住民監査請求の不受理決定について(PDF:78KB)

住民監査請求の不受理決定について
住民監査請求(滋賀県職員措置請求)(平成 28 年 1 月 22 日提出)について、監査委員の合議
により、住民監査請求の法定要件を具備しないため不受理とすることに決定され、平成 28 年 2 月
3 日付けで請求人あて却下の通知をしましたので、お知らせします。
記
1
2
3
4
請求年月日
平成 28 年 1 月 22 日
不受理(却下)決定年月日 平成 28 年 2 月3日
請求人の住所、氏名
高島市
池田 憲生
請求の概要
次のアからオの行為が、違法もしくは不当な契約の締結または財産の管理であるため、当該
行為の差止め、無効確認および違法確認のいずれかまたはすべてを求めるとともに、当該行為
は違法な行為であるため、当該行為者に対して損害賠償請求することを求める。
ア 知事が、指定管理者の県営住宅の管理行為に対して行われた不服申立について、議会に対
する諮問を行わず、当該事実を隠ぺいしたまま、「指定管理者選定委員会における候補者の
選定結果概要」を作成し、指定管理者に関する議会の同意議決を得たうえで、指定管理者と
協定を締結したこと。
イ 知事が、指定管理者が作成・行使した原状回復最終報告書を追認し、訴訟代理人となる弁
護士とともに現地確認を行ったうえで、滋賀県営住宅に係る工作物等撤去および植栽等請求
訴訟の提起に関する議決を得て、訴訟を提起した一連の行為
ウ 指定管理者が、イに掲げた原状回復最終催告書等の文書作成および行使ならびにアに掲げ
る不服申立において摘示している不法行為。
エ 議会が、訴訟提起議決を行ったこと、当該審議内容について会議要録の作成およびネット
等により公開したこと、ならびに請求人が当該事案について行った照会に対し滋賀県議会議
員が回答を行わなかったこと。
オ 弁護士が、アの事案に関して、指定管理者選定委員会の委員として選定事務を行ったこと、
およびイの事案について訴訟代理人として訴訟事務を行っていること。
5 監査結果
次の理由により、本件住民監査請求は、いずれも法第 242 条に定める住民監査請求の要件を
欠き不適法である。
アについて
住民監査請求において、財務会計行為の原因となる行為が違法・不当であることにより、
後行行為である財務会計行為が違法・不当となるのは、少なくとも、当該財務会計行為の原
因となる行為が、財務会計上の行為を適法に行うための要件となっている場合など前者が後
者の直接の原因ということができるような密接かつ一体的な関係があることを要する(東京
高裁 平 4.11.30 判決)ところ、本件選定結果概要を作成・行使したことと、協定(基本協定)
を締結したこととの間に、密接かつ一体的な関係は認められず、協定(基本協定)の締結が
違法・不当とは認められない。以上のことから、本件住民監査請求は、法第 242 条に定める
住民監査請求の要件を欠き不適法である。
イについて
住民監査請求の対象となる財産管理行為とは、当該財産の財産的価値に着目し、その価値
の維持・保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為をいうものと
されている(最高裁平成 2 年 4 月 12 日判決)
。
知事らの行為は、県営住宅管理上の行為であり、財務会計上の財産管理行為とは認められ
ないから、住民監査請求の対象とはなり得ない。以上のことから、本件住民監査請求は、法
第 242 条に定める住民監査請求の要件を欠き不適法である。
ウ・エ・オについて
財産としての財産的価値に着目し、その価値の維持・保全を図る財務的処理を直接の目的
とする財務会計上の財産管理行為とは認められないから、住民監査請求の対象とはなり得ず、
かつ、ウからオの行為のうち、指定管理者が行った行為、県議会議員が行った行為および弁
護士が訴訟代理人として行った行為については、法第 242 条第 1 項に定める普通地方公共団
体の職員の行為に該当しないため、住民監査請求の対象とはなり得ない
損害賠償請求について
請求人は、アからオに掲げられた行為が違法または不当であると述べるのみで、かつ、損
害が発生しているとする根拠または事実の証明、および当該行為と損害発生との因果関係に
ついてなんら示されていないことから、違法または不当となる理由を具体的に適示している
と認めることはできない。