楽読 (ラクヨミ) 2016年2月10日 Vol. 1,065 堅調な動きをみせるアジア・ハイイールド社債 2015年以降、中国の景気減速懸念の高まりや原油安などを背景に、投資家のリスク回避的な動きが強まり、 ハイイールド社債は全般的に軟調な動きとなりましたが、アジア・ハイイールド社債は比較的堅調なパフォー マンスとなりました。 この背景には、アジア企業の財務状態は相対的に健全で、デフォルト率が他の新興国地域より低い水準に あることや、アジア域内の投資家の旺盛な需要があり、その保有割合も高いことがあります。また、他の地域 よりアジアは地政学的リスクが比較的低いほか、業績悪化懸念が高まったエネルギー関連企業の割合が相 対的に低いことも、下支え要因になったと考えられます。 オフショア(海外)市場で資金調達を行なうアジア企業が増えるにつれて、米ドル建てアジア債券市場は着実 に拡大しています。ハイイールド社債(BB格以下)は全体の約17%となっており、同社債のうち、中国の不動 産企業が約34%を占めています(2016年1月末時点、JPモルガン・アジア・クレジット・インデックス・ベース)。 発行体に中国の不動産企業が相対的に多いことから、同国の景気鈍化を受けて、アジア・ハイイールド社債 のデフォルトが増加するとの懸念もあります。しかし、足元の中国の不動産市場は、不動産価格が上昇する 主要都市が増えていることに加え、不動産企業による資金調達が、米ドル高や規制緩和などによって、オフ ショア市場(米ドル建て)からオンショア市場(人民元建て)へシフトしており、米ドル建て債券の需給が引き締 まるなど、同債券にとって追い風となっています。 こうしたことに加え、アジアは比較的高い経済成長が続くと見込まれるほか、アジア・ハイイールド社債は堅 調なパフォーマンスが続いており、利回りも安定的に推移しています。また、ハイイールド市場への影響が懸 念される米国の利上げのペースは緩やかになると予想されることなどから、アジア・ハイイールド社債は、投 資魅力が高い資産として投資家の注目を集めると期待されます。 ハイイールド社債のパフォーマンスの推移 (2015年1月初~2016年2月9日) 110 (%) ハイイールド社債の利回りの推移 (2015年1月初~2016年2月9日) 12 新興国 アジア 105 新興国 10 9.9 9.6 8 8.2 100 欧州 米国 95 アジア 6 6.0 米国 4 欧州 起点を100として指数化 90 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 (年/月) 2 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 (年/月) 米国ハイイールド社債:BofAメリルリンチ米国ハイイールドマスターⅡ(米ドルベース)、欧州ハイイールド社債:BofAメリルリンチ・ユーロ・ ハイイールド(現地通貨ベース)、新興国ハイイールド社債:JPモルガン・CEMBIブロード・ディバーシファイド・ノンインベストメント・グレード (米ドルベース)、アジア・ハイイールド社債:JPモルガン・アジア・クレジット・インデックス(社債、BB格以下)(米ドルベース) (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成) ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ■ 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資 料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成 時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産に は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。 投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご 覧ください。 1/1
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