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Fukuoka Growth 2015-2016 GlobalCityStatus リレーコラム 14
February 8, 2016
14. 節水型都市への発展
~都市の成長に不可欠な水資源確保の経緯~
✔福岡市は大きな河川を持たず水資源に乏しい
✔過去には度重なる給水制限が市民生活の脅威に
✔「節水型都市づくり」を進め、一人当たり給水量は大都市最少に!
テキスト:副理事長
猪上
照明
福岡市は市域内に大きな河川を持たないにもかかわらず、150 万を超える人口を有する都市に成長しました。なぜ可能だったのか、
水という基本的なインフラの面から考えてみます。
1 月下旬、九州各地は寒波の影響による断水等が相次ぎましたが、今から 38 年前、昭和 53 年、福岡
市は 287 日にも及ぶ給水制限に追い込まれました。当時の人口 105 万人、施設能力日量 47.8 万立方
メートルを江川ダムと都市圏内の 4 ダム、河川からの取水で賄っていたのですが、平年の 7 割という
異常少雨の結果、福岡市のみならず福岡都市圏含めて市民生活などに甚大な影響をもたらしました。
そういった危うい基盤の解消に向けて、昭和 54 年に「福岡市節水型水利用等に関する措置要綱」を制
定し抜本的な対策を図り、今日まで、より「安定的な水の供給」と「節水型都市づくり」を基本に様々
な施策に取り組んできています。
昭和 53 年渇水 給水を受ける市
民(写真:福岡市水道局提供)
まずは都市圏内の多々良水系や那珂川水系のダム建設や取水を進めるとともに、待ち望んだ九州一の河川筑後川からの導水が昭和
58 年完成しました。その恩恵は福岡地区水道企業団を通して都市圏に及んでいますが、福岡市でみると江川ダムと平成 25 年の大
山ダム供用による増量分を含めて、現在の施設能力日量 77.77 万立方メートルの実に 32%を筑後川水系に負っていることになり
ます。まさに流域の住民や自治体などの理解と協力があってこそのものです。
併せて、気象条件に左右されず安定給水が可能な海水淡水化施設(まみずピア) が平成 17 年に完成するなど、新しい技術の活用に
も乗り出しています。
一方、市民の高い節水意識と節水じゃ口等機器の普及、日本初の再生水利用などにより、市民と一
体になった「節水型都市づくり」が進み、平成 25 年度の配水量は日量約 40 万立方メートル、1 人
当たり配水量は大都市で一番少なく(図1)なっています。ちなみに、平成 25 年度の夏は、福岡
市は猛暑に見舞われ、月間平均気温が全国最高の 30 度、連続猛暑日も 17 日間を記録した年でした
が、それでも水の使用量は大都市最少でした。
また、市内全域に公平で円滑な給水を図るための配水調整システム(水管理センター) の設置や
漏水調査により、水の有効利用を極限まで図ると同時に、水質維持や安全な配水にも努めてい
ます(図2)。
平成 6 年から平成 7 年にかけては前回を上回る異常少雨で、295 日の給水制限でしたが、延べ時間では前回の 6 割、さらに平成
17 年は観測史上 3 番目の少雨でしたが、給水制限には至りませんでした。流域内から流域外、さらには海水からつくるという水資
源開発、配水調整システム、そしてなにより市民の協力による「節水型都市づくり」によるものでしょう。
現在、関係の 8 ダムの貯水状況は昨年来の多雨傾向により、9 割を超えています。しかしながら、近年は気候変動の波が大きく、
取水制限が続いた年もあります。
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そこで、那珂川水系南畑ダム上流に、有効貯水容量 3,970 万
立方メートルと県内最大となる五ヶ山ダムが平成 30 年度供用
開始予定で建設中です。このダムは渇水対策容量を持つことが
特長で、全体で 1,660 万立方メートル、福岡市分 1,310 万立
方メートルを有し、10 年に 1 回を超える規模の異常渇水時に
対応するものです。ストッパーの出現は心強い限りですが、引
き続き「節水型都市づくり」も必要でしょう。
建設中の五ケ山ダム(平成 28 年 1 月撮
影:福岡市水道局提供)
五ケ山ダム完成予想イメージ図
生活インフラとしての欠かせない水道ですが、地域を取り巻く厳しい水資源環境を踏まえ、水源確保や地域が一体となった節水へ
の取組を進めてきたことが、福岡市が今なお成長を続ける要因の一つになっていると考えています。
[参考資料]
【参考】水道水のおいしさ向上度(残留塩素濃度目標達成率)は高い水準を維持している。(図3)
写真はいずれもイメージ(ページトップ画像は「五ケ山ダム完成予想イメージ図」を使用)
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