減速するアジア経済-減速は不可避なのか? アジア経済と日本経済(貿易リンク・金融リンク) 日銀マイナス金利導入とアジア経済への影響 日本経済の見通し 2 海外経済の実質成長率は、米欧と新興国の温度差はあるものの全体としては緩 慢に拡大していく。先進国の成長は好調な内需と新興国低迷を起因とした外需の 低迷の綱引きとなる。ただし、新興国には下げ止まりの兆しも。 →IMFの見通しでは2016-17年に向けて下げ止まる →一人当たりGDPで見るとマレーシアと中国が高所得国に近い 成長率見通し(IMF) {ECWB P 56AEB35B3F200000<Go>} 一人当たり名目GDP見通し(IMF) {ECWB P 56AE45803F3C0002<Go>} 3 15 (前年比%) 横線は、1951-70、1971-90、 1991-2014年の日本の平均成長率 10 5 高成長を続けた国の成長率は突然急落する傾向 0 日本 -5 →高所得国・地域となった日本、韓国、台湾でも、石油 ショックやアジア通貨危機などの外部・内部のショック がきっかけに -10 50 54 58 62 66 70 74 78 82 86 90 94 98 02 06 10 14 20 (前年比%) 横線は、1971-90、1991-2010、 2011-14年の韓国・台湾の平均成長率 15 10 生産年齢人口の減少や、次第に資本ストックが積み上 がることにより資本投資1単位あたりの成長率は頭打 ち、技術革新や、生産性を上げる制度改善(TFPの向 上)が、経済の巡航速度である潜在成長率の維持のた めに求められる 5 0 台湾 -5 韓国 -10 70 74 78 82 86 90 94 98 02 06 10 14 18 22 26 30 34 20 (前年比%) 横線は、1982-2011年の 中国の平均成長率 15 →中国もこの例外ではない? Bloomberg中位予測 10 5 Bloomberg中位予測 中国 0 82 86 90 94 98 02 06 10 14 18 22 26 30 34 38 42 46 (資料)Bloomberg 4 9-12月期のGDPは前年比+6.8%と減速&下振れ、15年の成長率は+6.9%に 12月の鉱工業生産は前年同月比+5.9%と減速し予想下振れ、15年の伸びは+6.1% 12月の固定資産投資は+10%、 12月の小売売上(名目) は11.1%と0.2%予想下振れ 一方、不動産市場の低迷は続くが、金融緩和により一服 実質、名目GDPとデフレーター {ECWB P 56A17A943F20014E<Go>} 不動産投資、売上、価格 {ECWB P 56A17BF23F200000<Go>} 5 中国国内の需給バランスが 世界の資源価格に影響し、 日本の輸入価格に波及する 1,200 1,000 鉄鉱石 銅 アルミ ニッケル 800 豪州 ブラジル インド チリ ペルー コンゴ共 ロシア アラブ首 比国 米国 カナダ NCL その他 50% 0% 鉄鉱石 銅 世界の消費シェア(2014年) 中国 600 日本 韓国 インド ロシア アルミ 米国 ドイツ ニッケル 台湾 その他 100% 400 50% 200 0 中国 100% 1,600 1,400 世界の生産シェア(2014年) 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (資料)IMF『世界経済見通し』2015年10月 0% 鉄鉱石 銅 アルミ ニッケル 6 【中国の鉄鉱石価格と 鉄鋼製品輸出量】 {ECWB P 56AEB1FA3F200000<Go>} 【中国の一帯一路構想】 7 日本の輸出にとって、中国 (20%)、米国(20%)、欧州 (10%)だけでなく、中国を除く アジアの存在感が大きくなって いる アジア内でも15年のアセアン経 済共同体の発足などもあり、域 内貿易の占める割合は大きい 加工輸出国の多いアジアにとっ て資源安は、先進国の需要が 堅調な限り追い風の側面も 日本にとっては、東日本大震災 以降のエネルギー輸入額の拡 大を打ち消す役割も 【日本からの輸出額】 {ECWB P 56AEB5E13F200000<Go>} 【日本の貿易収支】 貿易収支 日本の輸出額 日本の輸入額 {ECWB P 55AF96193F380002<Go>} 8 外国人観光客の 一人当たり消費金額 元建てでは爆買いは見られず (y/y ,%) (y/y ,%) 30 200 (万円) 一人当たり支出(円) 一人当たり支出(元換算) 人民元/円(右軸) 10000 180 9000 25 160 8000 5000 4000 10 3000 2000 5 1000 20 120 15 100 80 10 人民元/円 15 2011 = 100a 6000 25 140 7000 20 60 40 5 韓国 台湾 中国 (出所)観光庁, Bloomberg Intelligence 14Q1 15Q4 14Q1 15Q4 10Q2 12Q1 14Q1 15Q4 10Q2 12Q1 14Q1 15Q4 10Q2 12Q1 0 10Q2 12Q1 0 訪日中国人の一人当たり支出 米国 20 0 0 2011 2012 2013 2014 {NSN O1AHX66JTSEH<Go>} 2015 9 【邦銀の海外向け貸し出し( BISデータ)】 邦銀のアジア展開(足 元で停滞したが、マイ ナス金利で変わる か?) アジア危機前は金融 部門主導の融資拡 大、ここ数年は実需に 応じた拡大 {ECWB P 56AEB7223F20004F<Go>} 10 【中国の外貨準備と人民元の為替レート】 【ポイント】 アジア通貨危機、リーマンショック時と 比べセーフティーネットは拡充、金融 危機の可能性は高くない {ECWB P 56AEB7703F200004<Go>} 対韓国、対中国の2国間通貨スワップ の再締結の行方 チェンマイ・イニシアチブの影響 →マルチ化、枠の拡大 資金流出による外貨準備減少と、他 国の国債の売却の関係 産油国の国有ファンドの動向 【各国の米国債保有額】 {ECWB P 56AEB7DA3F2001BA<Go>} 11 10月見通し対比で、政策委員の16年度の物価見通しは低下、17年度は改善 16年度の成長率見通しは1.5%←1.4%に改善、17年度は変わらず 採決で5対4と割れたことは、政策導入が功罪入り混じることを示唆 政策委員の見通し(16年1月←15年10月) 【物価見通し】 2.5 2.0 2.0 1.5 1.5 1.0 1.0 前年比 前年比 2.5 0.5 -0.5 【成長率見通し】 マイナス金利 反対 0.5 0.0 0.0 1月見通し -1.0 2014 年度 2015 2016 政策委員の立ち位置(16年1月) -0.5 10月見通し 2017 (資料)日本銀行、Bloomberg Intelligence 1月見通し -1.0 年度 2014 2015 2016 (資料)日本銀行、Bloomberg Intelligence 10月見通し 2017 {NSN O1PUWN6K50Z5<Go>} 12 日銀短観-業況判断 設備投資と収益 予想される好影響 金融機関の貸出増加→設備投 資増加→景気拡大の好循環 円安による企業収益の下支え リスク 国内金融機関の収益低下 無理な貸出による不良債権増加 資産と債務の期間のミスマッチ? 余剰資金が実体経済に回らなけ れば資産価格バブルの懸念 {ECWB P 5604DA0E3F24001B<Go>} {ECWB P 55AF96193F380002<Go>} 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年 金融機関 金融活動指数 ヒートマップ 金融市場 民間全体 家計 企業 不動産 資産価格 金融機関の貸出態度判断DI M2成長率 機関投資家の株式投資の対証券投資比率 株式信用買残の対信用売残比率 民間実物投資の対GDP比率 総与信・GDP比率 家計投資の対可処分所得比率 家計向け貸出の対GDP比率 企業設備投資の対GDP比率 企業向け与信の対GDP比率 不動産業実物投資の対GDP比率 不動産業向け貸出の対GDP比率 株価 地価の対GDP比率 (出所)日本銀行 13 【欧州の政策金利】 【欧州のマイナス金利導入】 ECBは2014年6月にマイナス金利を 導入 スウェーデンは、2015年2月にマイ ナス金利を導入したものの、対ユー ロでの通貨高が止まらず、翌月には 再利下げに追い込まれた デンマークは、為替の変動幅を維持 するため、ECBの金融緩和に追随せ ざるを得なくなった スイスは、為替水準の維持を放棄 {ECWB P 56AEB8923F200008<Go>} 【欧州の為替レート】 {ECWB P 56AEB8373F200004<Go>} 14 -短期的には円安による貿易収支悪化も →金融緩和と通貨防衛のバランス -日本の景気拡大につながれば、中期的 にはプラスの側面も 【NIEsのGDP加重平均為替レート】 (注)各グラフとも数値が大きいほど自国通貨安 【ASEAN4・日本の対ドル為替レート】 {ECWB P 56AEC0143F200002<Go>} 【ASEAN4のGDP加重平均為替レート】 {ECWB P 56AEC3B03F200002<Go>} 15 {ECWB P 56AEC0143F200002<Go>} 【現状】 消費は伸び悩む 設備投資は企業が高い設備投資の水準を維持したが足元は減速 先進国経済の回復と、新興国の減速ペースの緩和で、輸出は横ばい。資源安の効果も大きい 資源安が2%物価目標達成に対して重荷に 原油価格と対ドル、対人民元、対ユーロの為替レート 【見通し-機会とリスク】 円安を背景とした企業の好業績はピー ク、春闘での賃上げの動向に焦点が移 るが伸び幅は限定的とみられる 為替は追加緩和で米国との利回り格差 が拡大する中で緩やかに円安に進む のがメインシナリオ ただし、円安による輸出ドライブの回復 ではアジア全体の景気の押し上げには つながらない 国内の成長戦略・構造改革、アジアへ のインフラ投資と国際機関との連携な ど、潜在成長率を押し上げる必要性 {ECWB P 56A16DF43F200002<Go>} 16 BI ECON<GO> →ブルームバーグ・インテリジェンスによる経済分析 BIE<GO> →ブルームバーグ・インテリジェンスによる各国見通し 17 DISCLAIMER §The BLOOMBERG PROFESSIONAL® service and BLOOMBERG Data (the “Services”) are owned and distributed by Bloomberg Finance L.P. (“BFLP”) in all jurisdictions other than Argentina, Bermuda, China, India, Japan, and Korea (the “BLP Countries”). BFLP is a wholly owned subsidiary of Bloomberg L.P. (“BLP”). BLP provides BFLP with global marketing and operational support and service for the Services and distributes the Services either directly or through a non-BFLP subsidiary in the BLP Countries. Certain functionalities distributed via the Services are available only to sophisticated institutional investors and only where the necessary legal clearance has been obtained. BFLP, BLP and their affiliates do not guarantee the accuracy of prices or information in the Services. Nothing in the Services shall constitute or be construed as an offering of financial instruments by BFLP, BLP or their affiliates, or as investment advice or recommendations by BFLP, BLP or their affiliates of “an investment strategy or whether or not to “buy”, “sell” or “hold” an investment. 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