11.通信

産業アウトルック
2016年1~3月期
11.通信
坂田
美知恵
トピック:
12月に総務省が示した
取組方針を受けた今後
の業界動向に注目
2015年9月の安倍首相の携帯電話料金引き下げ検討指示を受け、2015年12月に
は総務省から利用者の料金負担の軽減及び携帯端末販売の適正化に向けた取組
方針が示されており、今後具体化される施策及び通信キャリアや周辺事業者の
業績への影響等に注目が集まります。
移動体通信市場:
加入者件数は増加傾向、
ARPUも足元では下げ止
まりつつあるが、総務
省が示した取組方針を
受けた施策によっては
再度低下する惧れあり
移動体通信市場は、人口普及率が100%に達しているものの、タブレットPCの普
及などに伴う2台目需要等により、加入件数(2015年9月末15,945万件<前年同月
比+4.2%>)が引続き増加基調にあります。一方、ARPU (注1) は音声定額プラン
の導入等により足元こそ下げ止まりつつあるものの、2015年5月以降のSIMロッ
ク(注2)解除義務化により、MVNO (注3) の新規参入の動きが続いているほか、
2015年12月に総務省からユーザーのニーズや利用実態を踏まえた料金体系の導
入の方針が示されており、今後具体化される施策の内容次第では再び低下傾向
となる惧れがあります。また、総務省では高額な端末購入補助の適正化に取組
むとしており、通信キャリアの負担軽減に繋がるとの見方がある一方、端末買
換えサイクルの長期化等によって端末メーカーや販売代理店等周辺事業者への
影響が及ぶ可能性もあります。
(注1)加入者一人当り月間利用料収入。
(注2)携帯電話端末で他社のSIMカードを利用できないようにする機能。
(注3)キャリアなどから回線を借りて通信サービスを提供する事業者。
固定通信市場では、引き続き音声サービスの加入者数減少が続いているうえ、
データサービス市場も既に頭打ちとなっています。また、異業種からの新規参
入等による光回線の加入者獲得競争も続いており、ARPU低下による収益環境の
悪化が懸念されます。
固定通信市場:
引き続き音声サービス
の縮小に加え、データ
サービスも頭打ちの傾
向が続く
移動体通信加入件数・ARPU推移
(千円)
6
固定通信加入件数・ARPU推移
(百万件)
160
10
5
8
100
3
(百万件)
固定通信(音声)加入件数(右軸)
100
ブロードバンド加入件数(右軸)
120
4
80
固定通信(音声)ARPU(左軸)
6
60
4
40
2
20
80
60
2
1
加入件数(右軸)
40
ARPU(左軸)
20
0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
1Q
0
15 (年度)
2Q
0
(兆円)
08
09
10
11
12
13
14
(年度)
(出所)各社決算説明会資料・総務省資料より弊行作成。固定通信(音声)
加入件数は主要3グループ合算。
携帯事業者移動体部門業績推移(主要3グループ合算)
(兆円)
0
07
(出所)各社決算説明会資料より弊行作成。加入件数は主要3グループ合算。
10
(千円)
140
通信事業者固定部門業績推移(主要3グループ合算)
10
2.5
(兆円)
(兆円)
2
売上高(左軸)
8
2.0
8
6
1.5
6
4
1.0
4
0.5
2
0.0
14
15
上期 上期
(年度)
0
営業利益(右軸)
1
2
売上高(左軸)
営業利益(右軸)
0
08
09
10
11
12
11
(組替)
13
14
0
08
09
10
11
12
11
(組替)
13
14
14
15
上期 上期
(年度)
(出所)各社決算説明会資料より弊行作成
(出所)各社決算説明会資料より弊行作成
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