股関節鏡視下手術

*当院で行っている手術治療について
・人工股関節置換術(平成 26 年 68 件)
変形性股関節症、大腿骨壊死症、関節リウマチの患者さんで保存的治療にて症状が
改善しない場合には、人工股関節置換術を行っています。
手術により股関節痛はほぼ消失し、股関節の動く範囲が改善し、脚の長さを調整す
ることも可能で、術前と比較すると歩き方が良くなります。また、術中血液回収装置
の使用や術前自己血貯血を行うことにより、初回手術での同種血(他人の血液)輸血
はほぼ回避できます。
右変形性股関節症の術前レントゲン
右人工股関節置換術後レントゲン
・股関節鏡手術(平成 26 年 7 件)
股関節鏡視下手術の対象となる病態・疾患は、遊離体摘出、損傷した股関節軟骨の
修復、股関節唇損傷に対する切除又は縫合、股関節インピンジメント(FAI)の矯正、
股関節の感染症の治療、滑膜炎、
「原因不明の股関節痛の原因究明(診断的股関節検査)」
、
の治療などがあります。
この中で、股関節鏡手術を受ける患者さんで最も多いのは、保存的治療を行っても
症状が改善しない股関節唇損傷、FAI またはその両方を有している患者さんです。
手術は腰椎麻酔下にて 2~3 か所の約1cm の穴をあけ、この穴より股関節鏡と手術器
具を股関節内に挿入します。股関節鏡にて股関節内部の損傷個所を見つけ、必要な手
術を行います。術後は、理学療法士によるリハビリテーションを受けます。理学療法
士は、松葉杖で歩いたり、松葉杖なしで移動できるように指導します。手術していな
い脚は、術後すぐに全体重をかけても構いませんが、手術側の脚は、かける体重が制
限されます。そのために、数日~数週間は松葉杖を使用する必要があります。松葉杖
の使用期間は、手術の内容によって異なります(松葉杖を外す時期は、主治医が決め
ます)。
術後 8 週目までには、比較的疼痛なく歩行することができます。しかしスポーツに
復帰できるのは、術後 3-6 か月(またはそれ以上)かかります。
鏡視下での股関節唇縫合術
股関節唇損傷(バケツ柄断裂)
スーチャーアンカーを用いての股関節唇縫合