表層型メタンハイドレートの資源量把握に向けた調査を行いました

平 成 28 年 1 月 22 日
資 源 エネルギー庁
表層型メタンハイドレートの資源量把握に向けた調査を行いました
~掘削調査により地質サンプルを取得~
資源エネルギー庁では、「海洋基本計画」に基づき表層型メタンハイドレートの資源量
把握に向けて、平成 25 年度から 3 年程度かけて調査を実施しています。
今年度は、表層型メタンハイドレートの存在の可能性がある特異的な構造(ガスチム
ニー構造)の内部におけるメタンハイドレートの様子をより詳しく把握するため、隠岐
周辺及び上越沖に存在する3箇所のガスチムニー構造において、合計約 30 箇所の
掘削調査を行いました。掘削調査により取得されたサンプルに含まれる表層型メタン
ハイドレートの状態や量は均一ではなく、サンプル毎に大きく異なっていることが分か
りました。
また、隠岐周辺、上越沖、秋田・山形沖、日高沖及び北海道周辺の調査海域におい
て昨年に引き続き広域地質調査及び詳細地質調査等を実施しました。
1.調査の結果概要
(1) 地質サンプル取得調査
・調査海域:隠岐周辺、上越沖 / 調査日程:8/23~11/8
・ガスチムニー構造の内部のメタンハイドレートの状態を直接把握するため、隠岐
周辺、上越沖の調査海域に存在する 3 箇所のガスチムニー構造において、合計
約 30 箇所で地質サンプル取得のための掘削調査を行いました。
・取得された地質サンプルを観察した結果、メタンハイドレートは、厚さ数 10cm~
数 m 以上の柱状で採取された部分がある一方、泥に混ざって、直径1cm 未満~
数 cm の粒状で存在している部分もあるなど、さまざまな形状を示すことが改め
て分かりました。
・同一のガスチムニー構造から取得されたサンプルであっても、サンプル毎のメタ
ンハイドレートの存在の形態(深度、形状、量)は、取得された場所によって大きく
異なることが分かりました。
(2) 広域地質調査
・調査海域:隠岐周辺、上越沖、秋田・山形沖、日高沖、北海道周辺沖 / 調査
日程:5/6~7/19
・メタンハイドレートの存在の可能性のある海域を把握するため、調査船から音波
を発信し、海底の地形や海底下浅層部の地質構造データを取得しました。
・解析の結果、表層型メタンハイドレートの存在の可能性がある特異的な構造(ガ
スチムニー構造)が新たに 771 箇所確認されました。
(3) 詳細地質調査
・調査海域:隠岐周辺、上越沖、秋田・山形沖 / 調査日程:5/1~5/23
・自律型巡航探査機(AUV)に設置された機器から音波を発信し、より精緻な海底
地形や海底下浅層部の地質構造、海底面の状態のデータを取得しました。
(4) 環境データ取得のための基礎調査
・調査海域:隠岐周辺、上越沖、秋田・山形沖 / 調査日程:9/9~9/28
・無人探査機による海底観察により、海底付近の微地形、表層型メタンハイドレー
トの産状、海底付近の生物の生息状況等を解明するとともに、海水や海底表層
の堆積物を採取して成分分析を行いました。また、昨年設置した長期モニタリン
グ装置を回収しました。
2.今後の予定
「海洋基本計画」に基づく資源量の把握に向けて、これまでに収集されたさまざまな
測定データや多くの地質サンプルについて、専門家による分析作業、解析作業を加
速し、商業化に必要となる最低限の資源量の規模及び分布状況かどうかの検証を行
うとともに、その結果を踏まえて表層型メタンハイドレートを回収するための技術の調
査や技術開発のあり方等を検討していく予定です。
(参考)今年度調査を実施した海域
北海道周辺
隠岐周辺で 1 箇所、上越沖で 2 箇所の
掘削調査を実施
広域地質調査、詳細地質調査等を
実施した海域
日高沖
(注)掘削実施場所、調査海域は
概念的なイメージで表示。
秋田・山形沖
上越沖
隠岐周辺
(本発表資料のお問い合わせ先)
資源エネルギー庁資源・燃料部 石油・天然ガス課長
担当者:茂木、溝田、樫尾、今村
電
話:03-3501-1511(内線:4641~6)
03-3501-1817(直通)
定光
サンプル1
隠岐周辺
サンプル2
サンプル1
取得状況
RC1502
サンプル2
取得状況
RC1505
0m
0m
RC1505
2H-7
【海底面下11m付近】
灰色の泥の中に
厚さ1cm~数cmの
RC1502
ハイドレート
2H-7-cc
10
30
10
約
30
cm
30
40
40
RC1502
9X-cc
【海底面下45m付近】
灰色の泥の中に
厚さ1cm~数cmの
ハイドレート
約
40
cm
20
海底面下の深度(
m)
20
【海底面下11m付近】
灰色の泥の中に
直径1cm未満の
ハイドレート
約
15
cm
50
RC1505
10H-7
【海底面下65m付近】
灰色の泥の中に
厚さ数cmのハイドレート
約
30
cm
60
(注)サンプル取得状況の図の灰色着色部は地質サンプルが取得できた部分。斜線部は取得できなかった部分。
矢印(↓)部は地質の条件等を考慮し、予めサンプル取得の対象としなかった部分。以下同じ。
サンプル4
サンプル3
【海底面下24m付近】
厚さ1m程度の
RC1507B
ハイドレート
4X-3
上越沖 1
サンプル4
サンプル3
取得状況
RC1513B
取得状況07B
RC1507,
0m
0m
RC1513B
1X-cc
(
地質サンプル回収時に、サンプルの表面に泥の汚れが付着。)
【海底面下13m付近】
泥の中に直径1cm未満~
数cmのハイドレート
10
10
約
25
cm
20
20
RC1513B
4X-cc
30
【海底面下26m付近】
泥の中に直径1cm未満の
ハイドレート
30
約
20
cm
RC1507
9X-cc1
40
40
RC1513B
11X-cc
50
【海底面下
43m付近】
厚さ数10cm
のハイドレー
ト
約
1
m
約
50
cm
【海底面下55m付近】
泥の中に直径1cm~数cmの
ハイドレート
約
25
cm
サンプル6
サンプル7
上越沖 2
サンプル5
サンプル5
取得状況
サンプル7
取得状況
サンプル6
取得状況
RC1518B
RC1516B
0 m RC1516B
2X-2
10
40
50
0m
約
30
cm
20
20
(黒っぽく
見えるの
は掘削
時に付
着した汚
れ)
RC1515
6X-3
約
80
cm
30
約
1
m
【海底面下22m付近】
灰色の泥の中に
直径1cm未満から数
cm程度のハイドレート
40
【海底面下
12m付近】
厚さ1m
程度の
ハイドレート
RC1516B
15X-5
RC1518B
6X-1
【海底面下28m付近】
灰褐色の泥の中に
直径1cm程度~
数cm程度のハイドレート
70
約
1
m
90
【海底面下90m付近】
泥の中に直径1cm程度
のハイドレート
100
【海底面下8m付近】
黒灰色の泥を挟む
厚さ数cmから10cm
程度のハイドレート
10
10
60
80
RC1515
5X-5
RC1518B
1X-3
【海底面
下15m
付近】
厚さ数m
のハイド
レートの
一部
20
30
RC1515
0m
約
25
cm
約
40
cm