第2回概要 (PDF形式, 164.00KB)

平成 27 年度
第2回イキカツ応援講座
「あなたは”地域”に救われる」
○第2回については、新たな試みとして、名古屋市高年大学鯱城学園の第 123 回公開講座
との共催で、鯱城ホールを会場として大規模な講演会形式で実施しました。
■講師
株式会社CBCテレビキャスター
おお
いし
大 石
くに
ひこ
邦 彦 さん
○山形県出身 慶應義塾大学卒業
1994年CBC入社
○これまでに東海地方の各地に赴き、多くの人と
出会い、幅広い分野の取材経験を持つ。
○現在は、報道情報番組「イッポウ」
(月∼金曜日 16:50∼19:00 放送)の
メインキャスターを務める。
<講演概要> ※ところどころで会場とのやりとりをまじえ、すすめられました。
【地域のみんなで取り組む防犯】
○ひったくり被害に遭わないために
名古屋市内でも街頭犯罪が多く、中でもひったくりが多発しています。同じ犯人が
一日に何件ものひったくりをすることがあり、ニュースをやっていると、1日5、6
件の情報が入ってきます。では、どうやって対策すればよいでしょうか。ひったくり
で気を付けなければいけない「3B」とはなんだと思いますか。
→(会場:バイク、バッグ、バック)
バッグをたすきがけにしたり、道路と反対側に持つようにする、自転車に乗るとき
はネットをつけるなどの対策をしてください。
○私の"経験"を踏まえて
車上ねらいも多発していますが、被害に遭われた方はいますか。
→(会場:朝起きたら車ごとなくなっていて、戻ってきませんでした。)
では、どんな車種が狙われることが多いと思いますか。
→(会場:レクサス?)
プリウスが一番多く、次にハイエースとなっています。盗難対策のイモビライザー
を破るイモビカッター、さらにその対策、という風に、盗む側とそれを防ごうとする
側のいたちごっこになります。
そこで大切なのは、地域の目で犯罪を防ぎ、守っていくことです。
皆さん、空き巣に対して一軒家とマンションどちらが危険だと思いますか。
→(会場:マンション?)
正解は、「どちらも危険」です。マンションはオートロックがあると思っていても、
誰かと一緒に入ってしまうことができます。また、上層階だとベランダのカギをかけ
ない方も多いので、最上階からロープで侵入するケースもあるそうです。
一軒家だから安全とも言えません。私も3年前空き巣に入られました。16∼19 時ぐ
らいの3時間ほど家を空けただけだったのですが、帰ってきたら部屋の電気が全部つ
いていて、玄関ドアがバールでこじ開けられていました。皆さんの中で、空き巣被害
に遭われた方はいますか?
→(会場:挙手)
けっこう多いですね。特に最近、年末にかけて留守になる家も多いことから、空き
巣が多くなっています。玄関から入るタイプや部屋のガラス戸から入るタイプなどさ
まざまなやり方があり、1ドア2ロックをしていても2分程度で開いてしまうといい
ます。
空き巣は開けるのに5分以上かかると諦めるそうですから、ガラス戸には1ドア3
ロックをするとともに、留守にするときも灯りをつけるなどの対策をしてください。
家の近くに公園があるのは、安全?危険?どちらだと思いますか。
→(会場:安全だと思います。)
(会場:家の隣に公園がありますが、分からないです。)
「どちらも危険」です。近くに公園があると人目はありますが、逆に知らない人がい
ても不審に思われないので、空き巣等の下見をしていてもわかりません。
空き巣に狙われないためには、入りにくいなと思わせることが大事です。防犯用の
灯りを設置するなどの対策は、できればご近所と一緒に取り組めるといいですね。防
犯について意識の高い家だなと思わせることが大事です。
そういった防犯対策とともに、一番効果があるのは地域の目です。次に、以前取材
した四日市市別山地区での取組を紹介します。
○四日市市別山地区の取組
別山地区は全国で初めて青パトを導
入した地区です。取組以前は、空き巣や
車上ねらい、部品ねらい等が非常に多い
地域でした。青パトで地域を見回ろうと
なったときも、昔からの居住者と新しく
住み始めたサラリーマン等とで生活の
リズムも違い、当初は大変でした。しか
し、青色回転灯をつけた車で地域を見回
る青パトを始めてから犯罪は激減しま
した。青色回転灯が世に出てきたのはそれからです。
最終的には、地域の目で見守ることが一番効果があるといろんな取材等を通して感
じています。私の住む地域でも、夕方から夜にかけて防犯パトロールをやっています。
ご近所での声がけを行うなど、地域でのネットワークをぜひ作っていただきたいと思
います。
【災害時における地域の絆の大切さ】
○大震災の教訓∼避難所を取材して∼
○顔の見える関係づくり(自助と共助)
地域でのつながりは防災においても重要で
す。東日本大震災後に取材したある避難所は、
段ボールで仕切られて碁盤の目のように区画
整理されていました。その避難所では、スト
レスで心の病をかかえている人はいませんで
した。なぜかというと、元住んでいた場所のご近所同士が集まるようにしてあり、知
っている顔が近くにいるということでストレスが緩和されたとのことでした。陸前高
田などでは、都市部よりも地域のつながりが強いです。地域で付き合いがあり、顔の
見えるあたたかい関係というのはいいと思いませんか。
南海トラフ巨大地震がいずれやってくると予想されますが、どこが強く揺れるのか、
どこまで津波が来るのか予想されていますから、名古屋市の発行しているハザードマ
ップを見てみてください。そして、実際に地震が来たときの想定をしてみてください。
地域で助け合える関係が陸前高田市のようには強くなかったのが阪神・淡路大震災で
したが、名古屋は都市部という意味で神戸に近いかもしれません。
地域のつながりは防犯だけでなく防災にも役立ちます。若い世代の人たちにも、近
所での人間関係、地域でのつながりを作れるよう教えてあげてほしいと思います。
阪神・淡路大震災と東日本大震災は、断層による直下型地震か、海の下で起きた地
震かという点で異なります。陸地から離れたところで起きた東日本大震災は、家屋の
倒壊などよりも、津波被害が甚大でした。内陸部でも川沿いでは被害を受けています。
そんなときにどうすればいいのか考えてみてください。地域で何をすればいいのか、
どう助け合えるのか、若い世代の方にも、こういう近所づきあいの仕方があるよと、
皆さんが先生となって地域のつながりを教えてあげていただきたいと思います。
自分の暮らす地域のつながりがいかに大切か。私は山形の田舎出身で、その大切さ
を実感してきました。この名古屋でも、地域のつながりがあれば、犯罪被害の減少や、
地震などの災害があっても命が救われるということもあるかもしれません。地域のつ
ながりを今まで以上に大事にしてほしいと思います。