2016.2.5|言葉の倫理について

東京ジャーミイ金曜日のホトバ
2016 年 2 月 5 日
言葉の倫理について
親愛なる信仰者の皆様!
他人を中傷したり汚い言葉を使ったりしてはいけないと仰
ある日、私たちの預言者の、同胞の一人がこう尋ねました。
せられています。預言者は 私たちに、良い言葉とは善行で
「救いへの道とは何でしょうか?」。救いと平安にいたる信
あり、一人ひとりを地獄 の業火から守るとも仰せられてい
仰者の道について、私たちの愛する預言者はこうお答えにな
ます。
りました。「あなたがたの舌を護りなさい!煽り立てられて
兄弟姉妹の皆様! 今日(こんにち)
、言葉からその魅力が失
も、巻き込まれることのないようにしなさい!あなた方自身
われ、イメージばかりが強調され、見かけや表面的な価値ば
の罪を思って涙しなさい!」。私たちの愛する預言者のハデ
かりが強調されているのは非常に悲しいことです。日常にお
ィースをもって、私のホトバを始めます。「心が正しくない
いて人々は、自分たちが何を言っているのか気にもかけよう
うちは、信仰者の信仰は正しいものとはなり得ません。舌が
とはしません。あまりにも多くの言葉を軽率に語り、そのた
正直でないうちは、心は正しくなり得ません」
。
め深く考えることなく、悪いことや不安、危機といったこと
兄弟姉妹の皆様!イスラムの文明とは、モラル、知恵、公正
引きつけられてしまうのです。インターネット上やその他の
さ、美徳、そして真実を 映し出す言葉による文明でありま
あらゆるところで、根拠なき言 葉が多くの人々に影響を及
す。言葉は真実と、公正さをあらわすものでなくてはなりま
ぼし、誤った印象ばかりが作られています。人間の名誉と尊
せん。意識も心も、嘘や中傷によって汚してはならないので
厳が標的にされ、モラルも常識のかけらも ないやり方で傷
す。嘘でごまかしたり、不安になったりといったことはあっ
つけられているのです。あまつさえ中傷や、事実無 根の非
てはならないのです。無益で無意味な言葉に、私たちに託さ
難をもって宗教をおとしめようと試みるに至っては、人間の
れた貴重な人生を費やすべきではありません。これについて、
名に値しないものであります。こうしたモラルに欠けるふる
私たちの師である預言者はこう仰せらています。「正しい言
まいが、信仰者たちの心と魂にひどい傷を与えているのです。
葉 を述べるか、さもなくば沈黙しなさい」。これこそ、いつ
根拠なき主張が繰り広げられ、それが政治問題へとすり替え
でも私たちのモットーとされるべきです。 全能の主は私た
られるというのは非常に深刻な状況であります。根拠なき主
誰がそれをもたらしますか
張に耳を貸し、受け入れた人々も、それをまき散らした人々
全体規則)
ちの言葉の価値を、それが真実と公正さをあら わしている
かどうかで計りたまいます。なぜなら言葉はたましいの 反
と同様に非難されるべきでしょう 。
OF ISLAM IS
EASY
親愛なる兄弟姉妹の皆様!
射であり、それを発した人物の行ないはもちろんのこと、そ
今日(こんにち)、こうした考え
の人格、さらには運命までも決定するものだからです。クル
に捕われないことこそが人間として、またムスリムの信仰者
アーンの章句 を通じて、全能の主は私たちに真実について
としての私たちの義務であります。真実を虚偽に隷属させて
告げたまいます。「おお、信仰する者たちよ、アッラーを畏
はなりません。ひとときの現世を永遠に、精神を肉体に隷属
れよ。アッラーに従い、理に至ることばを語れ。アッラーは
させてはなりません。私たちはいつでも倫理と責任ある行な
あなたがたの行ないを正しい ものとし、その罪を赦したも
いを心がけるべきです。人との関わりにおいては常に思いや
う」
。
り、敬う心、優しさ、理解を心がけるべきです。私たちは審
大切な兄弟姉妹の皆様!言葉を扱うにあたっては、モラルと
判の日、自らのあらゆる言葉と行為について問われることを
技術が求められるのです。言葉には倫理と規律がこもってい
忘れてはなりません。
ます。信仰者ならば、言葉のもつ巧みさ、優雅さを引き出せ
るようでなくてはなりません。信仰者ならば、その言葉は美
しくこころ地よく、人々の心と魂に届くものでなくてはなり
ません。そして心とたましいから誠実に発せられた言葉でな
い限り、決して相手の心と魂に届くことはないでしょう。見
栄をはったり、自らの才能をひけらかすためだけに語る者を
アッラーはお好みにはなられない、と私たちの預言者は仰せ
られています。預言者はまた、信仰者ならば人を侮辱したり、