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山頂に寄り添うやさしい建築
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瀬戸内海を一望する鉄板屋根
地域住民・市との対話の場となるワークショップを第一に考えます。
ビジターセンターは観光客に向けてのものだけではなく、地域住民の憩い
の場、文化活動の場ともなる施設です。地域住民・市と設計チームが協同
し、地域の方々の想いをかたちにするプロセスを大切にします。「みんな
でつくる」ことが屋島のシンボルにつながると考えます。
ワークショップで生まれるさまざまな夢や希望に応えるために、設計チー
ムには構造・設備の専門技術者、家具・ランドスケープ・照明など、社外
協力者も加えたチーム編成とします。管理技術者はその中心となり、さま
ざまざまな意見に対しての対応も適切に行います。
古くから造船が盛んに行われてる瀬戸内の、鉄板加工の高い技術力を活
かし、鉄板の大きな屋根を作ります。屋根は運搬を考慮してユニット化
し分割します。
鉄板加工技術力は訪れた人々へのアピールとなり、造船技術の継承を担
います。
コールテン鋼は表面を生成する緻密な錆が素材そのものを腐食から守る
機能があり、耐候性に優れている長寿命な素材です。また、無塗装仕上
げとなるのでローコストで仕上がります。
屋島は日本を代表する美しいメサの
ひとつです。屋島の特徴である平ら
な山頂に寄り添う建築を提案します。
高さを押えた屋根は、メサを彷彿と
させます。国内外からさまざまな人
が集まる、新たな島の中心のシンボ
ルを目指します。
山頂にかかる大きな屋根は、瀬戸内
海を一望する展望デッキともなり、
強い太陽の光から利用者を守る庇に
もなります。
ゆるやかな勾配屋根には複数の平場
をつくり、訪れた人々がくつろげる
憩いの場となります。
■屋根のユニット化
900ピッチで格子状に組んだリブをコールテ
ン鋼で上下から挟み、サンドイッチパネルを
作りユニット化します。
この
のサンドイッチパネルを1ユ
市民参加の植樹をしよう!
技術継承に役立てたい!
綿密な対話
ニットとします。
地域住民
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■体験の促進
屋島の特産である牟礼石と庵治
石で広場を作り、訪れた誰もが
身近に体験できる場を設けまし
た。
繋がりで出来ています。
国内外から人をよびたい!
コンペ案を検証しよう!
地域の文化祭を開催したい!
2 ビジターセンターとしての役割
■案内・解説
屋島の観光案内や特産品の紹介が
できる展示スペースや、誰もが利
用できる多目的スペースを充実さ
せます。
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地域住民とともに建築を育てる
900mmピッチのグリッド上のリブを
鉄板で挟み、サンドイッチパネルをつ
くります。
先端の部材にH鋼を用いる事で、屋根
の厚みを感じにくく、軽くやわらかい
象を与えます。
設計チーム
行政
屋島産資源エネルギーの積極的利用
大きな屋根には、降水日数が少な
い瀬戸内海式気候を活かし、太陽
光パネルを設置します。また屋根
面に降る雨は貯留し、中水や屋上
緑化の散水に利用します。
地産・地消の自然エネルギー最大
活用でき、環境負荷低減が可能な
施設を目指します。
自然換気
重力換気を促す空間・バランスサッシ(高所は
雨・風センサー付)・中間期に窓を開けられる
サッシュ仕様、地域の卓越風を考慮
日射制御
ブラインドの設置、ガラス面への日射遮蔽フィルム
自然・
再生可能
エネルギー
再生材
見える化
太陽光パネル(約100kw)
雨水のトイレ洗浄水や散水への利用
リサイクル材の採用(外構舗装材等)
太陽光発電パネルを市民の目に付きやすい箇所
にまとめて設置、太陽光発電量のモニタ表示
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誰もが利用できる空間づくり
駐車場から館内、目的となる全ての諸室へと段差なく訪
れることができます。ゆるやかな階段とエレベーターを
設け、誰もがスムーズに屋根の上へ行く事が出来ます。
さらに身障者用トイレや授乳室を設置し、子育て中の親
子や高齢者にもやさしい空間をつくります。またサイン
計画では、明快な書体や図、色を用いることで幅広い年
代や国の人々に分かり易く安心で快適なビジターセンタ
ーを目指します。
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緑化がもたらす断熱効果
□サイン計画イメージ
鉄板屋根の上は緑化し、外気温の変動や強い太
陽光のによる下階の室内環境への影響を和らげ
ることで、冷暖房の効率を上げ、結露の発生を
抑制します。
また、屋上緑化をすることで、紫外線による建
築の劣化も防止できます。さらに、緑化には塩
害に強いセダムやキリンソウも加え、鉄の腐食
も防ぐ効果も持たせます。
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雨水一時
貯留効果
断熱効果
省エネルギー効果
フレキシビリティを確保した建築・設備計画と高品質・長寿命な建材の採用などにより運用段階で
の改修・補修工事を軽減します。長期の建物共用期間を考慮し、ライフサイクルで大きな割合を占
める運用段階での光熱費・清掃費およびCO2排出削減へのきめ細かな配慮を行います。
多目的ホール
床下空調
敷地の地形に沿ってゆるやかに床レベルが変化する
展示・イベントなど
カフェ
広場への通り抜け
設備ピット
設備ピット
ピットを設け、将来の設備更新を容易にする
雨水利用
拡散光
タスク照明
外部
瀬戸内海の強い日差しを防ぐ庇
貯留効果
海の眺望
受付・案内
外部の光が入る
場所は照明を消灯
アンビエント照明
雨水一時
展示室
RC造と鉄骨造の混構造になります。
コールテン鋼の屋根の鉛直力は鉄骨柱が負担します。
鉄骨柱は塩害対策として、
室内側に設けます。
水平力はRCの階段が負担
し、耐震面で効力を発揮し
ます。
建物の中央部には、屋根と
直交する壁を建て、ねじれ
を防ぎながら軸力を負担さ
せます。
必要な構造体がバランスよ
く配置されている事で、大
きな空間を確保する事が可
能になります。
非常時には地域住民の避難
場所としての利用が可能で
す。
長寿命建築としての配慮
瀬戸内海をパノラマ状に望む芝屋根
トイレ
屋根を支える構造
雨水貯留槽
雨水貯留槽
特産品販売
スタッフルーム 倉庫
ゆったりとした階段で海の眺望へ導く
断熱効果
カフェ
海風を取り込む
床下空調
床下空調
設備ピット
遊歩道
雨水濾過装置を通して中水利用/灌水/屋根散水
販売・休憩所
機械室
屋根散水
井水:冷水/冷房に利用
管理
遊歩道に沿う
軒下空間
設備ピット
広場から連続する大階段
石の広場
「アジムレ」