細川俊夫/光に満ちた息のように 笙の独奏曲である《光に満ちた息のよう

■細川俊夫/光に満ちた息のように
笙の独奏曲である《光に満ちた息のように》は 2002 年、スイスのドルナッハにあるルド
ルフ・シュタイナー研究所の委嘱で作曲され、宮田まゆみさんの演奏で初演された。細川氏
によると、
「ルドルフ・シュタイナーが⿊板に⾃分の思想や絵を描いた画集があって、その
絵のタイトルを曲名にした」という。⾃分の⾳楽に神秘主義的な流れがあると考える彼は、
シュタイナーの神秘思想に共鳴するとともに、宮田まゆみさんの笙を連想した。細川氏にと
って、宮田さんはそこに新しい⾳楽が下りてくるミューズのような存在。
「息が光って、息
に包まれて光の渦のようなものが出てくるというイメージ」が⾃分の笙の作品にはあると、
細川氏は感じている。
単⾳から5度、さらに減⾳程を含む和⾳となり、重⾳から再び単⾳へもどるフレーズで始
まり、旋律的な動きが続く。中間部から終結部にかけて、不協和な⾳程を含む合⽵が連続し、
複雑で重い⾳群に揺さぶられたのち、やわらかな⾳調へと抜けていく。じっと耳を傾けると、
繊細な⾳を聴き取る⼒がよみがえるようだ。
白石美雪
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