ずずっ。はぁ、紅茶が美味しいわ。漫画版も終わって結構経っちゃったし

ずずっ。はぁ、紅茶が美味しいわ。漫画版も終わって結構経っちゃったし、本当にこ
の世界のカケラも思い出になっていってる気がするわね。新しいカケラはまだカケラ世界にな
いみたいだし、しばらく暇ね。
我が主はうみねこの世界のカケラと、ひぐらしの世界のカケラはどっちがお好きなん
ですか?
あぁ、それはもちろん雛見沢のカケラよ。あの世界は完璧な奇跡を起こせたんですも
の。それに比べてこの世界で私が叶えた奇跡は、本来なら奇跡と呼ぶのも図々しいレベルのも
のだわ。
やはり、我が主はそういうお気持ちだったんですね……
私はヱリカに特に何も話していないと思うのだけど、あんた何を知ってるの?
作中で提示された伏線を元に我が主の心理考察を私やっていまして。ある程度考え尽
くしたので、まぁこれが結論かなぁというレベルのものが組み上がったんです。ですから、何
か知ってるというよりはですね、推理が固まったという方が正しいです。
私の心なんかこの物語の推理要素じゃなかったはずなんだけど。
あぁ、それはそうですけど私はこの物語の謎は結構早い段階で解けてしまったのでで
すね、本来は誰も考えないであろう部分まで、暇潰しで考えていたんです。そういった推理要
素の中に我が主の心理考察がありまして、もっと言うとラムダデルタ卿の心理考察、幾子さん
の心理考察、そういうのをやってしまったんです。
それは興味深いわね。ラムダの心理考察が特に。
普通にこの物語を読むと、我が主とラムダデルタ卿は悪役に見えるわけですよ。ベア
トリーチェさんに対して「絶対に奇跡は起きない」って言ってるじゃないですか。ラムダデル
タ卿は最後の方はベアトリーチェさんサイドにいましたけど、
ラムダデルタ卿は、
何と言うか、
ゲーム盤世界とは違う視点であの世界にいる感じがするんですね。我が主もですが。
私とラムダはまぁ、この物語に限らず、ちょっと特別な存在だからね。
蛍火のともる頃に、という作品があるのですが、我が主その物語の冒頭にもいらっし
ゃったでしょう。ラムダデルタ卿と一緒に。
あぁ、あの脱出ゲームね。
なく頃にシリーズの案内人みたいな立ち位置にいらっしゃいますから、我が主とラム
ダデルタ卿の立ち位置というは推理が難解なのですよね。おそらく、この物語でベアトリーチ
ェさんの心に至った方は大勢いらっしゃると思いますけど、我が主とラムダデルタ卿の心に至
った方はいらっしゃらないと思います。私だけでしょう。
あら、大きく出たじゃない。あなたが私の心に至ったですって?
あー、一つ断っておきますけど、この件に関しては私、あまり語りたくないのですよ
ね。我が主もこの話はお嫌でしょう?我が主の心は私だけが理解してればいいんです。誰にも
教えたくありません。
私はヱリカに「全然至ってないわよ!」って言ってやりたいのだけど、そういう対応
されると私否定できないじゃない。言っていいのよヱリカ。
では、一つだけ質問いたします。我が主は安田紗代さんが海に投げたメッセージボト
ルに奇跡の魔法をかけましたか?
…………!! ヱ、ヱリカやっぱりこの話はやめましょう。
分かりました。やはりそうだったのですね。
………とにかく。物語も終わっちゃったわ。今回私は自分の無力を思い知った気がす
るのよ。思い返せば。雛見沢の時にも私は失敗をしている気がするの。
ご自分で推理をせず、物語を論理的に解決しようとしなかった事ですか?
……ヱリカあなたどれだけ私の事ばっかり考えてるのよ……
私は探偵ですから基本的に論理で物語を見るんです。ですから、推理の過程で仮説が
大量に生まれます。その生まれた仮説の中には、物語をハッピーエンドで終わらせる可能性の
仮説も存在するんです。推理とは武器なんです。我が主はその武器を持たずに物語世界に挑ん
でらっしゃる。それが私は危ない、リスクが高い、と思っているんです。
確かにそうかもしれないわ。私は結局雛見沢の惨劇も力押しで解決しただけ。奇跡が
起こるまで何度も何度もカケラを紡いだだけだわ。
私が我が主のおそばにいる限り、今後の世界では我が主の力になりたいと思ってはい
ますけども、すでに終わってしまったカケラはどうしようもありません。私は雛見沢のカケラ
でも我が主のおそばにいたかったです。そうすれば、もっと早く解決できたかもしれません。
もういいのよヱリカ。ありがとう。雛見沢は結果的にはハッピーエンドで終わったの
だから。この六軒島のカケラは……そうでもなかったみたいだけど。
私はこれはどうしようもないのだと思いますよ。我が主と私がいる世界より上にいら
っしゃる、最上層執筆者。この方が全ての世界を作っている神なのですが、この方がこの世界
における六軒島事件を「確定惨劇世界」として固定化されてますから、回避する、という概念
自体が神の意志に反する行為です。ですので、回避はあり得ないんです。
何それ。初めて聞く話だわ。何でそんな事をあなたが知ってるのよ。私の駒であるあ
なたが知ってて私が知らないって何それ。確定惨劇世界?何それ。何なのよそれ!!
私、一時期プレイヤー階層のとある探偵さんの所でお世話になっていたんですが、こ
の世界に今語った神とおっしゃる方がいまして。この方がこの六軒島事件をめぐる物語を「エ
ンターテイメント作品」として作ってらっしゃるんです。私はここでこの神にですね、全力で
反撃をしてきまして。まぁ私の主観では神の心臓を完璧に止めてきたと思ってるんです。です
のでリベンジはキッチリやってきました!!
……ここは喜ぶ所なのかしら。初めて聞く話な上に、スケールが大きすぎて正直私は
もう意味がよく分からないわ……
簡単に言えばですね、我が主の努力を踏みにじり、奇跡のカケラを消去した最上層執
筆者を推理的にぶん殴ってきた、という事です。神すら殴る探偵、それが探偵古戸ヱリカで
す!!
へ、へぇ。何だか実感がわかないけどれど、とりあえずありがとうと言っておくわ。
私がプレイヤー階層に行けた理由はまぁ偶然ある探偵さんが召喚したからなので、偶
然行けただけなんです。ラッキーでした。雛見沢のカケラもあの世界ではただのエンターテイ
メント作品ですしね。我が主も私もその世界の執筆者が作った世界にいるんです。何だか実感
がありませんけどね。
この世界の物語は一応ハッピーエンドっぽい感じで終わったじゃない。でもね、私
色々と良く分からない部分があるのよ。その辺ちょっとヱリカと話していきましょうか。
私が推理をしてる部分なら仮説は立つと思いますので、是非協力させてください!
じゃあ、とりあえずヱリカがプレイヤー階層に行ったっていうその記憶を私と共有し
ましょう。ヱリカちょっとこっちいらっしゃい。
は、はい。共有なんて出来るのですか?
ぎゅっ。
ほわああああああああああ!!
何を叫んでいるの。静かにしてちょうだい。耳にキンキン来るわ。
我が主が私をぎゅって!!
あなたも私をぎゅっとするの。
はい!ぎゅっ!!
いたたたたた!!馬鹿力で抱きしめるんじゃないわよ!!そっとでいいの!!
は、はい。そっとぎゅっ。
このままあなたは私の事を考えてなさい。私はヱリカの事を考えてるから。30分く
らいね。
一生でもいいですよ!!
そろそろかしら。ヱリカ、私の中にあなたの記憶を送り込むイメージをしてみて。そ
れで私の中に記憶が入ってくるから。
はい!
入ってきてる入ってきてる。いい感じだわ。
ぽっ
何であなた顔を赤くしてるの?
(我が主可愛いです。もうずっとこのままでいたいです。幸せです!!)
はい。終わりよ。御苦労さまヱリカ
あ、終わりですか。そうですか……
じゃあ始めましょう。まず素朴な疑問なのだけれど、最後の福音の家の黄金郷がある
じゃない。戦人がベアトに迎えられて、黄金郷で幸せな感じで終わるあそこのシーン。
ラストのエンディングの所でしょうか。
ええ。何であそこに私とラムダはいないの?例えば、原作の時点ではあそこ、ガート
ルードとコーネリアがいないじゃない。だから、私は単純に入れ忘れだと思っていたのよ。で
もね、漫画版だとこの二人追加でキッチリいるのよ。でも私とラムダデルタはいないの。つま
りね、意図的に私とラムダはいないのよ。
基本的にあの黄金郷にいるのは第8のゲームで黄金郷が滅んだ時にいたメンバーな
のではないのですか?コーネリア達は黄金郷にいましたから単なる入れ忘れでしょうが、我が
主とラムダデルタ卿はもともとあそこにいませんから、最後の黄金郷でもいないのでしょう。
物語性を重視するのならそうでしょうけど、一応あそこで最後のハッピーエンドを描
いている訳でしょう。登場キャラ全員集合みたいなノリの。私とラムダもいる方が何だか気持
ちいいじゃないの。
恐らくですね、あそこは厳密に言うと「現実世界をのちに文章化した世界」というシ
ーンでしょうから、そういう意味で幻想勢がいらっしゃる訳ですが、我が主とラムダデルタ卿
はなく頃にシリーズの案内人ですから、この世界では創作世界の登場キャラとして出演しては
いても、基本的にそこよりももっと最上層にいらっしゃるんじゃないですかね。
つまりは、あそこに私とラムダがいると、私達が創作世界上の単なる創作キャラみた
いになっちゃうから、それがマズイって事?
そうでしょうね。我が主は作中メタ世界でプレイヤー階層に関する発言をたまになさ
るでしょう。
「また次のなく頃にで会いましょう」とか言ってたでしょう。
何かその辺私記憶ぼやっとしてるのよね。
なく頃にシリーズの案内人として、プレイヤー階層の神が我が主にそういうセリフを
無理やり語らせてますから、我が主はこの六軒島のカケラだけで終わるキャラではないんです
よ。そういう意味でこのカケラのハッピーエンドであるあのシーンにいる訳にはいかないんで
しょう。
そういう事だったの。何だかさびしいわね。ぼっちじゃないの私。
我が主がぼっちなのはいつもの事じゃないですか。
なんですって!!
な、何でもありません!!
まぁいいわ。まだまだあるのよ。最後に作家になった縁寿が幾子と十八に会うでしょ
う。十八は漫画だと普通に年をとってるじゃない。顔に皺もあるし。でも幾子は若いままじゃ
ない。縁寿もそう言ってるし。何であの子は年を取らないの?
あぁこれは先ほども語った、ラストの作家縁寿さんのシーンは基本的に創作世界だか
らでしょう。創作世界を描いている幾子さんが執筆の際に自分だけ若く書いてるんじゃないで
すか。女の見栄ってやつですよ。
ちょ、ちょっと待って。それ……大問題じゃないの。幾子の若い問題が解決した代わ
りに大問題が発生してるじゃないの!!
大問題?なんでしょうか。特に思いつきませんけども。
あたなは今「この物語は最後の最後まで創作だった。現実世界ではなかった」って言
ったのよ!!
創作世界だとは言いましたが、現実世界ではなかったとは言ってませんよ。
はぁ?
?
腹立つわねその顔!!私が自分で考えない癖がついちゃったのはね!!今のあなた
のように自分だけ分かってる感じの探偵キャラにイラッと来たからなのよ!!
そんな、我が主許してください!そんなつもりじゃないんです!!もみっ
どさくさにまぎれておっぱい触るんじゃないわよ!!
今のも偶然です!!
嘘ばっかり!!
本当です!!じゃあ私のも触っていいですよ。
何で私があんたのおっぱいを触らないといけないの嫌よ。それよりどういう事なの。
説明しなさいキッチリと。
これ説明長くなるんですが、我が主はベアトリーチェさんのゲーム盤の意図というの
は分かってらっしゃるんでしたっけ?
さすがにそこは分かってるわよ。ウィルに解かせたんだから。
じゃあそこは説明省かせていただきます。ベアトリーチェさんのゲーム盤部分から戦
人さんは約束を連想するわけですが、これを前提にする場合、現実世界の十八さんは幾子さん
の家でメッセージボトルを読んで真相に至った事になります。
手遅れになって紗代の真相に至ったっていう後悔が十八に発生した部分ね。
あ、我が主は六軒島の真相はカケラを覗いて知ってらっしゃるんでしたね。でしたら
話が早いです。そういう事ですね。その十八さんの後悔が偽書執筆の動機な訳ですが、天国の
紗代さんに向けて謝罪となる物語を描くのならば、どのシーンで物語が終わるのが妥当だろう
という論点が発生します。
あぁ、そう言われるとそこは重要な気がするわね。例えば私が紗代だったら、入水シ
ーンで終わってる物語を渡されると、戦人の気持ちは分かるのだけど、最終的に何だかしょん
ぼりした気分になりそうだわ。だってあそこは悲しいシーンだもの。
正にそこなんです。紗代さんに捧げる物語はハッピーエンドで終わっているべきだと
考えます。
そうなると該当するシーンというのは、
最後の福音の家の黄金郷がベストでしょう。
なので、一応あの結末っていうのは現実世界であった出来事がベースとしてあり、それをのち
に幾子さんが幻想脚色をしてまとめあげたものなのでしょう。
あぁそういう事。あそこは創作世界だけど、現実世界の出来事をベースにしてるから
現実世界だと思ってもいいわけね。
物語の読解を重要視する場合はそうなるでしょうね。別に紗代さんに悲しいシーンで
終わってる物語を渡したんだ、という説を採用してもいいのですけど。確定根拠がありません
しね。
次に行くわ。コンフェッションていう新しいメッセージボトルがあったじゃない。何
あれ。あんなの原作に無かったわよ。ノックス8条に違反してるじゃないこれ。後出しの完全
新規情報を出すなんて私ずるいと思うわ。
これは仮説は一応ありますよ。創作世界上メッセージボトル説という説をこのコンフ
ェッションのボトルの説明のために生み出しまして。おかげで脳みそがおかしくなりそうでし
たけども。
へぇ。仮説は立ってるのね。凄いじゃないヱリカ。私はもうずっとずるいずるいと罵
倒を浴びせてただけなのに。
順番に説明していきたいのですが、我が主がEP7のお茶会で妙なセリフを言ってた
でしょう。そこがこの説のキーになっているのですが、クレルがメッセージボトルをいくつも
作って海に投げるでしょう。そこで我が主は妙な事をおっしゃるんです。
覚えてないわ。
「あなたはいくつもの物語を描いていた。そしてそれを海に投じたわ。この真実を知
ったら悲しむであろうものを救うためにね!!」この発言です。
これの何が変なのかしら。
メッセージボトルがいつ投棄されたのかというのは伏線が出ていまして、警察がボト
ルの封印状況などから、事件の数日前までに投げてると結論出してるんです。つまり惨劇発生
前に投棄されているんです。
何で私はそんなセリフを言ったのかしら。何だかそこもぼやっとしてるわ。
もしかするとそのセリフも神が無理やり言わせてるのかもしれませんが、とにかく、
メッセージボトルには本来未来の惨劇から誰かを守る意図なんてないんです。未来予知なんて
ファンタジーですから。となると可能性として考えられるのは、そもそもこれは現実の方のメ
ッセージボトルの方を指していない、という可能性です。
現実じゃなかったら何なのよ。
ちょっとややこしい話になりますので、まずはこの世界を階層に分けて考えましょう。
全部で5層で考えます。
1層 ゲーム盤世界
2層 メタ世界
3層 創作98年世界
4層 現実98年世界
5層 竜騎士 07 朗読世界
こういう感じの層がこの世界にはあります。ちなみに今私達がいるのは2層メタ世界です。我
が主は本来2層の住人ですが、なく頃にシリーズの案内人として5層までを認識します。
……
そんなめんどくさそうな顔をしないでください!必死に仮説を構築したんですか
ら!「もう聞くのやめようかしら」みたいな顔をしないでください!!
別にそんな事思ってないわよ。この5層の竜騎士07って何なのかしらと思ってただ
けよ。
あぁ、これが先ほどお話したプレイヤー階層の神ですよ。惨劇を回避不能に設定した
方です。
へぇ。竜騎士07ね。覚えたわ。
話戻りますけど、この層でいう4層で海に投げられるメッセージボトル、これが本物
のメッセージボトルになるわけですが、この4層メッセージボトルには当然ですけど、未来の
惨劇から誰かを守る意図はないのですが、1層のメッセージボトル、つまりはゲーム盤上の犯
人が事件前までに投げているメッセージボトルというのはですね、このゲーム盤自体を創作と
して書いてらっしゃる八城十八さんという偽書作家が4層にいますから、1層メッセージボト
ルに「惨劇から誰かを守る」という意図を込めるというのはあり得るんです。可能です。
竜騎士07……竜騎士07……何なのかしら07って。
話聞いてますか!我が主!私今物凄く重要な事を言いましたよ!!
聞いてないわ。
そんな、あっさり!
嘘よ。聞いてたわよ。その説明でいうと、1層のメッセージボトルは結局4層の十八
が書いている創作上のメッセージボトルだから、あぁそういう事。コンフェッションという新
しいメッセージボトルは、この1層で投げている創作世界上のメッセージボトルという事かし
ら。4層の方の本物ではなくて。
その通りです。原作は答えを明かすつもりがないですからコンフェッションなんてボ
トルは存在しません。しかし、漫画版は明かす事にしました。しかしコンフェッションなんて
ボトルは4層世界で存在しないわけですよ。ですから、1層の方で存在するように設定を変え
てるんでしょうね。4層の設定変更はアウトでしょうけど、1層は創作世界ですから別にいい
ですし。
コンフェッションの内容って今ヱリカが言った説明を前提にすると、確かにゲーム盤
世界の種明かしがいっぱいされてるから、4層の方のお話ではないとは思えるけれど、でも根
本的な部分でこれ駄目じゃない?
駄目、とは何がでしょう。
だって、コンフェッションの内容って物語的に重要なシーンでしょう。ここが作り話
でしたって事になるじゃないの。それって何だかモヤモヤするわ。
作中作を前提にしている物語世界ではそういう論理にはならないと考えます。つまり
ですね、コンフェッションも含め、今まで読んでいた世界が創作世界だったのなら、最重要な
のは執筆者の執筆意図になります。例えば、十八さんが「世間に嘘を広める」という目的で偽
書を描いていた場合、偽書にはむしろ真実を描いてはいけない事になります。
確かにそうだわ。創作世界だったのだものね。執筆意図が重要だわ。この物語の執筆
意図は死んだ紗代に対する謝罪でしょう?
ええ。紗代さんへ十八さんの後悔が伝わるのが最重要執筆目的ですから、コンフェッ
ションの内容が真実か否かが論点なのではなくて、あのコンフェッションによって十八さんの
想いが伝わるのが重要なんです。
細部が多少真実と違ってても構わないという事?
そうですね。そもそも紗代さんしか知らない事なんか十八さんは分かりませんから、
想像で書くしかないですよ。
筋は通ってるように思うわ。なるほど、1層のメッセージボトルがコンフェッション
なのなら、まぁノックス8条には……ギリギリ抵触してないのかしら。4層には存在しないん
だものね。現実世界を主眼におくのなら、共通設定という事だもの。
まぁこれはあくまでも仮説ですからね。一応こういう説で説明可能、というだけです。
まぁいいわ。一応なるほどと思えたしね。
我が主に一つ聞きたい事があったのですけど、我が主は第4のゲームまでは静観され
てたじゃないですか。
でも第5のゲームくらいからゲーム盤に干渉されるようになりましたが、
これは何でですか?
それは戦人が魔女側に寝返ったからよ。私は人間サイドだもの。
我が主はやたらと魔女幻想を潰そうと必死になってましたが、それも人間サイドだか
ら、という理由ですか?
そうよ。
……
それがどうかしたの?
あ、いえ。我が主の心理考察をやっていたと言ったでしょう。その過程で我が主に関
する結構重要な仮説がいくつかあるのですが、これは我が主が把握しているのか、それとも我
が主自体も無意識にやってしまっているのか、そこがどっちかなぁと思いまして。
なにそれ。私すら把握していない私自身の話があるっていうの?
ええ。これはあまり話さない方がいいのですかねぇ。我が主のアイデンティティに関
わる結構重要なお話ですし。
そんな言い方されると気になるじゃないの。あまり私に関する話はしてほしくないの
だけれど、小さい声で私にだけ聞こえるように言うのなら発言を許可するわ。
(小声で)我が主の寄り代に関する推理なのですが、我が主はご自分の寄り代は何だ
と思ってるんですか?
幾子の猫でしょ。実際第8のゲームでも猫になってたじゃない。
あぁ、それはそうなのですが、我が主は一応第5層までを認識する特別なキャラです
から、もう一つ寄り代があると思うのです。4層に存在するメッセージボトル、これなのでは
ないかと。
メッセージボトル?
ベルンカステル、というワインがドイツ地方にあるのご存知ですか?
……ええ、まぁ。
我が主は奇跡の魔女です。そしてメッセージボトルというのは奇跡的に拾われたもの
ですよね。
何だか嫌な予感がしてきたわ。
4層の十八さんが我が主を偽書内で描く際に、幾子さんの猫と、このメッセージボト
ルの奇跡を寄り代に我が主を作りだしている可能性があるんです。メッセージボトルには紗代
さんの「戦人に真相に至って欲しい」という思いが込められていますから、ここを寄り代にし
てしまうとですよ、我が主の行動原理の核に「魔女幻想を暴いて真相を明らかにしなくてはな
らない」というようなものが設定されてしまうのではないですか?
……!!
我が主が魔女幻想を暴くのは、これが影響してるのだと私は推理したんです。我が主
自体は自分の意志でやってらっしゃるつもりでしょうけど、実は寄り代の想いが反映されてい
るが故の行動なのではないかと。
わ、私の行動が実は私の意志じゃなかった……というの?
ええまぁ。
……それは誰の仕業なのかしら。さっき言ってた竜騎士07って神様かしら?
この場合は十八さんでしょう。十八さんが偽書を描いてるんですから。神はむしろ我
が主を案内人として特別キャラにしてますから、そういう意図はないんじゃないですかね。
ヱリカ、ちょっと十八を殺してきてちょうだい。
何を言い出すんですかいきなり。
こんなにビックリしたのは生まれて初めてだわ。ビックリしたから原因となった人物
を抹殺しないと。
無理ですって。十八さんは4層の人物。私達は2層。むしろ殺されるのは私達ですよ。
私は私の意志で行動してきたわ!!誰にも操られてなんかいないんだから!!
(寄り代の行動原理に逆らえない我が主可愛いです!)
あんた何ニヤニヤしてるのよ!!
我が主のそういう寄り代設定っていうのは、結局この六軒島事件のカケラ世界に来た
ときのみ適用されるものなんじゃないですか。例えば雛見沢のカケラには全然関係ない設定な
んですから。大丈夫ですって、違うカケラに行ったら無効化されるはずです。
ほんとうに?
多分ですよ多分。
じゃあちょっと彼岸花のカケラに行ってみましょう。
あのカケラに我が主は出演してないじゃないですか。いけませんよ。今行けるのなら
蛍火のカケラじゃないですか。
じゃあ蛍火に行くわ。脱出よ!緊急脱出するの!!
は、はぁ。お供します。
短い付き合いだったわね六軒島のカケラ!さようなら!!