第44号8面

地熱・地中熱
新エネルギー・産業技 環境保全を考慮したバイナリー発電や、
術総合開発機構(NED
シリカ回収技術など温泉地との関係も重視
O)は1月 日、環境保
有用な資源として回収す
ることで、還元井の延命
リアルテクノ株式会社
法人九州大学、三菱マテ
法人富山大学、国立大学
※シード循環法 熱
:水
塞リスクの低減を目指す。
電所の配管や還元井の閉
地熱発電所の配管等に 中にシリカ吸着能力を有
おけるシリカスケール付 するシード(種結晶)と
マに着手することを発表
ど、新たな研究開発テー
置を不要にし、より低コ できることを目指す。
軸受の採用により潤滑装 温泉の状況を容易に把握
リカスケール防止技術の
④シード循環法によるシ
ード循環法 ※ で効率的 を吸着させることで、濾
( )
に除去する技術を開発す 過・分離しやすい形にす
中の過飽和シリカを、シ し、これに過飽和シリカ
化を図る。
全を考慮したバイナリー
研究開発
着防止対策として、熱水 なる物質を繰り返し添加
発電システムや、シリカ
ストで環境にやさしいバ
地球温暖化係数の小さ
ール等を一体化したコン 業用材料を製造する技術
気伝導度計、通信モジュ 熱水から高付加価値の工
置は温度計、流量計、電 能な品位で回収し、地熱
る。これにより、地熱発 る方法。
イナリー発電機の導入を ③還元熱水高度利用化技
因物質の高機能材料化に
い低沸点媒体を採用し、
パクトなものとし、発電 を開発する。スケールの
エネルギーの源 ㉖
In
My
otの代わりにYesと
佐藤 建吉
Y に 転 換 可 能 な の は、 用する社会は、都市にで
千葉大学大学院工学研究科都市環境システムコース准教授
一般社団法人 洸楓座 代表理事
NIMBY?、YIMBY?
「Not
比地域で計画さ
手県八幡平市安
環境省は、岩
うとするものだ。
の地熱発電所を設置しよ
で出力1万5000㌗級
た安比地熱が、八幡平市
ス化学が出資して設立し
が懸念される場合には、 なものには原子力発電所
結果、既設温泉への影響 象の例を挙げれば、大き
および評価を行い、その 言い表している。その対
併せて適切に調査・予測 える人間の性(さが)を
既設温泉の環境監視と あってほしくない、と考
かるが、それが近くには
る対象が必要なことは分
に家を求める場合は、も
も、火葬場や墓地の近く
りえないだろう。それで
大きい。やはり煙の上が
それには、世論の力が
地柄に合致した種類の自 帯」の風力発電とバイオ
である。さらに、その土 がまとめている「永続地
望まれず、普及段階はあ 「 再 生 可 能 」 と い う 特 質 学の倉坂教授のグループ
る火葬場は生活空間には
然エネルギー源が、必ず マス発電の都道府県別賦
て 特 定 可 能 な 要 件 は、 となる。参考に、千葉大
る。その性(さが)とし YIMBYがあれば容易
ち 自 然 エ ネ ル ギ ー で あ 見出すことへの精神的な
Backyard 略
( し して肯定・歓迎されるも 「 自 然 」 と い う 言 葉 を 冠 はなく、地方での暮らし
したエネルギー、すなわ や生活に、価値と意義を
て N I M B Y 」) は、 あ のである。
れている「安比
環境省 安比地熱発電所計画に大臣意見
術(熱水中のスケール誘 《 委 託 予 定 先 》 国 立 大 学
した。これらの研究開発
発電の導入拡大を目指す。
《委託予定先》地熱技術
モニタリング装置の研究 低減)
開発
法人北九州市立大学、日
還元熱水中に含まれる
温泉の湧出状況を、連 揮株式会社
株式会社
続的かつ遠隔でモニタリ
環境負荷軽減が可能な高
事業者や温泉事業者が、 原因物質であるシリカを
置を開発する。同計測装 インダー用途等に利用可
効率地熱バイナリー発電
新エネルギー導入促進協議会
(NEPC)
機を開発設計。磁気浮上
電機株式会社
《 共 同 研 究 予 定 先 》 丸 和 ングできる安価な計測装 シリカを、精密鋳造用バ
ビン発電機の開発設計
電システムのためのター
を考慮したバイナリー発
①事業採算性と環境保全 《 委 託 予 定 先 》 横 河 電 機 開発株式会社、公立大学
託・共同研究予定先》
採 択 テ ー マ お よ び《 委 電のための簡易遠隔温泉 ナリー発電の事業リスク
②温泉と共生した地熱発 よる還元井の延命・バイ
目指す。
により今後のさらなる地
協議会(NEPC)は1
月7日、2014年度補
正予算「再生可能エネル
「再エネ熱利用設備」
補助金交付先 件を採択
の審査を行い、補助金交
した。同発電事
産業大臣に提出
大臣意見を経済
書に対する環境
画段階環境配慮
称)
」の設置計
見を述べることができ
臣からの照会に対して意
書について、経済産業大
された計画段階環境配慮
環境影響評価法と電気
に指定されているオオシ ト(hate)する対象
び周辺には特定植物群落 いたのは、本質的にヘイ
人間の性(さが)と書
もそうである。
歓楽街やカラオケ店など
上の地熱発電所の設置・ 影響を回避または極力低 火葬場やごみ施設、また
事業法は、出力1万㌗以
ラビソ群落等の自然度の に対してであるが、それ
ており、環境大臣は提出 (2)植物について
変更工事を対象事業とし
高 い 植 生 が 存 在 し て お ばかりではない。なぜな
置を講じ、既設温泉への 施設などがあり、次には
必要に応じて環境保全措 や放射能・核施設、軍事
認知されているようでも
もはや便利な施設として
て多数つくられている。
モリアルホールと呼ばれ
利さゆえに葬儀式場がメ
の進んだ現在、駅前の便
を取り上げると、高齢化
もある。終末施設に事例
の匂いは心地よいもので
ない。お彼岸の時の線香
はやNIMBYとは言え
ろ、都市においてもエネ 行動でもある。
い、とは言えない。むし とYINMYを思慮した
たされたところにしかな る。それは、NIMBY
ーは豊かな自然環境に満 こととは真逆の選択であ
工夫で獲得できる。
風力もビル風を利用する ことを選択したい。それ
地熱源もそこにはある。 を揺り動かし、活用する
上空間に潜在している。 し、眠っている自然資源
光や太陽熱は、都市の屋 源に対する地域性を実感
にはあるのである。太陽 て図示する。エネルギー
My
地熱発電所(仮
業は、三菱マテ
る。今回の環境大臣意見
り、これらの改変による ら、普及段階にある対象
ある。
見によれば、計画は「再
公表された環境大臣意
懸念される。このため、 る。興味深いと感じる場
る硫化水素による影響が MBYとされるものもあ
及び冷却塔から排出され する気持ちになり、NI
れる蒸気による着氷被害 分であるがゆえに、疎外
支援と引き換えに、NI
償金などによる地方経済
については、交付金や補
BYだろうか。この選択
MBYだろうか、YIM
た利用形態や、時間や
で、ハイブリッド化し
の源の種類が多いの
自然エネルギーはそ
することができる。
るので、YIMBYと
事業実施想定区域およ
生可能エネルギー普及の
植生に関する調査、予測 合はそうではないが、従
MBYをYINBYにす
気象による変動や過不
ゆえに、自然エネルギ などに眠らせようとする
観点から望ましいもの」
および評価を行い、その 来からの慣習を打ち壊す
足への対応により進め
に、
月
留意するとともに、環境
具体的には次の2点に
れている。
たは極力低減するため、 る。かつて、蒸気鉄道も
高い植生の改変を回避ま ザ イ ン な ど も 同 類 で あ
に、それ以外の自然度の 新しいファッションやデ
義に替え委ねてYIMB
いま、その神話を別の教
み聞かせも、効能した。
た が、
「安全神話」の読
年の東北大震災で露呈し
力や地熱が適した地域
による補足や補完、水
力やバイオマスの利用
太陽熱の同時利用、風
たい。昼間の太陽光と
日の公募期間中 ( 長 野 県 長 野 市 ) な ど が
件
ることを目的とした事
地形改変が最小となるよ しかりである。それは、
ルギーを地産地消でき
NEPCのこの補助事
だが、一方で、地熱貯留
結果を踏まえオオシラビ ような対象については、
る多数工作が行われてき
都)などが採択された。
業。地方公共団体、非営
保全措置の検討に当たっ
原子力発電所は、NI
業は「地域再生可能エネ
層や温泉といった地下資
た。これには、2011
た。今回採択された
は核廃棄物を静かに地中
Backyard 存量をカルトグラムとし
リアルと三菱ガ
は、この手続に沿って提
影響、冷却塔から排出さ の場合には、認知が不十
減すること。
月末に工事を開始し、ゴ
出された。
ルギー熱導入促進対策事
源への影響、排出される
ソ群落の改変を原則とし 保守的な気持ちが先行し
択された。同温泉は「2
ールデンウィーク前には
業」と二本立てで構成さ
蒸気や硫化水素による植
完成させる計画だ」とい
件 の 申 請 が あ っ 採択された。太陽熱利用
れ て い る。
「地域再エネ
物への影響などが懸念さ
温度差エネルギー利
て は、 環 境 影 響 の 回 避・ う 配 慮 す る こ と。 加 え 時間経過により便利さが
地中熱利用では、地下
利民間団体、地方公共団
用・地中熱利用では、排
体と民間事業者が連携し
湯熱と既設井戸を利用し
もある。それらを組み
水熱を利用して駐車場の
合わせた利用が出来る
融雪を行う社会福祉法人
Yを作り出そうとする動
て行う再生可能エネルギ
きがあることに危惧して
ー熱利用の設備導入事業
自然エネルギーを利
て、必要に応じて環境保 理解され、むしろYIM
たヒートポンフを設置
NIMBYをYINB
全措置を講じ、周辺植生 BYとされた。ここで言
し、温浴施設の空調と給
MBYの対極であり、N
低減を優先的に検討する
みらい(山形県)や、地
力低減すること。
ことなどが掲げられた。
中熱を熱源とするヒート
(1)温泉について
のである。
を行う民間事業者を対象
いる。
湯に利用する温泉「ゆの
香」 栃(木県日光市 が
)採 としている。
ポンプを設置し、施設の
への影響を回避または極 うYIMBYとは、NI
う。
では、太陽集熱器を設置
熱導入」は、地域におけ
用する長野県労働金庫
して給湯に利用する太田
る再生可能エネルギー熱
月2日か
医院(山形県)や特別養
2015年
の内訳は、地中熱利用8
護老人ホーム不老乃郷を
件を採択し ら
件、太陽熱利用7件、温
て 回 避 す る こ と。 さ ら てNIMBYとされる。
11
ギー熱利用加速化支援対
付先として
た。
度差エネルギー利用・地
運 営 す る 平 成 会( 東 京 利用設備の導入促進を図
30
策費補助金」のうち、新
規事業分(最終締切)の
Column
中熱利用1件、温度差エ
17
17
11
新エネルギー導入促進
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
公募で集まった申請案件
17
温泉への影響回避や、オオシラビソ
群落など希少植物への配慮を求める
熱資源の有効活用、地熱
スケール付着防止技術な
14
地熱発電導入拡大に向け
新たな研究開発に着手
地中熱・温度差熱など有効活用
22
ネルギー利用1件。
温度差エネルギー利用・地中熱利用で
採択されたゆの香(栃木県)
空調と駐車場の融雪に利
風力発電(左)とバイオマス発電(右)のカルトグラム表示
8
2016年(平成28年)1月25日
新エネルギー新聞
隔週 月曜日発行
第44号