地 域包括 ケ ア シ ス テ ム へ の 取 り 組 み 地域包括ケアシステムへの取り組み ∼進む推進リーダー制度の活用∼ C ase Study 山口県理学療法士会の取り組みについて 本会では地域包括ケアシステム推進に向けて、平成 26 年 2 月に地域包括 一般社団法人山口県理学療法士会 地域包括ケア推進特別委員会 委員長 ケア推進特別委員会を設置いたしました。事業の重要性から平成 26 年度は 綿谷昌明 本委員会の関連事業に総予算の 1 割弱を計上いたしました。とりわけ、日本 理学療法士協会が推進する地域包括ケアシステムに関する推進リーダー制度 の啓発ならびに推進は、地域ケア会議、介護予防事業に対する人材育成のみ ならず、 地域包括ケアシステムにおける理学療法士の役割を理解することで、 地域包括ケアシステム推進に向けた理学療法士の目的意識の共有化に大きく 役立つと考えています。 今年度は推進リーダー育成のため、地域包括ケア推進リーダー導入研修会 と介護予防推進リーダー導入研修会を各 4 回、計 8 回企画いたしました。平 成 27 年 1 月末、計 7 回 (地域包括ケア 4 回、介護予防 3 回)の導入研修会開 催での本会会員受講者数は、地域包括ケア推進リーダー 195 名 (本会会員の 15.4%) 、介護予防推進リーダー 179 名(本会会員の 14.1%)となっていま す。また、 推進リーダーは、 平成 27 年 1 月現在で、 地域包括ケア推進リーダー 74 名 (本会会員の 5.8%) 、介護予防推進リーダー 79 名 (本会会員の 6.2%) が取得しています。既に介護予防推進リーダーにおいては、各市町における 介護予防事業計画策定会議での委員選出や実際の介護予防事業への派遣等で 介護予防教室 の人選に活用しています。今後は地域ケア会議においても地域包括ケア推進 リーダーを活用できるよう、市町に対しても積極的に働きかけていきたいと 考えています。 さらに、推進リーダー制度の推進と並行して、地域包括ケアシステム推進 に関わる事業参加において必要な基礎知識の習得を目的として、関連する テーマで 5 回の研修会を企画しております。また、地域包括ケア推進活動に ついて地域包括ケアニュースを発行し、情報共有を図っています。今後の方 向性を毛利公の 「三本の矢」 に例えるならば、①人材育成・派遣体制構築、② 地域包括ケア推進リーダー導入研修会 事務局機能強化、③渉外活動、これらを同時に強く推進していかなければな らないと考えています。2018 年 (平成 30 年)には明治維新から 150 年とい う大きな節目がきます。今年の NHK 大河ドラマ「花燃ゆ」とも関係が深く、 維新の志士にも強い影響を与えた吉田松陰先生が思想・信条の根幹とした言 葉に 「至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり (孟子) 」 という言葉があ ります。大きく社会情勢が変遷するなか、課題は山積していますが、私たち もその想いを継ぎ、県民の皆様に理学療法士としてどう役に立てるのか、そ のためにはどう動くべきかを時勢を捉えて考え、誠を尽くして取り組んでい きたいと思います。 介護予防推進リーダー導入研修会 推進リーダー制度 取得状況 資 格 名 登 録 者 数 地域包括ケア推進リーダー 7,193 4,862 介護予防推進リーダー 6,552 4,169 ※ e- ラーニング受講者数には免除対象者が含まれます。 10 (2015 年 1 月 31 日現在) FEBRUARY 2015 e-ラーニング受講者数 導入研修受講者数 士会事業受講者数 資格取得者数 2,623 2,740 1,514 1,926 2,485 1,075 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム への取り組み 本会は、今年度 「地域包括ケアシステムに関する推進リーダー制度」を創設し、地域で活躍できる理学 療法士の人材育成に努めています。本号では、その制度の活用が進む山口県理学療法士会の取り組みと、 資格取得者の声をご紹介します。 Voice 推進リーダー取得者からのメッセージ 地域包括ケア推進リーダー 医療法人同仁会辻整形外科 リハビリテーション部部長(和歌山県) 鍋嶋崇之さん ケアのありかたが地域ごとに多様化する今、この変化に 個別の運動療法が 乗れるかは理学療法士の未来に関わる大きな問題です。地 中心の業務に、もっ 域包括ケア推進リーダーとなり、やりがいの大きさに興奮 と地域に貢献する しています。 手段を模索してい 研修会は参加者が多く、また熱心で、今後の問題、行政 ました。 のシナリオ、行うべき活動について学ぶことができました。 今年は未年、 「未」 しかしそれはマニュアルではなく、進むべき指針です。推 の 字 は、 こ れ か ら 進リーダーは地域の特性に合わせ、指針をもとに新しいケ 伸びる木の枝です。今後さらに研鑽し土台を作り、地域ケ アの形を構築するパイオニアです。 ア会議で根を伸ばし、街づくりに関わるリーダーとして、 私が働く地域は、山間部が多くを占め、高齢化率も 理学療法士が大木に育つスタートの年にしたいと考えてい 32.8%と深刻な問題です。職場の理念は 「地域に貢献する」 ます。 (図:平成 24 年度厚生労働省老人保健事 業推進費等補助金「持続可能な介護保険制 度及び地域包括ケアシステムの在り方に関 する調査研究事業」) です。しかし、保険制度内での活動は受け身の部分が多く、 介護予防推進リーダー 山形県立中央病院(山形県) 岩井章洋さん 私は、昨年 6 月に仙台で開催された介護予防推進リー 予定です。 ダーモデル導入研修に参加し、理学療法士は医療・保健の 理学療法士による介護予防は、高齢者の生活機能低下の 知識を有し、高齢者の運動機能向上を導く専門家であり、 サインに気づき、予後予測と個々の目標に配慮しながら個 効果的な介護予防プログラムを立案し提供できることを再 別的に適切な対応が可能です。私は介護予防への取り組み 認識しました。 を通して、高齢者の地域・社会での活動・参加を促進し、 山形県理学療法士会では、9 月に介護予防推進リーダー 健康寿命の延伸に貢献し、さらには、自助・互助・共助の 導入研修会を開催し 91 名の参加がありました。その後、 ためのパートナーとなり、高齢者が安心して暮らすことの 当会の行政への働きかけの甲斐もあり、介護予防事業に関 できる地域づくりの一翼を担うべく努力したいと思いま 連する派遣を行っています。今後は、 介護予防推進リーダー す。 間の派遣報告や症例検討による情報の共有化を活発に行う JPTA NEWS No.293 11
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