作業所内の高所作業車や作業所員の位置を把握する

2016 年 2 月 4 日
株式会社竹中工務店
作業所内の高所作業車や作業所員の位置を把握するシステム
~iBeacon*を使った位置認識技術を建設工事に適用
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、作業所で稼働中の高所作業車・フォークリフト等の
建設機械や作業所員の位置を無線通信で簡単に把握できる管理システムを開発し、イオ
ンモール堺鉄砲町作業所で試験的に運用しました。
本システムは、近距離無線通信技術「iBeacon」を用いた発信機を建設機械に取付け、
作業所員の持つ携帯端末から約 10m以内に近づくと自動で携帯端末に位置情報が送ら
れる仕組みです。送られた位置情報は、携帯端末上に保存されている建設工事用の作業
所内平面図に映しだされます。作業所員は常に建設機械の最新の位置情報を把握するこ
とができるため、管理業務の負担を軽減することができます。また、携帯端末を持って
いる作業所員同士の位置情報も常に把握できるので、お互いに探し合うこともなくなり
ます。
建設工事では、高所作業車など数多くの建設機械を使用し、大規模作業所では同時に
数百台の高所作業車を使用することもあります。通常では作業車ごとに使用者を割り当
て、各自で管理を行いますが、作業車の位置を確認するために広大な作業所内を探し回
らなければならないこともありました。
本システムを適用した当該作業所では、作業所員 29 人(2015 年 6 月時点)全員の
携帯端末に本システムを導入した結果、従来では毎日 30 分の探索時間を要していたと
ころ、その手間がほぼゼロになり、半年で約 72 時間の作業所管理の効率化を実現して
います。
既存の位置認識技術では、GPS のように屋外でのみ使用できるものや、高価な発信
機や専用の受信機が必要なものが多く、建設工事のような特殊環境での実用化が困難で
した。本システムでは、iBeacon を採用することで、屋内対応・コスト・設置盛替手間
といった建設工事特有の課題を解決しながら、5~10m精度での位置情報の把握を実現
しました。今後は、他プロジェクトで使用するための社内インフラ整備を進めるととも
に、位置情報に加えて稼働率等を把握するべく研究開発を進めることで、省力・省人化、
更なる生産性の向上を目指していきます。
位置把握システムの画面
凡例
作業所員の位置
高所作業車の位置
フォークリフトの位置
検索した位置
無線発信機
仮設照明
高所作業車
仮設照明
使用した無線発信機
仮設照明への
設置状況
無線発信機
高所作業車への設置状況
本システムの機能
① 図面上に、建設機械・作業所員の位置が、丸や三角の記号と名前で表示されます。
② 一定時間以上動きがない場合、記号が赤く表示されます。
③ 建設機械・作業所員の名前から、位置を検索します。
④ 場内の無線発信機を盛替える場合、作業所員がシステム内で簡易に変更できます。
⑤ 携帯端末上でシステムが起動していなくても、自動で位置情報を収集します。
特長
① 建設機械の探索時間がゼロに
位置把握技術により、高所作業車やフォークリフトといった建設機械の配置状況を
瞬時に把握することができます。これにより、日々の重機探索時間がほぼゼロにな
るほか、重機と人の位置から正確な配置管理を行うことで、効率的かつ適正な施工
を実現します。
② 屋内でも位置把握が可能
無線発信機を作業所場内に 10m~20m間隔で配置し、無線標識として使用するこ
とで、屋内であっても位置情報を 5~10mの精度で把握することができます。
③ iBeacon を使った屋内位置把握技術を建設現場に初適用
設置環境が日々変化する建設現場に適用するため、安価かつ電池駆動の無線発信機
を選定し、設置場所を仮設照明とすることで、設置・盛替を容易にしました。また、
当社ではほぼ全ての作業所員に配備している携帯端末をそのまま受信機として使
用することで、スムーズな導入を可能にしました。
iBeacon(あいびーこん)とは
iBeacon とは Apple 社の登録商標であり、BlueTooth を低消費電力にした近距離無線
通信技術です。この規格に準拠した無線発信機は安価に市販されており、電池で数か月
~数年稼働します。その電波は iOS 端末で受信することができます。一般の事例では、
スタジアムの座席に発信機を取り付けることで飲食物の注文に活用したり、商業施設で
の広告表示などに活用されています。
* iBeacon は、Apple Inc.の登録商標です。