年 3月 25日 キーワード:ジオテキスタイル、排水、粘性士、盛士、安定性 概要 我が国には、火山灰質粘性土に代表される高含水比の粘性土が広く分布しており、盛 土材料として利用されることが多い。ところが、このような粘性土は、透水性が低いた めに、のり面のはらみ出しなど盛土の安定性に問題が生じることが多い。そのため、水 平排水層を適当な間隔で設置して、盛土の圧密を促進させることによって盛土を安定化 する水平排水工法が用いられている。従来,水平排水工法で、は、自然材料が排水材とし て使用されていたが、 1970年頃からジオテキスタイルの有効性が着目され、そのなかで も高い透水機能を有する不織布が排水材として使用されるようになった。盛土内に水平 に配置される不織布には、盛土の自重が拘束圧として作用し、細粒径の土粒子を含んだ 水が流入する。このため、不織布を排水材として用いて盛土を安定化する場合には、盛 土材の力学的特性や施工条件の検討に加えて、不織布の通水性能の評価が重要となる。 また、盛土が所定の機能を発揮するために必要となる排水層の配置条件を評価し、排水 層を効率良く配置することが必要となる。 本研究は、排水層内の目詰まりによるドレーンレジスタンスの影響を生じさせること なく、盛土の安定性を確保するための排水層の配置条件を評価し、その条件を満足する 排水層の配置長さと間隔の組み合わせの中から、排水材使用量を最小化する設計法の確 立を目的としている。まず、水平排水層の圧密促進効果の検討に基づき、拘束圧の大き さおよび目詰まりの進行が不織布の通水性能に及ぼす影響を室内試験より明らかにして いる。次に、ドレーンレジスタンスが圧密促進効果に及ぼす影響の評価法、ならび、に水 平排水層が配置された盛土の安定解析法を検討し、最後に、最適化手法の考え方を援用 して、水平排水層の配置の決定法を提案している。 本論文は、論文の目的と構成を示した第 1章、水平排水層の圧密促進効果について、 現場計測より検討した結果を示した第 2章、拘束圧の作用や目詰まりの進行が不織布の 通水性能に及ぼす影響を室内実験で調べた結果を示した第 3章、水平排水層におけるド レーンレジスタンスが圧密促進効果に及ぼす影響を解析的に検討した結果を示した第 4 章、水-土骨格連成極限解析法によって、水平排水層が配置された粘性土盛土の安定性 を評価する方法を示した第 5章,排水層の最適配置法を示した第 6章、各章で得られた 結論をまとめた第 7章より構成されている。 且 t 内, a a
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