特別講演 「少子高齢化時代の地域包括ケアのあり方とは」 ~静岡県に焦点をあてて~ 講師 産業医科大学 医学部公衆衛生学教室 教授 松田 晋哉 看護がつなぐ地域包括ケアフォーラム in 静岡 H28年1月31日 「少子高齢化時代の 地域包括ケアのあり方とは」 ~静岡県に焦点をあてて~ 産業医科大学 公衆衛生学教室 松田晋哉 専門調査会推計の考え方 • 一定の仮定のもとに患者数の推計を行った – 機能分化を進める – 医療区分1の70%は入院以外で対応 – 療養病床受療率の都道府県格差を縮小 • 上記仮定のもとで「患者数」を推計 – 慢性期=療養病床入院+介護施設+在宅 – 上記の配分の在り方は各地域の状況による – 慢性期の状態像に関しては、今後精査が必要 病床数推計に当たっての要求事項 • 傷病ごとに機能別病床数を求める • 傷病構造の地域差を勘案する • 傷病ごと・病床機能ごとの患者移動の状況を 勘案する • 上記を踏まえたうえで2025年、2040年の各構 想区域(defaultは二次医療圏)の機能別病床 数を求める 厚生労働省配布ツールによる推計結果 資料: https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko410/chiikiiryokousou/documents/02-1_juyohikaku.pdf 静岡県における自己完結率 (平成24年度NDBデータ:一般病床入院7:1、10:1) 出典: 平成25年度厚生労働科学研究補助金(厚生労働科学特別研究事業)・今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促す ための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)(研究代表者: 松田晋哉) 静岡県における自己完結率 (平成24年度NDBデータ:一般病床入院13:1、15:1) 出典: 平成25年度厚生労働科学研究補助金(厚生労働科学特別研究事業)・今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促す ための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)(研究代表者: 松田晋哉) 静岡県における自己完結率 (平成24年度NDBデータ:回復期リハビリテーション病床入院) 出典: 平成25年度厚生労働科学研究補助金(厚生労働科学特別研究事業)・今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促す ための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)(研究代表者: 松田晋哉) 静岡県における自己完結率 (平成24年度NDBデータ:亜急性期入院) 出典: 平成25年度厚生労働科学研究補助金(厚生労働科学特別研究事業)・今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促す ための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)(研究代表者: 松田晋哉) 静岡県における自己完結率 (平成24年度NDBデータ:療養病床入院) 出典: 平成25年度厚生労働科学研究補助金(厚生労働科学特別研究事業)・今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促す ための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)(研究代表者: 松田晋哉) 静岡医療圏の人口推移 静岡医療圏の人口推移 静岡医療圏の人口ピラミッドの変化 静岡医療圏の傷病別患者数の推計(外来) 静岡医療圏の傷病別患者数の推計(入院) 静岡医療圏におけるDPC対象病院の診療実績 (平成24年4月-平成27年3月分厚生労働省データ:肺炎) 静岡医療圏におけるDPC対象病院の診療実績 (平成24年4月-平成27年3月分厚生労働省データ:骨折) 静岡市の要介護高齢者の推移 機能別病床数の考え方 • 高度急性期・急性期は専門医の研修指定施設 との関係を考える必要がある – 大学医学部との調整 日常生活圏域で考えることが必要 • 回復期病床(地域包括ケア病床)の配置は、急 性期病院及び診療所・介護施設との連携のしや すさを考慮 – 診療所の先生、介護関係者の意見聴取 • 療養病床数は介護及び在宅医療の状況に依存 – 在宅医療の提供量の現実的推計 – 看護師・介護職の確保可能性 • 高度急性期+急性期、急性期+回復期の重な りを考慮した推計 慢性期の患者の増加にどう対応するのか? 資料: 第5回 医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会 仮に「医療区分1」の患者の70%を退 院させ、地域差を解消するとしたとき、 これらの患者はどこに行くのか? 「急性期以後」、特に慢性期の高齢者 をどのように地域でケアするかが、こ れからの各地域の医療介護のあり方 を決める →「地域包括ケア」体制の確立 地域包括ケアの概念 5つの視点 1. 医療との連携強化 2. 介護サービスの充実強化 3. 予防の推進 4. 見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など 5. 高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備(国交省と連携) 在宅療養を支援する病院と老人保健施設を拠点と したネットワーク化の必要性 今後急増する肺炎及び心不全の患者を在宅で診療する ことを支援する病診連携の構築が最重要課題 急性期病院 在宅療養を支援する病院(地域包括ケア病棟) (急性期の受け皿、在宅復帰、在宅支援・レスパイト) 連携(アライアンス) (二次)三次 救急 在宅療養支援部門 (訪問看護等) ケアマネジメント事業者 介護サービス事業者 連携 ITの活用 老健施設 在宅療養支援診療所 地区医師会 による調整 理念の共有 患者 サ高住 患者 考えておくべき重要事項 • 高齢者施設で発生する肺炎・心不全にどのよう に対応すべきなのか? – 以上のような傷病の患者を急性期病院の救急部門 に搬送することは妥当なのか? – 介護保険施設であっても、ある程度の医療は、そこで 行えるようにすべきではないのか? • 地域包括ケア病棟と老人保健施設に求められる 3つの機能 – – – – 急性期からの受け皿機能 在宅復帰支援 在宅ケアの支援機能(含 レスパイト) その上で老人保健施設と地域包括ケア病棟の機能 分担をどのように考えるのか? 「看取り」が可能である条件の分析 デイサービス 標準化されていない係 標準化係 数 数 B 標準誤差 ベータ (定数) .780 .129 侵襲的医療行為_看取り条 .387 .139 .452 件無 訪問介護 標準化されていない係 標準化係 数 数 B 標準誤差 ベータ (定数) .381 .175 医療合計 .052 .009 .794 ケアハウス・サ高住・GH・有料老人ホーム 標準化されていない係 標準化係 数 数 B 標準誤差 ベータ (定数) .719 .278 医療合計 .046 .016 .533 小規模多機能施設 標準化されていない係 標準化係 数 数 B 標準誤差 ベータ (定数) 1.444 .202 侵襲的医療行為_看取り条 .516 .213 .544 件無 t値 6.027 2.778 t値 2.179 5.850 t値 2.588 2.952 t値 7.131 2.424 有意確率 .000 .009 有意確率 .041 .000 有意確率 .017 .007 有意確率 .000 .030 看取りが可能である ためには「医療」対応 が重要 在宅医療を支える上で非常に重要な 病院訪問看護部門の役割 病院訪問看護部門が調整役として 機能することで在宅医療が安定する 後方病院 24時間対応 訪問看護 必要に応じて 紹介 必要に応じて 連絡 かかりつけ医 定期的 訪問看護 緊急時の往診 定期的な訪問診療 緊急時の 対応 患者 緊 急 時 の 連 絡 緊 急 時 の 入 院 フランスにおける在宅入院制度 (Hospitalization à Domicile: HAD) 病院 開業看護師 HAD チーム 医師、看護師 PT、 OT、 栄養士 薬剤師 等 開業PT 開業医師 調整ナースによる ケアプラン HAD チームによる在宅医療 (点滴、IVH、化学療法、 術後管理、在宅透析など) 緊急時の搬送 患者 複合的な傷病を持つ 在宅要介護高齢者数の時系列変化 (福岡県の1自治体データ) 年月 2011年4月 2011年5月 2011年6月 2011年7月 2011年8月 2011年9月 ・・・ ・・・ ・・・ 2012年11月 2012年12月 2013年1月 2013年2月 2013年3月 認知症+ がん 18 18 19 22 24 22 ・・・ ・・・ ・・・ 36 41 39 37 37 認知症+ 肺炎 16 20 20 21 23 20 ・・・ ・・・ ・・・ 23 40 47 45 42 認知症+ がん+ 筋呼格系疾患 虚血性心疾患 121 114 122 134 136 144 ・・・ ・・・ ・・・ 206 214 214 219 234 32 33 36 36 38 40 ・・・ ・・・ ・・・ 50 55 58 52 53 糖尿病+ 慢性腎不全 37 36 40 41 43 46 ・・・ ・・・ ・・・ 59 65 70 69 67 複合的な傷病を持つ 要介護高齢者数の時系列変化 (岡山県の1自治体データ) 認知症とがんがあり介護サービスを受けている患者の数 複合的な傷病を持つ要介護高齢者数のサービス受給状況 (岡山県の1自治体データ:認知症とがんがあり介護サービスを受けている患者: 2012年10月) 複合的な傷病を持つ要介護高齢者数のサービス受給状況 (岡山県の1自治体データ:認知症とがんがあり介護サービスを受けている患者 2012年10月) 超高齢社会のケアマネジメント • 入院医療の延長としての在宅医療 – 地域のナースステーションが必要になる • 看護診断・看護計画的なマネジメントが必要 になる。 – 利用者の持つリスクの評価(S O A) – リスクが顕在化しないための「予防的サービス」 の提供(P) • (訪問)看護が不必要な利用者はいない – 密度が違うだけ 新しい地域包括ケアの概念 養生 高齢社会において医療介護機関が 果たしている役割は何なのか? • 狭義の医療・介護だけではない – コミュニティにとって福祉・医療関連施設は安心 のための重要な拠点と考えられている(広井良 典:地域コミュニティ政策に関する自治体アン ケート調査,2007年実施) • 医療介護施設が提供している「安心を保証す る機能」を地域に開放していく(展開していく) という発想が必要ではないか – 「医療介護施設門前町」、「フォーマル部門による インフォーマルサービスの提供」という発想 B 高齢者はなぜ 退院したがらないのか? (独居者・60歳以上) 退院を希望しない高齢者は ・ ADLレベルは悪くない ・ 認知症のレベルは軽い ・ ・ ・ ・ 生活の安心感が不足 いきがいが不足 経済的支援が必要 自宅がない 場合が多い。 福岡県医師会と福岡 県の合同調査結果 平成18 年「療養病床における入 院患者調査」報告書,2007 標準誤差 Wald 自由度 有意確率 Exp (B) ステップ 医療保険 -.475 .244 3.806 1 .051 .622 1(a) 生活保護 -.349 .322 1.177 1 .278 .705 年齢階級 .015 .011 1.646 1 .199 1.015 性 .527 .248 4.506 1 .034 1.694 入院期間Ⅰ .002 .002 1.364 1 .243 1.002 入所前所在ダミー -.010 .011 .737 1 .391 .990 入所前住所ダミー .005 .002 4.401 1 .036 1.005 認知症 -.339 .083 16.672 1 .000 .712 ADL区分 -.764 .172 19.805 1 .000 .466 医療区分 -.257 .183 1.961 1 .161 .773 福岡糸島ダミー 2.028 1.071 3.586 1 .058 7.602 粕屋ダミー 2.367 1.098 4.647 1 .031 10.663 宗像ダミー 3.532 1.106 10.200 1 .001 34.198 筑紫ダミー 2.476 1.114 4.941 1 .026 11.888 久留米ダミー 2.551 1.101 5.369 1 .020 12.816 有明ダミー 2.502 1.110 5.083 社会的でない入院はありうるのか? 1 .024 12.208 八女筑後ダミー 1.237 1.226 1.018 1 .313 3.444 飯塚ダミー 1.882 1.162 2.623 1 .105 6.567 北九州ダミー 2.547 1.076 5.606 1 .018 12.764 京築ダミー 1.905 1.123 2.879 1 .090 6.720 在宅安心感不足 .566 .262 4.665 1 .031 1.761 生きがい不足 .861 .312 7.624 1 .006 2.366 経済的支援不足 .840 .277 9.190 1 .002 2.316 自宅なし .587 .246 5.718 1 .017 1.799 -4.639 1.430 10.517 1 .001 .010 在宅での生活が不安定である高齢者にとって医療機関に 直方鞍手ダミー 1.590 1.336 1.416 1 .234 4.905 とどまり続けることは「合理的な」選択と考えることもできる 田川ダミー 2.563 1.157 4.905 1 .027 12.979 定数 地域包括ケアの基盤 • 「住」→在宅ケアの基本 – 地域の実情に合わせた多様な住の提供体制 • サービス付き高齢者住宅 • 小規模多機能施設 • シェアハウス – 高齢者を孤立化させない「住まい」の政策 – 生活を支える仕組み • • • • 食の確保 買い物支援 移動手段の確保 QOL 医療機関が持つ「生活保障機能」を 地域に開放できないか? (医療施設門前町構想) 日本でも同様の取り組みは始まっている。 このような仕組みは、元気な高齢者が働ける場所の提供にもなる 高齢者向け優良賃貸住宅事例 新しい在宅の一例 (自治体と地区医師会の協力でこのようなものはできないだろうか) ■ビバース日進町 <用途構成> 高齢者住宅(5~11F) 高齢者向け優良賃貸住宅55戸 一般住宅10戸 高齢者交流施設 屋上庭園 在宅ケアセンター(4F) デイサービス・リハビリテーション 病 院(1~3F) 療養病床85床 住宅エントランス部 所在地 事業主 延床面積 用途 :川崎市川崎区日進町 :川崎市住宅供給公社、馬嶋病院 :9302.28㎡ :高齢者向け優良賃貸住宅 55戸 一般住宅 10戸 療養病床 85床 駐車場 川﨑市住宅供給公社HPより 高齢者向け賃貸住宅 飯塚市医師会館 (サンメディック飯塚) 分譲マンション(62戸) パリの高齢者施設の例 (Socialization: 社会化) 回復期リハビリテーション関係者の不満 • なぜ、回復期リハビリテーション病棟で「在宅 生活が可能になった」高齢者が退院後「介護 保険」のサービスに移るとADLレベル・IADLレ ベルが低下することが多いのか? • 維持期リハビリ・生活リハビリは機能している のか? 地域リハビリテーションという視点から考えたとき、 老人保健施設はどのような役割を果たしているのか? あるいは期待されているのか? 行橋駅前のシャッター通り 巣鴨のとげぬき地蔵前商店街の活況 なぜ、ここにはこんなに多くの高齢者が集まるのか? 北九州市八幡西区茶屋の原団地の「ふれあい朝市」 大型スーパーが郊外にできたために地域のスーパーが閉店しまったこの地域では 高齢者の「買い物難民」化が生じた。問題解決のために地区自治会の高齢者が 自ら立ち上がり毎週火曜日「朝市」を開催している。地域の農家や鮮魚店などの 関係者が協力者となり運営されている。 (写真提供: 西日本新聞社・百合直己記者) 介護予防の概念的フレームワーク 移動能力の低下 運動器機能向上 or 移動の支援 行動範囲・活動範囲の制限 この悪循環を断つことが 必要 意欲・関心の低下 ICF的ケアプラン いきがいの低下 ICFの生活機能モデル 健康状態 (変調または病気) 病気、けが、妊娠、高齢、ストレスなど 生 活 機 能 心身機能・身体構造 活動 参加 (生命レベル) (生活レベル) (人生レベル) 心と体の働き、体の部分など 歩行、家事、仕事などの生活行為 仕事、家庭内役割、地域社会参加など 環境因子 健康状態 建物、福祉用具、介護者、社会制度など 年齢、性別、ライフスタイル、価値観など 出典: 上田敏、初心者にもよくわかるICF入門、介護保険情報、2004.7月号 ある離島に住む要支援高齢者の事例(要支援、福祉用具貸与:電動車椅子を使用) ある離島に住む要支援高齢者の事例(要支援、福祉用具貸与:電動車椅子を使用) ある離島に住む要支援高齢者の事例(要支援、福祉用具貸与:電動車椅子を使用) ある離島に住む要支援高齢者の事例(要支援、福祉用具貸与:電動車椅子を使用) ある離島に住む要支援高齢者の事例(要支援、福祉用具貸与:電動車椅子を使用) 生きがいの有無と活動の変化 生きがい あり なし 合計 度数 (%) 度数 (%) 度数 (%) 活動変化 維持・改善 悪化 1977 128 93.9 6.1 173 25 87.4 12.6 2150 153 93.4 6.6 p= 合計 2105 100.0 198 100.0 2303 100.0 0.000 「生きがいがある」と回答している人は1年間で活動能力が 悪化している割合が少ない。 (行橋データ: YAL cohort) 生きがいの有無と家事能力の変化 生きがい あり なし 合計 度数 (%) 度数 (%) 度数 (%) 家事変化 維持・改善 悪化 1917 188 91.1 8.9 167 31 84.3 15.7 2084 219 90.5 9.5 p= 合計 2105 100.0 198 100.0 2303 100.0 0.002 「生きがいがある」と回答している人は1年間で家事能力が 悪化している割合が少ない。 (行橋データ: YAL cohort) 生きがいの有無と精神の変化 生きがい あり なし 合計 度数 (%) 度数 (%) 度数 (%) 精神変化 維持・改善 悪化 2038 67 96.8 3.2 183 15 92.4 7.6 2221 82 96.4 3.6 p= 合計 2105 100.0 198 100.0 2303 100.0 0.001 「生きがいがある」と回答している人は1年間で精神能力が 悪化している割合が少ない。 (行橋データ: YAL cohort) 稲城市の介護ボランティア制度の概要 稲城市高齢福祉課 介護保険係 ボランティア受入施設 指定 市の指定を受けた施設における ボランティアの活動 地方自治体の知恵が 求められている → 本当の地方分権の時代に 稲城市 ⑥ 評価ポイント活用の 意向を伝達 ⑤ 評価ポイント 活用の申請 ③ 獲得ポイントを 手帳にスタンプ ② ボランティア 活動 ①ボランティア登録 ボランティア 社会福祉協議会 ②ボランティア手帳交付 ④評価ポイントをもらう ⑥ ポイントに応じた金額の 支払い(最高5000円/年) 鹿屋市柳谷(やねだん)の取り組み ふらて会(北九州市)の取り組み 介護予防事業の効果はあったのか? H25年度研究で構築した総合分析システムの画面の一つを以下に例示する。H23年度に基本チェック リストの送付を受けて返送した住民(2228名)のうち、二次予防該当と判定された481名についてH24 年度の介護保険給付の状況を体操への参加の有無別に分析した結果が示されている。利用者の割 合は2群で差がないが、参加群では施設サービス、地域密着サービスの利用がなく、また要介護度も 要支援2までにとどまっている。同様の効果は医療費でも確認されている。 「半農半患者」構想 小規模多機能施設 医療機関 / 医師会 支援 支援 デイケア /外来 支援 通院/通所 出勤 福祉農園(遊休地) 在宅患者 • 高齢者 • 障害者 支援 JA/農政担当局/住民 産業医科大学公衆衛生学教室・ 健康×農業プロジェクトの目的 • 「継続性」のある特定保健指導の提供 – 楽しく、生産的なアクティビティ – 「遊び」の中に「学習」を取り込む • 重要であるにもかかわらずなかなか乗ってこな いターゲット集団の取り込み – 40代・50代の男性が参加したいと思うアクティビティ • 福岡県内における都市と中山間地域の交流の 促進 – 地域の自信を取り戻す – 福岡県版CCRCの構築 コモンズ(共有空間)という概念 • 本来は「入会(いりあい)=会員制による地域 の共有地」を意味するもの → 概念の変化 • 「地域の資源(ひと・もの・かね)を活かし、持 続可能な、新しい公共と地域経営の在り方を 目指して地域の関係者が共に取り組む場」 社会医療法人社団 陽正会の試み 医療・介護事業体の新たな役割 • 「場」と「機会」の提供→「関心縁」の中心 – フォーマルセクターによる「インフォーマルサービ ス」提供の重要性 – 住民教育の場として – 職員のキャリア形成の場として – 「市民」という意識→社会貢献 – 施設の「社会化」の必要性 医療・介護施設は今後「コモンズ」としての機能が求めら れるのではないか? 生活支援の拠点としての役割 同居者の介護力別に見た死亡ハザード (男性、軽度・中等度の移動障害がある場合) 老老介護、家族友人からの支援がないと死にやすい 人口減少社会における街づくりを考える 無計画な郊外の宅地開発 新設される小学校 → 20年後には廃校の危機 郊外型ショッピングモール 駅 放置されたままの 駅前シャッター通り 人口減少社会における街づくりを考える (持続可能な街) 駅 コンパクトシティ化 まとめ • 高齢化の進展により「新しい」地域ケアの提供 体制が求められる – 医療度の高い高齢者への看護・介護の一体的提供 • 地域包括ケアの実現 – 多様性をいかに計画するか? – 「住まい」の保障→「生活することの」保障 – 高齢者がアクティブで居続けることができる仕組み の工夫 – 看護の視点からのケアマネジメントの重要性 • 社会システムとしての「コモンズ」の重要性 – フォーマルセクターによる「インフォーマルサービス」
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